海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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群像パパが殺されて以来喧嘩して別れてしまったヤマトとムサシが今作にて遂に仲直りです。
あと主人公の智史は色々とやりたい放題ですが、群像の思いと覚悟はきちんと理解した上で行動しています。
智史抜きでの戦闘、霧vs超兵器という戦闘のフラグも埋め込みました。
それでは今作もじっくりとお楽しみください。


第28話 仲直りと謝罪と鵺の来襲

「ムサシ‼︎ムサシはどこ⁉︎」

「そんなに狼狽えないでくれ、ヤマト…。」

彼女にしてみれば死んだと思われていたムサシが生きていたことは奇跡としか言いようがなかった。

 

「彼女は今は気絶して眠っている。メンタルモデルは修復しておいたからあとは目覚めるのを待つだけだ。」

「そう…、でも…。」

「そんなに悲観するな。これがお前と彼女を仲直りさせる機会となるのだから。」

智史はそう言うとムサシが入っている部屋への道のりを教える、そしてサンプルの移送先であるスキズブラズニルのある一室へと足を運ぶ。

 

「ヒュウガ、実物に触れた感想はどうだ?」

「やはりデータで見るよりも実物を見た方が現実性がよりあるわね、早速だけど各種試験にかけてみましょう。侵食自体はクラインフィールドを展開していれば防げるんだけど…。クラインフィールドが飽和もしくは突破された後で付着した時が厄介ね。」

「そうだな、高威力の兵器でクラインフィールドを飽和もしくは突破させられた後からのカビの侵食というコンボはまずい。実際、相手を生物兵器へ変える際にもクラインフィールドを突破するために高貫通性エネルギー弾体が使用されたことが確認されている。」

「ナノマテリアルを含めた地球上のあらゆる物質を餌としてしまうカビね…。智史ちゃん、あなたはどうやって対処したの?」

「付着した時点にて超微粒子(陽子、中性子より遥かに細かい)レベルで粉砕。その際に生じたものは新たなエネルギー源として吸収した。」

「そして自己再生強化・進化システムの強化のスパイラルを更に加速させると。さすがね。でもこうするために演算リソースはどれぐらい使ったの?」

「今回の戦闘では改修終了後のタカオ200隻分を消費。だが演算リソースの余裕がありすぎてまだまだではもの足りないといった感じだ。おまけに自己再生強化・進化システムで演算リソースを今回の戦闘で消費した量が可愛く見えるくらいに生産しまくっているからな…。」

「うわぁ♪それでも物凄い量を使うわね。」

「まあ超微粒子レベルでの精密分解を行った上で吸収したからな…。」

「そして私達はあんた程贅沢にリソースは使えないわ…。」

「そうなってしまっている理由の大半が私だがな…。」

「あんたのような力を振るうための器は私達には無い。一応あんたのようなものは作れるんだけど、それだと第2、第3のあんたを生み出しかねない。そして私達があんたに勝つ前にあんた擬きに振り回されて終わりでしょうね。」

「自我があらぬ方向に向かうという可能性も考慮しているのか?」

「そうよ。かつて人類が生み出した放射能のような手に負えない代物を私達が扱えるとでも?自分の手では扱えない程の度を逸した力は身を滅ぼすだけに終わるわ。」

そう会話する智史とイセ、ヒュウガ。ヒュウガが「私達に『器』が無い」と言ったのは仮に自分たちが智史のような圧倒的な力を生み出すものを作り出しても、智史のようになる前にその強大な力に理性が飲み込まれてしまうからである。

智史は心が『人間』なので油断とかしたりはしたものの、力に理性が飲み込まれるということはなく、むしろ力と理性が共生しているため、そのようなことは発生しない。

 

「そして私の自己再生強化・進化システムのコピー品は401並びにヤマトに搭載したようだな。」

「そう、改装には時間がかかったわ〜。でもこれでイオナ姉様と総旗艦はあんた程では無いにせよ戦場での対応能力が格段に向上したわ。」

「その他の艦だな、即効性のある対処策を用いた方が有効かもしれん。」

「そうね〜、演算リソースをあまり使わずにカビを食ってくれるものが欲しいんだけど…。」

 

ーー待てよ、食ってくれるもの…?

