一話前を読んでない方はお気をつけ下さい。
遅れました(錯乱
息抜き(5000字
短く感じる? ハハッ、許してつかーさい。
「んじゃ、まあ着替えながらで悪いんだけど自己紹介。俺の名前は夏野穂次。好きなものは女の子。嫌いなやつは織斑一夏。ちなみに政府に監禁されてた経歴持ちだ!」
「え?」
「俺の名前は織斑一夏。好きなモノは特にないけど、嫌いなヤツはそこの馬鹿だ」
「ハハッ」
「ハハハ」
「お、やんのかテメェ!」
「お前なんかに負けるかよ!」
「ちょ、ちょっと待って二人ともどうしてさっきまで仲がよかったのに急に喧嘩なんて!?」
「喧嘩するほど仲がいいって言うだろ? 流石に冗談だけどな」
「え? 俺は本気だったんだけど」
「一夏、色々と悪かったな……」
「いや、そこまで萎れた反応されると困るんだけど?」
「そこまでお前をホモ扱いしている事を気にしていたなんて!」
「おう、ソレは普通に気にしてるからもうやめろ」
「スマナイ、一夏……本当にスマナイ!」
「あ、コレはもう広まってるヤツだな……ハァ」
「あはは……えっと」
おっとしまった。いつもの流れでデュノアを放置してしまっていた。俺は肩を竦めて、ISスーツに袖を通していく。
「ま、テキトウに慣れてくれればいいさ。俺はともかくとして一夏はマトモなヤツだからな」
「お前、自分がマトモじゃないって知ってたのかよ」
「知ってなきゃセシリアさんとか篠ノ之さんに『おっぱい触らせてください!』とかお願いできないだろ、普通」
「普通はしないぞ」
「ん、というかデュノアの俺を見る視線が汚物を見るソレになってるんだけど」
「あ、いや、そんな事無いよ?」
「そっか? まあいいんだけど。所でデュノア」
「な、何かな?」
「おっぱいとお尻、どっち派だ!?」
「え?」
「ちなみに俺は断じておっぱい派だ!」
「あー、穂次。普通に引かれてるから」
「ナンデスト……おぅ、スマナイ……自重します」
「う、うん……ごめんね」
「穂次だから問題ないだろ」
「ヒエッ……そうやって俺の扱いを浸透させていくのはやめてもらえないですかね……」
「嬉しいだろう?」
ちょっとだけな。
ともあれ、一夏の嬉しいだろう? という言葉で何処かの鬼を思い出してしまった。やはり血縁という事なんだろうか……という事はコイツも人外じゃねぇか!
「というか、デュノアは着替えるの早いなぁ」
「え? そうかな?」
「俺はともかくとして、一夏を見てみろよ。まだ半裸だぜ」
「わぁっ!?」
「……顔を赤くして一夏の半裸を見てる……ハッ!? よもや貴様もホモか……」
「おい、穂次。自重するって言ってたよな?」
「うん。ゴメン。謝るから。謝るから睨むな。鬼を思い出すだろ?」
「……鬼?」
「きっとデュノアもテレビで一度は見たことのある、有名な鬼さ。名前はチフユ。伝説のスーパー超人だ」
「まあココでの発言は聞こえてないと思うだろ? 本当に、思ってたんだけどなぁ……」
「一夏、あの時のことは忘れるんだ……いや、忘れてはいけない」
「だな。というか、お前ら着替えるの早すぎるだろ」
「一夏が遅いに一票」
「えっと、二票?」
「そりゃぁないぜ」
肩を落として、少しだけ着替えるのを早くした一夏。そんな一夏を顔を真っ赤にしながら凝視しているデュノア。コイツ、マジなヤツか……。一夏の貞操が危険で面白い。
ヘラヘラ笑ってる俺に気付いたのかデュノアは俺に振り向いて顔を青くする。大丈夫だぜ、デュノア。俺は面白い限り、お前の味方だ!
