若干淡白かも知れません。まあ色んなフォローですから仕方ないね。
次辺りでもフォローとかしてるかも知れません。
プロットなしだから仕方ないね
誤字修正しました
「み、皆さん、おはようございます……」
山田先生の気のない返事が教室に僅かに響いた。元気がない、という事はないのだが、何か問題が起こった事は確かである。
「どうしたんスか? 山田先生。もしかしてまたおっぱいが大きくなったんですか!?」
「……ハァ」
「溜め息は辛いですよ!」
「……」
スゲージト目で見られてるんですけど。怖いとかよりも可愛いという感想が出てくる辺りやっぱり山田先生は最高だぜ!
見つめられて照れている俺に今一度溜め息を吐き出して、気を持ち直す様に深呼吸をした。おっぱいが揺れた。
「えー……今日はですね、皆さんに転校生を紹介します……、というより既に紹介しているんですが、ええと」
「美少女ですか!?」
「…………はぁ」
「ホント、どうしたんスか? いつもの様に俺を罵ってもいいんですよ!! つーか、罵って下さい!!」
「ちょっと、黙りましょうね?」
「あ、ハイ……ゴメンナサイ」
怖い。普段優しい人がマジでキレると怖いってのがよく分かった。
「じゃあ、入ってきてください」
「失礼します」
入ってきたのは金髪の美少女であった。爽やかな笑顔を張り付けて、教壇の近くに立つ。ちゃんとスカートを履いている。実に、肌色の足が眩しい!
「シャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします」
「デュノア君はデュノアさんでした、という事です……ハァ、また部屋割りを考える作業が待ってるんですね……」
疲労が蓄積しているだろう山田先生。その疲労にはきっと各国の対応だとかもあったのだろう。
シャルロットさんがコチラを向いて少しだけ微笑んだ様な気がしたので肩を竦めて見せた。どうだ、クールだろう。
「え? デュノア君って女?」
「おかしいと思った! 美少年じゃなくて美少女だった訳ね!」
「……ん? 同室の夏野君が知らない訳が――」
「まあ待ちたまえ麗しい少女たち。君たちには俺が彼女を襲ったと、そう思うかもしれない」
「……え?」
「あれ? いやいや、なんでそんなに皆ありえないみたいな顔をしてるのさ」
「だって……ねぇ」
「夏野君にそんな度胸ある訳ないじゃない」
「ヘタレ受けの夏野くんが? 無いでしょ」
「というよりはむしろ夏野君が襲われた可能性も……?」
「あれ……目から汗が」
「なつのん、それは涙っていうんだよ~」
ドコをどうして俺がそんなキャラになったのだろうか。そもそも一夏とのイケナイ本が悪いので。総じてその全ては俺が受け手だった気がする。
頭痛が痛くなってきたぞ……!
「僕が穂次に手を出す訳がないじゃないか」
「そうだそうだ! ……いや、それもそれで悲しいんですけ――」
「穂次は一夏の嫁だからね!」
「――――――」
「あ……」
皆納得したように察した声を出した。
俺は声も出なかった。一夏も出なかった。奇しくも俺と一夏の表情は似たようなモノだった。
頭痛が、痛い!
「穂次さん」
「セシリアさん……助けて、俺を慰めて……」
「あとでお話しがあります」
「コレは折檻されるヤツだな! 俺だってワカルゾ!!」
もうマジ無理……不貞寝シヨ……。
「それで、どういう事か説明していただけます?」
「あの、セシリアさん。美しいお顔が怒りで怖いですヨ……」
「何か?」
「いえ、それでもお美しいデス。ハヒ」
「……ふん」
休み時間になり、セシリアさんが俺の前で腕を組んで睨んでいる。その顔は怒りに染まっていた先ほどよりも幾分か和らいでいたりするが、それでも怖いモノは怖い。
というよりは腕を組んでる事でおっぱいがやや強調されてる方が俺としては重要だ!
