海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー 作:satos389a
今作もアンチヘイト要素満載です。
今回はビルスとウイス、界王にフリーザ一味が強者を蹂躙して得られる満足を得ようとする智史によって酷い目に遭います。
特にフリーザは一方的蹂躙と言っていい程惨すぎる目に遭うので注意してください。
それでは今作もお楽しみください。
「ねぇ〜、ウイス。まだ寝させててよ。」
「ダメですよビルス様、破壊神としての職務を怠っては。」
ここはドラゴンボールの世界系、第七宇宙に存在するビルス達の住処である、ビルスは第七宇宙のバランスを保つためにモノを破壊する破壊神という役割をやっているものの、何年、否何十年も寝るという怠け癖の持ち主であった。
しかし破壊神という役割を担当しているだけあってその戦闘能力は凄まじい。彼は破壊神という職業自体の威厳と相まり、同じ世界にいる者達の大半から機嫌を損ねないように気配りされる程の実力と性格の悪さを持ち合わせていた。
だがこれでも彼は大人しい方だった、他の宇宙の破壊神達は途方もなく荒々しいのだから。最も、常に進化し続けている智史に勝てるのかは疑問符が付くーー単に智史が強すぎるだけなのだがーー
「ふぁ〜あ、眠い眠い…。」
眠い眠いと機嫌を半分損ねるビルス、だが次の瞬間予言魚が次の瞬間、何かを悟ったような表情をする
「ビルス、なんか強大な奴が来る気配がする!」
「何〜?誰か来るの〜?」
「来る…、この世界の外から!ビルスを楽しませてくれるかもしれない強大な存在だよ!」
「えっ、それホント⁉︎」
自分にしてみれば衝撃的な予言魚の予言、それが突如として湧いてきた、しかし彼、予言魚はいい加減な性格である、故に予言が100%正しいとは言い切れない。
「あなたの予言はいい加減さに満ちてる所が多々ありますからね、ビルス様、強大な存在が来るということにお喜びになられているところを申し訳ないのですがその事象自体が本当なのか、少しお考えください。」
「ビルス、それ本当だよ、それ本当だってば!」
「う〜ん、ウイスにそう言われると何か、本当に信じていいのか分からなくなってきた…。」
ウイスと予言魚の言い合いを聞き、どちらを信じていいのか分からなくなるビルス、だが智史はその様をこっそりとドラゴンボールの世界系の外に停泊しているリヴァイアサンのCICから見ていた。
「予言魚が私が来るということを言い当てている、やはりそこそこ勘が鋭いな。まあいい加減さもあるからあまり的中するとは言えんが、それでもその勘の鋭さは賞賛に値する。さて、嘘つきと言われ自分が言ったことを信じて貰えない彼の為にも私が直に行くとしよう。
琴乃達は今は体を鍛えてるか、彼らを置き去りにして1人旅をして楽しむのは気がひけるがまあ仕方あるまい、今から行く所は彼らが生きるには相応しくないモノなのだから。これが終わったら、誘うとしよう。」
そして智史はビルス達の間近に突如として現れるようにして時空を捻じ曲げてドラゴンボールの世界系に侵入する。もう既に彼らに関することはかなりの精度で把握し、対処をやり過ぎを通り越した勢いで練り上げている最中であった、彼らに対する対処抜きでもあっさりと勝ててしまう程に進化し過ぎ、進化のペースを上げ過ぎ、強くなり過ぎているというのに。
「ん?なんだこの気配は」
「あ、さっき僕が感じた気配と同じだ!しかも間近に!」
「おや、当たったようですね、しかし随分と強大なこと…。」
「来たの⁉︎僕を楽しませてくれる存在が⁉︎」
「うん、ビルスを楽しませてくれる存在が来た!」
「よし、戦ってみるとしよう!」
「これは不味いことになる予感がします…。」
そしてビルスは智史が出現した場所に向かう、この後ウイス共々盛大に滅多打ちにされることを知らぬまま…。
「ん〜、この辺りかな〜?」
