レポート書く合間に書いてるからやはり投稿がこんな時間になってしまったε-(´∀`; )
甘いもの巡り
とある休日、ふんふーんと鼻歌を歌う少女を連れながら俺は街中を歩いていた。え?前回のちょっとシリアスな終わりはどうしたって?馬鹿野郎。ヴィザ達からもよく言われるが休みは大事だろう。だから休日を満喫してるだけだ。決して協力者と話し合うことに疲れてたり、あいつと話すのが凄くだるかったから、小猫に癒して貰おうなんて考えてはいません。
ホントだよ。ハチマンウソツカナイモン。
「どうかしましたか先輩?」
「ん?いや、なんでもない。それよりも早く行こうぜ、今日行くところはオススメなんだろ?」
「はい‼︎先輩も絶対に気に入りますよ‼︎」
そう言って小猫は俺の左腕に抱きついてくる。
なんだろう……いや、こうなることは薄々感じてはいたが、あの話をしてから小猫がユウキ達のようにスキンシップが多くなった気がする。俺としても悪い気はしないのだが、いかんせん小猫のようなマスコットキャラになり得るほどの容姿を持った子がいると視線が自然と集まる。そして最初こそ好意の視線だったものが俺を捉えた瞬間悪意へと変わる。そこには嫉妬や憎悪が含まれているのが目に見えてわかる。
その視線自体俺は気にしない。
今更悪意の1つや2つ気にしていたらきりがない。問題なのは悪意とは違った視線を向けてきている集団……
『……………』
なんでイッセー達は全員して俺らの後をつけてきてるんだ………もはや呆れてものもいえねぇよ。
彼らは気づいていないようだが、とっくに俺たちはそれに気づいている。そもそも、視線に敏感な俺と匂いや音に敏感な小猫(ユウキとの特訓で更に精度up)にとってあの程度尾行にすらなっていない。その上部長や由比ヶ浜の髪色は目立つことこの上ない。
しかし、小猫は小猫で別に構いませんよと俺に小さな声で囁いた後俺の手を握り、現在は抱きついてきている。
(まぁ、たまにはあいつらをからかってみるか)
そんな思いを抱きながら俺たちは目的地へと向かっていった。
八幡side out
イッセーside in
今日俺たちはとあるミッションを自分達に与えた。それは………
「ほらはやく。2人とも行っちゃうわよ」
そう言いながら部長は楽しそうに小猫ちゃんと八幡の後を追っていく。
そうB☆I☆K☆O☆Uである。
悪く言えばストーカーだ。
いや、悪く言う必要はないんだけども……
俺たちは絶賛2人を追跡していた。
理由は今日の放課後に開かれた眷属会議でのこと……
〜〜〜
〜〜〜
「それで、雪乃と結衣。あなた達自身はどうしたいのかしら?」
レーティングゲームを終えてから数日後。
この数日間にいろんな変化が起きていた。
部長が俺の家に住み込むようになったり……
八幡が学校に来なくなったりと………
他にもあるが、そんな中俺たちは部室のソファに座り会議を開いていた。議題は雪ノ下と由比ヶ浜の今後についてだ。
「……………」
雪ノ下はずっとだんまりだ。
口を開かずただ俯きバツの悪そうな顔をしている。
「わ、私は……できるなら……もう一度ヒッキーとやり直したいです……」
それとは対照的に由比ヶ浜は部長の言葉に答えた。
「それでまた先輩を傷つけるんですか?」
「小猫‼︎」
「事実です」
由比ヶ浜の言葉に反応した小猫ちゃんを部長は諌めるように声をあげるが、当の小猫ちゃんはそんな声を全く気にしていない。
まぁ、小猫ちゃんがそういう気持ちなのもわかる。八幡自身が気にしていないこととはいえあいつを傷つけたのは事実だ。昔のこととはいえ、それは簡単に許せるかと聞かれれば、素直に頷くことはできない。