「別に何もシテネーですよー。ホント、ヤマシイことはまったく」
「本当ですのね?」
「マジマジ。神様なんて信じてないから誰に誓ったらいいかわかんねーけど」
「ふーん……」
「あ、信じられてねーですなぁ。というよりも俺としてはそんな性格だと思われていたことの方が悲しいんですけどー」
「だって穂次は人と話すときずっと胸ばっかりみてるじゃない」
「そりゃぁ、見るだろ」
だってここの学園の女の子たちって皆可愛いんだぜ……。見るだろ、普通。というか、俺がオカシイ訳じゃなくてまったく反応してない一夏がオカシイのだ。アレの感覚が狂ってるのだ。
その一夏はホームルームでボーデヴィッヒさんに嫁宣言とキスをされたことで篠ノ之さん辺りに「灰燼に帰す」とか言われてた様な気もする。気のせいであったらよかったけど、そのお陰でシャルロットさんが言った「穂次は一夏の嫁」宣言は流されていたりする。つーか、ソレは何を当たり前の事を言ってるんだ、みたいに流された。IS学園はもう手遅れかもしれない。
「デュノアさん――」
「シャルロットでいいよ。オルコットさん」
「ではわたくしもセシリアでよろしくてよ」
「よろしくね、セシリア。――色々と」
「……ええ、――色々と」
「その女性間での変な争いとか怖いんですけどー。もっと穏やかに行こうぜ!」
「……」
「……」
「えぇ……なんで俺が睨まれてるんですかね……」
コレガワカラナイ。
まあ美少女二人に睨まれるってのも中々に素敵な体験だと思うので甘んじて受けるけれど、本当に俺が何かをしたのだろうか……まさか、シャルロットさんの下着を拝借してしまったのがバレたのだろうか……。いや、まさか、そんな……。
「というより、穂次はどんな魔法を唱えたのさ」
「俺はまだ魔法使いじゃないぞ!?」
「意味が分からないよ……。今朝に織斑先生のところに出頭したら変に納得されてこの制服を渡されたんだけど?」
「ああ、ソレか。俺は別に何もしてないんだよなぁ……」
「……ふーん」
「ホントなんだけどなぁ。対外向きの対応は全部織斑先生に一任してるし。まあ笑顔になれるならそれでいいんじゃね?」
「何かありましたの?」
「んー、……実は俺が超有能なエージェントだって話?」
「ありえませんわ」
「そうだね」
「ノッてもくれないのか……ま、いいけどさー」
一夏ならば何か言い返してくれたかも知れないが、その一夏は今針の筵に座っている様だ。むしろ巻かれてる状態かも知れない。ともかく、篠ノ之さんとか鈴音さんがスゲー怒ってるのはよく分かる。
「まあちゃんとスカート履いてるって事はアレが役立った様で何よりかな」
「うん。アッチも納得してくれたよ」
「アレ?」
「俺のデータだッ!」
「…………穂次さんのことを馬鹿だ馬鹿だと思っていましたが、本当に馬鹿でしたのね」
「アハハ……私もそう思う」
「奇遇だね! 俺もそう思うよ!! つーか、俺のデータって実はクソデータなんだよなぁ」
「は?」
「バイタルデータも何もかも、普通の極々一般市民と一緒。特殊なDNAを混ぜられてる訳でもないし、何か特殊な能力がある訳でもない。ISに認証される前と後での変化もなし。むしろ特殊な事が何もないから今回データを貰えたんだけど」
「……あの、穂次さん?」
「何? あ、もしかして俺に惚れちゃったかぁー。いやー! 困っちゃうなぁ!!」
「……ソレって他人に渡してよかったモノなんですか?」
「え? ダメなの?」
「…………」
「…………」
「えぇぇ、どうして二人共頭を抱えてるんですかね……。俺のモノだし、誰に渡しても問題ナシ! 価値も無し!」
「国際問題まで発展してもオカシクないですわよ?」
「いやいや、無いって……無いよな?」
「あのカッコ良かった穂次はどこに行ったんだろうね……」
「俺はイツだって格好いいだろ! いい加減にしろ!」
「穂次さんが格好良かったことなんて……まあ、何度かありましたけど」
「ほら、やっぱりカッコイイ俺は存在したんですよ!! やったね!」
「普段は格好悪いからね?」
「そうですわね」
「ふぇぇ……二人して俺を苛めるのか……ちょっと嬉しいなぁ」
二人の瞳が一気に冷たくなった気がした。きっと気のせいじゃないだろう。人間は慣れる生物である。だからきっと俺もこの極寒にも似た視線に慣れてしまったのだろう。ゾクゾクする。
「まあ、国際問題とかにはならんでしょ」
「何を根拠に言ってるのかな?」
「そりゃぁ、データの持ち主だからな! そんな心配無用だって。楽しく生きようぜー」
「はぁ……そのお気軽な時が無ければ本当にカッコイイのですけど」
「わかるよ、セシリア」
「フッ、俺の格好良さに二人とも惚れてしまったか……!」
「無いから」
「そうですわね」
「即座に否定されるとソレはそれで傷つくんですけど……」
まあ肯定されても緊張して何を喋ればいいか分からなくなってしまうからいいのだろう。いいのだろうか?
