次の話開始の都合で短めデス。
決してMHバッテンをしている訳ではない。
勲章集めなきゃ……
六月も最終週に入り、IS学園は学年別トーナメント一色に変化している。妙に先輩方がそわそわしていたり、その影響からか一年生諸君も同じように緊張をしている。
更衣室に備え付けられたモニターから見える観客席には大凡、俺にはさっぱりわからない人達が並んでいた。研究員に、企業のエージェント、どうやら政府の関係者まで来ているらしい。
らしい、とか、さっぱり、とか使ってる割には詳しいと思うけれど、ソレも全て隣に居るシャルルが俺と一夏に教えているからだ。教えてもらわなければ空の上の出来事として意に介す必要もなかったんだろうけど、スゲー緊張してきた。
「はへー……なんつーか、すげーですなぁ」
「というか、学年別トーナメントってだけであんなに緊張するモノなのか?」
「三年生にはスカウト、二年生には一年間の成果を見せるチャンスか、所属している所から人が来てたり」
「ふーん、ご苦労な事だ」
「当然ながら俺と一夏を見に来てる人もいる……つーか、半分以上はそうなんじゃね?」
「え? なんでだよ」
「いい加減にお前は自分が有名人って理解しとけよ。あんまりこう言うのはイヤだけど、織斑千冬の血族ってだけでも見る価値はあるのに、ソレが第一男性IS操縦者だぞ」
「ソレを言うなら穂次もじゃないの?」
「ポッと出の俺なんて一夏の知名度に比べれば月とラバーカップみたいなモンだからなぁ……」
「ラバー? ゴム製の丸いモノなんてあったっけ……?」
「穂次にあんな実用性はないだろ」
「ウッセー。美しさの比較だ」
「穂次、あんなに機能だけに特化した見た目のドコが美しくないって言うんだ!!」
「どうしてお前はそんな性格なのに、白式はあんな性能なんだよ。もっと機能増えても可笑しくないだろ……」
「俺が一番知りてぇよ!!」
「お、そうだな」
「?」
首を傾げるシャルルを放置して男二人で落ち込む。どうして俺たちのISはあんなに不器用なのだろうか。ツンデレな幼馴染だってきっともっと器用に……あー、出来てねぇな。
「あ、対戦表が発表されるみたい」
「どーせ、俺たちと一夏達が当たるのは決勝だろ? それこそマンガみたいな事だろうけど、そこはきっと在り来たりダナ!」
「穂次――決勝まで負けるんじゃないぞ!」
「ああ! 俺たちの戦いは決勝で決めよう!!」
「あのー……スゴク言い辛いんだけどさ」
「ふっ、知っているぞシャルル。どうせ 優勝は僕達のモノだ、キリッ とか言うんだろ。 だがしかァし! ボーデヴィッヒさんという最強の手札を持った俺がそう簡単に――」
「……あー、穂次、画面画面」
「なんだよ、一夏まで――」
対戦表が表示されているモニターを見る。端っこから自分の名前を探して、見つける。どうやら一回戦らしい。ふむふむ、早く戦うのはイイ事だ。
でもどうして一夏とシャルルの名前が隣にあるんですかね……。
「……く、ククク! アーッハッハッハッハッ! そうかそうか! どうやらオーディエンスは俺たちの戦いを先ず見たいらしいッ! 我慢の出来ない愚民共めッ!!」
「穂次、セリフと顔の悲壮感がマッチしてなさすぎて混乱するからやめろ」
「穂次、大丈夫だよ。ココで意地を張らなくてもいいんだよ」
「ふぇぇ……緊張でぽんぽんが痛いお……帰りたい。寝たい。現実逃避したい。つーか、無理。無理だって。ああ神様! 死ね!!」
「穂次が荒れてるなぁ……」
「壊れてるの間違いじゃない?」
「むしろ俺が壊れてない時はあったのだろうか……否、無い!」
「ああ、壊れてるな……直すのはどうしたらいいんだ」
「誰かのおっぱいを揉めば直る。すぐ直る。真面目な俺が参上するゼ!!」
