海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

50 / 57
今作で丁度第50話です。
進化をし過ぎたリヴァイアサン=海神智史は呆気なく本家を打ち倒します、しかしどこか複雑な心境です…。
ナマモノ達が…、艦これの世界で悪さをする際に使うために力業で悉く捕獲されるという展開です…。
あとネタ兵器達(ヌターデストロイヤーや超腐心船など)も捕獲されます。


第50話 本家を越える者

「…ライトマサルが…、そうか…。」

「はい、ヤツの実力は予想以上です、ライトマサル様の軍勢はヤツの圧倒的な力の前に為すすべもなくヤツが作り出した異世界へと力技で引き摺り込まれてしまいました…、その後の行方は不明です…。」

「今更かもしれんが…、捜索はきちんと行なっているんだろうな…?」

「はい…、ですが消息は未だ掴めては居ません…。ヤツが何事も無かったかのように健在なのを見るに、恐らくタダでは済んでいないと自分は考えます…。」

「そうか…。」

ライトマサルが行方不明ーー実際にはリヴァイアサン=智史との戦闘に敗北後、自決ーーだという報告を部下から聞くベヒモス、想像以上に事態は深刻であると悟る、実際には彼らの先の予測以上に深刻さは深いのだが。

 

「幸いにもヤツは恒例の如く、今回の世界も捻じ曲げ、破壊しています。その事実を我等の謀略に上手く出来るのは確かです。」

「奴には見抜かれていたようだがな…。まあよい、奴があちこち行く前に奴が破壊の限りを尽くす破壊者であるという嘘を盛り込まれた『事実』をばら撒ければいい、奴の本質を見る前に奴を攻撃せんと確信して我らと協力してくれる確率は高くなるからな…。」

「そしてそれは、最終的にはベヒモス様が作られているヤツを仕留める兵器を完成させるだけの時間を稼ぐことにもなりますな…。」

 

 

同時刻、鋼鉄の咆哮3 エリアL-5に該当する海域ーー

 

ーーキュルルルルル!

ーーバシュゥゥン!

ーーバシュゥゥゥン!

ーードガァァァン!

 

ここは、南極大陸の新独立国家と枢軸・連合両軍の艦隊同士の主戦場となっている海域である、戦況はとてつもなくカオスだった、確かに戦闘自体の激しさがカオス度を上げるのに関わっているものの、敵味方にわらわらといるアレ、そう、ナマモノ兵器とやらがよりカオス度を上げるのに貢献していた。

 

「左翼のアヒル艦隊、敵艦隊の波動砲により、消滅!」

「第二マガモ艦隊、敵ナマモノ艦隊と交戦中!戦況は、一進一退です。」

「我が軍のヴォルケンクラッツァー、敵の同型ヴォルケンクラッツァーと交戦を開始しました!」

「味方の水雷艦隊をヴォルケンクラッツァーの援護に回せ!」

新独立国家側の艦隊旗艦の艦橋では指示と報告が飛び交っていた、まあ最前線にいるのでそうならない方がおかしいのだが。

 

「敵機動部隊より発艦した航空機、多数接近中!」

「全艦輪形陣に移行!味方空母の周辺を固めろ!」

そこに敵ーー枢軸・連合軍の方から飛び立ってきた艦載機が襲来しているとの報告が入る、それをさあ迎撃せんと、艦隊司令は指示を出した、と、その時であるーー

 

「本艦隊正面12時方向に巨大な反応!なおも増大中!」

「な、何が起きている⁉︎」

「わ、分かりません!」

突如として発生した強力なエネルギー反応に両軍の兵士達は驚愕する、見ると海域のど真ん中に強烈な次元の歪みが生じ、そこから強烈な光が程走る。

そしてその光の穴から、霧の究極超兵器 超巨大戦艦リヴァイアサンがゆっくりとその巨大な艦体を現す。

 

「わ、我が軍の究極超兵器リヴァイアサンと瓜二つの姿をしている…。しかし何だこの大きさは…。少なくとも我々の方の究極超兵器の二倍以上はあるぞ‼︎」

「識別コード不明、どの艦種とも一致しません!」

「エネルギー反応は我が軍の究極超兵器、そしてナマモノのものさえ上回っている模様!」

智史側は当たり前のように姿を現しただけだが、そんなことなど知らない両軍の艦隊は未曾有の驚愕と混乱に包まれた、そして両軍はお互いよりもあの巨艦ーー自分達のリヴァイアサンと瓜二つの姿をした『別物』のリヴァイアサンに警戒を向ける。

 

「ここは戦場のど真ん中か…。そして何だか変なものがうようよと泳いでるぞ…。だがなんかマズイ(味的意味ではない、物理的意味)感じがする…。まさか、これを見せたくて内緒にしてたのか?」

「そして…、何か美味しそうだね…。どんな味なんだろう?」

「一度捕まえてバラして食ってみなきゃ分かんないな。調べたところによると普通に食料品ともなっているらしいぞ?」

「こんな、雰囲気的にマズそうなヤツが食料として出回ってるのか…。」

 