いや、とにかくおっぱいを触っても怒られない関係になる事を喜ぶべきなのだろう。二人共おっぱいおっきいもんね!
「まあそういう面倒な問題は起きないって」
「ドコにそんな自信があるのかな……」
「むしろ政府がソコまで俺に意識割いてるとは思えないって話。だって俺なんだぜー?」
「穂次さんだからこそだと思うのですが……」
「うーん、まあ大丈夫デショ」
そう、コレに関しては問題は無いと断言できる。渡したデータが偽物とか、偽造データだとか、そういう事ではなくて。
ちゃんとしたルートで手に入れたデータであるからこそ、何の問題も無い。そもそも俺のデータには本当に価値なんて無い。コレが村雨のデータとかになればきっと話は変わってくるんだろうけど。
「故に、心配無用! シャルロットさんはスカート姿を俺にしっかり見せれば問題なし!!」
「穂次さん?」
「ヤダナァ! セシリアさんの制服姿も素敵ですよ! その黒いストッキングに包まれたおみ足が素敵です! 踏まれたい!」
「……」
「ソレは夏野穂次じゃなくて、養豚所の豚を見る目だよぉ……」
とにかくとして、俺としては美少女が減ることは嫌だし、この日常を楽しみたいのだ。つーか、セシリアさんに踏まれるにはどうすればいいのだろうか……マッサージとか適当に言って踏まれるのが一番なのだろうか……。
「お疲れ一夏!」
「お前は結局俺を助けてくれなかったな……」
「いや、鈴音さんと篠ノ之さんからスゲー重圧掛けられてたのは知ってるけど、アレに立ち向かう勇気はないッス」
シャルロットさんの引越しという事で手伝おうとして、いの一番にタンスに向かったら部屋から放り出された。俺の優しさをどうして受け取ってくれない! 決して下着を物色しようとしていた訳じゃないんだぞ!! 拝借しようとしていただけだ!
ともあれ、部屋を追い出されてちょっとだけ女の子たちの会話に混ざってから、一夏の部屋へとやってきた訳だ。部屋をノックすればぐったりした一夏が見えたのだから思わず労わってしまった。
「……お前も色々言われてたみたいだけど?」
「ああ、大丈夫大丈夫。つーか、ヘタレ扱いされてたことの方がキツイ」
「お前は泣いていいと思うぞ」
「涙が出チャウ! だってオトコノコだもん!」
「キモい」
「ソレな」
二人してノリには乗ったけれど、溜め息を吐き出して一夏の淹れてくれたお茶を啜る。温かい緑茶が美味しい。
「それで、実際はどうなんだ?」
「何がだよー?」
「シャルル? と何日も一緒の部屋にいたんだろ?」
「まあ、そうだなー」
「何もなかったのか?」
「じゃあ聞くけどさー。篠ノ之さんと何日も一緒にいた織斑一夏くんは何かあったのかなぁ?」
「箒と俺はそんなのじゃないだろ。単なる幼馴染だし」
「…………篠ノ之さんが草場の影で泣いてるぞ」
「箒は死んでねぇよ。本当に何も無かったのか?」
「いや、なんでそんなに気にして……」
「なんだよ、急に身を引いて」
「お前……俺の身体に興味が!!」
「帰れ」
「いやん、嘘だって。つーか、マジで何も無かった……?」
「何かあったんだな」
「いや、一緒の布団で寝たぐらい?」
「………………」
「いや、そんな意外そうな顔をされても困るんだけど?」
「お前の貞操は、もう……」
「うっせぇ!! 童貞だよ! うわーん!」
「手も出せなかったのか……普段の変態さはドコに行ったんだ」