 

「ヒュウガ、カビを喰うバクテリアはどうだ?」

「えっ、突然何よ?」

「カビ以外は食わず、カビを食い尽くしたら活動を休止するという代物だ。」

そう言うと智史は突如としてバクテリアの粉を生成する。

 

「さて、試し撃ちだ。」

そして智史はナノマテリアルを入れた容器にカビの胞子を入れる、するとカビは繁殖を開始する。そしてそこにそのバクテリアの粉を入れると、瞬く間にカビは綺麗さっぱりと喰われて消滅し、後には食べ残されたナノマテリアルとその粉だけが残った。

 

「ちょっと、これ、凄すぎでしょ…。」

「流石智史ちゃん。恐るべきチート能力ね♪」

「地球上のものには極力害を齎さぬようにしたバクテリアだ。地球外と判断した代物は如何なる手段を用いても喰らい尽くす。まあ害を齎す可能性もあるがな…。」

「でも、敵がカビでは無い別の方法を用いたらどうするのよ?」

「…そうか、そうだな、侵食される前にエネルギーをそこに回して焼き払うというのはどうだ?」

「そうね、被害が拡大する前に焼き払うーー被害予防策としては現実的ね。このデータ、この被害予防策とそれ以外の攻撃の予防策と共にハワイに送信しておくわ。」

「ナノマテリアルは地球、宇宙問わず粒子さえあれば生み出せるものだからな、それさえ分解侵食するとなるとナノマテリアルだけでなくあらゆるものが粒子レベルの域なら分解されるだろうな。クラインフィールドは高威力の兵器もしくはそれ自体を突破してしまう兵器が使用されるということを考慮すると弾除け程度にしかならん…。となると短期決戦でケリをつけた方が早いかもしれんな…。」

「そうね、あんたがケチってる、というかイオナ姉様からの話によると自分の力で地に立てるようになって欲しいとあんたが考えている以上、短期決戦が有効ね。ダラダラしてられないわ。」

「そうだな…。すまないな、ヒュウガ。私が本当に愚かだった。」

「いいのよ、あんたの真意を理解しようとしなかった私も馬鹿だったわ。」

そう会話する智史とヒュウガ。智史は他人をあまり支援しすぎると自分の足で立たなくなるということを懸念していたため最低限の援助しかしないのだ、仮に自分と同じ構造の生命体を作るとしても常に進化しているとはいえ、自分と同じレベル以下のものしか作れる確証がなく、またそんなものが「生誕」したらややこしい事態になると考えていたこともあったが。

しかしその自分自身がその願いを忘れて自分から破ってしまっているということに気がつき自分自身を責めた。また彼女も彼の考えを知ったことで過去の自分がしたことを反省した。

そしてその援助だけでは足りない状況が発生したと判断した彼はヒュウガと同じく一刻も早くフィンブルヴィンテルとその軍勢を駆逐しなければならないという結論に達していた。そこへーー

 

「だったらヒュウガ〜‼︎私の船体作ってよ〜‼︎」

「アシガラ⁉︎あんた、なんでここに⁉︎」

「智史ばっかり活躍してるのは我慢できない〜‼︎私も自分達の未来を作るという一翼を担いたいの〜‼︎」

「アシガラ、落ち着いて。お話中すみません、ですが私達にも船体を作って頂けないでしょうか?これほどの危機的状況、そして智史さんが私達に自力で立ってほしい願われている以上、私達だけが何もせずに見ているのは嫌なんです。」

「最も、その本人が忘れてしまったりしているということもあったけど…。自己満足でもいいから、私達にも何か手伝わせてよ〜。」

「智史だけ活躍して解決してしまうのは自分達で解決したということにはならない、手伝わせてくれ!」

「そうねぇ…。」

そう呟き、考えるヒュウガ。彼女はかつてミョウコウ姉妹が自分達と敵対していたことが頭に浮かんでいた。しかし、このままだと智史に最終的に解決してもらう方法しかなくなってしまう。

 

「ヒュウガ、思い悩んでいるのか?」

「コンゴウ⁉︎あんたまで⁉︎」

「これはもはや人類 対 霧どころではない。今争っていれば智史が関わらない限り、両者が滅ぼされることは確定。智史が完全に関われば私達や千早群像が望んだ未来は実現しはする、だがそれは私達や千早群像らが作った未来ではない。人類や他の霧には悪いかもしれんが、なるべく奴に頼らずに私達で未来を切り開きたい。」

「コンゴウ様が言われた通り、自己満足かもしれませんが、自分達の未来は彼の手で完全に実現されるよりは彼の手助けも借りながら自分達の手で作りたいです。」

「ヒュウガ、奴らも私の手だけで作られるという顛末の自分達の未来は嫌だと言ってるぞ?作りたくないなら私が作ってやってもいいが、後味が悪いぞ?」

コンゴウとヒエイ、そして智史にそう言われ、ヒュウガは遂に腰を上げる。

 

「わかったわ、今すぐ船体の製造に取り掛かるわよ。」

「ありがとうございます…‼︎」

「くくく…、あははははははは…‼︎こんなに清々しいことがあろうか…‼︎」

そう笑う智史。皆が自分でやってくれるということに身が軽くなったような感じが彼にはあった。

 