「虫のいいことなのはわかってます……今さら何をってことも……私はあの時逃げたんです。ヒッキーがやった事に自分の気持ちを押し付けて、ヒッキーの気持ちも考えず、その上自分達の都合がいいように事実を塗り替えてきました。でも、特訓の最中ヴィザさんに言われて、私はようやくあの日の出来事と正面から向き合ってみたんです。そうして見えてきたのは……自分たちの酷い部分だけだった……」
そういう由比ヶ浜はギュッとスカートを握っていた。
「許してもらえると思いません。許されないようなことをしたから……それでもヒッキーに謝りたい……できることなら……もう一度ヒッキーとやり直したい……」
その言葉に隣にいる雪ノ下は目を開きながら由比ヶ浜を見ていた。
「雪乃も同意見かしら?」
「え……ええ。私も由比ヶ浜さんと同じです……」
「そう……」
2人の意見を聞き終えた部長は今度は俺たちへと順々に視線を回していく。
「俺は……わかりません。特訓の最中何回かそのことを八幡に聞いてみたんですが……その度に帰ってくる答えは同じでしたから。八幡はずっと『特にもうなんとも思ってねぇよ』って言ってました」
「僕は部長にお任せしますよ。正直なところ、僕は八幡君と出会って間もないですし……」
「わ、私も部長さんにお任せします……」
「私は構いませんよ。戦力という意味で不安は拭いきれませんが、ヴィザ翁の話を聞く限り、長期的に見れば伸び代あるらしいですから…… 」
「反対です……」
各々意見を言っていくが俺と木場、それにアーシアは部長任せだ。意外なことに朱乃さんは2人の残留に賛成らしいが、何故だろう……小猫ちゃんは相変わらず2人に敵意丸出しのようだが……
「はぁ……そうね」
全員の意見を受け頭を悩ませる部長だが……意を決したのか、遂に判決を下した。
「2人は残留ということにするわ。1ヶ月程とはいえ眷属になったのは変わりはないもの……八幡もそれほど気にしていないようですし」
その言葉を発した直後小猫ちゃんがものすごい形相で2人と部長のことを睨んでいたことを俺は今後忘れることはないだろう……
「ただし幾つかの条件があるわ」
部長の言葉に安堵したであろう2人はピクリと反応する。
「1つは毎日、朝早くに集まり特訓をすること。これにはイッセーも参加するのよ。実力をつけるために……2つ目は八幡と今後トラブルを起こさないこと。彼がセラフォルー様の女王ということもあるけど、それ以前に私たちの恩人よ。それを理解しなさい。この2つをしっかり守るなら私も復縁に少しだけだけど力を貸すわ」
力を部長の言葉にはい、と2人は返事をして、その会議自体は終了した。
「しかし……改めて考えてみると八幡の神器ってなんなんだろうな?」
「突然どうしたんだい?イッセー君」
会議が終わり肩の力が抜けた直後俺が不意に漏らした言葉に木場が返してくる。
「いやな、ドライグが言ってたことが気になってな………」
「あらあら、赤龍帝がなにかおっしゃってたんですか?」
「ああ、なんか八幡の神器には気をつけろって」
「八幡さんの神器にですか?」
俺の言葉に朱乃先輩とアーシアも反応してきた。
「セラフォルー様の女王になるくらいだから、かなり強力な神器を持っているんでしょうけど……赤龍帝が注意してくるほどとなると、もしかしたら神滅具の1つかもしれないわね」
「いやでも、あの言い方は普通じゃなかったですよ。嫌悪感丸出しで、憎んでいるかのようでした……」
俺の言葉に更にみんなは困惑する。
赤龍帝がそうまで言い、尚且つそれほどの敵意を向けるものが八幡の神器に宿っている。そう思うと知りたいと強く願ってしまう……
「モグモグ」
不意に俺の視界には俺たちが考えている中1人おやつを食べている小猫ちゃんの姿が映る。あれ?小猫ちゃんは気にならないのかな?
