ーーー海浜幕張駅前ーーーー
「せんぱいそろそろ来るかなー……」
「いろはちゃーん!」
いろはが振り返るとそこには由比ヶ浜の姿があった。
「あれ?結衣先輩なんでここに??」
尋ねると由比ヶ浜は言葉を濁さずはっきり答えた。
「ヒッキーに連絡したらいろはちゃんと行くって言ってたから!」
「そうなんですかー!頼もしい先輩2人といけるなんてよかったです♪」
(せんぱい……こーゆー時は空気読んで2人で行くとかしてくださいよ〜!そりゃ結衣先輩もせんぱいの事好きって言ってたけど…対等って言ったけど…独り占めしたかった)
「お前ら早いな、まだ15分前だぞ」
いろはと由比ヶ浜が話しているところに聞き覚えのある声がした。
「普通ですよー、待たせるのは嫌いですからね私♪」
そう言うと八幡の近くに寄っていくいろは。
「お、おう、そ、そうなのか」
(こいつなんでこんな笑顔なの?その瞬きの速さったら「せんぱい空気読めなさすぎて死んでください」って言ってるみたいだからやめようね。瞬きで言葉がわかるようになっちゃったのな俺。って事はこれでぼっちではなくなるのか。え?ちがう?違いますね)
「ヒッキー遅いー!ゆきのん怒っちゃうよ!」
いつもの調子で由比ヶ浜が話しかける。
「そうだな、行くか」
雪ノ下の家は海浜幕張駅から徒歩で行ける距離にあるマンションに住んでいる。1人暮らしとはまたお金持ちだなあと八幡は改めて実感する。
ーーーー雪ノ下家ーーーーー
ピンポーン
「こんにちはー!結衣だよー!」
インターホンを押すと大声で由比ヶ浜が言った。まるで初めて家に遊びに行く無邪気の子供のように。
ガチャッ、っと音ともに雪ノ下が出てきた。
「こんにちは、由比ヶ浜さん、一色さん」
「俺もいるんだけど、何見えてないの?目を合わせたくないの?新手のいじめ?」
彼女はそれを聞いて笑みを浮かべている。
「冗談よ、その腐敗した目と視線を一緒にしたくなかっただけよ」
「はぁ…そんなに嫌なら呼ばなければよかったんじゃないですかねえ…」
八幡が皮肉のようにそう呟く。
「じょ、冗談よ、だから言ってるじゃない、戯れよ」
「だからお前は何を気取ってるんだ?」
玄関でそのようなやり取りをしている2人。そのやり取りが終わり全員家の中に入った。
「うわ〜!雪ノ下先輩の家って広いんですね!羨ましいです!」
「そんなに羨むこともないのだけれど、1人というものは楽ね」
「いーまーはそんなことないでしょーゆきのん!」
「ゆ、由比ヶ浜さん…ち、近いわ」
雪ノ下が何故戸惑ってるかというと、由比ヶ浜が抱きついてソファーに押し倒して頬ずりしているからだ。
(あれ、これって百合ヶ浜さんと百合ノ下さんじゃないですか、普通の男だったら喜ばしいのだろうが俺は嬉しくない。本当に別に嬉しくないんだからね!?雪ノ下の上に由比ヶ浜の胸が押さつけられてるとか見えてないからね!だが、氷の女王を照れさせるなんて百合ヶ浜恐るべし)
「せんぱい〜何見てるんですか??」
「なんも見てねーよ、勉強するんだろ?早く済ませようぜ」
怖いんだっていろはす…その笑顔で目をパチパチさせるのやめようね?「死んでくださいど変態せんぱい」って言ってるようだからね。
「じゃあ今紅茶淹れるわね、あとクッキーも作っておいたの」
美味しそうなクッキーが並んでいる。雪ノ下も彼女達が来る事を割と楽しみにしていたのかもしれない。
「お前準備良いな」
「やったー!ゆきのんのクッキーだー!」
「わー♪ありがとうございます♪」
「さ、勉強を始めましょうか」
雪ノ下&由比ヶ浜
「ゆきのんー!これはわからないー!なんでsinとかcosとかtanとか使うの!」
「貴方よく高校生やってこれたわね…」
呆れた顔で雪ノ下は由比ヶ浜を見て溜息をついた。
「ゆきのん!厳かってなんて読むの?早急ってそうきゅうって読むんだよね?」
手を顔に当てて困った顔をしている。
「由比ヶ浜さん、貴方毎日私の家来て春休みは勉強しなさい」
「よろしくお願いします…」
由比ヶ浜の落ち込み、自分の勉強のできなさを嘆いた。
八幡&いろは
「せんぱい、2次関数の方程式って…これで良いんですか??