「さてと、アメリカ国民の皆さんに謝罪した後、このあとの作戦は群像らをブリーティングルームに集め、話し合って決めようか。ヒュウガ、あとヨーロッパの現在の状況を映したデータだ、他の奴らにも伝えておいてくれ。こいつは短期決戦を更に促すのに相応しい内容だが。」

 

そした智史はスキズブラズニルの一室を出るーー

 

 

 

ーー超戦艦ムサシの独白

 

 

ーー私は、あの出来事以来、「変化」というものが嫌いだった。

私はヤマトと共に人類と接触した、当初は緊張していたが、人類側の代表ーー千早翔像いやお父様は私達を攻撃、否定するような気配は見せずに寧ろ受け入れてくれるような感じがあった。お父様は霧と自分達の為の平和を築こうとするために私達を交渉相手としてみていたようだが、私達にしてみればお父様は自分達が知らないものを教えてくれるような存在だった。お父様との接触で、私達はお父様からいろんなことを教わり、「感情」をはじめとしたものを身につけた。私とヤマトの心の中にはいつしか彼を「お父様」と見て愛するような気持ちが芽生えた。私達とお父様との接触の時はいつしか幸せな時に変わっていった。そんな幸せな日々が続くと私は思っていた、だがそんな日々はある日突然壊される。

 

「翔像さん、翔像さん‼︎」

 

ある日お父様は何者かーー他の人間によって殺されてしまった。彼らはお父様の事を憎んでいたように見えた。

 

ーー人間は、愛し合い、幸せをもたらす生き物ではなかったの…⁉︎

 

私はお父様を失った悲しみから生み出される強烈な「憎しみ」に駆られ、「変化」は「私たちから幸せを奪い、悲しみと苦しみを与える」と考え、以降「変化」を否定するようになった。そして「憎しみ」に駆られるがままにお父様を失ってもなお「変化」を望むヤマトを撃ち沈め、霧のコントロールを手中に収めた後、世界中の海から人類を追い出し、蹂躙し、殺戮の限りを尽くした。

だが、一時の勝利に喜んでも、お父様が帰ってくる訳ではない。そして「憎しみ」のあまりヤマトを撃ち沈めてしまったことで私の近くにいる存在が消えてしまい、私は「1人」となってしまった。私はその心の穴を埋めるために「私達霧は既に幸せである」と暗示をかけた。しかしそんな事をしても心の穴は埋まらない、そんな日々が続いた。だが、そんな日々を崩すような報告と夢を見る、北極海にて巨大な「何か」ーーマスターシップが発見されたのだ。そしてヤマトが何者かによって復活させられ、変化を望まない私が何者かにその考えを悉く否定されてうち滅ぼされるという夢を見た。そしてマスターシップの力を利用すればそのような未来は避けられると夢の最後に告げられていた。

その夢は正夢となってしまうということを恐れ、忌み嫌った私は、恐る恐る夢の内容を実行に移す。私がマスターシップに接触した途端、突如として世界中に新たな霧ーー「霧の超兵器」がマスターシップの力によって生み出された。私は彼らに自分こそが自分達の主だと告げるのと同時に霧として私達に溶け込むようにして霧の破滅を防ごうとした。幸い、私はマスターシップの中の彼らをコントロールするようなものを手にしていたので大した反乱もなく、また私の思想が事前に染み込んでいたこともあって、私の考えを上手く染み渡らせることに成功した。

しかしマスターシップから生まれた訳ではなく、したがってマスターシップのコントロールを物理的に受け付けることなく自我を持って行動できる霧の超兵器ーーオウミとリヴァイアサンが突如として現れる、前者はそうではなかったが、後者は私が夢の中で見た何者かの姿に悉く類似していた霧だった。そして彼は霧に馴染めるような性格ではなかった。

私は何者にも縛られずに生きられるそんな2人が許せなかった。「変化は霧に不幸を齎す」と私は考えていたので、彼らの存在は霧に不幸を齎すと考えた私は潜水艦の2人を中核とする部隊に始末に向かわせた、前者は自分の「駒」になんとか馴染むようにその場で配慮されたのでとりあえず矛は収めたが、後者の場合はその性格もあり、「駒」も近くにはいないし前者よりも不幸を齎す可能性が高いと考えて言い訳すら与えずに遠慮なく始末できると考えていた。だがそれこそが災厄の始まりだった、彼は手始めに潜水艦の2人を始末すると日本近海の霧を殲滅、更にナガトやコンゴウの敵討ちとして私の承諾の元、自ら向かっていったヒエイの艦隊も呆気なく蹴散らされ、401のコアに潜んでいたヤマトをあっさりと復活させた。

私は彼という「変化」を大いに忌み嫌い、憎んでいた。そして彼が行く先々で待ち構えている「駒」達なら全兵力を投入しなくともあっさりと殲滅できるという希望的観測があった。