「さて、両軍から通信がひっきりなしに入ってくるな…。下手に未知の存在に手を出したらロクでもないことになると考えているのか。多分そう考えさせるだけの痛い事があったのだろう。まあ我々はこの世界の住人たる彼らにしてみれば未知の存在と見做されて当然だからな。

だが、残念だったな。こっちはナマモノを大量に捕獲するという目的の為ならば遠慮なく蹴散らす算段だ。

しかし通信に答えずにいきなり攻撃なのも気に乗らん。だからこう返信してやる、

『我、南極にも、枢軸にも、連合のいずれにも付かぬ。これより両軍を皆平等に撃沈してやる。』

と。」

智史は両軍からひっきりなしに『何者なのか、交渉する意志はあるのか』という通信に少しうんざりしながら『両軍を撃滅する』と返信した、両軍それぞれの基本言語で分かりやすくして。

 

「み、未確認艦より返信!『我、南極にも、枢軸にも、連合のいずれにも付かぬ。これより両軍を皆平等に撃沈してやる。』」

「未確認艦、此方に照準を合わせてきています!」

「くっ、徒労に終わったか…。全艦に告ぐ、未確認艦は敵艦と識別せよ!全艦、撃ち方はじめ!」

此方を攻撃するという意図を悟った新独立国家の艦隊は慌ただしく攻撃態勢を整えていく、枢軸・連合軍に向けられていた主なリソースがリヴァイアサン=海神智史に向けられていく。

 

「総司令、未確認艦は新独立国家側も此方も皆平等に攻撃すると宣言した模様です!」

「新独立国家側、未確認艦に攻撃する態勢を整えている模様!」

「そうか…。それにしても愚かな…。我々の艦隊、そして敵たる新独立国家の艦隊の実力を知らずしてこう宣言するか…。それが如何に愚かなことなのか徹底的に思い知らせて体に嫌という程叩き込んでやれ!全艦、砲撃態勢!」

そしてそれは枢軸・連合軍の艦隊側も同じだった、かくして両軍は異世界から来た『リヴァイアサン』に攻撃を開始した、特殊弾頭ミサイル、レールガン、エレクトロンレーザー、εレーザーにδレーザー、かに光線に光子魚雷や波動砲、重力砲といった鋼鉄の咆哮をプレイするプレイヤー側にしてみれば悪夢の飽和攻撃のオンパレードが両軍から一斉に智史達が乗るリヴァイアサンに叩きつけられる。

 

ーーキュルルルル!

ーーキュルルルル!

ーーズゴォォォォン!

 

「うわ、お前にはなんともない攻撃だろうけど、私にしてみればアンチスパイラルの時ほどではないけれど結構滅茶苦茶な攻撃だ…。これお前と会う以前の私だったら一発で粉微塵になってたかも…。下手したらハリマやアラハバキですら木っ端微塵になってたかもしれない…。」

「そうかもね。だったらズイカク、今のあなたの実力の把握も兼ねてこの艦の外に出してあげようか?智史くんの艦の中だと攻撃の規模が把握できないほどに堅く守られっぱなしだからよく分からないでしょ?」

「そ、それは勘弁してくれ…。あの攻撃の弾幕はキツイ…。」

ズイカクをからかう琴乃、当然会話の内容通り、リヴァイアサン=智史は全くの無傷だった、忌々しいといった感じで平然と爆煙と水柱を軽く払って飛び出してくる。何時ものように叩きつけられた攻撃は悉く吸収されて破壊の為のエネルギーとなるどころか逆に強化の基にされてしまっていた。

 

「マガモ艦隊の波動砲、効果ありません!」

「スワンのδレーザーも同じようです!」

「解析によると先ほどの攻撃は全て吸収されてしまっている模様!」

「慌てるな!ヤツの艦種は⁉︎」

「り、リヴァイアサンと瓜二つの形状から推測するに航空戦艦と思われます!」

「だったらアキレス腱ーー艦首、推進器や艦橋、飛行甲板に攻撃を集中しろ!一撃で撃破、沈黙させられることを期待するな、急所を集中して攻めて確実にダメージを蓄積させ、戦闘能力を削り取っていくことに専念しろ!」

そんな光景を見た両軍は僅かながら衝撃を受けた、しかし先ほどの事実を知らないせいなのだろうか、この光景と同じようなものを少なからず見てきたせいなのだろうか、戦法を切り替えてきた、『大量に攻撃を急所に加え続ければいずれ破ける』、『消化できる量を上回る量を叩き込めば潰れる』というある意味正解であり、しかし別の意味で全く外れていた考えを抱いたまま…。

 

「敵艦、艦載機を発艦させる模様!ですが自分の目が信じられません、ハンガーのような所から艦載機を出しているわけでなく、自動で生成してから発艦させる模様です!」

「させるか!発艦させる前に叩き潰せ!焼夷弾でもクラスター爆弾でも、いやそうでなくても今取り付けているものでも何でもいい!一瞬でもいいからヤツの艦載機の発艦を阻止しろ!」

