魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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アンケートを取った結果短くても月数回単位で出してほしいというお言葉が多かったので、そうします。

月に3.4本。文字数は4000字前後になると思います。

アンケートご協力ありがとうございました。


*この作品ではギャスパー及びヴァーリは女性にTSしてます。





始祖様?違いますお兄ちゃんです

放課後まだ日が強いこの時間帯、俺はゼノヴィアと小猫を連れて開かずの間と言われている教室に向かっていた。

というかゼノヴィアはわかるがグレモリー眷属である小猫は最近俺の近くに居すぎじゃね?と疑問に思ってしまう。

 

しかも朝から続くチラ見しては目をそらすを未だに継続中でありどう反応すればいいのかわからないから困ってしまう。

 

《まぁーたハチは女の子に何かしたのかい?》

 

ああ、阿朱羅丸復活してたんだ……

 

《……ハチも同じ目に合えばいいよ……》

 

突然聞こえてきた声に思わず応えてしまうと阿朱羅丸から嫌な雰囲気が漏れ出してきていた。忘れていたことと、助けなかったこと、加えて今の反応がよろしくなかった様でヘソを曲げてしまったらしい。

 

 

マッカンやるから機嫌直せよ……

 

 

《あんな甘いの飲むのはハチとユウくらいだよ⁉︎》

 

 

解せぬ……あんなにおいしいのに……

 

 

 

「む?八幡、どうかしたのか?」

 

 

俺が阿朱羅丸と心話をしていると不思議思ったのかゼノヴィアが問いかけてくる。

まぁ、阿朱羅丸達との会話は他の奴らから見りゃ、1人で次々と表情を変えてる様にしか見えないから不審がられても仕方ないが……

 

 

「ん?ああ、これから会いに行く奴のことでちょっとな」

 

そう言って俺は誤魔化す。

まぁ、阿朱羅丸と話していたと言ってもいいが、内容を聞かれた時それを話すのが面倒だしな。

 

 

「これから会いに行くのはリアス・グレモリーの眷属なのだろう?封印されていたと聞くがどうして……」

 

 

とゼノヴィアがそこまで続けた言葉は突然途切れる。

 

「ったくグレモリー達はあいつに何したんだ……」

 

 

「は、八幡これは⁉︎」

 

ガシガシと乱暴に頭をかきながらため息を吐く俺にゼノヴィアは驚きながら聞いてきた。

 

まぁ、隣にいる小猫が突然石になったように固まってりゃそうなるか。そうじゃなくても最近は実力が急上昇してるから今起きた違和感は感じ取れるだろうし。

 

 

「これが封印されてた原因だよ。あいつの神器、停止世界の邪眼は時を止めるからな」

 

そう言って驚いているゼノヴィアに構わず目の前にある目的の部屋のドアを開け、小言を言おうとする……

 

 

「ったく、なにやって………」

 

 

「始祖様〜〜〜〜〜」

 

 

が、それは弾丸さながらに飛んできた少女により遮られた。

 

 

グフッと肺の空気が外に漏れ出し、僅かに揺れた身体の態勢を整え飛んできた少女の頭を撫でると、先ほど言おうとしていたものとは別の小言を続ける。

 

 

「久しぶりだなギャスパー。でも危ねぇからいきなり飛んでくるな。あとなんで時止めてるんだ?」

 

 

「はい‼︎お久しぶりです‼︎始祖様‼︎‼︎えっと、リアス部長に無理矢理外に出されそうになったのでつい……あっ、戻しますか?」

 

 

彼女の言葉に俺は顔を上げるとそこには固まっているオカ研の面々がいた。しかも、イッセーに限ってはなんか棺桶の前で前のめりになってるし。おおよそギャスパーにセクハラでもしようとしたのか……

 

俺の言葉に元気よく答えながら身体に抱きつく力を一切弱めないギャスパーを愛でながら俺は目の前の光景にため息を吐く。そして念のために注意しておく。

 

「いや、まだ戻すな。それとギャスパー……始祖様って呼ぶな……」

 

「えー、どうしてですか⁉︎」

 

瞳を潤ませながら首を傾げてくるギャスパーの可愛さに割とノックアウト寸前になりながらもなんとかして続ける。

 

 

「いいか、そのことを知ってるのはギャスパーお前だけなんだ。だから2人だけの時ならまだしも他に人がいる時にそう呼ぶのはやめてくれ」

 

「それは……わかってますけど、今は時を止めてますし、2人だけの………」

 

