続きを書いて、問題ありそうなら統合もしくは加筆します。
流れがスゴイ遅い気がします……もっと物語ススメて、ドウゾ。
因みに、学園祭デートなんて文字はない。そういったものはもう少し先です。
「や! 穂次君。ちょっといいかしら?」
俺と一夏の休憩は入れ替わりであり、俺は絶賛にわか執事を演じている訳だ。
その執事たる俺に対して目の前の――、おっぱいのデカイ方の水色はニンマリして俺の手を掴んだ。白手袋をしているが、その内は包帯が一応巻かれているんですよ? 知っててやってます? 知っててやってるんだろうなぁ……。
そして、なんでこの人はメイド服なのだろうか。まさかこの人も布仏さんと一緒なメイドさんなのだろうか。美人は何着ても似合うって事がまた証明されてしまったか……。
ともかく、頭の中に有名RPGみたいな選択肢が現れる。コマンド方式でどうしてか選択肢が『逃げる』とか『言い逃れる』とかばかりだ。
大丈夫、落ち着け。落ち着いて、このターンを凌げばきっと一夏が来て、そっちに意識が向くに違いない。
「ちょっと穂次君借りてもいいかしら?」
「オッケーですよー」
まあ戦闘がターン制でなくてATBシステムって事を除けばって話しだった。
俺に味方って居ないんですかね?
「失礼、お嬢様。私の主張とかは――」
「ん? ん~……ほら、午前中に仕事手伝ったじゃない?」
「いや、俺も一緒に仕事してたんですけど……つーか、更識会長が面白がってドジっ娘メイドとかするからフォロー大変だったんですけど?」
「可愛かったでしょ?」
「まあ更識会長は美人ですからね」
「だから生徒会の仕事を協力しなさい」
「夏野穂次 は 逃げ出した!」
「しかし まわりこまれてしまった!
更識楯無 は 生徒会長権限 を使った!」
「夏野穂次 を 捕らえた! ……ハッ!」
「よし、行くわよ!」
なんて罠なんだ!
冗談はさておき、どうせこの人だからココに来た時点で逃げ道なんて無いんだ。穂次知ってる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「助けてシャルロットさん!」
「あら、シャルロットちゃん。いい所に来たわね。アナタも来なさい」
「ふぇっ!?」
「おねーさんがキレイなドレスを着せてあげるから」
「キレイな、ドレス……」
「これダメなヤツだ。ハッキリわかんだね……」
こういう言葉の戦いで強い常識人なシャルロットさんがアッサリと陥落した。目の奥が輝いてるから俺には分かる。
やっぱり俺に味方なんて居ないんだ!
「穂次? 何してるんだ?」
「一夏! 助け……いや、いいわ。どうせお前じゃ無理だし」
「なんで俺は話し掛けたら即効否定されたんだ?」
「相手が穂次だからだろう」
「なるほど……ん?」
箒さんの言葉に頷いて、少ししてからようやく疑問が湧いたのか一夏が首を傾げた。
首を傾げてから、ようやく俺の腕を掴んでいる更識会長へと視線を向けた。
更識会長はニッコリした。一夏もニッコリした。
「じゃあな、穂次。お前はいいやつだったよ」
「待っでぇ、待っでぇぇぇぇ」
「怖いわ! ゾンビかお前は!」
「うっせー! この際お前も巻き添えだ! ココはお前に任せるゼ!」
「それ両方共死ぬヤツだから!」
「あら、よくわかったわね」
更識会長が一夏の腕を掴んだ。ニッコリ。
俺を睨んでくる一夏。まあ待て一夏。俺は悪くないんだ。そう、全部このスカイおっぱいブルーが悪いんだ。
「で、コレは何なんですか?」
「あら、無抵抗ね」
「抵抗して逃げられるなら穂次も逃げてますよ」
「信頼されてるわね……おねーさん妬けるわー」
「俺と穂次の間には切っても切れない友情の絆がありますからね」
「さっき俺を残して逃げようとしたヤツの言葉とは思えねーな……」
「それで、生徒会で演劇をするからその役に二人が必要なのよ」
「ん? それならなんでシャルロットさんも誘われたんですか?」
「観客参加型演劇だから」
「……なるほど」
「知っているのか、穂次!」
「この美人が生徒会長だったのか!」
「そこかよ!」
「冗談だよ、相棒。まあ大丈夫だろ。つーか、話を色々聞いてるとドレス姿の女の子が見れそうだから俺は賛成デス!」
「お前はそういうヤツだったな……」
「ねえ穂次。その、私のドレス姿、見たい?」
「…………見たいッスねー」
「そっか。うん、よし。任せて!」
何を任せればイイというのだろうか。
でも、シャルロットさんのドレス姿は見たい。第二王女などと色々言っていたけれど、ドレス姿は妄想でしかなかった。ソレが現実になるのだ。見たい。
「おねーさん、凄い疎外感を覚えるわ。まあ聞き耳を立ててる、箒ちゃんもセシリアちゃんもラウラちゃんもゴーね!」