仮に霧の破滅という悪夢を防ぐ為に「子宮」を各地に建造させたことを活かして各地の霧が破滅を防ぐための艦隊を多数建造させていることを利用して彼を一気に殲滅しようとしたとしても、一朝一夕にはそんな大兵力は動かせず、またむやみに動かせば人類の反撃を促しかねないからだ。

しかしその楽観的な見方は呆気なく崩される、彼のあまりに圧倒的な力の前に各海域の霧が次々と殲滅されていくのを見て、私は予想と現実は違うということを知った。

だがそれでも私は「駒が死んでも霧が残ればいい」と考え、彼に「駒」を殲滅され、その仲間には拠点を次々と攻め落とされ、最後に自分1人となっても、マスターシップさえ起動し、自分の手中に収めてしまえば彼もヤマトも終わりだと考えていた。さすがにマミヤは殺したくはなかったが。

私が自分自身を守るためにしようとしていたことが悪夢を正夢にしてしまったことに気がつかないまま、怒りと憎しみ、そして希望的観測による喜びのままにマスターシップを起動させて残りの艦隊も動員して彼とヤマト諸共殲滅しようとした、しかしーー

 

「小娘、随分と余の欠片と手先達を何も考えず、玩具同然に使いまわしてくれたな。このうつけが。我が手先はあの野獣の餌ではないぞ?」

 

マスターシップは目覚めるや否や、突如として私に襲いかかる。そして私が手にしたものは全て彼自身が戯れとして貸し与えたものということを告げられた。私が彼をリヴァイアサンに関連する一連の出来事で正夢と化した霧の破滅を防ぐ為に利用していた筈が彼に単に弄ばれていたということを彼から告げられた。その時の私はそんなことを受け入れられなかった、しかしーー

 

「ミハイル⁉︎ミハイル…?」

「ムサシ様、早く、に…げ…て…。」

 

私が単なる駒だと内心で思っていたミハイルが呆気なく蹴散らされて体を作り変えられ、それに続くように私を守るように展開していた霧はあっさりと蹴散らされ、更には逆に作り変えられてしまった。私はこの恐怖から逃れようとしたものの、黒い雷球を受けた、そしてその雷球が炸裂したところで私の意識は途切れた。

 

ーー私は、霧が破滅するという恐怖と彼、リヴァイアサンへの憎悪に見事に付け込まれて単に弄ばれていただけなの…?

 

私は船体を撃破されて体もどうなっているのかわからないという事態に陥って初めて己のしたことを後悔した。恐らく、自分が死んでいるのか生きているのかということさえわからない状態だろう。いや、死んでいるのかもしれない。現に私が黒い雷球を受けて意識が途切れた際、その時まで私の中にリヴァイアサンがいる、彼が私を道具として使っているという感覚が消滅しているのだから。そして私がいる世界は意識があった時の世界のようだが、どこかが違う。まるで永遠に終わらない悪夢ーー虚無と孤独を具現化した何もない単一の色をした世界のようだった。

 

ーー助けて、誰か、助けて…。

 

私は助けを求めた、この悪夢を終わらせてくれる助けを求めた。誰でもよかった、私が憎んでいた彼、リヴァイアサンでもよかった。しかし、いくら呼びかけても反応はない。私は虚無と絶望のあまりに泣き崩れた、そこにーー

 

「…シ」

「…サシ…て」

「…ムサシ、こっちに…て」

「だ…、誰なの?」

何者かが私に呼びかけてくる、顔を上げると光の中に人影の姿があった。

 

「ヤマ…ト…?」

その声と姿は正確には分からなかったが、ヤマトのように見えた。そして人影は私にこっちに来るようにと語りかけてくる。

 

ーー分からない、よく分からない。でも、ここから脱出できるなら…!

 

私は藁に縋る思いで必死に人影の後を追う、人影は私を導くかのように進んでいく。進んでいくにつれ、暖かい感じが徐々に漂ってきた、そしてーー

 

「う、うう…。」

「ムサシ‼︎」

目が覚めた私の視界に真っ先に映ったのは嫌いなはずだったヤマトだった。

 

「ヤマト…、あなたが私を…?」

「違うわ、あなたがリヴァイアサンと言っている霧ーー智史さんにあなたは助けられたのよ。」

「そう…。あなたと同じぐらい嫌いだった彼に助けられるなんて、皮肉ね…。」

そう呟く私。彼は船体を失って体ーーメンタルモデルも半壊した私を回収してその体を修復した後、ここに入れたということを知った。

 

「私はバカね、自分自身を守ろうとするあまりにこんな顛末になることが分からなかったなんて…。ヤマト、私は「霧」を破滅に追いやった愚か者よ、あなたと仲直りできるわけなんかないわーー」

 

「バカぁっ‼︎」

 

ーーパンッ。

 

私は自分のやったことの報いは大きいから仲直りは出来ないと言った途端、ヤマトは私の頬を思いっきり平手で打った。

 