「小猫……あなたは気にならないの?」
「先輩の神器ですから仕方ないですよ」
そう言ってペロリと自分の指を舐めると手を合わせ食べるのを終了した。
「小猫……あなたまさかとは思うけど知ってるのかしら?」
部長の問いは全員が思ったことだ。
よくよく考えれば小猫ちゃんは初日の夜、八幡と2人っきりの時間があったし、何よりも2日目からまるで覚悟が違うとユウキさんが言っていた。もしかしたら……………
「さぁ?先輩本人に聞いてください」
小猫ちゃんは話す気はないらしい。でも……
「でも、その八幡自身も学校休んでるんだよ……」
そう、レーティングゲームの後八幡はここ数日学校を休んでいた。理由を知らない俺としてはすごく気になってしまう。連絡を取ろうにも、あいつは基本的に自分の連絡先を教えてこないし……
「とりあえず今日これで失礼します」
「もう帰るのかい?」
今日は午前授業だったため、時刻はまだ2時だ。帰るにはいくらなんでも早すぎるため、木場が小猫ちゃんに質問するが、そこからは予想外の返答が帰ってくる。
「はい、この後先輩と甘いもの巡りに行くので」
『は⁉︎』
小猫ちゃんの言葉に思わず俺らは声をあげる。
いやいや、八幡はここ最近来てないだぞ。いったいいつ約束したのだ?特訓中にそんな約束をしている余裕はないはずだが……
「あ、先輩からメールです。ごめんなさい。もう先輩が待ってるので失礼します」
そう言って小猫ちゃんは荷物を持つと部室を後にする……
「ねぇ、思ったのだけれど……小猫って八幡と付き合ってるのかしら?」
「いや、シノンさん達がいるからそれはないと思いますが……」
部長の素朴な疑問に俺が返すが正直自信はない……
「でも、小猫ちゃんは前々から甘いもの巡りを八幡君としているみたいだし。仲がいいのは事実だろうね」
「八幡さんを見るときの小猫ちゃんの目はすごく楽しそうです」
『……………』
木場とアーシアの言葉を最後に部室に沈黙が訪れる。気になる……八幡の神器に関してもだが、それ以上に2人の仲がどうなのか……
「尾行しましょう……」
「部長⁉︎」
部長がいきなりとんでもないことを言い出した。さっき問題は起こすなって言ったばかりですよね⁉︎
「いいんですか?」
「祐斗は気にならないの?」
「気にはなりますが尾行は……」
「それぐらいでは怒らないと思いますよ、たぶん」
「朱乃さん……説得力ないです」
どうやら朱乃さんは賛成らしい。
結局この後行くノリになって行き今に至る……
〜〜〜
〜〜〜
「カップルにしか見えないわね」
「そうですね」
「あらあら、楽しみですわ」
先頭を歩く部長達は楽しそうに話している。
俺と部長達の中間には苦笑いしている由比ヶ浜と彼女と話している雪ノ下がおりそんな彼女達を俺と木場は見ていた。
「小猫ちゃんはどうするんだろうね」
「なにがだ?」
不意につぶやいてきた木場の顔はどこか浮かなかった。
「小猫ちゃんは八幡君と仲がいい。好意を抱いているのは今の様子からでも見て取れるだろう?」
そう言って木場は部長達の先にいる2人を指す。そこにいる小猫ちゃんは後ろ姿からでも幸せそうなのが感じ取れる。八幡も八幡で抱きついている小猫ちゃんに対し嫌がる素振りは一切ない。
「まぁ、そうだな」
木場の言葉を肯定すると木場は話を続ける。
「そんな彼女が八幡君のことを傷つけた雪ノ下さん達を嫌っているのは明らかだった。もしかしたら小猫ちゃんは八幡君の眷属になろうとしてるんじゃないかなって思ってさ」
「小猫ちゃんが⁉︎そんな話聞いてないぞ⁉︎」
「あ、あくまで僕の予想だよ。現に部長もそんな話は聞いていないだろうし……でもあり得るかもって話さ」
胸ぐらを掴んで来そうな俺の勢いに押されながら木場は慌てて補足する。
小猫ちゃんが八幡の眷属に?
