黒鉄一輝が転生した先は、風情ある田舎の屋敷で、そこの主、黒神龍次郎に保護されたのだが、敢て、龍月は、顔を中性的な顔立ち、つまり女顔の少年へと転生させたのであった。
黒鉄一輝はどうやら前世の記憶を持ったまま、転生したので、
「お願いがあるんですが」
「いいだろう、話して見なさい」
「はい、実は・・・」
自分が此処に来るまでの経緯を黒神龍次郎に話すことにしたのであった。
幼い頃から実父である黒鉄巌から魔力が無いという理由だけで、虐待、通っている学校への圧力、それによる留年、そして、実父からの間接的な殺人行為など、今まで経験したことを見知らぬあって間もない、屋敷の主、黒神龍次郎に包み隠さず、何の偽りもなく、すべて話したのであった。
「なるほど、よく、頑張ったな、そうだ、これからどうするのだ? 行く宛はあるのか?」
「実は、自分には、将来を誓い合った、恋人がいます、その人を探しに行こうと」
「だがな、今、君は世間では死んだことになってる」
「あ」
「まさか、その様子だと、考えてなかったんだな(´・ω・`)」
「はい(≧◇≦)‼」
屋敷の主、黒神龍次郎は決して、黒鉄巌のような、吐き気が来る混沌でもなく、鬼でも悪魔でもない、そこは、助け船を出せないわけがないのだが、困ったことが出来てしまった、現在、黒鉄一輝が新聞に載っている通り、死んだごとになっているのと、顔が女顔になっているので、本名の「黒鉄一輝」と名乗れないことに、今まで気づかなかった一輝は笑顔で返事を返したので、龍次郎を呆れさせてしまったのであった。
このままでは路銀を稼いで、ステラ・ヴァーミリオンを探しに行けないことに気付いたのだが、ふと、一輝はある物に目がいったのであった。
「この写真に写ってるのは?」
「ああ、わたしの甥っ子達だよ、妹夫婦がまたに遊びに来るんだよ、ちょうど君と同い年くらいだな、それに、君と一緒で、みんな、武術経験があるんだよ」
「そうなんですか、失礼ですが、妹さんのお名前は?」
「蓮、まだいるんだがな、今は神楽堂家に嫁いでいるんだ」
「神楽堂、あの~鳴流神という名字に心当たりはありませんか?」
「君‼ 龍翔君兄妹のことを知っているのか?」
「実は、十年前に助けてもらったことがあって」
「うむ、それなら話が早い、そうだ、今日から、うちの子にならんか?」
「え、良いんですか?」
「ああ、例え、黒鉄家の圧力があろうが、君は君だ、そして、この黒神家の子だ、血が繋がろうが関係ない」
「はい‼ 不束者ですが、今日からお願いします‼」
そう、龍次郎夫婦と一緒に仲良く並んで写っている神楽堂家の面々を見て、こんな家族に憧れていた自分がいたことを認識していた一輝に龍次郎は養子にならないかと申し出てきたので、一輝はその申し出を受けることになったのであった。