「よし、さあ行こうぜ」
「へいへい。ほら、デュノアも顔を真っ青にしてねぇで行くぞー」
「う、うん」
「というか、デュノアのヤツって着易そうだな。どこのヤツ?」
「あ、うん。デュノア社製のオリジナルだよ。ベースはファランクスだけど、ほとんどフルオーダー品だね」
「へー。穂次も俺と違うよな、そういえば」
「ま、俺様はァ、 と、く、べ、つ、ってヤツですからぁ」
「そうだな、よかったな」
「その反応もキツイんだよなぁ……まあ、俺のは政府から支給されたやつだからな。コレでもデータ取りとか色々任されてるんだぜ」
「ふーん」
「あれ? 興味なさげ?」
「興味ないっていうか、穂次の言ってることだから嘘っぽいっていうか」
「あっるぇ? 俺ってそこまで信じられてないのか? 穂次ちゃん悲しいなぁ! 泣いちゃうぞ!?」
「へえ」
「……デュノア、慰めてくれ」
「えっと、頑張ってね?」
「…………」
「え? 何か間違った? ゴメン」
「いや、普通に優しくしてくれるヤツなんてこの学園に居なかったから……マジ泣きしそう」
「え!?」
手の甲で目元を拭う。手が濡れた気がするがコレは涙ではない。そう汗なのだ。汗に決まってるだろ!
慌てた様に俺と一夏を交互に見てるデュノア。まあ、心配されるのは性に合わないのでスグに立ち直る。
「つーか、デュノアって、デュノア社に関係してるの? 間違ってたら悪いけど」
「うん。父が社長をしているんだ。一応、フランスで一番大きいIS関係の会社だと思うよ」
「じゃあ、デュノアって社長の息子なのか。 道理で」
「道理でって?」
「なんつうか気品っていうか……あー、穂次。いい言葉ないか?」
「王子様。もしくは貴公子。いっそ横文字でプリンス様、ってのもアリだな!」
「ソレだ! なんかいいところの育ちって感じがするんだよな。納得した」
「いいところねぇ……。」
「ん?」
「ま、いいところかどうかは人によりけりって事だろ。そこらは軽ーく流そうぜ」
「――そうだね。それより織斑くんだってあの織斑千冬さんの弟じゃないか」
「ハッハッ、コヤツめ」
「へ?」
「有名である事がイイ事じゃないってこと。まあ特に一夏の場合は織斑先生だし、弟だし」
「というか、なんでお前だけ地雷を踏まれてないんだよ。ずるいぞ、穂次」
「ハッハッ。俺の地雷なんて全部踏み抜かれたあとだわ!」
「?」
「穂次、泣いてもいいんだぞ? 放っていくけど」
「酷スギィ!」
「フッ、ふふ。アハハ」
「お、やっと笑ったな、デュノア。爽やかな笑いよりも軽快に笑ってやろうぜ!」
「お前はちょっとぐらい真面目な顔をした方がいいぞ」
「そうだね、夏野くんはちょっとへらへらしすぎかも」
「ひぇっ……ダメだし早すぎぃ。あーそれと。名前でいいぞ」
「俺も名前を呼び捨てでいい。というか苗字だとほら、うん」
「わかったよ、一夏、穂次。僕もシャルルでいいよ」
「んじゃ、まあ、ヨロシク。シャルル」
「よろしくね!」
「というか、急がないとヤバイぞ……最悪、穂次を犠牲にするまである」
「ないよ! そんな選択肢ねぇよ!」
「穂次は僕らを守る為に散ったんだ……!」
「散らねぇよ! つーか、俺が散っても第二第三の俺が」
「それこそないだろ」
「ないの? ジャパニーズキンタロキャンディみたいに出てくるとか……」
「ねぇよ! 怖いよ! 俺を切ったら俺が出てくるの!?」
そんな軽口を言い合いながら俺たちは早足で歩く。走れば元も子もない。織斑先生はいつ何時でも俺たちを見守ってくださっているのだ……。実際怖い。
「遅い!」
「穂次が悪いです」
「コイツ、人を容易く売りやがった……」
「夏野。またお前が原因か」
「そして信じやがりましたよ、この鬼」
「あ゛ん?」