「鈴音さんが涙を流してそう」
「鈴ちゃんならもう誘ってるわ」
「俺達が捕まらなかったらどうするつもりだったんですかね……」
「え? 捕まらなかったら捕まえるだけでしょ?」
「なあ一夏。俺がアホだから理解できないのか? それとも更識会長がぶっ飛んでるのか?」
「千冬姉と同じ感覚だ」
「なるほどなー……」
きゃっきゃっと騒いでいる女の子達を尻目に俺と一夏は警戒態勢に入る。幸いな事に反応はしなかったようだ。
いや、しかし、あの人……人?が反応しない訳が無い。どうせ学園祭が終わったら俺と一夏の命は風前の灯火、いいや、水中のマッチ。終わる事が決定しているのは火を見るより明らかなのだ。
◆◆
「一夏君、穂次君、ちゃんと着たー?」
と言いながら部屋の中へと入ってきた更識会長。一夏はスゲー細い目でソレを見ながら溜め息を吐き出した。
そんな一夏を見て何かを察したのか更識会長は納得顔。
「開けるわよ」
「開けてから言ってるじゃないですか……」
「まあまあ、二人とも着てるしいいじゃない」
「他に言うことがあるんじゃないッスかね……」
「似合ってるわよ!」
「違うんだよなー……」
俺と一夏が疲れた様に溜め息を吐き出し、お互いの姿を確認して、更に溜め息を吐き出した。
一夏は王子であった。ドコか頼りなさを感じるが、優しい王子様と言っても相違は無いだろう。いっその事、なんだっけ、あれ……ドロワーズ?でも着ればいいのに。
俺は執事服から一転し、騎士の様な格好をしている。肩と胸には甲冑があり、ベルトには細めの西洋剣を帯びている。当然、模造鎧と模造剣である。加えて盾もしっかりと準備されており、ソレと甲冑には紋章が描かれている。
「いいわね。王子とソレを守る騎士! 両方ともヘタレっぽいのが残念だけど」
「あー、やっぱり一夏の配下なんですね……」
「穂次、わかってたのか?」
「甲冑とお前の着てる服に同じ紋章ありゃぁ気付く……つーか、一夏の配下かよー」
「……不満か? 我が友よ」
「滅相も無い。精々、俺に後ろから刺されない様に、我が君」
「怖い騎士だなぁ」
「相手が女の子だと俺はアッサリ寝返るからな」
「確定かよ……」
「ま、演劇だし。戦うなんて事はないっしょ……」
「楯無さんが凄い冷や汗流してるけど?」
「あの完璧な更識会長が図星を突かれた所で冷や汗なんか流す訳がないだろ。きっと演技だ。俺達を不安にして困らせようとしてるんだ」
「なるほど、流石穂次だ」
「そそそそそs、そうよ! ええ、ええ!」
「凄い吃ってるけど?」
「あの完璧で美人な更識会長が隠してた本当の事を言われた所で吃るわけがないだろ。演技だ。俺達を不安にして笑うつもりに決まってる」
「なるほど、流石穂次だ」
「ハッハッハッハッ!」
「ハハハ!」
二人して笑っていると更識会長の冷や汗が少しずつ増していく。目が泳ぎ、何かを言おうとして、何度か口を開いては閉じる。
「あー、えっと、それじゃ――」
「おーっと! 更識会長、待ってくださいよー」
逃げようとした更識会長の前に立ちふさがり扉を後ろ手で閉じる。
俺はニッコリした。更識会長も冷や汗を流しながらニッコリした。
「そうですよ。俺達は演劇の事なんてさっぱりなんですから」
更識会長が振り向き、一夏の方を向いた。
一夏はニッコリしていた。更識会長も顔色を悪くしてニッコリした。
改めて俺の方へと向いた更識会長がニッコリしながら俺の腕を絡め取ろうとした。けれど、俺はその腕を掴みアッサリと更識会長を捕らえた。
「くっ」
「王子! 謀反者を捕らえました!」
「うむ」
「ヤメテ! 乱暴する気でしょう! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」
「うわぁ……」
「おい、一夏。もっと反応してやれよ」
「そうよ一夏君。こんな美人が囚われてるのよ?」
「なんで俺が悪いみたいになってんですか……」
「それよりも穂次君凄いわね。結構本気だったんだけど」
「ほら、俺って天才じゃないですか。更識会長如きの攻撃は見切れるし、捌けますよ」
「えーん、一夏君。私如きって言われたよー」
「おい穂次! 楯無さん如きで天才を気取るなよ!」
「おっそうだな」
「いけない! 私が不利になっていく……!」
悔しそうに下を向いた更識会長。一夏からは俺が腕をキメて捕まえている様に見えているのだろうけど、実際は既に拘束なんて無い。
所詮はお遊びである。だからこそ俺が更識会長の攻撃も捌けた訳だ。
「それで、どうなんです?」
「――王子の一夏君に足りない物があります……、はい穂次君」
「威厳!」
「即答でソレってどうなんだよ……」
「そう、威厳よ!」
「しかも合ってるんですね」