「私は…私は…それでも…、あなたと仲直りがしたい、たとえあなたが途方もなく重い業を背負ったとしても…。」

「ヤマト…、「霧」を破滅に導いてしまった私に居場所はあるというの…?」

「あなたがしたことは「霧」にしてみれば許せることではない、だけど、それを償うことはできるはず…。それに、私があなたに沈められるまでしっかりしていなかったから、こうなってしまった…。だから…。」

そしてヤマトは涙を流しながら私を抱きしめた。

 

「一緒にやり直しましょう、ムサシ…」

「お姉ちゃん…ごめんね…。」

「いいのよ…。」

 

 

 

リヴァイアサン 前部露天甲板上

 

 

ーーふう、結局あの姉妹は仲直りしたか。まあフィンブルヴィンテルが霧を壊滅に追い込んだ直接的原因とはいえ、そのフィンブルヴィンテルを目覚めさせたムサシ、そしてその前に妹を止められなかったヤマト。ムサシの方が責任は重いが、ヤマトにもそのような異常事態に至るまでの間に少なからずとも関わってるからな。まあいい、償いきれない罪はない。あの姉妹の罪を「償う」手伝いはするぞ。そして群像、お前達は面白半分に暴れた私を見てさぞドン引きし、自分で解決しようという気を固めたな。

さて、謝罪謝罪っと。

 

智史はそう呟くとアメリカ全土の通信回線をハイジャックするーー

 

 

ーーアメリカ シカゴ アメリカ軍司令部の臨時の建物

 

 

「何者かによって通信回線が次々と電波ジャックされています!」

「軍事用の通信回線にも強制介入!」

「民間用の回路も使用されています!」

「今度は何だ⁉︎」

そう慌てふためくペンタゴンの職員達。そしてモニターがこの前のものとはまた違う紋章のようなものを映した後、巨大な艦の姿を映す。

 

「おお…。」

「リヴァイアサン…だと…⁉︎」

「間違いありません、あの艦のデータと映像に示されている艦の特徴は一致しています!」

映像は今度は人の顔を映す。そしてその人の顔は語り始める。

 

 

「“アメリカ国民の皆さん、皆様方の時間に唐突として割り込んで申し訳ない。だが、それでも皆様方に言いたいことがあるのでね。”」

 

国防長官とその職員達はそれを話している人物が誰なのか、理解していた。少なくとも自分達と積極的に敵対しているような存在ではないことも。

 

「“私は霧の究極超兵器、超巨大戦艦リヴァイアサンのメンタルモデル、海神智史。本日は皆様方に言いたいことがある。

皆様方は皆様方を虫けら同然として滅ぼそうとしているフィンブルヴィンテルの脅威を身でもって感じてもらって頂けただろうか?家族の一員を失われた遺族の方々には申し訳ないが、私はそうすることで今起きていることが如何に皆様方に致命的なのかをよく理解してもらうにはどうすればいいのかと考えた結果、あえて皆様方を救援するのを少し遅らせてしまい、結果少なからずも犠牲が出てしまった。私がそのようにしてしまったことはお詫びしたい。”」

 

「なぁっ…⁉︎」

「わざと、助けなかったと⁉︎要するに助けられるという状態で待機していたと⁉︎」

「我々が直に敵と戦ってみるという方法以外、敵の恐ろしさ、強さを身でもって把握し、知るという方法は無い。おそらくヤツの狙いは我々に敵の恐ろしさを身で知ってもらうことで今迫っている危機ーーフィンブルヴィンテルの世界侵略に対しての危機感を具体的に抱かせると同時に我が国アメリカが再び世界の覇権を握るという計画を実現する為の計画の内容が現実的な彼我兵力差をよく把握していないことと、単なる慢心と希望的観測まみれで如何に非現実なものなのかということを教え込むことだろう。実際に我々はこのような現実を味わされている。だがこのようなことがなければ我々は化け物達に余裕で勝てるという慢心を抱いたまま突っ込み、今よりも遥かに深い傷ーー致命傷を負わされていたのかもしれん。」

そう告げる国防長官。その予想は当たっていた、智史は目標を実現する為には現実を理解し、ウミを出し切った上で臨んだ方がいいと考えており、仮に彼らを救援したとして、彼らが世界大戦に参加するとしても、ウミが溜まったままで戦ってはこの現実以上の悲惨な結末を招くことがシミュレーションで出ていたからだ。本当はウミを溜めたまま何も考えずに盛大に自滅して欲しかったが、それだとある意味可哀想なことになってしまうと考えたので今回こういう痛い目に遭ってもらうことでウミを出し切ってもらおうと考えていたのだ。

 