「おー、そうそう、お前数学とか出来んのな」
「これくらい普通です♪」
高校1年生でも少し難しい感じの問題を難なく解くいろはは得意げな顔をした。
「せんぱい、国語の現文の漢字これであってます??」
「見せてみ…おー殆ど合ってる、お前頭悪そうに見えて割と頭良いのな」
「むっ!その言い方はなんですか!むーーー!!」
ポコポコと軽くパンチを繰り出すいろは。
八幡は何食わぬ顔でそのパンチを食らっている。
「はいはい、可愛い事はわかったから勉強しような」
〜3時間後〜
「もう21時になるのね、みんなはお風呂入るのよね?」
「いや俺は入ってきたから良いぞ」
「私は入ってないー!」
「私もです〜!」
勉強も一息つき、一同が眠そうにしていたので雪ノ下がそう提案した。
「そう、じゃあ、私は最後に入るから「えー3人で入ろうよー!」
「そうですよー!修学旅行みたいで楽しそうです♪」
由比ヶ浜といろはが雪ノ下にいうと彼女は照れていた。
「い、いえ私はいいわよ」
「そんな事言わずにー!「行きますよー!」
2人は雪ノ下を無理矢理風呂場まで連れて言った。1人になった八幡はというと本を読んでいる。
(1人になっちまった…はっ!いかんいかん、俺は独りで生きてきた人間だ…でもあいつらといると心地が良いと言うかなんというか)
本を読みながら本な事を思う八幡。
するとお風呂のほうから声が聞こえる。
「雪ノ下先輩、肌綺麗ですねー!」
「そんな事ないわよ、一色さんだって綺麗じゃない」
「2人とも綺麗だって!私少し肌荒れてきちゃって…しかも何故か肩も凝るんだよねー!」
由比ヶ浜のその発言が2人の何か癇に障ったのか、2人で彼女を凝視する。
「(結衣先輩…やっぱ大きいな…私は雪ノ下先輩よりある…よね?)」
「(……大きい……)」
「ど、どうしたの2人とも!」
2人は深く大きな溜息を吐いた。
それからは恋愛の話をしたり、勉強や学校の事等、極普通の女の子の会話をしていた。
「そう言えばーせんぱいって元からあんなに捻くれてて腐ってるんですか?」
「そうね、奉仕部に入部してきた時の目の腐り方と言ったら失笑だったわ」
「で、でもヒッキー最初から優しかったよ!少し不器用だけど」
3人で一瞬の沈黙があったがすぐ笑顔になった。
「まあでもせんぱいはせんぱいで良い所いっぱいありますもんね!まあまあ良い事言いますし」
「……まあそうね」
「……うん」
3人の思考回路が重なったのか、あのシーンの回想が浮かんでいるようだ。
「俺は……本物が欲しい……」
彼が初めて心の内をさらけ出した瞬間だった。
人との繋がりは麻薬だ、友達とは裏切られる事を許容しなければいけない、ぼっち最高等を口にした彼だが、この時は本当に自分の「本物」の気持ちを彼女達に伝えたのではないだろうか。
3人は思い出し、笑い、そして目を合わせてまた笑っていた。
「私、だからこそ2人には絶対に負けませんからね!」
「ええ、わかってるわ」
「わ、私だって負けないからね!いろはちゃん!ゆきのん!」
その笑い声を聞きながら八幡はくしゃみをしていた。
「な、なんだ、誰か俺の噂を?小町か戸塚だなきっと。俺ってば愛されてるなあ」
「まあいいや、あいつらが出てくる前にトイレいってくるか」
だがしかしここで八幡に思わぬ出来事があった。浴室の脱衣所のドアが開いていたのだ。
「なっ……」
(幸いまだ誰も出てきてないからハーレム展開はないぞ、よかった。だけど下着とかそこら辺に置いて置くなよ。俺も一応男なんだから興味あるんだよ?まあ流石に知り合いのを見るなんてゲスな事はしないけどな。浴室の横にトイレがあるので必然とそこは見えてしまう。面倒臭い状況に陥る前にドアを閉めておこう、俺ってちょー紳士)
ガラガラガラ……
「じゃー私先に出ますね!」
(なん…だと…
この状況であいつが出てきたら俺がドアを少し開けて覗き見してるみたいじゃねーか。
どうする、どうする俺!