「はい!」

そしてリヴァイアサン(智史側)が艦載機を発進させようとしている報告が入った、そうはさせんと両軍の航空隊は多少の衝突はあれど先ほどの考えを実践するかの如く、リヴァイアサン(智史側)の飛行甲板を航空機諸共破壊し使用不能にしようと襲い来る。

 

「敵艦、迎撃らしい迎撃を行ってきません!回避行動も取ることなく、依然飛行甲板上に艦載機を生成した上で発艦させ続けています!」

「妙だな…。単にこちらに気づいていないのか、あるいはこちらが来ることを知っていた上で、何か手札でもあるというのか?まあいい、これは好機だ、各部隊、爆撃体制に入れ!念の為対空火器に対しても制圧を行え!」

大空を制する鋼鉄の猛鷲ーーCFA-44 ノスフェラトやADF-01 ファルケン (いずれもエースコンバットシリーズより、この世界に行ったことがない鋼鉄の咆哮の世界の住人たる彼らはその名前を知らない)ーーが続々と飛び立ちつつある光景が彼らの目に入って来る、幸い飛び立った数は多くなく、迎撃らしい迎撃もしてこない。

彼らは不審に思いつつもこれはこれで幸いと予め腹に抱えていたありとあらゆるミサイル、爆弾、機銃掃射を目の前にいる強大な敵に向けて放ち始めた。

 

ーーシャァァァァァ!

ーーシャァァァァァ!

ーーヒュルルルル!

 

ーーズガァァァァン!

ーードガァァァン!

 

「第一波、全て命中!」

「やったか⁉︎」

リヴァイアサンの飛行甲板上に爆発と火炎が次々と程走る、傍目でみれば大損害を与えたーーつまり艦載機の発艦防止に成功したかのように見えた、それを見た全員が「やったか⁉︎」と一瞬思った。

 

「第二波、命中!」

「第三波、これより攻撃開始します!」

「対空火器並びに敵艦載機の制圧は順調です!味方艦隊より入電、これより航行能力の無力化を開始するとのこと!」

「よし、このまま押し切れ!」

そしてリヴァイアサンは爆発と火炎、水柱に包まれていく、それは傍目から見れば小島を根こそぎ吹き飛ばそうと言わんばかりの光景だった。このまま削り取っていけば上手くいくと皆は確信した、否そうなっておかしくない筈だと勝手に思い込んでしまっていたーー

 

「くっくっく…。愚かな。先ほどの態度はこちら側にしてみれば余裕があるからこそできる単なる座興だ。潰そうという考えは讃えよう、だがこれで確実に潰れたと勝手に考えるんじゃない。お前達にじっくりと絶望を刻みつける為に敢えて攻撃をことごとく受けたのだよ…。」

「ですよねぇ…。そう言うと思ったわ…。」

当然その台詞の通り智史側にはこれだけ見舞われても何ともなかった、勿論全て吸収して無効化し己の力へと変換されてしまっていた、そもそも相手の事を事前に知り尽くした上でこれを受けたのだ、これを浅く見ていると言う方がおかしい。そしてそんな思い込みは思い込みにしかとどまらないという事を指し示すかの如く、彼らにしてみれば驚愕というべき光景が始まる。

 

「て、敵艦、爆炎の中から艦載機を発進させました!」

「な、何ぃ⁉︎」

「し、信じられません、敵艦、こちらの攻撃を物ともせずに次々と艦載機を生成させ発進させています、爆撃を、雷撃を受け続けている、この状況下をです!」

「敵艦の飛行甲板、健在です!損傷らしき損傷は視認できません!」

「敵艦の推進器の反応、健在!雷撃は全て命中した、損傷は多少は与えた筈では…‼︎」

 

「さあ、驚愕と非常識を己の瞼にきちんと焼き付けたかな?今度はこちらから行こう、返礼はきちんとしなくてはな。」

 

「て、敵艦の上空に巨大なエネルギー反応!恐らくワープホールと思われます!」

「そこから未確認の機影多数!ですが恐らくーー」

「敵は、飛行甲板だけでなく別のところからも繰り出せるというのか…‼︎」

智史のその台詞に応えるかのように先ほどまで積極的な攻撃をしてこなかった鋼鉄の猛鷲達が一斉に彼らに対して隠していた爪を剥いだ、そして追い打ちとばかりにリヴァイアサンの上空に巨大な次元の穴が生じ、そこからF/A-37 タロンや無人戦闘機 E.D.Iーー形や生まれた元の世界は違えど同じ主が生み出し使役する鋼鉄の猛鷲であることは間違いないーーの群れが飛び出してきた、そしてリヴァイアサン=智史の僕たる無数の鋼鉄の猛鷲達はその主ーーリヴァイアサンごと智史より与えられたもはや絶望的というほどに隔絶している驚異的な戦闘能力を本領を発揮して、両軍の航空機部隊を突き、引き裂き、そして彼らから安全な空を容赦なく奪い取っていく。

 

「敵艦載機、本格的な攻撃を開始した模様、な、なんだこの速さは⁉︎」

「さ、さっきの遅さは本気ではなかったということか!」

「敵機捕捉、な、なぁあっ⁉︎ロストしただと⁉︎」

「さっきのよりも機動力が違い過ぎる!何なのだあれは⁉︎」

「メーデー、メーデー、敵に捕捉された、うっ、うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

ーーキュォォン!