でもそれは実際にありえそうな話ではある。
「と、ともあれ早く追おう。もしかしたらその辺の事も分かるかもしれないよ」
木場に促され俺も本格的にストーキングを始めるのだった…………
イッセーside out
小猫side in
今日私は八幡先輩と最近できたお店にやってきました。これでくるのは2度目です。最初に来た時あまりの美味しさに本当に頬っぺたが落ちるかと思いました。何度も来たいのは山々なのですが、そのクオリティの高さからかお値段が学生に優しくありません。でも今日はこの間約束した通り先輩の奢りなので楽しみです。あれ?そういえば……
「先輩ってどれくらい稼いでいるんですか?」
いやらしい話ですが気になります。
先輩はセラフォルー様の女王ですしいったいどのくらい……
「ん?なんだ別に気にしなくても大丈夫だぞ。ここの代金くらい簡単に払えるから……ほれ」
そう言って先輩は財布からなにやら紙を取り出し私に渡してきます……
なんですかこれ?
なんかすごく数字がたくさん並んでますね。
上の数字はすごい数ですし。
あ、これ上からどんどん引かれてるんですね。
それでも1番下の数字はすごい数です……
そう言えばこの紙なんでしょう……
えっと………給料明細……………
「んにゃにゃ⁉︎」
給料明細⁉︎
この金額がですか⁉︎
どこのブルジョワですか⁉︎
「俺はセラフォルー様から貰ってる上に俺自身領地を持っててそこで税収だのなんだのあるからな。その上この間小猫に渡した世界樹の種子とか便利アイテムで稼いでるからな。ぶっちゃけて言えば稼いでる金額はセラフォルー様を超えてるし……」
とんでもない事実です。
先輩って超お金持ちじゃないですか……
「だから遠慮なんてすんな。最近じゃいくらなんでも稼ぎ過ぎって事で俺や眷属達の私財を使って領内を盛大に開発してな。そしたら領民が急増して税金が更に増えちまって、結局もとより稼いじまったぐらいだ……」
「わかりました。ご馳走になります」
とりあえず店員を呼んでメニュー表を全て4個ずつ注文しました。店員さんは3回くらい聞き返してましたが撤回はしません……
「ありがとうございました」
美味しいスイーツに舌鼓をうった後店を後にします。何故か帰る際スーツの偉そうな人がほくほく顏で見送ってきました。
「さてと……それじゃあ食後の運動と行きますか」
「珍しいですね。先輩がそういうことを誘ってくるのは。さっきのもそうですし」
「偶にはいいだろ。それにここまでされたんだ。やり返してもバチはあたらんだろう……小猫は嫌だったか?」
「い、いえ………先輩とならむしろ嬉しかったです……そうですね偶には……いいですね」
ニヤリと悪い笑みを浮かべた私と先輩は歩き始めました。
小猫side out
イッセーside in
「あれで本当に付き合ってないのかしら?」
お店から出た部長は額に手を当てながら呟いた。その様子はどこか苦しそうだ。
まぁ、それは仕方ないだろう。
俺たちも食べようとケーキを食べ始めたところまでは良かったのだが、ただでさえ甘いスイーツを食べているのにあんな光景を見せられたら、リアルに砂糖を吐いてしまう。
「小猫ちゃん楽しそうでしたね」
アーシアだけはニコニコとあの光景を思い出しながら笑顔を絶やさない。アーシアって意外と強いな…………それ以外のメンツは全員ほぼグロッキーなのに……
店の中で俺たちが見た光景。
