海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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今作は霧は大艦隊と超兵器を投入します、ですがあっさりと吹っ飛ばされます。
あと智史がイオナにあだ名をつけました。
読みたい方だけお読みください。


第6話 報告とあだ名と一応、決戦

「千早君、君はあのメンタルモデルと、彼に同行している天羽琴乃に接触したというのか?」

「はい、彼の方からこちらに接触を呼びかけてきましたので…。」

長崎で千早群像は佐賀県宇宙センター沖合で勃発した海戦の一部始終と、戦闘終了後に霧の究極超兵器リヴァイアサンの方からこちらに接触があったということを、日本統制軍軍務省次官補、上陰龍二郎に報告していた。

「何故彼と彼女を目の敵にするのですか?」

「彼は横須賀の我々の施設で大暴れし、そして彼女の家に逃げ込んだ。そして彼女は海洋技術総合学院でも非常に優秀な成績を上げていた、彼女のその知識が彼に伝わったら非常に厄介なことになると判断したため彼女を彼共々排除すべく我々は特殊部隊を投入したが、彼に悉く殲滅され、そして彼女は彼とともに行方不明だ。現在、この2人は緊急指名手配中だ。」

上陰は智史の画像を横須賀の軍施設の監視カメラから入手していた、そして彼がしたことは彼に殲滅された特殊部隊がまざまざと語っていた、そして彼と彼女がいた場所は何故か焼けずに無傷で残っていたからことから彼が如何に人智を越えた存在であることをよく理解していた。

「だが、今回の海戦ではSSTOを攻撃せずに君たちを援護した、それが何を意味するのかは分からないが、少なくとも彼は、こちらから手出しをしなければ攻撃を仕掛けてくることはないようだ。先ほどSSTOがハワイ上空で撃墜されたという報告が入ったが、それが彼によるものではないということが判明している。」

「つまり、しばらく様子見をするというのですか、上陰次官補?」

「そういうことだな、君達には横須賀にある振動弾頭のサンプルを取りに行ってもらおう、あれが最後の一発だ、もう日本にはこのようなものを作るための材料がない、もしこれが失われたら人類は霧に対抗する術を完全に失うことになる。またもし彼の方から我々に接触を持とうとしたら、我々は彼と交渉する予定だ。」

使える手段、モノはとことん使おうとする上陰。群像はその任務を了承する。

その一方でーー

 

「貧乳ロリスパッツ…私のあだ名?なぜ彼は私にこの名前をつけた?」

イオナは401の甲板でヒトデいじりをしつつ、彼からつけられたあだ名について悩んでいた。彼女はリヴァイアサンとの接触の際に、智史が彼女を初めて見て独り言でこういったことを覚えていた、

 

「“あ、貧乳ロリスパッツとグンゾーだ。”」

 

群像の方は名前から来ているのでその気持ちはなんとなく分かるのだが、彼女の場合は見た目から名前をつけられた、実際に彼女は胸が小さく、かつ幼い容姿をしており、そして青いセーラー服にスパッツを履いていたからだ。智史にしてみればその名前は彼の彼女のイメージをそのまま定着させてしまうあだ名である。幸い彼の近くにいた琴乃という女性が彼に見た目をそのまんま言うなと注意してれたので、今後こんな独り言を口にすることは無いのだろうが、彼に今のイメージを持たれ、彼にこのあだ名で呼ばれることが嫌な彼女はこのことで悩んでいた。

 

「群像、ここにもう用は無いの?」

「ああ、イオナ、横須賀へ向かうぞ。」

「了解、きゅーそくせんこー。」

 

群像が戻ってきたことを確認した彼女は401を横須賀へ発進させる、振動弾頭のサンプルを受け取るために。

 

 

そしてリヴァイアサンの方はというと…。

 