ーーシャァァァァァ!

ーードガァァァン!

 

「お、落ちていく…。それも友軍ばかりだ…‼︎」

「我が軍の戦闘機は何をしてるんだ、こいつらを追い払ってくれぇ!」

「ダメだ、こっちは追い払うどころか逆に追いかけ回されている!」

「畜生、ダメだ、直ぐに追いつかれる‼︎」

「ジャミングも効かねえ!くそ、どうなってやがる!」

「ものすげえ数だ!後から金太郎飴のようにじゃんじゃん湧いてきやがる!」

「くそ、奴には限界という言葉が無いのか⁉︎」

「AAMが効かない!奴らは一体何で出来ているんだ⁉︎」

驚愕と絶望に満ちた悲鳴が無線中に響き渡った、そんな悲鳴を聞いたのか、これ以上好き勝手にはさせんとハウニブーで組まれた強力な航空機部隊が友軍を助ける為に向かってきた、しかしそんな彼らさえもそれは“無駄な試みだ、そして見た目で侮った洗礼を味あわせてやろう”と言わんばかりに同じ目に遭わせていく。

 

「くそ、AAMやバルカン砲を弾いたと聞いたがまさか小型レーザーやエレクトロンもまるで歯が立たないとは!」

「荷電粒子砲もだ!くそ、奴ら電磁防壁や防御重力場無しでもケロリとしてるなんてどんな魔法をーー」

「機動性が違い過ぎる!我々は悪魔を相手にしているのか⁉︎」

 

ーーピーピーピーピー!

 

「う、後ろにつかれた!」

「ダメだ、スピードが速すぎる、振り切れない!」

「何処が旧世代の技術の塊なんだ、まるっきり嘘っぱちじゃねえか!」

 

ーーズガァァァァン!

ーーボガァァァァン!

 

「わ、我が軍最強の性能を持つハウニブーが、こうも易々と叩き落とされていくとは…。我々が相対していたのは飼いならされた羊の集団ではなく、統率された餓狼の群れだというのか、う、うわぁぁぁぁぁぁ!」

鋼鉄の咆哮の世界系の中では攻守共に優れ、最強と名高い円盤航空機、ハウニブーシリーズ。

それさえも見も知らぬ艦載機の群れに易々と叩き落とされていくマリアナの七面鳥撃ちの如き光景は上下問わず両軍に戦慄と絶望を植え付けた。そしてこれらの風景と共に両軍のCICに響き渡る絶望に満ちた悲鳴は指揮官達を唖然とさせるのには十分すぎた。

 

「ぜ、全滅だと…。ハウニブー部隊も含めた2000機もの我が軍の攻撃隊が…⁉︎」

「全て撃墜された訳ではありませんが、それでも9割以上を損失…、我が軍の航空戦力はほぼ壊滅しました…。」

枢軸・連合軍の総司令が信じられんという形相で呟く、幕僚達も非情すぎる現実を前にして顔面蒼白といった様子だった。

 

「く、そこには精鋭という精鋭が居たのだ…‼︎もしそれが本当だったらこれから我が軍はどうなるのだ…‼︎」

参謀の1人が半分信じられないと行った様相で呟く、しかし現実はそんな彼を慰めてはくれない。むしろ過酷さを増していく。

 

「敵機、敵艦を中心として多数襲来!数、一万以上!なおも増加中!」

「い、一万以上だと⁉︎バカな、デコイをばら撒いているかもしれん!」

「嘘ではありません、外をご覧ください!」

クルーの1人がそう告げる、そして外を慌てて見る、見ると智史側から飛び立った艦載機が蒼空を埋め尽くして大挙して迫ってくる。

 

「きょ、今日は何という日だ…。これは、正夢なのか…?」

「く、くそ、迎撃しろ!ありったけの艦載機を出し、防空陣形を組みつつ退避する!それと空母は輪形陣の外側に出せ!」

「し、しかしそれでは!」

「さっきの報告で分かっただろう、こちらの戦闘機のエアカバーは長くは持たん!搭乗員と艦載機が悉く海の藻屑となった今、空母などただの箱だ!ならばせめて攻撃を吸引する囮として利用しろ!あんな化け物の群れがいるというのに全艦の生存を前提として生き延びるのは無謀だ、全滅は確定だろう。だが誰かが囮となって攻撃を引き受ければ、一隻、いや1人でも残せよう!」

「は、はい!」

リヴァイアサン(智史側)から飛び立った艦載機の群れに対し彼らはもう艦載機が出払ってただの箱でしか無い空母を輪形陣の外側に出し、戦艦やナマモノといった有力な艦艇を温存するという現代の見方では一見考えられない戦術を採った、しかし彼らは艦載機の出払った空母はもう役に立たないと判断した、敵がいない時ならまだしも今は敵軍が火砕流の如き勢いで迫ってきているのだ、できれば守りたいが、それでも兵員や艦艇を一つでも残す為ならばこういう非情な手段は取らざるを得なかった。

