黒鉄一輝がエピタフの奥の手で操られてしまい、戦うしか助ける方法が無くなってしまった冬龍達だったが、ステラ・ヴァーミリオンが立ちはだかり、炎を纏った剣を実体化させて、刺し違える覚悟だという目をした状態で、エピタフに操らている一輝に剣を向けて、
「一輝‼」
「うぉおおお‼」
「見ちゃダメ‼」
「え‼」
「ザクッ‼」
特攻を仕掛けて行ったのである。
冬龍は咄嗟にレナの顔を覆うように抱きつき、夏龍とルーシーは目を背けたのである。
それから何かが刺さった音し、倒れた音が聞こえてきたのである。
「一輝・・・」
「ステラ・・・」
「うわぁっぁっぁぁぁぁ‼」
そう一輝とステラはお互いの心臓を貫き、そして抱き合うように倒れて、そして、口づけをしたまま息を引き取ってしまい、それを止めることが出来なかった夏龍とルーシーはその場で絶叫したのであった。
それから数分が経って、
「オレたち、助けられなかった・・・」
「一輝とステラは何を守って死んでいったの、それがわからない夏龍達じゃないでしょ」
「あ、そうだな」
叔母達が駆けつけてくれて現場検証に入り、事情聴取を受けていた夏龍は目の前で助けられた命を救うことが出来なかったと涙ながら、落胆していたのであった。
龍姫は、織斑千冬なら怒っていたのであろうこの状況を敢て、優しく、以前、ユーリがドンが切腹した際に、カロルに言った言葉を言うと、元気を取り戻したのであった。
そして数日後、
「兄を助けて下さって」
「・・・・?」
「十年前のことですから」
「あの子、これから一人で生きていけるはずだね」
「うん」
黒鉄家で一応、唯一、一輝のことを気にかけていた存在の妹、珠雫が龍姫にお礼を言いにわざわざ、都立来禅高校の校門前で、放課後になるまで待っていたらしく、龍姫に、兄、一輝を助けてくれたことにお礼を言って、走り去っていったのであった。
父親の黒鉄巌とは完全に親子関係が壊滅していたこともあって、今はもう黒鉄家の地位は無くなったも同然、それに巌に下された判決は、無期懲役、つまり一生、塀の向こうで暮らすという実刑判決を言い渡されたらしく、控訴しているという。
龍姫達は走り去っていく、珠雫の姿を見えなくなるまで、強く生きて行けるだろうと言い、帰路に発ったのであった。
「う、ここは?」
「一輝、頭、輪っかが‼」
「ようこそ、転生の間に、わたしは、今日の導き手、綾姫と申します」
「あ、どうも(なんとなく、どこかであった気が)」
龍月が戦乙女ヴァルキリーが送ってきた魂が、まさかの黒鉄一輝とステラ・ヴァーミリ恩だったのが、あまり気にしないで、綾御前の別名を名乗ったのであった。