52話 傀儡国家
1940年3月半ば頃
帝都はドイツ軍の手に落ちた
ゾルザルこそ取り逃がしたものの
他の元老院議員やその他有力な貴族の確保は出来た
帝国というこの世界の主を潰した以上、その他諸国は世界侵略に乗り出すかもわからない、その為早急に帝国の代わりとなる新たな国を作り、反乱諸国の鎮圧、資材の調査などの危険な任務を特地民に任せた方が危険に晒されず良いという事になった
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晴れ渡る空の下にあるのは廃墟の帝都だが、そこで華々しい式典が行われていた
そこに掲げられていた旗は元々の旗にあった金地の龍の羽が四つと
その後にデカデカと鷲のマークが陣取っていた
新生帝国旗の他に大ドイツ国のハーケンクロイツ、イタリア王国のトリコローレ等がはためいていた
ドイツ軍の軍楽隊の行進と共に、新生帝国軍が続く
新生帝国軍のヘルメットもドイツ軍のヘルメットに限りなく似たものとなっている、装備等も簡易製造型のk98kを持っていた
この様子をピニャは玉座に座りながら眺めていた
周りにはハミルトン等講和派の議員などがいるが
他にドイツ軍関係者等も大勢いる
(・・・妾の帝国は負けた、この正当政府を名乗るこの国は偽りの国だ、妾は女帝として神輿に挙げられているに過ぎない・・)
「ピニャ女帝、この度はおめでとう」
そう言いながら現れたのはアドルフ・ヒトラーであった
「・・・ヒトラー総統、帝国がこのような国に生まれ変わったのも貴国のおかげです」
「益々の発展、祈ってますよ」
ヒトラーはそう言いながら笑った
ヒトラーは窓際で群衆に手を振ると
「「「ハイル・ヒトラー!!!」」」
とドイツ軍の方から歓声が上がった
(・・帝国はこの男に負けたのか)
ピニャは死んだ様な目で目の前に広がる廃墟群を見た
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ブロージャ
ここは山を利用して作った要塞都市であり、分厚い壁に地中に、廃坑を利用した通路に塹壕、そして畑、貯水池も完備とまさに申し分なかった
その強固さは全盛期の帝国軍でさえ落ちないと言われて来た
そんな要塞都市にゾルザルは入城し皇帝府をここに移した
「諸君、今までこの地を守ってくれてご苦労であった、今日からこの俺が司令官となり指揮を執る、羽を伸ばしても良いぞ」
ゾルザルはこのブロージャの総指揮官のギレイズン・ザヌビス
にそう告げた
「これからはお前が必要だ、その頭脳最大限に活かせ」
千年に一度の逸材と呼ばれている知将ググレカスにそう言った
「うむ!どう見てもこれ以上の最強の布陣は無いだろう!
これは誰がどう見ても帝国の勝利に違いない!」
ゾルザルは高らかに笑った
ブロージャ政府の要人はネタ多め