かくして空母は全て輪形陣の外に出た、距離が離れすぎていた艦艇は別々の形で逃走させることになったのだが。新独立国家の方でも様相は違えど逃げるという傾向は確かに目に見える形で現れていた。

そんな事などさておきとして破壊を使命とする僕達は両軍に等しく襲いかかってきた、攻撃隊の先鋒を務めていたCFA-44 ノスフェラトやADF-01 ファルケンといった護衛の猛鷲達が彼らの直衛として残っていた戦闘機に次々と群がり襲いかかっていく。

数質ともに絶望的なまでに隔絶した上での空中戦が開幕した、後がない彼らは我武者羅に食らいつくも数質の差は非情だった、彼らは一機、また一機と次々と、しかしあっという間に食い散らされ、大空に火球を咲かせて消えていく。

そしてエアカバーの無くなった空を突っ切るようにして攻撃隊が大挙して両軍の艦隊に次々と群がっていく。

 

「敵機、ミサイルを多数発射!くそ、ロケット弾か⁉︎弾速が速すぎる!」

「ロケット弾、八発着弾!迎撃が間に合わない!」

「護衛艦艇の半数、完黙!残存艦艇の大半も損傷!」

そして彼らにしてみればワンサイドゲームというべき悪夢の猛攻のオンパレードが始まった、手始めにB-3ビジランティⅡやアース(紺碧の艦隊より)から放たれた無数のフルメタルミサイルが護衛の艦艇に次々と着弾する、あまりの弾速ーーオリジナルを遥かに上回っているーーである為に戦艦の船体すら貫通し両断するものさえあった、そして弾速が速いということは凄まじい運動エネルギーを秘めていたということだった、当然防御重力場も殆ど意味を全くなさずに貫通を許してしまった。

フルメタルミサイルは爆薬を内包していない非常に硬い素材で出来た弾体だ、一見こいつは兵器としては役に立たないと捉えてしまうものの、ただ純粋に運動エネルギーを強みとした破壊兵器としての用途を求められたからこそこういうシンプルな形となったのだ、当然破壊力は無いわけではない、寧ろこの形となることで膨大な運動エネルギーを与えられた際にこいつは通常兵器を遥かに上回る破壊力を見せつける。

それを大量にぶつけられればどうなるかは撃ち込まれた後の護衛艦隊の惨状が物語っていた、すでに浮いている艦は指でも数えられる程だ、その殆どが大穴をあちこちに穿たれて火を吹いて傾き今にも沈もうとしている。

勿論彼等の思惑通りだろうか、空母も狙われた、バンカーバスターやJDAM、焼夷弾頭といった爆弾を抱えた機体が次々と急降下爆撃を行なった、爆弾は面白いように命中し空母は彼等の攻撃を吸引することと引き換えにその殆どが火達磨となり、艦底からの浸水も始まる艦が続出した。

 

「低空飛行を行う機影を確認、奴ら何をーー」

「雷撃だ、奴等め、あんな古臭い戦法を使ってくるということはこちらの攻撃など無駄だという事を指し示したいのだろう、恐らく喫水線に大穴を開けて引導を渡すつもりか…。」

その言葉の通り、瀕死となった彼等にトドメを刺すべく霧が使う恒例の兵器である侵食魚雷や超音速魚雷、光子魚雷、量子魚雷を抱え込んだXSB-1とSu-37jが接近してきた、彼等は必死に舵を切ったり迎撃しようとしたものの、先の攻撃の影響で動きが鈍く、迎撃もままならない。

もはや瀕死の状態だった彼らに鋼鉄の鳥達は容赦無く魚雷を投擲した、魚雷は次々と彼らに命中する、その度に爆発と水煙が海原に花開いていく、そしてそれが引いた後には彼らの姿は無かった。

しかしこれはある意味当然というべきか、空母部隊を喰らい尽くしても彼らの攻撃は収まらない。超兵器を中核とした主力艦隊や散り散りに逃げつつある艦隊にも魔手は伸びてきた。更に追加として飛来した新たな攻撃機の群れと護衛の戦闘機を排除し終えたCFA-44 ノスフェラトとADF-01 ファルケンがこれに加わり攻撃を益々苛烈なものへと変えていく。

 

「ナマモノ艦隊へのハッキング攻撃を確認、規模はなおも拡大中!」

「コンピューターウイルスが外部ネットワークから大量に流入!」

「流入元は⁉︎」

「例の未確認艦からです!」

「コントロールシステム並びに自立制御システム、乗っ取られます!」

「ナマモノ艦隊、全艦が沈黙、コントロール、一切効きません!」

更に追い打ちとばかりに彼らにしてみれば想定外の出来事が襲いかかる、リヴァイアサン(智史側)からの強制ハッキングによるコンピューターウイルスの流入により次々とナマモノ艦隊のコントロールシステムが制圧されてしまった、これによりナマモノ艦隊の艦艇は次々と沈黙し動きを止めてしまう。