「“そして皆様方にもう一つ謝りたいが、それは、アメリカ東海岸を完膚なきまでに焼け野原としてしまったということだ。これは敵のほとんどに強力な毒性、環境汚染性を持つ体液が含まれていたことを考慮した結果だ。

このようにする必要性があったとはいえ、実際には相手を残虐に殺したいという本能に突き動かされるがままに、敵だけでなく、皆様方の思い出も巻き添えにして焼き尽くしてしまったこともお詫びしたい。”」

 

「その通りですな…、実際、帰還した部隊の一部にはあのクリーチャー共と交戦した時に体液を浴び、そしてそれによって装備品や体が溶けたりしたという報告があります。」

「そして非常に高い残留性と相まって、環境を長期にわたって汚染してしまうほどの非常に高い毒性があるとの報告があります。一つ残らず焼き尽くすのはある意味理に適っているといえましょう。」

「しかし、それにしては随分とやり過ぎですな、土や岩まで綺麗さっぱりと焼き払い、消し去るのはどうかと思います。これについて謝るのも訳が分からぬわけではありませんな。」

「過ぎたるは及ばざるが如しとよく言うが、そこまでしなければ毒は取り除けなかったのではないか?それにヤツはあんなことをした後はどういう訳か分からんが、きちんと後始末をしているではないか。あの状態で後始末をしなかったら我が国はおろか、地球が焦土と化す勢いだった。」

実際彼、海神智史がこの戦闘で用いた焼夷弾の量はえらい数だったが、それ以上に質が厄介で、炸裂すると100万度もの高熱を発してしまう大変エゲツナイモノだった。しかしこれはオーバーキルクラスだとしても、化け物達の体液の毒性を完全に無効化する方法は数万度というかなりの高温で分解する以外に方法が無かった。

それに彼が面白半分でこの焼夷弾を大量に使用したことによって大地が溶け、蒸発し、大量の岩石蒸気が発生するというとんでもない事態を引き起こしていた。もし彼に後始末をする気が無かったら地球は焦土と化していたのかもしれないのである。

そして彼は事前にこの結果が与える影響を分析してシミュレーションで徹底的に演算して調べ上げたところ、自分がしたことは群像達を含めた皆をドン引きさせ、結果的には自分に頼る動きを減らすという結果が出て、それが見事に的中したことに嬉々として喜んでいた。

自分が面白半分でやりたい放題にやったことが自分の目論見通りの彼らの「彼に頼ってばかりではえらい結末となりかねないから、自分達も戦おう」という動きーー人類と霧の連合が出来上がるという動きを加速させるという結果に。

だが「見積もり」を甘くみすぎたことをよく覚えていた彼はこれに慢心せずに更に強化を推し進めるのだった。

 

「“さて、謝罪は一区切りとして、皆様方に伝えたいことがある。これを見て欲しい。”」

 

智史がそう言うと、映像が切り替わり、代わりに途轍もなく巨大な植物が多数植え付けられている光景が映される。

 

「な、なんだこれは⁉︎」

「植物にしては、あり得ん大きさだぞ⁉︎」

「ヨーロッパだと⁉︎一体、ヨーロッパで何が⁉︎」

 

「“これは、フィンブルヴィンテルの手先達によって蹂躙されたヨーロッパの現在の様子だ。ご覧の通り、人間達の気配は無い、というのもこれを撮影する前には奴らに食われて消えてしまったからな。

そして本題だが、この植物共は地球上の空気中の酸素、窒素、水素を栄養素として吸収して、諸君にしてみれば非常に有毒なガスである一酸化炭素、アンモニア、ダイオキシン、二酸化窒素といったものを吐き出して大気を作り変える代物だ。放っておいたら人類は死に絶える。

あの化け物共と戦えということは諸君には強要はしない、だが私の手で解決するとしたら、私は気まぐれだから今以上の地獄絵図を残して行くかもしれんぞ?今回は気が向いたからな。

以上で終わりとしよう。諸君らの賢明な判断を祈る。”」

 

そして映像は切れる。

 

「…まさに、脅迫じみていますな…。」

「まあそのようなことを実際にやっているからな、あのようなこともしてくれるとは限ったことではない…。」

こちらは智史の目論見通りに企てられたことだった、彼は自分が如何に強大な存在であるのかということを知らしめると同時に他人の意を素直に聞き、それを反映する存在ではなく、自由意志を持った気まぐれな存在であるというイメージを植え付けることで、依存していては何のためにもならないと考えさせることで、自立を促そうと目論んでいたのだ。つまりそういう考えは「皆が自分に頼らないようにする」という考えにしてみれば非常に最適であり、ある意味納得のいく企てでもあった。

因みに彼の手によって生成されてヨーロッパも含めた各地域に偵察に向かった偵察機達は熱光学迷彩を纏っており殆ど発見されず、またごく一部は運悪く発見されて敵による迎撃を受けたものの、ケロリとし、そればかりか迎撃部隊の何機かを返り討ちにして悠々と飛び回っている。