まずそれぞれケーキを食べていく。だが各々全種類を1個食べ終えた後、不意に小猫ちゃんが八幡の口にケーキを運び出したのだ。まさかの行動に全員が飲み物をこぼしかけたが、その後八幡もやり返していた。そうして交互にやり続けた結果残りのケーキを全て互いに食べさせ合うという荒技をしていた。
このまま帰ってもいいのだが、実際になに1つわかっていない。そうなると意地でも最後までついて行きたくなる。
「部長早く行きましょう。早くしないと見失ってしまいますよ」
八幡たちは既に歩き始め、かなり遠くまで離れている。
「え、ええ、そうね。早く行きましょう」
そう言って部長が走り出し俺たちも続く。
「いたわよ‼︎」
そう言ってようやく近くまで八幡が見えてきた。本当に見失うとこだったな……八幡達は相変わらず手を繋ぎながら歩いている。 2人とも相変わらず楽しそうに歩いていて、その姿は角を曲がったところで見えなくなってしまう。
「やべぇ見失ったぞ⁉︎」
角を曲がったところで俺たちは2人を見失ってしまった。
「あらあら?どこに行ったのでしょう?」
「っく、これからがいろいろ知れるところだったかもしれないのに」
「そうですね部長。結局これといった収穫はなかったですね……」
朱乃さんと部長の声に俺も同調し脱力してしまう。
「えっと、この後どうしましょう?」
「どうしようかね?」
アーシアの問いに木場もふぅ、と首を傾げながら応える。
「そうね。このまま解散するのもあれですし、イッセーの家でみんなでお茶しましょうか?」
『了解です』
主の言葉に俺たちは応えると俺の家へと向かっていく………
「それにしても本当になにも得られませんでしたね……」
「そうね。結局八幡の神器のことも、八幡と小猫との関係も結局しっかりとはわからなかったわ。」
アーシアの問いに今度は部長が答えた。
「ヒッキー……小猫ちゃんと付き合ってるのかな……」
「あらあら、気になるのですか?」
「いいえ……って言えば嘘になりますけど……今更私にそんな気持ちを伝える資格なんて……ありませんから……」
「仲直りできるといいですね」
目を伏せる由比ヶ浜に朱乃さんは優しく声をかけると朱乃さんはそっと彼女から離れていく。そんな彼女に俺は近づき周りに聞こえないボリュームで話しかける。
「朱乃さん、やけに2人のことを庇ってますけどどうしたんですか?」
「別に庇っているわけではありませんが……八幡君からすこしだけ言われたことがあるだけですよ」
「八幡から?」
「はい、お前らが誰を眷属に入れていようと関係ないから俺のことは気にするな、と。八幡君はセラフォルー様の女王ですからリアスがそれを理由に2人を眷属から外す必要はないと」
意外だった。
気にしていないと言っていた彼が彼女達を想うようなことを言ったことがだ。
というか朱乃さんはいつ聞いたのだろう……
「私もそう思って彼に言ってみたのですが、否定されてしまいましたわ」
俺の心を読んだのか朱乃さんは言葉を続ける。
「変な気遣いをされる方が疲れる、らしいです。そんな気遣いをする暇があるなら自分の眷属を強くしろ。お前は女王としての役割を果たせ、と」
前言撤回だ、あいつらしい。
「みんなついたわよ」
俺と朱乃さんが話し終えたのと同時に部長が声をあげる。目の前には見慣れた俺の家。
「へぇ、いい家に住んでるんだねイッセー君」
そう言って木場は二階建ての俺の家を見あげている。
「いや、そんなことねぇよ。普通だ普通」
「いえいえ立派な家ですよ」
「小猫ちゃんもそんなことないって……ば?」
あれ?