強大な気配を出す存在を探し求めて動き回るビルス、やがてその存在ーー智史を己の視界に捉える。
「君か、予言されていた『僕を楽しませてくれる』存在は。」
「如何にも。その予言が正しいことを示してやる為に私はここへ舞い降りた。我が名は海神智史、お前の名はビルスか。」
「え、なんで君僕の名前を知っているの?まあいいか。『楽しませる』の意味分かってる?僕は破壊神なんだけど」
「分かってるさ、言葉ではなく、直接実力でぶつかり合うということだろう?」
「御尤も。では始めようか。」
そして2人との間に戦端が開かれる、ビルスが一瞬身をかがませる、次の瞬間智史の目の前に現れる。
「はあっ!」
「はっ」
ビルスは無数の拳打で智史を攻撃する、その衝撃波で周囲が抉れ飛ぶ。だがそれに対して智史はその場から動くことなく悠然とその拳打を片手で全て受け止めてそのエネルギーを吸収し己のものへと変換してしまう。
「あ、あれ?気力が吸い取られていくような…。」
「気が付いたか、お前の攻撃のエネルギーを私が吸収し、自分自身の力へと変えているということに。」
「え、そんなのあり…?」
そして智史はカウンターを軽くかます、だが軽いとはいってもそれは人間の目では捉えきれない程の速さで放たれる代物だった、軽くカウンターをかまされただけでビルスは衝撃波と轟音と共に激しく吹き飛んでしまう。
「どうした、破壊神というからにはその程度でへばる筈がない。」
「つ、強い…。だがこれはほんの小手調べ…‼︎行くぞ!」
ビルスは意地を張って立ち上がりそう言うと無数の光線を放つ、智史にそれが襲いかかる。しかし智史は手元に全ての光線を導くようにして吸収してしまった、一発一発が大都市を灰燼に帰してしまう程の破壊力を持つ光線を。
神と神で破壊神の名にふさわしい強さを見せつけたこいつを意図返しの如く甚振る楽しみが無ければ、いつもの如く単調、だな。
そう心の中で智史は呟く、やがてビルスが光線をぶっ放しながら突っ込んでくる。
「うおおおおおおお!」
右手にエネルギーを溜め、渾身の一撃を放とうとするビルス、彼は智史に許容限界が来てオーバーヒートすることを御都合主義の如く勝手に期待してこの一撃を放とうとしていた、しかし当然の如く智史は彼が期待したようには全く優しくはなかった。確かに許容限界は存在したものの途方も無いレベルで強大になり過ぎていた為にその限界がどこまでなのかが分からないのだから。
その拳は当たったものの先ほどと同じくあっさりと無効化され、吸収され、己の力へと変換されてしまう、そして
「ほっ」
ーーバガァン!
「グハァッ!」
ビルスは軽い突き上げーー実際は途方もなく重い一撃を顎に食らって空へと突き飛ばされる、その際に顎の骨が砕け歯が飛び散る。そして次の瞬間に生成されたクラインフィールドの壁に彼は脳天から叩きつけられ、頭蓋骨が砕け、脳震盪を引き起こして再び地面に落っこちた。口と鼻からは体液がだらしなく垂れ落ち、目は虚ろで、舌も生気がなく、それらは通常では考えられぬ表情を形成していた。
「び、ビルス様…‼︎」
「ビルス、ねえ、ビルス、大丈夫…⁉︎」
「ふふふ、お前にここに来ると予言されたから来てやったぞ。まあ安心しろ、奴はこの程度では黄泉には行かん。まあ元になるにはかなりの時間が掛かるがな。」
「そうですか、ああ、嫌な予感がすると言ったのに…。」
ウイスと予言魚が後から慌ててビルスの所に着いた、そしてビルスの様を見て驚愕する。幸い致命傷ではなかったーービルスの生命力が高かったお陰だが(もっとも、智史がそれ以上の力を加えればけし飛ぶ)ものの、かなりの怪我を負った事実に変わりはなかった。
「さて、ウイスとやら。界王は知っているな?」
「はい、この世界の創造神というべき存在ですが…。」
「いきなりで悪いがお前もビルスと同じ様にしてやろう、界王を心の臓から震え上がらせ、恐怖のどん底に叩き落とす為に。なあに、殺しはしないから安心しろ。」
「え?」
ーードガァァァァン!