省力化を計る目的でナマモノ艦隊の艦艇は無人制御システムで管理されていたーー人間による兵装、機関、ダメコンなど一切必要としない前提でーーものの皮肉にもそれが仇となり手動による復旧が儘ならぬ状態となってしまった。そしてそれは艦隊運動にも影響を及ぼしていく、ナマモノ達の足が止まってしまったことにより艦隊の陣形が乱れ始めた。

これを実現するには恐ろしいほどの演算能力ーー霧の超戦艦級のユニオンコアを使ってもまだ足りないーーが必要となったのだが、常に進化し続けている今のリヴァイアサン=智史にしてみればそんなことは朝飯前でしか無かった。

 

「ナマモノに接舷、何としても曳航して連れ帰れ!もしそれが出来なければ自沈させろ!」

「は、はい…‼︎」

「(しかし、何なのだ…。通常艦艇は片端から沈められているというのに、なぜナマモノは撃沈されない…?コントロールシステムが制圧されたのを見るに、何か利用する価値でもあるというのか?くそ、こんなことを考えている暇はない、ここで立ち止まっていたら奴らに狙ってくれと身を晒していることになる‼︎)」

新独立国家の艦隊司令は鋼鉄の嵐の如き航空攻撃が始まってからなぜナマモノに一切被害が出ていないのか少し疑問に感じていたもののこの光景を見て自分なりの答えにたどり着いた、それはある意味的中しており、またある意味では正解にはたどり着いてはいなかった。

 

ーーシャァァァァァ!

ーーズゴォォォォン!

ーーバゴォォォン!

 

一部の艦艇が沈黙したナマモノ達に接近しようとするもそれが目立っていたのか、未だ獲物に有り付けず暇を持て余していた鋼鉄の鳥達が続々と群がってくる、ただでやられてくれる訳には行かないので対空砲火を必死に放つも、先の結果と同じ結末が答えとして返ってきた、そして返礼として一撃で超兵器すら吹き飛ばしかねない攻撃が次々と片端から容赦無く叩きつけられる、その苛烈たる攻撃の前に接舷する事さえ叶わずにすべてが撃沈または完黙させられてしまった。

 

ーーシャァァァァァ!

ーーガガガガガガガガ!

ーーグワァァァァン!

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

「うがぁぁぁぁぁぁ!」

 

ーーズガァァァァン!

ーードゴォォォン!

 

「主力艦艇の半数、沈黙!」

「ルイジアナ級、全艦撃沈されました!」

「我が軍の究極超兵器、ヴォルケンクラッツァーとリヴァイアサンにも被害が出ています!」

「被害規模、なおも拡大!電磁防壁、防御重力場共に許容限界を突破!阻止できません!」

「くそ…、これでは一方的な嬲り殺しだ…‼︎」

絶望的な報告が次々と入ってくる、ありとあらゆる艦の外も、中も、もはや地獄絵図と阿鼻叫喚だった、通路は血でぬるぬるし、機関室や弾薬庫を始めとした至る所が次々とと破壊され火災と破片がそこを支配していく、元からあった備品はもはや廃墟を廃墟らしくするパーツへと変わり果ててしまっていた。

 

ーーズガァン!

ーーキキンキンキン!

 

「後から後からどんどん来やがる!」

「電磁防壁が消えた…、こんな筈は…‼︎」

「主砲もレーザーもまるで効いていない!くそ、一矢も報えずに終わると言うのかよ…、こんなの受け入れられるかぁぁ!」

両軍の究極超兵器達も他の艦よりも激しく抵抗したものの、リヴァイアサン=智史側にしてみれば所詮は程度の問題だった、彼らもまた他の艦が辿っている結末を強制的に追わされ半ばグロッキーとされかけていた、この世界の住人達にしてみれば極めて高威力たる魚雷や対艦ミサイルが何十何発と次々と命中しているせいで至る所に深々と破口が開きそこから火を吹き傾いている、こんな様でも満身創痍と言わない方が全く可笑しい。

究極超兵器達は国家の権威を掛けて建造された艦艇である、それが通常艦艇と同じように簡単に沈まれては困るので当然の如く彼らには高レベルの電磁防壁や防御重力場、最高レベルの強度を持つ装甲材が使われていた、しかしそれらは先に記したあまりの猛攻に耐えきれずにもうとっくに吹っ飛んだり歪んだりしていた。特にヴォルケンクラッツァー級には艦橋にも爆撃や機銃掃射が念入りに行われそれらが行われるたびに爆煙が舞い上がり火達磨になった人間や破片が宙を舞う、そしてトドメとなる一撃が放たれたーー

 

ーーズグォォォォォン!

 

「リヴァイアサン艦内で大規模な爆発発生‼︎高エネルギー反応を確認!」

「燃料、弾薬が次々と連鎖誘爆している模様!音信不通!被害状況不明‼︎」

 

ーーバガァァァァァン!