「どう足掻いても無駄だ、大人しくするがいい。」

リヴァイアサンの艦内でキリシマがナガト達を撃滅すべく沖縄に艦を進める智史を止めるために琴乃を人質に取ろうとしたが智史はこれをとっとと見抜いていたためにそれは失敗に終わりキリシマは動きを止められ、金庫に放り込まれた。

 

「くっ…私達は奴を止められないのか…。」

「無駄だ、キリシマ。奴に対して足掻くこと自体が無意味になっているのだ、めんどくさい…。」

「コンゴウ⁉︎死んだはずでは⁉︎何故ここにいる⁉︎」

 

放り込まれた金庫の中には有明海の海戦前に目を覚ましたユニオンコアだけのコンゴウがあった、彼女は告げる、彼が“何か”を企んでいることを。

 

「どうやら智史は何らかの企みのために私達を道具やカードとして使うだろう、やれやれ、とんでもない奴だ…。」

 

そしてキリシマは少しここで頭を冷やすことにした、ところで智史はというと…。

「さーて、ナガト達をどう滅多斬りにしようかな〜。偵察機のデータからだと沖縄にはすげえ数がいるなあ、これこそ殺り甲斐がある、のか?ま、いいや。」

彼は敵が大量に集結していることを喜んでいた、それもそのはず、ナガトが集めた艦隊の内容は、

 

旗艦 大戦艦 ナガト

 

超兵器級

 

超巨大双胴戦艦 ハリマ

超巨大ドリル戦艦 アラハバキ アマテラス

 

大戦艦級

 

大戦艦 ナガト

 

海域強襲制圧艦

 

海域強襲制圧艦 ショウカク ズイカク アカギ カガ ソウリュウ ヒリュウ

 

重巡洋艦

 

重巡洋艦 トネ チクマ モガミ ミクマ スズヤ クマノ フルタカ カコ アオバ イカサ

エメラルド級 20隻

 

軽巡洋艦

 

改クマ級 50隻 アトランタ級 100隻 アガノ級 100隻

 

潜水艦

 

攻撃型潜水艦 200隻

 

その他

 

弾薬・ナノマテリアル補給艦 200隻、ドッグ艦 100隻

 

以上のような凄まじい規模の艦隊であり、その数はナガトが最新艦さえ投入したため、超兵器級3隻、大戦艦級1隻、海域強襲制圧艦10隻、重巡洋艦30隻、軽巡洋艦500隻、潜水艦200隻、雑務艦300隻というとんでもない数だった。

短期間でこれだけの規模の艦隊を作り上げたナガトは賞賛されるべきであろう、しかしその代償として東洋方面の艦隊のための備蓄物質は底をついてしまった、これだけの艦隊を長期間作戦行動させるとなると、全ての艦を維持するのは到底不可能で、彼女はなんとしてもこの一戦でケリをつけたかったのだ。それに、

 

「ムツ…犬死にさせてごめんなさい…。あなた達の仇は私がとるから…。」

 

ムツも含めた自分の配下のサブリーダーとなるべき大戦艦級が次々とリヴァイアサンに殲滅され、そのせいでナガトは正確な指揮を取れなくなってしまっていた、それほどまでに彼は彼女を追い詰めていたのだ。

 

そして日が落ちてきた頃ーー

 

「もうすぐ沖縄か。さあ、決戦の始まりだ〜!」

間もなく沖縄に着くことにハイテンションな彼はサークルを展開する、そしてリヴァイアサンに青いバイナルが輝き速力が上がる、飛行甲板からは無数の海鳥が次々と飛び立っていく。

 

「敵機多数レーダーに捕捉!数、1万以上です!」

「来たわね…。各艦、引きつけてから攻撃を開始しなさい。」

ナガトの方も部下からの報告を受けてついに決戦が始まったことを悟る、遠くを見ると蜂の大群の如き無数の敵機の姿が確認できた。

 

「今よ、撃ち方始めっ!」

 