そしてウイスも智史の魔手に掛かりあっという間に瀕死のグロッキー状態となってしまった。ビルスよりは戦闘能力は高かったもののあまりに実力差が隔絶していた為に結局はビルスと同じ、否それ以上に酷い結末ーー全身を挽肉にされたーーを辿ってしまった。
「び、ビルス、ウイス…。どうしよう、僕が、僕がこんなことを予言したせいで…‼︎」
「済まんな、私が我儘過ぎたからこういうことになってしまった。付いて来るがよし、ここで喚くもよし。さあ、好きにするがいい。」
そして智史は2人をクラインフィールドの殻で覆うと予言魚の目の前から消え去った、そして彼は界王のいる星ーー界王星へと飛んでいく。泣き喚く予言魚を尻目にして。
「ん〜、今日もいい一日じゃな〜。さて、悟空は元気かのう?」
あの世にある閻魔大王の宮殿から伸びる 「蛇の道」を果てしなく進んだところに浮かぶ、地球の10倍の重力を持つ界王星で界王は元気そうにそう呟く、しかし直後に『悪夢』が突如として現れる。
ーードゴォォォン!
「な、何事じゃ⁉︎」
突如として襲いかかってきた衝撃に驚く界王、慌てて家の外に出る、見るとクレーターが家の近くに出来ていた、そしてそこには、勿論、智史がいた。
「ここが界王星か。黄泉の世界というだけあって余程の事情なくばここにはそう簡単には来れないようだが、やはり事前に調べた通り、いとも簡単に入れてしまったな。」
「お、お前、何者じゃ⁉︎」
自分にしてみれば見知らぬ者が突如として現れたことに驚く界王、それに対して智史は凜然としている。
「お前が界王か。我が名は海神智史。」
「な、なぜワシの名を知っているんじゃ⁉︎そして何の目的でここに⁉︎」
「ふっ、お前に見せたいモノがあってな…。」
「な、それは何じゃ…⁉︎」
界王は初対面の智史に警戒しているようだ、彼がかなりの実力を持っているということぐらいは曲がりなりにも理解できたのだろう。そして智史はグロッキーとなったビルスとウイスを界王の目の前に出す。
「この2人、誰だか分かるか?お前にしてみれば見覚えのある人物だぞ?」
「こ、これは、び、ビルス様…‼︎そして付き添いのウイス様まで…。この宇宙で最強の存在というべきあの御二方がこんな惨たらしい目に遭うという事象など見たことがない…、ま、まさか、お前があの御二方をこんな目に遭わせたというのか…⁉︎」
「ああ。その通りだ。もしこれがニセモノだったらここに自信と余裕を持って来る筈がない。」
「ヒィィィィィィィィ!ば、化け物じゃぁぁぁぁ!」
この2人のあまりに惨たらしい様に界王は戦慄し震えながら智史にこの2人を倒したのかと尋ねる、当然ここに連れてきた2人は自分の手でグロッキーに変えた本物なので彼はそうだと偽りなく正直に答える、そして凍りつくような、しかし好奇心を持っているような目で界王を見つめる、界王は恐怖のあまりに全身から汗をタラタラと垂らして甲高い悲鳴をあげて狼狽え、逃げ惑う。彼はそれを見て家畜を追い立てるかのように彼の目の前に瞬間移動し、それを見てさらに悲鳴をあげて逃げる界王の姿を楽しんでいた。
「た…、頼む頼む頼む…‼︎ワシを…、ワシを殺さんでくれぇ…‼︎」