 

「そ、そんな、ヴォルケンクラッツァーもか…。」

「ヴォルケンクラッツァーとの通信回復、被雷よる浸水過多、また爆撃により機関やダメコンも破壊された模様…。」

「先のリヴァイアサンのものと同じく、高エネルギーの過剰投与による爆発がトドメとなりました…。」

「火災、浸水共に収束の見込みなし、先程総員退艦が発令されました…。」

仕上げとばかりにエネルギー暴走弾ーー高エネルギーを弾体から過剰放出することで艦内のエネルギーを不安定化、暴走させて内部から破壊し尽くす兵器ーーが究極超兵器達に撃ち込まれた、それは波動砲や高威力レーザー兵器といった高エネルギーの逃し場を失った究極超兵器達には致命傷というべきものだった、人間の脳血管が膨らみ耐えきれなくなって破裂するかのように弱い箇所から順に連鎖して爆発が生じていった、それは弾薬や燃料も巻き込み巨大なものへと変貌し彼らを火達磨の醜い鉄塊へと変えていく。

そして両軍の艦隊旗艦にもいよいよと断末魔が迫っていた、多少様相は違えど既に船体は大きく傾き、砲塔という砲塔は悉く潰され、VLSがあった箇所には大きな穴が開き火煙が噴出していたのは同じことだった。

 

「ここまで強いとは…。願わくばこのことを戦う前に知りたかった…。」

 

異世界から来たリヴァイアサン(智史側)の圧倒的な攻撃力と防御力を見せつける現実を散々に味わった艦隊司令は絶望と諦観が混じった顔でそう呟く、しかし悲しいかな、覆水盆に返らずという諺があるようにタイムスリップとかを使わなければこの結末は変わらない。

 

「敵機、多数接近!」

閣僚達が顔を強張らせる中、艦隊司令はこの世での最後の言葉を口にした。

 

「(もはや、ここまでか…。)」

 

この直後、極超音速対艦ミサイルASM-3(超音速空対艦ミサイルXASM-3と外見は瓜二つ、但し威力は本家よりも桁違いに高い)が艦橋を消し飛ばしそこにいた新独立国家の艦隊司令や閣僚達を全滅させた、そしてその後超音速魚雷が8発命中した艦隊旗艦はあっという間に傾き船底を曝け出した後、まだ残っていた弾薬が誘爆したのか、巨大な黒煙を吹き上げて消えた。

この艦隊旗艦の轟沈を最後に一方的なワンサイドゲームと化した艦隊戦は当然の如く智史側の被害皆無という圧勝で終わった、沈黙させられたナマモノ達を除き、両軍共に全滅というべき被害だった。後はかろうじて浮いている燃え盛る鉄塊と化した全ての艦艇に引導を渡し、ナマモノを捕獲するだけだった。

 

そして、リヴァイアサン(智史側)ではーー

 

 

「………。」

 

智史は複雑な心境であちこちから火煙を噴き、まるで戦場の廃墟の如く至る所が破壊し尽くされもはや浮かぶだけの醜い鉄塊でしかない本家たるリヴァイアサンを見つめる、それでも圧倒的な力にモノを言わせた一方的な蹂躙に抗議するかのように、いや究極超兵器としての己の歴史を刻み残すかのようにまだ生き残っていた小型レールガンを旋回させて何発か撃ってきた、それはリヴァイアサン=海神智史に手傷を負わせる前に全て分解吸収されて、花火が消えるかのように儚く消えた。

本家だからといって手加減はしなかったものの、やはり今の自分の元となったモノを徹底的に嬲り蹂躙する気にはあまりなれなかった。仮にやっていたとしてもあまり喜べるものではなかった、寧ろ虚しさと哀しささえ感じた。

 

ーーキュォォン!

ーーキュォォン!

 

ーーズゴォォォォン!

 

これ以上酷い目に合わせてもただ見苦しい思いをするのならば一撃で終いにして楽にしてあげよう、それが元の本家や自分自身の為にもなると考えた彼は意地でも最後まで抗った本家に敬意を表すかのように砲塔レールガンを旋回させ放つ、一撃で本家は水爆が水中で爆発したかのような巨大な水柱と共に両断され、その巨大な水柱と共に姿を消した。

 

「円盤か…、しんみりとした気分を台無しにしてくれるな…。その姿いつ見ても忌々しい…。一撃で両断してくれる。」

枢軸・連合軍の円盤型超兵器ヴリルオーディン4機と超ヴリルオーディン一機が運悪くーー絶望的な戦況が入ってこなかったのだろうか、それともまだ友軍がいると信じて来たのだろうかーーリヴァイアサン=智史の目に入ってしまう、究極超兵器たる本家が為すすべもなく円盤に沈められた光景を元にそれを骨の髄まで忌み嫌う智史にしてみればそれは反吐がでそうな程だった。

そして哀れ、彼らは何もする間も無く、次の瞬間には重力子X線レーザーの一薙ぎで胴を一瞬で溶かされ真っ二つにされて溶けた破片を海に撒き散らしながら消滅してしまった。

 

「さて、円盤も全部木っ端微塵にした事だし、ナマモノを連れ去るか。とはいってもおとなしいままだと少し詰まらんからな、苦痛に満ちた悲鳴を聴きながら連れ去るとしよう。」