1.堂々と覗き見だと言う
2.土下座で謝る
3.踏ん反り、お前らがドアを開けていたのが悪いという
あー、どれを取っても俺の死は免れないらしいですね。ここは潔く土下座しよう。媚びる時はプライドを捨てて媚びる。)
八幡が心の中で一人でやり取りをしていたら、
ガラガラガラガラ……
「へ?」
「あ…」
「っっっ!!!!せんぱいの変態ー!!!」
タオル一枚に包まったいろはが出てきたのだ。
八幡が自問自答を繰り返している時、ドアを開けて出てきたのだ。
「い、一色さん!?」
「どうしたのいろはちゃん!!」
2人も慌てて浴室から出てきたのでタオル一枚を包んでいるだけだ。
「「「あ」」」
この後の八幡の処遇は言うまでもなかった。
「で?ゲス谷君?弁解の余地はあるのかしら?」
「いや、待てちゃんと聞け、お前らが脱衣所のドアを開けていたから俺が閉めようと「ヒッキー最低…」
やっぱそうなるよね、八幡知ってた。なんでも知ってるお兄さんだよもう。
俺はキラじゃない信じてくれよ!
「せんぱい…わ、私の裸見ましたよね!万死に値します!死んでください!」
この子は直ぐ俺の事を三途の河を渡らせたがるんだから。地味に俺のライフポイントを削ってくる。そして誰の真似?慢心王さん?
「本当に信じてくれ、俺は無罪だ」
八幡が深々と頭を下げる姿を見ていろはが何を企んだのか、こんな事を言い出した。
「じゃーわかりました、今からする質問に答えてくれたらいいですよ」
「な、なんだよ」
「さ、3人の中で誰が一番お風呂上がり綺麗でした?」
「……は?」
八幡は不意を突かれた質問をされたのか声が裏返ってしまった。
「早く答えてくださいよ〜♪私の裸見ましたよね?ね?結衣先輩も雪ノ下先輩のも全部ではないけど見ましたよね?♪」
(こいつ悪魔だ、ドルマゲスかな?ラプソーンかな?
だがしかし俺がノーダメージ且つ奴らにもノーダメージで切り抜けられる方法がないなこりゃ。一番ダメージが少ないのは一色だ。だがしかし後ろの2人がどんな言葉を放ってくるかわらかない特に雪ノ下。どうするべきか…)
「答えられないんですか!もういいですSNSに投稿します!」
「……一色」
「え…?」
「お前が一番小町に似て綺麗だった」
そう言うといろは照れて黙り込んでしまったが、直ぐに
「な、なんで妹さんとに似てるで私なんですか!年下だからですかー!」
「いや本当に本当に綺麗綺麗、これでいい?」
その様子を見ていた雪ノ下と由比ヶ浜は笑っていた。やはり彼らしい、と。
「でも比企谷君、貴方が覗きをする勇気がないのはわかっているのだけれど説教よ、覚悟しなさい」
「私からも色々言わせてもらうからね!」
「私もです♪覚悟してくださいね、先輩♪」
(あーこれ面倒臭いくらい長々と文句言われて一方的に俺が責められる奴だ。この光景クラスで見た事あるな。苛めってやつ。もうやめて八幡のライフはゼロなのよ!)
4人で過ごす勉強合宿の夜はここで幕を閉じた。
地の文が凄い雑になっていてすいません。
書き方があまりよくわからないのでそこら辺把握して読んでくださいw
UA2万突破しました!ありがとうございます!
これからも宜しくお願いします!
感想やアドバイスもよろしくです!