そして彼女達に襲いかかったリヴァイアサンから飛び立った攻撃隊はこれまで味わったことのない激しい対空砲火に見舞われる、しかもその殆どが実弾やミサイルによる攻撃だったのだ。しかしーー

 

「そんな、攻撃が通用しない⁉︎」

「バカな、すべて無効化されているだと⁉︎」

 

智史は事前にそのようなことを想定し、何回もシミュレーションをした上で彼らに徹底的な強化を施していた、彼女達のミサイルや実弾による攻撃はレーザーによるものと比べるとエネルギー吸収効率は低いものの、それでもかすり傷一つすら受けることを許さない。すべての攻撃を受け流し、弾き返し、吸収していく。そして彼らは彼女らに量子弾頭ミサイル、バンカーバスター、複合爆装ポッド、そして爆発すると範囲内の全ての物質を飲み込んでしまうブラックホール弾まで次々と投下していく。

 

「だめだ、もう持たない!」

「たっ、助けてっ、いっ、いやぁぁぁ!」

 

その猛攻の前に彼女らは爆発し、砕け散り、黒い歪みに飲み込まれ、次々と消滅していく、その様は黙示録の如き有様だった。そしてリヴァイアサンがその地獄絵図の中を生き残った艦に向けて、AGSや重力子レーザー、多弾頭共振ミサイル、さらにはレールガンまで容赦なく撃ち込んで蹴散らす。時折生き残ったエメラルド級や潜水艦群、そして海域強襲制圧艦群がレールガンや侵食魚雷やミサイルを次々と撃ち込むが、彼はそれも物ともせずに平然と進撃を続ける。

 

「霧もレールガンを装備したか、だが無駄だ。それにしても雑魚を叩き潰し終えたら次は潜水艦と幹部級か。魚雷もいいが、こんなにいると想定済みとはいえ面倒くさい、この際まとめて叩き潰してやる。」

彼がそう言うとリヴァイアサンはミラーリングシステムを展開、そこから40基もの重力子ユニットが現れた。

 

「超重力砲、発射。」

そして一瞬白い閃光が瞬いたあと、無数の太く強烈な青黒い光の刃が放たれる、そしてそこにいた彼女達を何も言わせる間も無く次々と消し去っていく。

 

「重巡洋艦群、潜水艦群、海域強襲制圧艦群、全て消滅…。」

「ナガト、あとは貴様らだけだ。」

 

そして彼は彼女らに襲いかかっていく。

 

 

 

「リヴァイアサン、このアラハバキのドリルの錆になるがいい!」

「私は楽しい、お前を殺れるのだからな!」

 

ーーアホか。それはこっちの台詞だ。

リヴァイアサンはナガトの命令を無視して突撃してくるアラハバキとアマテラスの攻撃を受けた。

 

「「食らえ!スラスター突撃!」」

 

そして彼女達はリヴァイアサンに自身の切り札と云うべきドリルという『牙』を突き立てた、はずだった。

 

「ば…馬鹿な、エネルギーが、吸い取られていく…。」

「くっ、船体が動かない!」

 

それに対してリヴァイアサンは外殻に傷一つ付くことなく平然としている。並の大戦艦級が食らえば一撃でそのクラインフィールド諸共簡単に木っ端微塵になってしまい、それでいて威力がまだ有り余る一撃を強制波動装甲と量子クリスタル装甲で受け止め、それだけならまだしもカウンターも兼ねて彼女らの船体をロックビームで堅固に固定し、彼女らが持つ全ての『エネルギー』を吸収し、己を進化させながら。そしてミラーリングシステムが展開され、無数の次元の穴が現れる、

 

「跡形もなく、露と散れ。」

 

そしてその穴から黒い濁流が噴き出しアラハバキとアマテラスを飲み込みガラスでも砕くのかのように粉々にする、さらにその近くにいたハリマをもそれは飲み込み、それが引いたあとには彼女の船体は醜い鉄塊となっていた。

 