「き、鬼畜…。」

智史はそう言うと今度はシャドウホーク(トランスフォーマースーパーリンクより)の群れを生成し放った、そしてナマモノ達を制御していたコンピューターの制圧を解く、圧倒的な力で一方的に嬲ることによる、生で響き渡る苦悶と悲鳴をじっくり見て聴き楽しむ為に。

ナマモノ達は先の戦闘の結果からか、とても敵わないと判断して我先にと逃げ出そうとする、しかし智史はそれを嘲笑うかのように嬉しそうに微笑みながら自艦を中心として強烈な磁界を発生させた、それは一瞬にして自然と流れていた海流を沈黙させ次の瞬間には海龍ーーリヴァイアサンの名を持つ彼の意のままにしてしまう。

そして彼の意のままに海は蠢く、逃げようともがくナマモノ達を非情にも海は彼の方へとどんどんと押し戻していく。

 

「さあ、もっと抗え…!生き延びようと悶えるその様が私を更なる高みへと導くのだ…!」

 

「グワーー‼︎グワーー‼︎」

「クォォォ、クォォォ!」

「ピーピーピーピー!」

そして上空に居た無数のシャドウホークの群れがナマモノ達の上空に群がり次々と襲いかかってくる、ナマモノ達は必死に抵抗する、重力砲や波動砲も撃ちまくった。しかし当然かな、そんなものは全く効かずに吸収されてしまう。

シャドウホークの爪が、嘴が次々と食い込み体が強引に宙に持ち上げられ連れ去られていく、首や体にそれらが食い込み、皮が引き裂かれて中身が見える、その度にナマモノ達は苦痛と恐怖に満ちた悲鳴を上げる。そして彼らはナマモノ輸送艦(宇宙戦艦ヤマト復活篇に出てくる移民船がベース、横にナマモノエクスプレスと書き込まれている)という最早家畜を運ぶものでしかない鋼鉄の箱に次々と詰め込まれていく、ナマモノ達が次々と一つの容器に投げ込まれギュウギュウと押し込まれ壁やガラスにぺったりと張り付いていく様はまるで生命をモノ以下の扱いでしかないと見做しているように見えた。

 

「くくく、随分といい様だ…、笑いが堪えきれん…。」

「おおう…、酷いってもんじゃないぞこれ…。そしてバラして試し食いとか言ってたがそれにしては多過ぎじゃねえか…?」

「ああ。こいつらの他にも色々と捕獲してある目的の為に魔改造して別の世界にぶち込んでやるからな。」

「いつものように、イタズラがしたいの?」

「ああ。時には思い留まる必要性はあろうとも、自分のイメージした事ーー妄想を表現したくて仕方がない。さて、試食をしてみるか。」

そして智史はたっぷりとナマモノ達を詰め込んだ複数のナマモノ輸送艦を異次元の空間へと仕舞うと何匹かナマモノをシャドウホーク達に自分の元へ持ってこさせる。

 

「こ、これがナマモノか…。」

「既に息の根を止めてあるがな。モデルとなったモノと同じ調理方法でやれば同じ感じの味となるのだが、ただ…。」

「ただ?」

「本来の役割が兵器となっている以上、こいつらに使われているのは究極超兵器達に使われていた装甲に匹敵するほどの強度を持つ構成素材でな、モデルと同じマニュアル通りの調理方法だと当然人間は味わえん。何か工夫する必要があるな、まあ既にその『工夫』は具体的に見出してしまったのだが…。」

そして智史はナマモノを構成していた生肉のような構成素材をリヴァイアサンの外壁に叩きつけると挽肉にするかのように鋼鉄の麺棒で容赦無く滅多打ちにし、無理矢理柔らかくしてしまった。

 

「これで食えるようになったな、さて皆の衆、料理を始めるとするか。」

「何を作るの?」

「鴨スーゴのスパゲッティ。あとはタイ料理のカオ・ナー・ペッ(アヒル肉のせごはん)だな。作り方は説明するとしよう、お前にしてみればこの料理を作るのは初めてだからな。」

この後智史達は料理をみんなで仲良く進め、そして仲良く口に料理をほうばるのであった、初めて目にする料理ではあり、そして初めて作った料理だったものの、いざ食べて見たらどんどん箸が進んでしまう程の美味さだった。

 

「さて、腹を落ち着かせつつ他のところも巡るとしようか、ここだけで全てを済ませては詰まらんからなあ。」

「そうね、来たなら色々と見てみましょう。」

智史はそう呟く、そしてリヴァイアサンは観光もしつつ他の海域のナマモノも捕獲せんと言わんばかりに次の海域へと船足を進めて行ったーー




おまけ

究極超兵器にどう引導を渡そうかと考えた件について。

鋼鉄の咆哮3に出てくる超兵器船体は核融合炉でしか動かないという設定がある、核融合は制御が難しくすぐに消えてしまう(裏を返せば安全)ので、機関を破壊して高エネルギーを制御不能にする崩壊劇はあり得ないと判断して高エネルギーの過剰投与による崩壊という形で引導を渡すことにした。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。