圧倒的恐怖というべき存在、彼、リヴァイアサンごと海神智史から逃げようと走り回ったせいで足腰が砕け、へばった界王はやがてコケて立ち上がれないままワナワナと震え彼の方向を見ながらジワジワと後ずさりするしかなかった、既にあまりの恐怖で失禁と脱糞をしており、それによって濡れた衣装が界王の狼狽える様を一層醜く醸し出していた。
彼はそれを一通り見て愉しむ、そして次だ次と言わんばかりにフリーザ一味の所へとさっさと飛び去っていった、界王に恐怖を刻みつける為にグロッキーと化して動けないままのビルスとウイスに多少の手当てを施し、そして置き去りにしたまま。
「あ、あわゎゎゎゎゎゎ…。不味い、これは不味いぞ…。一刻も早く悟空達や他の星の者達に知らせなくては…。」
電光石火の如く2つを陥したか。なんか単調ではあったが、まあよい、自分の思うがままに事を進められたからな。さて、フリーザよ。次は貴様等の所に行くぞ。
ーーほぼ同時刻、フリーザ達が拠点にしている星
「フリーザ様、ビルスが住んでいる星に強大な何か突如として現れた後、ビルスとウイスの行方が知れません。」
「騒がしい…。一体、何があったというのですか?」
「は、偵察隊からの報告によると大規模な破壊の痕跡が残っていたとのことです…。」
フリーザは宿敵というべき孫悟空一味を撃ち破る為に自身を鍛錬していた、その最中に突如として寄せられた不快な報告に眉を顰める。
「その存在について何か情報はありますか?」
「いえ、突如としてビルスの星に出現したこと以外は何も確認されていません…。」
「そしてビルスのその付添人が消えた…。あの2人はこの世界では最強というべき存在…。それが消息を絶って行方不明となった…。これは只事ではありませんね。例の存在があの2人だけで済ましてくれるのならいいのですが、私にしてみればこれだけでは済まない予感がします。」
そう呟くフリーザ、そしてその予感は悪い意味で的中してしまう。
ーーズドォォォン!
「な、何事だ⁉︎」
「(どうやら私の予感は当たってしまったようですね)」
フリーザの宇宙船の比較的近くで引き起こされる爆発、それと共に巻き起こる爆煙と閃光、それは爆発の中心地の様子を覆い隠す。やがてその爆煙の中から人影がゆっくりと姿を現す、見るからに自分達からしてみれば地球上に運びっているありたきりの一般の人間のような姿をしているが、何かがおかしい、そう、雰囲気が半端ではない。まるで周囲を悉く威圧するような巨大なオーラがその存在から漂っていたのだ。
「見るからに人外じみた肌、そして醜いまでのマッチョを剥き出しにした衣装…。実戦を重視していて、ファッションセンスが全く無い、そしてその粗暴な見かけによらずとにかく心も粗暴…。(私もそうかもしれんが)これでは全く好感など持てぬわ。」
「な、何者だ、貴様は⁉︎」
自分達にしてみれば見ず知らずの存在が現れたのでフリーザ一味の兵士達の1人がその存在ーー海神智史を威嚇する、だが智史はそれを意に介さずフリーザの方へと歩いていく。
「き、貴様、ここは何処だという事を知ってての狼藉かぁ〜‼︎」
自分の事など意にも介さない智史の態度にキレたその兵士は彼に斬りかかる、だが彼に近づいた次の瞬間ーー
ーーパシッ!