「その威厳を得る為にこんな物を用意しました。というよりは衣装の一部だけどね」
「王冠?」
「一夏君はこの王冠を着けてもらいます」
「はぁ」
「それで、俺は?」
「穂次君は一夏君の後ろに着いて、騎士らしく振る舞う事」
「……あー、ヤバイ、なんとなくわかってきた」
「穂次、説明してくれ」
「いいか一夏。俺は騎士で、お前は王子様だ。そして俺は騎士らしく振る舞わないといけない。王子を守る騎士らしくな」
「…………楯無さん。ほら、脚本とか台本とか一回も見てないんですけど?」
「え? 一夏君って無いものを見れるのね。それって、とても凄いと思うわ! 基本的にコッチからアナウンスするから、あとはアドリブでお願いね!」
先ほどの仕返しなのか、更識会長はスゲーいい笑顔で俺達を煽ってから扉から出て行った。
王冠をクルクルと弄りながら、一夏が不安そうに俺を見てくる。
「なあ穂次」
「安心しな相棒。何かあってもフォローしてやるよ」
「頼むぜ、親友」
「任せてくれ、我が君」
一夏は王冠を、俺は剣と盾を持ち、舞台袖へと移動する。
――むかしむかしあるところに、シンデレラという少女がいました。
「ん、一夏がシンデレラじゃないのか」
「お前さ、今の俺を見てどうやったらシンデレラに見えるんだよ」
「ほら、こう、王子の転落人生を描いたシンデルワとか……?」
「シンデレラに謝れ馬鹿」
――否、ソレはもはや名前ではない!
幾多の
彼女らを呼ぶにふさわしい称号――ソレが『
「俺よりも謝らないといけない人がいると思うんですけどー」
「というか、なんだよ、今の解説」
「つまりそういう事なんだろ。シンデレラはか弱い女性じゃなくて織斑先生の可能性が……?」
「いや、それだと虐める継母が居ないだろ……」
「篠ノ之博士とか?」
「継母が凄いシンデレラを溺愛してそうだな」
――今宵もまた血に飢えたシンデレラたちの夜が始まる。
王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という死地に少女たちが舞い踊る!!
「一夏、大丈夫か? 胃薬いるか?」
「持ってるのか?」
「しまった! 着替えと一緒に置いてた。ちょっと取ってくるわ」
「待て、逃さねぇぞ」
「チッ! 勘のいい王子め!」
「完全にセリフが悪役のソレじゃねぇか!」
「もらったぁぁぁ!!」
いがみ合いをしている一夏を狙い何者かが姿を現した。一夏の腕を引き、守る様に前に出て盾で攻撃を防ぐ。
相手は俺を見て驚いたのか、すぐさま距離を開けた。
盾を退けて相手を見れば、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスを纏った鈴音さんであった。幸い、胸を開いた大胆なドレスでもなく、その慎ましやかな胸板が見える事はなかった。
「なんで穂次が居るのよ!?」
「格好を見て察して下さい」
――王子には一人の騎士がいました。その騎士こそ王子の無二の友人であり、王子の守護者です。
「そういう事ッスよ」
「あっそう。でも両方倒せば問題ないんでしょ!!」
投げられた飛刀を盾で防いで俺と一夏は冷や汗を流す。
「殺す気か!」
「死なない程度に殺すわよ!」
「殺されると人は死ぬ。ハッキリわかんだね……」
「うっさいわよ! ア穂次!」
蹴り上げられた盾を手放し、しっかりと鈴音さんを見る。残念ながらスパッツが履かれている。なぜスパッツなんてあるのだろうか……いや、スパッツもイイな。
ゾクリと変な感触を覚え、一夏を後ろ手で押し出し、鈴音さんの脚を払って俺も上体を逸らす。
俺の顔があった場所を通過した銃弾は舞台にぶつかり小さな穴を開けた。
「ヒェッ……なんで一夏じゃなくて俺を狙ってるんですかね」
「何かしたんじゃない?」
「えぇ……」
「それで? 盾の無くなった騎士様はどうやって私の攻撃を防ぐのかしら?」
「――、ハッ、ハハハハハハ!!」
唐突に笑い出した俺を訝しげに睨んだ鈴音さん。移動中なのか、それともスコープで様子を見ているのか、まあどちらでも構わない。
鈴音さんが言うのだ。仕方ない、演じてみせよう。
「我が君、オーダーをくれ。俺はソレを十全に応えてみせよう」
「――脅威から俺を守れ、我が騎士」
「ああ、了解した」
俺は笑みを浮かべ、一息に剣を引き抜く。模造剣である事はわかっているけれど、どうにでもなるだろう。
俺と一夏のやり取りを聞いて湧き上がる客席。これってギャラとか入るんですかね……。
>>スカイ"おっぱい"ブルー
おっぱいスカイブルーにするか二十分程悩んだ結果。
>>乱暴する気でしょう!
楯無お姉さんはナンデモシッテルナー。
>>有名RPG
二作品ほどある内の片方
>>ATBシステム
もう片方
今回あったバカみたいな誤字
シンデラレ