「変態でも紳士なんですー! つーか、あの時は変に安心しきってるシャルロットさん見て、襲う気も出なかったんですー!」
「……本音は?」
「マジで後悔してる……あそこで弱味握って襲ってれば俺は今頃天国を味わってただろうな……」
「ああ、千冬姉の手によって天国に逝ってただろうな」
「マジでソレな……つーか俺、織斑先生に女子寮行くときに、ヤマシイ事したらこの机の様になるからな、って脅されてたからな……」
「机?」
「真っ二つの机だ」
「…………よく我慢したな!」
「ああ! 俺だって命が惜しい!」
よくよく思い出せばそうなのだ。手を出すことにより、俺はきっと織斑先生に真っ二つにされていた事だろう。スプラッターとかゴア表現とかも真っ青だぜ……。
「というよりも部屋割り変わるんだったら、俺と穂次が一緒になるのか」
「ソレは無いんじゃね?」
「なんでだよ。男同士だぞ」
「そりゃぁ、俺だって身の危険ぐらい感じるからな」
「やっぱ帰れよ、お前」
「嘘だって。まあ、冗談を抜きにしても俺らが同室はねぇよ」
「そうなのか?」
「一緒になる様ならそもそも最初から一緒の部屋になるだろ。そうじゃないって事は何かしらの理由でもあるんだろ」
「……穂次って偶に頭が良くなるよな」
「褒めるなら美少女になってからにしてくれ」
「基本的には馬鹿だけど」
「頭が馬鹿な方が人生楽しいんだって。色々考えなくて済むし、なにより女の子も可愛いし、おっぱいも見つめ放題だからな!」
「いや、最後は違うだろ」
「触りたい放題なのかッ!?」
「いや、ソレも違うから」
じゃあ何だよ。変に期待をさせるんじゃぁ無い。
「そういやおっぱいで思いだしたんだけど」
「穂次ってソレで全部思い出しそうだよな」
「何? 天地創造から説明しろって? 流石に覚えてねーよ?」
「お前は何歳なんだよ……」
「一夏と一緒ダヨ!」
「ウザイ」
「ひぇっ……。で、臨海学校があるじゃないか」
「……ああ、そういえば」
「水着姿の篠ノ之さんが見れる!」
「…………」
「うわ、スゲー複雑そうな顔された」
「なんというか、幼馴染をそんな目で見られるのに怒りを覚えた」
「ふーん……ま、篠ノ之さんは俺としては対象外なので実際はどうでもいい。でも是非ともおっぱいは拝見したい」
「……」
「睨むなよー。男の性だろ?」
「まあそうだけど……というより、セシリアとかはどうなんだよ?」
「楽しみで仕方ない! 普段は服で隠されてる肢体が全部日の下に晒されるとか素敵! きっと下半身も素晴らしいのだろう! ああ、楽しみで仕方が無い!!」
「……お前、ソレをセシリアの前で言ったのか?」
「言えると思うか? 言ったら絶対に俺に見せてくれなさそうだけど?」
「そうだな。というか、臨海学校あるなら水着買いに行かないとだな」
「一応日程的には余裕あるけどなー」
「一緒に行くか?」
「……んー、休日は全部詰まってるんだよなぁ」
「マジかよ……」
「ほら、俺ってモ、テ、る、からネ!」
「はいはい」
「もっと構えよー、寂しいだろー」
「構ったらお前ホモとか言うだろ」
「い、い、い、言うよ!」
「せめて隠せよ」
「いやー無理ッス」
このやろう、と笑いながら言ってくる一夏に対してケラケラ笑いながら適当に対応する俺。
やっぱりノリがいい同性はなんとも素敵である。ちなみに女生徒皆さんが想像しているような展開は決してない。