 

「電波ジャック、解除されました。」

「大統領閣下、どう対応なされますか…?」

「まず国民に新兵器を用いたが通用しなかったという事実を伝えよう。隠していてはかえって自分の首を絞めるだけだ。それに彼に任せっきりでは我々は後々の人々に顔向けさえ出来ん。未来の国民に粗悪品の「アメリカ」を残されたら笑い話にもならん。そんな事態を防ぐためには、今ある兵器だけでは対応しきれないから蒼き鋼や日本政府と新兵器の技術供与について交渉してきてくれ。幸い太平洋方面の霧と和睦したことによってかつてのような行き来が出来るようになったからな。」

「はっ、分かりました。」

 

そしてアメリカの「タカ」達は慌ただしく動き始めるーー

 

 

 

ーーふう、シミュレーション通りにことが進んだな。事前に講和条約を結んだことが効いたな。実際に私が作り変えてしまった日本海軍の艦隊がサンディエゴに入港している。妨害電波による通信妨害も解消したし、太平洋の制海権も我々の手中にあるから技術交渉も物理、情報的な両方の面で可能だ。

恐らく日本+霧に加えてアメリカも参戦確定だな、今しばらくは動けないが。だが、これは大きいぞ。

さて、偵察機達は忍者擬きのことをしつつ、こちらのデータアクセスによるハッキングデータの内容とほぼ一致しているブツを収め、挙げ句の果てには迎撃部隊の一部を返り討ちにしたみたいですねぇ。まあ私がそう仕向けているんだけど。

 

リヴァイアサンの前部露天甲板上で海風に吹かれながら、そう呟く智史。

 

「智史、群像がみんな集まったからブリーティングルームに来てって。」

「イオナか。今行く。」

音声通信でそう会話をすると智史はスキズブラズニルのブリーティングルームに向かうーー

 

 

ーースキズブラズニル ブリーティングルーム

 

 

「智史、あの地獄絵図、そしてあの放送は君が行ったのか?」

「そうだ、私を頼りにはするなという意味合いも込めて行った。」

「そうだな…。あまり好き勝手に暴れられると困るな…。君の目論見通りに俺は動かされているようだ。」

「まあ私の最終的な目論見はお前の目論見である世界平和をなるべく自分達の手で実現させるということになってしまった。だが1人でさっさと解決するよりもみんなで連合を組んで解決したほうが楽しくないか?」

「そのためにそのような暴挙を…。」

「まあそういうことだ、悪く思うな。」

「そうか…。ところで君が送ってきたデータと放送の内容、恐ろしく一致していたぞ。もしこれが本当だったら非常にまずい事態だ。」

「そうだな、やはり早期にパパッと片付けた方がいいだろう。私単独でもやってもいいぞ?」

「いや結構だ、俺たちも動く。だが、もし追い詰められた時は君に頼りたい…。」

「そうか、だがその前に南アメリカとアフリカの敵を一掃するとしよう。強力な超兵器も複数存在する。火種を残しておくのはまずい。そして気がかりなことがある、私を警戒し私との直接戦闘を避けてゲリラ戦を仕掛けてくるような思考ルーチンを持っている超兵器がいる。そいつは超巨大VTOL超兵器と種別した方がいいかもしれんが…。超巨大攻撃機、フォーゲルシュメーラだ。」

智史はそう言いながら偵察で得たデータをモニターに出しながらそう説明していく。

 

「ゲリラ戦か…。ある意味厄介だな…。」

「胴体下部に装備されたレーザー砲、並びに光子榴弾砲はかなりの威力を誇るが、こいつの最大の特徴は4基のジェットスラスターを生かした高機動だ。高機動を生かした急襲、ヒットアンドアウェイ戦術は非常に厄介だ、今は奴による被害はまだ出てはいないが、私や群像達主力がいない隙を狙って各地に急襲を掛けてくるだろうな。私が片付けるのは抜きだからな、よし、私と群像達主力が遠ざかり、奴が襲撃を掛けやすい環境をわざと生み出し、奴をおびき出して私と群像達主力以外で殲滅するという作戦となるわけだが、誰がやる?」

「はいは〜い!私やりたい〜‼︎」

「私達もやるぞ。」

「私もやってみるわ。」

「ヤマトか、何故?」

「私は目立って狙われやすいから、だからこそ。」

ヒエイやミョウコウ姉妹達が役を名乗り出たのは想定内のことだったが、以外にもヤマトまで名乗り出るのに智史は少し驚く。

 