木場の言葉に返した後ナチュラルに返してしまった後俺の首はギギギと音をたてながら半回転するとそこには小猫ちゃんがいた。
「え?……あれ?小猫ちゃん……どうして……」
俺に遅れて気づいたみんなも俺と同じく固まっている。俺も捻り出すように言葉を吐くと小猫は満面の笑みで答えてくる。
「どうしてもなにも、イッセー先輩達が私達をつけてきてたんじゃないですか」
ゾクッと感じた後背中に驚くほどの汗が流れてくる。怖い、怖すぎる。駒高のマスコットキャラであるはずの小猫ちゃんの笑みは決してマスコットキャラが出すようなものではなかった。
「こ……ねこ、いつからいたのかしら?」
部長が戸惑いながら問いかけると
「ずっとですよ?」
そう言って小猫ちゃんは今度は自分の影を見つめている。すると突然小猫ちゃんの影が浮き上がったかと思うと人の形になっていき八幡が現れる。
「よう、ストーキングとはいい趣味だなイッセー」
「えっと……いつから………」
「初めからだ。お前らの尾行なんて最初から気づいてる。」
「今のは……」
「俺の神器の力とだけ言っとこう。当然内容は話さない。ましてや人の神器のことや友人関係を探るためにストーキングなんてする奴にはな」
「えっと……もしかして話を」
「お前の影の中でずっと聞いてたぞ?」
『…………』
彼の言葉受け全員が黙ってしまう。
聞かれてた……俺たちの会話を……
俺たちの目的を……
ってかドライグは気づかなかったのかよ‼︎
《悪いな相棒。俺も気付かなかった……》
マジかよ⁉︎
どんな力なんだよ⁉︎
「とりあえずイッセーの家に入ろうぜ。話はそれからゆっくりしよう」
先ほどの小猫ちゃん同様にイイ笑顔になった八幡に促され俺たちは自宅へと入っていった……
イッセーside out
八幡side in
イッセーの家に置いて現在小猫を除くリアス・グレモリー眷属は絶賛D☆O☆G☆E☆Z☆A中である。彼らの前では俺と小猫が腕を組みながら仁王立ちしている。
「それで先輩どうしましょう」
「そうだな……」
「じょ、情状酌量の余地は?」
2人して彼らに威圧をかけながら意味深な会話をするとイッセーが慌てながら聞いてくる。
「「ないな(です)」」
無論そんなものがあるわけない。
「じ、慈悲を‼︎」
俺と実際にやりあったことがあるからかイッセーは他の面子以上に焦っていた。
うん……やっぱりたまにはこういうことをしてみるもんだ。面白い……
「先輩、こんなところにアルバムがありました」
どこから持ってきたのか小猫は一冊のアルバムを手にしていた。
「いいな。ここでイッセーの過去を公開してもらうか。それが罰ってことで」
「え?そんなんでいいのか?」
意外だったのかイッセーが声をあげるも俺はそれに軽く返す。
「もともとお前らをからかおうってことでああいうことをしたんだ。それほど怒っちゃいねーよ。他人の神器が気になるのなんて珍しくもねぇ。だからもう足を崩していいぞ」
そう言って俺も小猫も威圧を解くと安心したように各々足を崩し始める。
「これは…………」
イッセーのアルバムをめくっている最中とある写真に木場が目を留めた。そこにはイッセーと1人の少女、そして壁に掛けられた1本の剣が写っていた。一目でそれが聖剣だとわかった俺は木場の方へと視線を移す。
「木場?」
木場の雰囲気が変わったのを感じたのかイッセーは木場へと声をかける。
「いや、なんでもないんだよイッセー君。ただ……こんなところで見つけるとは思わなかったからさ」
「???」
「祐斗……」
「大丈夫です部長……僕なら大丈夫ですから」
そう言って木場はアルバムを閉じるとそれをイッセーに渡す。イッセーは何が何だか分からず混乱し、リアス・グレモリーは心配そうに彼を見ていた。
「木場……ヴィザの言葉忘れるなよ」
「ありがと、八幡君。本当に大丈夫だよ」
俺の言葉に木場は応えるがその日木場のその雰囲気が消えることは結局なかった……
今回はどうだったでしょうか?
感想お待ちしておりますm(__)m
次回ようやく聖剣使い達が登場しますo(^▽^)o