「確か、ニホンではこういうとき、斜め上から力一杯叩けば直るんだっけ?」
「あー、昔の手法だな。でもやってみる価値はあるな!」
「ねぇよ!? それで直るのは旧世代のテレビだけだよ! つーか、何!? 暗にポンコツって言われてるのか!?」
「直接言ってほしかった?」
「いい笑顔しやがって……。一夏が前に優しいとか性格いいとか言ってたのは嘘だったんだ……」
「いや、イイ性格してるだろ」
「あ、皮肉だったのか、今理解したわ……お前も皮肉が言えたんだな」
「一夏?」
「落ち着くんだ、シャルル君。今俺たちが争うのはよくない。わかるな?」
「そうだね。じゃあ、覚えててね?」
「あ……」
「プーックスクス。シャルルに説教予定されてやーんのー!」
「当然穂次もだよ?」
「ふぇぇ……勝って有耶無耶にするからいいんだ」
「ははっ、じゃあ説教決定だね」
「そうだな。勝つのは俺たちだ」
「ハッハッハッ。何度も言ってるけど、負けるつもりは無い。シャルルはともかくとして一夏には負け……一夏になんて負けないんだからねッ!!」
「なんでお前は最後にちゃんと締めてくれないんだ……」
それは俺だからだ。と胸を張って見せればシャルルが噴き出して、そのまま空間は笑いに包まれる。
まあ本当に負けるつもりはない。コレは相方がボーデヴィッヒさんじゃなかったとしても言っているだろう。負けたくは無い。
「さ、ボーデヴィッヒ少佐。作戦会議を始めよう」
「お前は後ろで見てろ」
「ハイ作戦会議終了!! いやいや、待とう。待つんだ、ボーデヴィッヒさん」
「なんだ? お前がシャルル・デュノアでも抑えるのか?」
「あー、ボーデヴィッヒさんの中で既に相手は一夏なんだな」
「当然だ」
「……ま、いいけど。一応、ペアなんだから役割分担はしようぜ?」
「盾しか武装が無いお前に何の役割がある」
「マジでソレ。一応、殴る蹴るとかは出来るから、ある程度の足止めは出来る……と思う」
「そんな不確かな情報で何を信用しろと言う」
「あー……まあ、アレだ。一応、シャルルはなるべく抑える。逃げられるかも知れないけど、まあボーデヴィッヒさんが一夏を落とせるぐらいの時間は稼げる筈」
「……ふん、まあ期待しないでおこう」
「それがいいッスねぇ。まあドウニカナルデショ」
「……私はお前の様に弱い奴は嫌いだ」
「まあそうでしょうなぁ」
「努力もせずに、へらへら笑うだけで、周りに押し上げられている。気に食わん」
「そうでしょうなぁ。誰かの助けを借りなきゃ俺は弱いですからなぁ」
「やはり、気に食わんな。……助けを求め続けて何になる? 一人で立たねば意味もないだろう」
「そうだなぁ。まあ、ボーデヴィッヒさんはもう一人で立ててるんだろ?」
「当然だ」
「うーん……まあ弱い俺を頑張って優勝まで導いてくだせぇ」
なんとなく、織斑先生が俺をボーデヴィッヒさんに預けたのがわかった気がする。いや、罵られて嬉しいとかそういう理由ではなくて。
自己暗示する程度には彼女は弱いらしい。いや、実際の力量という意味では問題の欠片も無いだろう。
求めていない、一人で立っている。けれども彼女はきっと渇望している。だから、故に、彼女は求めていて、一人で立ち止まっている。
誰を、なんて知らないけれど、飢えている彼女の息抜きとしてサンドバックが選ばれたんだろう……まったくもって不運なサンドバックである。一体誰の事なんだ……(白目
>>一夏になんて負けないんだからねッ!
この文字列をツンデレと感じた人はまだ正常。
別の何かを感じた人は異常。
その後を妄想してる奴は腐ってるだけだから問題なしだな!
>>ラバーカップ
偽乳じゃないよ!!
トイレのアレダヨ!!
>>ああ神様!! 死ねッ!!
前作の宣伝をする二次創作者の鏡がいるらしい(錯乱