「イヤー! スイマセン! 俺がシャルルと一夏を弄ってたら思ったよりも時間が掛かって! いやー! ホントすいません! 決してアナタ様の溺愛している弟様が悪い訳では」
「夏野。後で指導室に来い」
「ヒェッ……今のどこに俺の悪い要素があったんですかね……」
「むしろ悪い要素ぐらいしかない気がしたけど……?」
「おっとシャルル。ソレは言わないお約束だゾ☆」
「う、うん?」
釈然としていないシャルルと俺を生贄にしやがった一夏と一緒に列に並ぶ。
一夏を睨んで見れば少しだけ眉尻を下げて、片手だけで軽く謝ってきた。許す。
「ずいぶんとゆっくりでしたのね」
「いやぁ、セシリアさん今日もまたお美しい。そのボディのメリハリは本当に素晴らしい!」
「…………」
「すっげぇ、視線がキツクなったんだけど……」
「当然だね」
「うひぃ、シャルルも厳しいよぉ……一夏ぁ」
「話しかけるな。千冬姉が凄い睨んでるぞ」
「ヒッ……」
怯えた様に黙る俺に対してニッコリと笑った織斑先生がまるで見せしめの様にシュッセキボで俺を叩いた。解せぬ……。いや、お陰でスムーズに授業は進んでいるのだが……。誰が俺の心を癒してくれるんですかね……。
「今日は戦闘を実演してもらおう。――凰! オルコット!」
「あら? 穂次さんじゃありませんのね」
「そりゃぁ、俺なんかよりもエリートのセシリアさんとか鈴音さんの方が選ばれるでしょ」
「その阿呆の武装は盾だけだ。そんなモノで実演など出来るか」
「らしいッス……あれ? 視界が歪んできたぞ……」
チクショウめ。俺だって、やれば出来るんだぞ! 盾で殴ったり! 何よりこの盾の凄いところは攻撃を防御できるんだぜ……! 涙出てきた……。
シャルルの優しい眼差しが辛い。くっ、優しさなんかには負けないんだからッ!
「ほら、穂次は二人目だから大事にされてるんだよ」
「優しさには勝てなかったよ……」
「え?」
「ナンデモナイデス」
普通に慰められた……、いや、それはそれで辛いんだけど。というか俺って二人目な筈なんだよなぁ。扱いが酷くないですかね? あ、普通? ソウデスネ。
「それで、相手はドチラに? わたくしは鈴音さんとの勝負でも構いませんが」
「ふふん、返り討ちにしてあげるわ」
「いいぞー! やれやれー!」
「その前にアレを撃ち落としますか?」
「そうね。それには同意だわ」
「ヒェッ……目がマジですよ! 二人共!」
「馬鹿を弄るのもそこまでにしていろ。対戦相手は――」
と織斑先生が零したところで耳を貫くような高音。確か一夏が地面にぶつかった時もこんな感じの音が鳴ってたなぁ……。と空を見上げる。何かの粒が見える。ソレはかなりの速度で大きくなっている。
「あれはなんだ!? 鳥か!? 飛行機か!?」
「いや、違う! ……え? マジでな――」
「あああああーっ! どいてくださいー!」
俺のノリに一夏が着いてきている途中でその飛来物の叫びが聞こえた。
あ、これはヤバイヤツだ。
後ろに逸らす事も出来ない。なんせ後ろには専用機を持っていない、つまり咄嗟にISを装備出来ない少女たちがいるのだ。
「村雨!」
ISの名前を叫び、世界が静かに、そして澄んで見える。あれ、山田先生かよ……。代表候補生は天然ボケばかりかッ!
左腕に備え付けられた盾を掲げながら、右手で左腕を押さえる。歯を食いしばり、来るであろう衝撃に備えた。
「ッ――!」
衝撃に呼吸が止まる。
脚部のバーニアを吹かし、これ以上後ろにはいかない様にする。適度に速度さえ落ちればいい。ソレであとは山田先生に任せればいい。
弾いてはいけない。逸らしてはいけない。力を抜いてはいけない。
そうだ、夏野穂次! 刮目せよ!
今お前の目の前にはたわわに実るおっぱいがあるのだぞッ!!