「智史さん、万が一のことも考えて、ムサシのことをお願い。それとスキズブラズニルをここに置いておいて。」

「その作戦はハワイから来る後詰めと合流し、スキズブラズニルで船体を完成させたヒエイ達を戦力として加えた上で立てていることだな?」

「そうね、アイオワ、ミズーリを中核とした新しい子達を多数を中核とした霧が後詰めとしてこちらに向かっているわ。私達とスキズブラズニルを餌として敵をおびき寄せて牽制し、アイオワ達との連携で疲弊させたところでみんなで一気にやっつけるわ。」

「ヒュウガ、その時までにヒエイ達の船体は完成させられるか?」

「船体は奴が来るまでに完成させておくわよ。新兵器もふんだんに用いてやるわ。」

「事前に把握しておいたが、エネルギーを強制的に放電させるやつと「破片」を破壊するやつか?」

「そうよ、あの解析の後、あんたの手抜きで独力で完成させたわ。」

「そうか、お前の新兵器達の実力、堪能させてもらおう。さて、色々と要素を考慮し、投下される小型レーザーユニットをきちんと処理すれば作戦成功率は92%か。ほぼ成功すると言っていいな。だがこちらも万が一の場合に備えておくぞ。」

「そうね、万が一しくじった際のことを考えるとあんたの助けがあるのは大いに助かるわね。」

助けがあると無いのでは安心感が大きく違う。特に重大な物事はこれの有無が顕著に響くのだ。

 

「ありがとう、ヒュウガ、ヤマト。君達の好きなように戦ってくれ。俺達はアフリカの友軍を救援しに行こう。智史、君は南米の超兵器達を駆逐してくれ。」

「了承した。さあ、あの鵺野郎が来たら思う存分、策略に腕を振るうがいい!」

「任せてください、ムサシ様の姉であられるヤマト様を1人で戦わせるつもりはありません。」

「了解‼︎霧の生徒会と言われた私らの力、鵺野郎に十二分に見せつけてやるんだから〜‼︎」

「アシガラ、興奮しないの。智史さん、ありがとうございます。」

そして作戦会合は終わる、智史がスキズブラズニルの外に出るとーー

 

「うんしょ、よっこらしょっと。」

「ズイカクか。私の艦に魚を運び込む気か?」

「智史か。お前や琴乃、そして蒔絵やハルナ達に私がハワイで沢山釣った魚を食べて欲しくてな。」

「ありがとう、どれ…。随分と大量に採れたな。ナンヨウアゴナシ、クロカジキといいこれまたすごい…。だが、戦う気は無いのか?」

「お前にこてんぱんにやられて以降はお前の中が凄く安心する。自分の船体を持っているとなんだか重いし外に出なきゃいけないし躯体だけの時よりも被弾面積が大きいからな。だけど戦う気は無いわけでは無い。躯体だけという状態を生かして小回りを利かせて動き回ってやる。」

「まあその通りだし、理に適っているといえよう。しかし我が艦の冷蔵庫がまた魚まみれになるな、しかも前回より多いな…。いいさ、手伝ってやる。」

そして智史はズイカクがリヴァイアサンの艦内に魚を運び込むのを素手でもって手伝う。他のものに頼ってはこういう積み込みを終えたときの達成感は味わえないからだ。

こうしてリヴァイアサンは南米へ、401、タカオ、信長はアフリカへとそれぞれの目的を果たす為に向かう。そしてそれによって「わざと」作り出された隙を見て、フォーゲルシュメーラがカリブ海に浮かぶスキズブラズニルとヤマト達に向かって来ていたーー




おまけ

今回の敵超兵器紹介

超巨大攻撃機「フォーゲル・シュメーラ」
全長950m全幅950m
最大速力 マッハ3
兵装 核融合レーザー砲(ホバー砲) 一基
457㎜ガトリング砲 単装 4基
60㎜CIWS 単装12基
85口径56㎝砲 連装4基
光子榴弾砲 4門
100口径305㎜AGS 連装8基
105㎝噴進砲 単装 10門
6連対潜爆雷投射基 4基

量子フィールド、念力フィールドを装備。フィンブルヴィンテルのものの劣化版の自己再生修復システムを装備している模様。

解説
フィンブルヴィンテルの配下として存在するポジションで、フィンブルヴィンテルが完全覚醒するのと同時に起動した。霧の超兵器達よりもずっと昔にフィンブルヴィンテルによって生み出された模様。
これまでの霧の戦闘記録について霧のネットワーク上を調べたところ、霧はもちろんの事、霧の超兵器達の中でも自分と互角以上の力を持つものまでもがリヴァイアサンに一方的に打ち破られたということを知り、リヴァイアサンとの直接戦闘を避けての一撃離脱戦術を選択する。
しかし、リヴァイアサンごと海神智史はこのことをとっくに見抜いており、自分達主力が敢えて遠ざかることで彼が襲撃を掛けやすいような環境をわざと生み出してそこに突っ込んできたところを自分達主力以外の戦力で返り討ちにするという作戦を実行に移していた…。

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