「ひでぶっ!」
その兵士は目にも見えぬ速さでかまされた一撃で肉体を四散させてしまった、その光景を見た他の兵士達は愕然とし、智史に対する恐怖と敵意を剥き出しにする。
「醜い様をしている貴様等と話をする用は無い、どけ。」
「や、野郎…。」
「フリーザ様を守る我らの力、見せつけてくれるわぁぁぁぁ!」
智史に侮辱というべき言葉を掛けられた彼等は完全に吹っ切れた、フリーザに『殺せ』という命令を与えられてないというのに面白いように一斉に智史に群がってくる。
ーーやはり、こいつ等、クズだな。
智史はその様を見てやっぱりだと思い微笑むと右手にキングラウザーを取る、そして重力子を収束させた事によりキングラウザーが蒼の光の粒を帯びて輝き、実物では無い長い長い蒼い光の刀身が現れる。そして次の瞬間、それらは智史の手により群がってくる戦士達を一瞬にして斬り払う、戦士達は一瞬にして周囲のモノと共に跡形もなく消滅した、その跡には焼け野原が出来上がっていた。
「ひぃぃぃぃっ!」
「ば、化け物だ…。」
仲間が一瞬で消し去られる光景を見た他の兵士達は震え上がり狼狽える、彼等は智史が通ろうとしている場所から無意識に身を後ろに引かせる。
「お退きなさい、ここはあなた達が出る幕ではありません。」
「ふ、フリーザ様!」
「フリーザ様、こいつは我々にお任せーー」
「退きなさいと命令したのが聞こえなかったのですか?」
「は、はっ!」
フリーザが智史の思惑に応えるようにして現れる、フリーザに退がれと命じられた兵達は慌てて後ろへと下がっていく。
「私の名はフリーザ。あなたの名は?」
「海神智史。この世界の外から来た存在だよ。」
「成る程…。表情、雰囲気から見るにあなたがビルス達を叩き潰したようですね。」
「その通り。あの2人は己が欲を満たすに相応しいほどの最強を名乗っていたからこそ真っ先に叩き潰した、そして次なる強さを持つお前を殺して欲を満たすためにお前と戦いたい。」
「成る程、どう見ても話し合いで解決する気が無さそうーー見逃す気は無さそうですね。それ程までにこの私と戦いたいようですね。」
「ああそうだ、感謝する。ただしそれは忌々しい害虫を潰してから始めるとするか。」
智史はそう言い終えるとこっそりとこの様子を見ていたソルベの方を見つめる、智史の視線には凄まじい憤怒が込められていた。相手の隙を突いて攻撃しようとしていたーー既に対応済みではあったがーーということに全く好感が持てなかったというより、(実際に指輪のようなものからビームを出して孫悟空の隙を突く形で殺害するという事をやっている)、相手の器の小ささに怒りを感じていた、そしてその愚劣な印象は非実戦的な外見、態度により更に増大していた。
そしてその憤怒の目で睨みつけられたソルベは失禁して震え上がる、慌てて逃げようとするも智史にそれを見逃す慈悲は無い。
「ひっ!た、助けて、助けて…。」
「消えよ」
そして智史の手から侵食球が放たれる、その侵食球からソルベは逃げようとするものの恐怖のあまりに体が動かず、あっという間に距離は縮まり、侵食球はソルベに着弾する、ソルベの体は着弾点を中心として周囲の物質諸共あっという間に飲み込まれていく、そして侵食球は消滅する、そこにはソルベの姿は無かった。
「随分と、慎重ですね。」
「そうかもしれんな。後ろを取られて戦うのは何となく好きではない。」
「成る程、では改めて始めましょうか。皆さんはお下がりなさい、ここは間もなく死地となります。」
フリーザの命を受けた兵士達はその命を受けるや否や素直に下がっていく、自分達が出る幕ではないという事をその場で悟ったこともあって。
「はあっ!」
「ふっ」
ーードガァァァン!
