茶熊学園の修学旅行が終わって、バウルが運んでいるフィエルティア号に乗ってアラマキ島に龍美達が帰還している頃、
「失礼します‼ 黒鉄巌の贈賄並びに威力業務妨害の裏が取れました‼」
「ありがとう、けど、証拠隠滅の恐れがある」
「はい、では、引き続き、調査を続けます‼」
「待ちなさい、そうだわ(もう、あの子も次元武偵の経験を積ませないと)、冬龍にこの案件を持って行きなさい」
「はい、わかりました。失礼しました‼(なるほど、確かに、大人じゃわからないところは子ども目線ってことだな、冬龍ちゃんって、確か、総司令官の義理の孫だったはず、それにまだ九歳だし、まぁ、ルーシーちゃんも同じ歳だし、時空管理局時代の龍翔さんもその頃からバリバリだったよな)」
破軍学園からの依頼と言うより、茶熊学園の学長カムイを通しての依頼らしく、ターゲットはなんと、以前、手合わせした黒鉄一輝の実父の黒鉄巌だったのである。
それは遡ること、十年前、
「ねぇ、名前、教えて、ぼく、鳴流神龍姫」
「黒鉄一輝・・・」
「あ、待ちなよ、おじさん‼」
「ガキが‼」
「わぁ‼ いきなり攻撃はないんじゃないかな?」
「知ったことか‼」
「遅い・・・」
「ふぎゃぁっぁああ‼」
偶然、一度黒鉄一輝と龍姫は出会っていた、だが、龍姫自身が転生する際に、ツクヨミである明が黒鉄一輝と出会った記憶を抹消してしまったのであった。
当時、まだ5~6歳である、龍姫は、産まれ持ち魔力がなかった黒鉄一輝が家族から、愛されておらず、道端のベンチに座っている黒鉄一輝に声を掛けたのである。
龍姫はこのころからお人好しで、七つ離れている兄は時空管理局の嘱託職員だったが、祖父直伝の古武術は、大人が本気を出しても敵わないと謳われたくらいの実力を発揮していたのである。
もちろん、お守りで妖力が封印されている状態であった。
そこに、黒鉄一輝の実父、黒鉄巌が出来損ないと軽蔑している次男、一輝をまるで、使い捨てように扱い出したのを見た龍姫が注意したところ、黒鉄巌が殴りかかって来たのである。
これまた龍姫が躱して、注意すると今度は蹴りを繰り出してきたが、もう既に、龍姫がその場にいなく、落ちていた木の枝で、黒鉄巌の利き腕を
「こんなことをして許されると・・・」
「法が誰かが許しても、ボク達は、許さない」
攻撃し、木の枝でを突き、反撃できない状態にしていたのである。
黒鉄巌は自分が子供に手も足も出なく、反撃不能にされてしまった事実を受け入れなかったのである。
今の自分の姿が、自分が軽蔑し、そして、事実上産まれてなかった来なかったことにした、目の前にいる黒鉄一輝のように
そのまま黒鉄巌は一輝を連れ帰ってしまったが、この出来事が、黒鉄一輝を強くするきっかけになったことを知る由もない。