「こ…こうなったら…。」

 

ナガトがそう呟く、すると撃破されたハリマとアラハバキ、アマテラスの残骸が白い粉になってナガトの方に向かっていく、それはナガトを覆い、白い粉が消えた後には艦首にアラハバキとアマテラスのドリルを付け、上部構造物と艦首以外の部分はハリマからで構成され、それが上下に割れており、そこにナガト本体が入った巨大な合体戦艦が現れた。

 

「リヴァイアサァァァン!」

あ、こいつ暴走した超兵器に意識取り込まれてるけど、うちに対する憎しみはちゃんと残ってるわ。

そしてナガトの合体戦艦は海を割って、リヴァイアサンに猛攻を仕掛ける、しかしこのようなことさえ彼はきちんと想定していたのだ、ガトリング砲や巨砲、レールガンや超重力砲が唸りをあげる、しかしリヴァイアサンの外殻は何の傷も付かなかった、彼とリヴァイアサンはこれを受け止め吸収し、そして更に強くなっていく。

「もう終わりか?ならばこちらの番だ。」

そしてリヴァイアサンのレールガンやAGS、重力子レーザーが咆哮し、化け物と化したナガトの兵装を次々と吹き飛ばし、船体を抉り飛ばしていく。

「止めはこちらから行くぞ!」

そう言うと彼はリヴァイアサンの重力子レンズに重力子エネルギーと波動エネルギーを蓄積させたまま、なぜかミラーリングシステムを畳んで突撃していく。

 

「智史くん、まさか自爆する気⁉︎」

「そのような考えはない、まあ見ていろ。」

彼の常識を逸する行動に驚く琴乃を彼は制止する、そして合体ナガトに深く突っ込むような形で止まったときに彼の狙いが判明する、なんと重力子レンズに蓄積させていた各エネルギーを逆流させ、それを艦の表面から一斉に解き放ったのだ、このエネルギーを逃す術を持たないナガトは跡形もなく砕け散った、一瞬太陽が現れたような巨大な爆発を残して。そしてその光景の後にはリヴァイアサンが無傷で佇んでいた、割れていた海が元に戻っていき、そして空からナガトの破片が降ってくる光景の中に。

 

「あれ?こいつらこんなに弱かったっけ?おかしいな、完璧目指して強くしてたらこういうことになっちゃうのかなぁ…?」

「自己評価が低いわよ、智史くん。この勝利は今後人類の運命を変えていくわ。」

「う〜ん、どうだろう…。」

この戦いの結果は決戦というより一方的な殺戮に終わってしまった、しかしそれでよい、この結果は人類を救う第一歩となるのだから。

それに彼はSSTOがハワイ近海にいる超兵器に撃墜されたことを知っていた、そしてもっと食い甲斐があるかもしれないと期待していた…。

 

「あ、ズイカクだ、うまく船から脱出できたんだね。」

そう彼が指を指す方向には鮫に追いかけられて逃げ惑うズイカクの姿があった、彼女はうちを快く思っていないだろう、かといってこのままおいてけぼりにするのも可哀想だと思った彼は素直に彼女を回収した。

 

「リヴァイアサン…お前何者なんだ?」

「あんたらからイジメを受けたから復讐者になった、以上」

ズイカクからの質問にこうバッサリと答える智史。そして彼はある計画のためにコンゴウ、ハルナ、キリシマを使うべく、横須賀に向けて進路を取る、それが“ともだち”の存在意義を理解するきっかけであるということを彼女らは知らない…。




リヴァイアサン=海神智史が新たに得たオプション

艦内放射

元ネタはvsシリーズのゴジラが使っていた体内放射より。
本来は重力子ユニットから放たれる超重力砲のエネルギーをあえて逆流させ艦内から放出するというオプション。
次元津波よりもより敵の奥深くで放つことができるためそのエネルギーを逃す術を持たない敵に対しては致命的な威力を誇る。

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