「おっぱいスゲー!!」
思わず叫んでしまった言葉が悪かったのか、それとも山田先生の操作ミスなのか、アチラの出力が上がった気がした。きっと後者、いや、ISがバグを起こしたんだろうな!
軌道調整が上手くいったのか、というよりは山田先生が上手く移動したのだろう。衝撃は後ろに行かず、俺は山田先生に潰された。
「穂次! 大丈夫!?」
「穂次さん!」
鈴音さんとセシリアさんの心配そうな声が聞こえる。何も問題はない。むしろ俺はハッピーなのだ。今の俺に触れるな。
俺はしっかりと山田先生のクッションとなって地面に横たわっている。いいや、山田先生のクッションが俺の顔に当たっているんだから! コレを最高といわずになんと言う! うはぁ! 体勢的に仕方なく抑えられている腕が動いたなら俺は迷わずこのおっぱいを触ったね! 間違いない!
「んはぁ! おっぱいだ! おっぱいぃ!」
「…………」
ガチャリと重厚な音がした。ハイパーセンサーで捉えたセシリア様からスターライトmkⅢをお持ちである。とても綺麗な笑顔で、コチラに銃口を向けていらっしゃる。あ、コレは死んだな……。
「あ、あの、オルコットさん? 私、状況がわからないんですが……」
「退いて下さいませ、山田先生。そこのクズを掃除します」
「ひえ、待った。待って下さい山田先生! 俺はただ山田先生のおっぱいを堪能していただけなんです! 俺は悪くないんです!」
「チョット待って下さいね。私も一撃いれておきますから」
「ゼロ距離でアサルトライフルはどうかと思アガガガガガガガ」
「ふぅ、すいませんでした。 夏野君、ありがとうございます」
「1マガジンしっかり撃ち終わった後にソレを言うのってどうなんスかね……まあ、俺も楽しんだのでいいッスよ! ナイスおっぱい!」
「それじゃあオルコットさん。コレをあげます」
「ええ。どうも」
「ヒッ……織斑先生! 授業が滞ってますよ!」
「お前の所為だろう、阿呆」
「被害者なんだよなぁ……」
「何か言ったか? 阿呆。お前の実力不足だ。精進しろ」
「ういッス……夏野穂次、ガンバリマス!」
「さて、この気持ち悪い物体は放置して。山田先生はコレでも元代表候補生だった人だ」
「へー……」
「あんな操縦見せられて信用できないと思うけど、皆、その時の代表を思い出すんだ! そこにいる鬼だぞ!」
「夏野」
「アッハイ、正座してます」
「うむ。まあ信用ならない様なら実力で、だ。そこの小娘二人程度なら同時に相手しても問題ないだろう」
「なっ……!?」
「いや、さすがにソレは……」
「山田先生。コレが今のアナタの評価だ」
「ふぇ……私って皆さんに弱いって思われてたんですね……」
「そんな!? 俺は山田先生の事はずっとおっぱいが強い人だって思ってましたよ!」
「夏野君? 終わったら職員室に来ましょうね?」
「はい……あれ? なんでだろ、着々と説教の予定が立てられてるぞ……」
「穂次、君は実に馬鹿だなぁ……」
「知ってるゾ☆」
一夏の言葉に即座に返答する。返答した後に自分で言ってて悲しくなった。でも涙は流さない。だって男の子ダモンッ!
はてさて、冷たい視線を受けて現実逃避を続行する。クラスメイト達の視線が冷たすぎる。しかも現実逃避しててもハイパーセンサーが情報を拾ってくるから知ってしまう。
ISが優秀すぎるのも考え物だなぁ……モウムリ、現実逃避シヨ。
>>優しさになんて負けないんだからッ!
即オチ2コマ。何かといって穂次もチョロそう。
>>山田真耶、突貫します!
ないす、おっぱい。
>>「んはぁ! おっぱいだ!」
禁断症状。
ちなみに体勢は山田先生を四つんヴァインにしておっぱいの来る位置に穂次の頭がある感じです。素敵なクッションをありがとう。
>>短くない?
感覚が狂ってる証拠ですね。
というか日中連続更新だから多少はね?