 

とそこまで言い終えたギャスパーはようやく俺の後ろにいたゼノヴィアに気がついたのか目をパチクリさせる。

 

 

「え、えっと……私は今のことを聞かなかったことにすればいいのか?」

 

 

「ああ、そうしてくれ。いずれ話すから……」

 

 

俺の言葉を聞いていたゼノヴィアはどうすればいいかわからず、取り敢えず聞かなかったことにしてくれた。

 

 

「な、ななななな、なんであなた動けるんですか⁉︎」

 

 

逆にギャスパーはというと動けているゼノヴィアに驚きを隠せず思わず声を上げる。

 

 

「ああ、こいつはゼノヴィア。俺の眷属だ。あとはまぁ、動けるのは当然だな。むしろ、俺と阿朱羅丸で特訓してるのにこれで止められてたら俺らがショックだわ」

 

 

「始祖………んん。お兄ちゃんとアシェラ様がですか⁉︎」

 

 

ギャスパーの問いに俺が答え、その答えにまたもや驚くギャスパーだが、俺はそれどころではない。

 

「……えっとギャスパー……今のお兄ちゃんってとこもう3回言って?」

 

久々のギャスパーのお兄ちゃんコールに俺のシス魂に火がついてしまった……

 

「え?は、はい‼︎えっとお兄ちゃん?」

 

それは上目遣いで何処か恥ずかしげに……

 

「お兄ちゃん??」

 

それは首を傾げながらあざと気に……

 

「お兄ちゃん‼︎」

 

そして最後は意識を何処かに飛び立たせそうな俺を引き戻すように強く……

 

 

「………っは⁉︎」

 

天使だ……天使がいた……

正直ミカエルやガブリエルとかとは比べものにならないほどの天使力を秘めている

 

 

《いや、ギャスパーもハチも悪魔だけど》

 

 

阿朱羅丸とクルルが揃って突っ込んでくるがスルーだスルー。俺にとって今大事なのは……

 

 

「毎日俺の味噌汁を作ってくれ」

 

 

ギュッと今度は俺が強くギャスパーを抱きしめる。

 

《あーあ、また始まった……》

 

お前らって仲良いよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ふぇぇぇええええ⁉︎ええええ、えっと、おおおお兄ちゃんどうしたんですか⁉︎」

 

 

俺の突然の行為にギャスパーは顔を真っ赤にしながら腕を上下にブンブンと振り回している。

 

 

「っあ⁉︎わ、わりぃつい……今離すから……」

 

 

仕事の疲れのせいか、ギャスパーの可愛さのせいか……或いはその2つが交わってか、とんでもない行為に出た俺はようやく冷静さを取り戻し始め、ギャスパーから離れようとするが……

 

 

「え、えっと………べ、べつにいいです……少し驚いただけで、お兄ちゃんにギュッとされるのは嫌じゃないので……」

 

 

oh……その角度、その瞳……その言い方は破壊力が強すぎる……

 

 

ギャスパーの一言で離れようとしていた手を戻し、再び抱きしめようとする俺だが……

 

 

「八幡?」

 

 

ゾクッと寒気を感じ、瞬時に振り向く。

 

「主様……これはシノンやユウたちにも報告させてもらいますね?」

 

そこには空気になりつつあったゼノヴィアが不穏な雰囲気を纏いながら腕を組んでいた。

言葉遣いも丁寧になっててビックリだ。

それに初めてこいつに主様って言われたわ。

 

うん。怖すぎる……………

 

 

「え、えっと………」

 

 

「かまわないよな?」

 

 

何か返そうと口ごもる俺に彼女は強すぎる疑問をこちらに述べてくる。

いや、それもう疑問じゃない…………

 

 

「はい……」

 

ゼノヴィアもか……

どうも……俺の眷属の女性陣は怖い連中が多い気がする……

 

 

冷や汗を頬に流しながら今夜もあまり寝られない事が確定した俺の後ろでは、ギャスパーがガクガクと震えながら身を隠していたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで八幡とギャスパーの関係はなんなのかしら?」

 

 

その後ギャスパーに停止を解除させ、ギャスパーの紹介をし終えた後、グレモリー眷属とゼノヴィアを前に俺とギャスパーは俺たちの関係を質問してくる。

 

ギャスパーはギャスパーで問い詰められるように聞かれたため、俺の背後に隠れてしまった。

 

 

 