そして両者は激突する、智史はフリーザの一撃を多層のクラインフィールドで完璧に防ぐ、そして叩きつけられたエネルギー全てを吸収する、フリーザはそれに懲りず連続で攻撃を繰り出す、その際の衝撃波で地面が抉れ飛ぶ、しかし結末は先ほど繰り出されたものと同じだった。
そして智史は左手を突き出しクラインフィールドをフリーザに叩きつける、フリーザは吹き飛ばされながらも受け身をとって素早く着地する。
「ふう、ビルスを吹き飛ばしたという私の期待を裏切らない程のかなりの実力をお持ちのようですね。」
「そうだ、これで終わりだと失望させないでくれ、まだ余裕があるだろう?」
「いいでしょう。では私の華麗なる変身をご覧に差し上げましょう!」
ーーバガァン!
フリーザは戦闘服を破壊して変身する、まず筋肉質な第二形態、その変身が終わるや否や今度はエイリアンの如き姿をした第三形態、そしてその形態が光に包まれると棘棘しい装飾を綺麗に取り払いつるりとした人の姿に近い第四形態が現れた。
「これが私が本気を出した姿です、本来ならその前に2つ形態があるのですが、あなたと戦うには相応しくないと判断した為に省略しました。」
「感謝する。さあ、本気を出したというその姿で私に掛かって来るがいい。」
「お、おお…。」
「フリーザ様が本気を出された…。」
遠巻きに見守るフリーザ軍の兵士達はフリーザが変身を遂げたのを見て智史の理不尽過ぎる強さを再認識する、そしてフリーザが彼を倒してくれるという淡い期待を抱く。
「はぁぁぁぁ!」
再びフリーザは智史に殴りかかる、本気だけあって先ほどのものとは雰囲気が打って変わり、苛烈さが増していた。
「殴りや催眠は効かなさそうですね、ならば斬り裂いて差し上げましょう!」
「ふっ、斬り裂けるなら斬り裂いてみるがいい。」
ーーガキィィィィン!
フリーザは指先、否手そのものをブレードとして智史に斬りかかる、彼に悉く打ちのめされたビルスとは違い、エネルギーを集中することで一点突破を狙ったのだろう。だが智史はこれを素手で受け止め同じ結末とする。
「至近距離ならば!」
それでもフリーザは空いているもう片方の手でデスボールを思いっきり放つ、智史はそれを直接受ける、そして当然のように跡形もなく吸収してしまった。
デスボールが彼を破壊できないとは決まったわけではない、しかし彼がデスボールを防げないと決まったわけでもない。
その平等たる力の法則は確かに成立してはいた、だがそのに繰り広げられていたのはデスボールを吸収し己のものへと変えるというあたかもその力の法則を捻じ曲げ無視しているという一方的な光景だった。こんな万物の法則を捻じ曲げるかのような恐ろしい芸当ができるのはここにいるような彼ぐらいだった。
「この程度か、フリーザ?」
「な、なあっ⁉︎」
「さぁ、お前なりに気合いの籠ったプレゼントに対するこちらからのお礼だ、遠慮なく受け取ってくれ。」
ーーグシャッ!
ーーズガァァァァン!