「別に大した関係じゃねぇぞ?昔死にかけてたこいつを俺が拾って、世話して、サーゼクス様に預けただけだ」

 

 

そういって俺は背後に隠れる彼女の頭を撫でる。

 

 

「貴方が?」

 

初耳だったらしいグレモリーは首を傾げている。

 

「ああ。面倒な事に巻き込まれることが多いのか知らんが、わりとそういう知り合いは多いぞ、俺は。駒をもらったのだって数年前だ。それまでは俺が保護し続けるわけにもいかず、魔王様達に頼んで代わりに保護してもらってた。中にはギャスパーみたいに転生悪魔になってるやつもいる」

 

 

「へぇ、八幡さんはそういうこともしているんですね」

 

「八幡って意外と面倒見いいよな、目が腐ってるけど」

 

 

俺の説明にアルジェントとイッセーが反応する。その隣にいる小猫の身体がビクンと俺の言葉に反応していたのを俺は見逃さなかった。

 

 

《いや、ハチこれバレてるね》

 

《というか、それを確信にする為にワザと言ったんじゃないの?》

 

まぁな……

さすがにあんなに見ては目を逸らされを続けられたらなんでか気になるしな。セラフォルー様が、或いはシノンやユウが何か言ったとして、小猫がこうなる理由はこれくらいだろうし。

 

 

他にもあるっちゃあるが、アレはサーゼクス様しか知らないしな。

 

 

 

 

「あら、どうかしたんですか?」

 

 

「ん?いや、なんでもねぇよ。ただ、イッセーの言葉にカチンと来てまた前みたいな特訓をつけてやろうかと思ってただけだ」

 

ふと姫島先輩に声をかけられる。

相変わらず俺は阿朱羅丸達と話していると不信に思われるらしい。いい加減この癖を直さないとな……

 

 

「いや、それはやめてくれ⁉︎」

 

俺の言葉にイッセーは慌てて首を振っている。

 

「僕としてはどうしてギャスパーちゃんにお兄ちゃんって呼ばれてるのか気になるな」

 

そんな首を振るイッセーを傍に木場は全員が聞きたかったであろうことを聞いてくる。

 

 

「さぁ?ギャスパーがそう呼んでるだけだし、俺も悪い気はしねぇからそのままにしてる」

 

「そうだな、呼ばれて喜んでいたしな」

 

「「「「「「「………」」」」」」」

 

 

その質問に正直に答えるが、横から入れられたゼノヴィアの一言で全員が俺を冷たい目で見てくる。おいなんだその眼は。

 

 

「なんだよその眼は」

 

 

「ロリコン?」

 

 

「ぶちのめすぞ?」

 

ふと放たれたイッセーの言葉に阿朱羅丸(刀)を顕現させ柄を握りしめる。

 

 

「じょ、冗談だって……」

 

先ほど以上の慌てようで後退するイッセーに嘆息を吐く。取り敢えずギャスパーに適当に説明してほしい。だから阿朱羅丸をそんな尊敬の眼差しで見てないで説明をしてくれ。

 

「えっと、ギャスパーちゃんはどうして八幡さんをお兄ちゃんと?」

 

ナイスだアルジェント。

 

 

「え……えっと、お兄ちゃんといるとすっごくポカポカしますし、それに安心できるので……あとあと、お兄ちゃんはすっごく強いですし、優しいので……」

 

 

俺に隠れながらもおずおずと言うギャスパー。

だからその感じが保護欲をそそってくるんだよ……守りたい、この笑顔……

 

 

 

「っとまぁ、俺とギャスパーの関係はそんな感じだ。それよりも取り敢えずギャスパーの神器の制御の手伝いをするようにサーゼクス様に頼まれたから」

 

ギャスパーの言葉と態度を受け、軽く絶句している面子を他所に俺は言っておかなければならないことを忘れないうちに言っておく。

 

 

「ほ、ほんとですか⁉︎」

 

ギャスパーもその言葉を受けて目をキラキラさせながら俺を見てくる。

 

 

 

「おう」

 

 

そんなギャスパーの頭を俺はただ撫で続けた。

 

 

 

撫で過ぎて目を合わせて来ようとしない小猫が何かを決心したように近づいてきて俺のことを思いっきりつねってきたのと、ゼノヴィアが俺の肩を掴み、ミシミシと音を立てさせていたのはこの数分後の光景だった…………

 

 

 

 




次回!
ようやくアザゼル登場。


そして、八幡の協力者の1人がついに……………

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