そして智史は手刀と化したフリーザの右腕を思いっきり握り潰すと無数の小型クラインフィールドを真正面にいるフリーザに叩きつけた、先程のものよりも凄まじい衝撃波が巻き起こり、フリーザは吹き飛んでいく。そしてその先には運悪く、否最初から智史に意図的に狙われたフリーザ軍の兵士達が居た。彼らは吹き飛ばされるフリーザが巻き起こす衝撃波によって跡形もなく吹き飛んでいく。
そしてフリーザは自分の後方に何百枚も生成されたクラインフィールドに連続して叩きつけられる、叩きつけられるたびにクラインフィールドは割れるものの、同時にフリーザにダメージを与えていく。これでもかなり匙加減を加えていた方だった、いきなり殺してもかえってつまらない、なら殺すならじわじわと甚振り苦しめてやる方が楽しいと彼が判断した為である。
やがてフリーザは一際と大きいクラインフィールドに叩きつけられて漸く止まった、フリーザの体は満身創痍の傷をこれらの一撃で負わされたことを物語っていた。
「はぁ…、はぁ…、はぁ…。おのれ…‼︎」
「もうそろそろ余裕がなくなってきたみたいだな、ならとっとと死ぬ気で本気を出してくれ。」
「ふふふ…、ならば見せてあげましょう…‼︎この私の究極の、姿を…‼︎」
そう言い終えるとフリーザは立ち上がる、すると彼の全身が黄金色を帯びて輝き始める。
「これが私が鍛錬を積み重ねて得た、究極の姿です…‼︎本来ならあなたとは違う別の相手に披露するはずでしたが、あなたにこうも追い詰められたら、出さざるをえないですね…。」
おお、これだこれだ、これが見たかった。全身黄金色に輝くフリーザ…、まさしくゴールデンフリーザの名に相応しく、シンプルな外見と相まって美しい。その外見にふさわしき力ーー戦闘力一垓という力と相まってますます壊したくなってきた。
さて、事前に調べた通り先程言った戦闘力一垓という驚異的な力、しかも原作とは違いフルパワー時でも体力の消耗は無い…。だがそれは万全な状態であればの話。こんなに追い詰められた状態でフルパワーを出すと、体が持たんぞ?弱ってるというのに負けを認めたくなくて見栄を張るということは自滅を誘うとよく言うがまさにそれだ、これはまるでフィンブルヴィンテルがやったこととと半分同じだな。まあいい、どちらにせよ問題は無い。何せこちらはもうとっくに『対処済み』だからな…。
「はああああ!」
「はっ」
そしてフリーザは体力を削っての熾烈な一撃を連続で放ってくる、しかし智史はクラインフィールドを展開することなく、特に動くこともなく、これらを全て受け止め、全て吸収する。
そしてフリーザの体力は攻撃に使ったエネルギーの量と共にどんどん磨り減っていく。
「な、なあっ…。な、何故だ何故だ何故だ‼︎何故だ、何故私が究極の姿となって攻撃しても倒れない…⁉︎(し、しまった、相手の『煽り』を受けて完全に頭に血が上って…‼︎なんということだ…‼︎)」
「ふふふ、さっきの威光はどうした?動かないならこっちの番だ。」
「み、認めない、こんな結末など認めない…‼︎」
「そうか?認める認めないに関わらず、お前は認めなくてはいけないのだよ、私に敗れ一方的に殺されるという結末を。」
そして智史はフリーザに手を伸ばす、フリーザに抵抗するだけの力はもう残ってはいない、仮にあったとしても智史にすぐ捕捉されて殺られ、さらに酷い目を見るという点以外の結末は変わりはしなかったが。
フリーザは呆気なく首を左手で締められる、そして智史はまずフリーザの左手を引き千切る、そこから体液が飛び散る。抵抗するだけの力がなくても引き千切るのは容易では無かったが力があり過ぎているだけでなく常に強大になっているので面白いように引き千切れる。
「さぁ〜て、足も尻尾も全部引き千切り、ミンチにしてやるとするか。」
次に両足を根元から掴んで引き千切り、更に尻尾を掴み自己で生成したクラインフィールドの壁に遠慮なく叩きつけるようにして投げつける、エネルギーベクトルを強引に操作したことによって生み出された凄まじい規模の運動エネルギー量と遠心力によりフリーザの尻尾は掴んでいるところから呆気なく千切れた、フリーザは頭部から叩きつけられる、運動エネルギーが全て破壊エネルギーに転化していく、そのエネルギー量の前にフリーザの頭は砕け体液が共に飛び散り、背骨が折れ砕けた頭があらぬ方向を向く。
これでフリーザはもう動かなくなったーー何もしなくても死を迎える運命が確定した、しかし智史の蹂躙はこれでは終わらない。
今度は砕けたフリーザの頭を掴みじっくりと力を掛けて握りつぶす、半壊していた顔から眼球が飛び出る。そしてその顔に興味が無くなった彼は背骨の部分を思いっきり引っ張った、内臓が残っていた体液と同時に飛び散り体は真っ二つとなった。そして彼はフリーザの頭の方を地面に放り捨てるとその頭を勢いよく踏み潰した、砕け散った脳味噌が新たに飛び散る。
飛び散った肉片は容赦なく踏みつけられる、その度に地が裂け振動し、それらは砕け更に飛び散る。それが何度も何度も続けられる、もはやフリーザの頭、体は原形をとどめない程に破壊し尽くされ、黄金色は肉片と体液と骨片が混じって真っ赤に染められていった。
やがて踏み潰せるものがなくなった、智史は少し跳躍し浮遊すると右手を掲げる、すると巨大な反物質の黒い雷球が形成され、それはフリーザの肉片が転がっている所を直撃し、対消滅反応を引き起こして巨大な爆発と共にその星と周りのもの諸共フリーザの肉片を跡形もなく消し去った。
因みにドラゴンボールの世界では魂があれば何時でも復活出来るという、見方を変えればご都合主義のような環境が当たり前に存在するが、智史が先程の一撃でその魂さえも綺麗に滅殺してしまったためにフリーザが復活する可能性は完全に潰えてしまった。
フリーザの父親であり、今は地獄にいるコルド大王がこの一方的な光景を見て、この上にビルスが呆気なく成敗されたという事実を知ったら震え上がり体が動かなくなっていたかもしれない。
さて、終わったか…。少しやり過ぎたかな?まあよい。界王がビクビクと震えているようだし、孫悟空達の所へとさっさと行くとしよう。
さて、琴乃達も誘うとするか、トレーニングが終わったからな。
「行くか、琴乃、皆。教養を深めつつ各々の世界の世界観を楽しむ為に。」
「いいわ。でも今回もやりすぎちゃったみたいね。」
「ああ、先程のか…。まあよい。」
智史は心の中でクスクスとそう笑う、そして孫悟空達がいる星ーー地球へと飛んでいく。
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ…‼︎あやつ、悟空の所に向かっておる…‼︎」
界王はその光景を千里眼のようなもので見て戦慄し恐れ震える、そしてテレパシーのようなもので地球にいる悟空に伝えようとする。
「ん?界王様?どうしただ?」
「“ご、悟空‼︎い、今からお前の所に来る化け物とは絶対に戦ってはならん!あやつは…、あやつは…、お前やベジータの実力では全く歯が立たん、スーパーサイヤ人ゴッドでも太刀打ちできん!”」
「なんでそんなに焦ってーー」
「“ビルス様が…、ウイス様が…、あの化け物に潰されたんじゃ!”」
「お、オラを打ち負かした神様が、負けた⁉︎」
「“そうじゃ!不意打ちで負かしたという気配が全くせん!よいか、悟空!逃げるんじゃ!あの化け物とは、絶対に戦ってはいかん!”」
「神様を打ち負かした、か…。ぷっ…、あはははははは…‼︎なんか面白え…!界王様、オラ一度あいつと戦いたくなってきただ!」
「“だ、ダメじゃ、悟空!話を聞け〜‼︎”」
血気盛んな悟空は界王の話を完全に無視し、ビルスを打ち負かした、己がまだ見ぬ存在ーー霧の究極超兵器 超巨大戦艦リヴァイアサン=海神智史との戦闘を心待ちにする。
ふふふ、そう言ってくれると期待していたぞ、孫悟空。お前とはサシで戦おう。
そしてこの心意気を感じ取った智史も彼との戦闘が始まることをますます楽しみにした。数多の世界を焼き尽くし、己が欲望のままに暴れ、荒ぶる破壊神とこの世界系の主人公との戦いの火蓋が切られる時が迫りつつあったーー