茶熊学園でも鳴流神家の喫茶店「葵屋」の話は上がっていたのである。
もちろんのことながら、ツキミが得意とする和菓子などもメニューにあるので、老若男女と幅広い世代に愛されているのである。
「リィン達の故郷じゃ、小豆は珍しいんだね」
「はい、そうなんです」
「地球じゃ、珍しくないからね」
「食べたい・・・」
リィン達の生まれ故郷ではどうやら和菓子に使われる餡子の元になる小豆が栽培されていないと言うので、地球で餡子が販売されていることを、文化祭準備の際に知ったリィンは腰を抜かしていたのである。
閑話休題
フィーは涎を垂らしながら食欲をさらけ出していたのである。
「マスター‼」
「どうしたの‼ 敵襲‼」
「違います‼ なのはさんのお産が‼」
「わかった‼ 太陽‼ 月華‼」
「ってことで、行ってきます~‼」
「会長‼」
「会長はアンタだろ‼ オレは、シャルロットじゃねぇっての、太陽と」
「月華だ‼」
龍月のインテリジェントデバイス「ペンドラゴン」に連絡があったようで、龍月が用件を尋ねると、なんと義姉のなのはが産気づいたとのことだったのである。
それを聞いた龍美達はすぐに天界の産婦人科に向かったのである。
ゲオルグは今だに、太陽と月華に茶熊学園の生徒会長の任を任せようとしていたのだが、太陽と月華は軽くあしらって義母の下へ向かったのである。
「あう、はぁ・・・はぁ‼」
「なのは、しっかりしろ、オレが付いてる‼」
「ママ~‼」
「到着‼」
「バイタルは?」
「異常なし‼」
「それじゃあ、行ってくるか」
「恋龍?」
「そっか、忘れてた、恋龍ちゃん、助産師だったね」
分娩台に苦しそうな表情で龍也から魔力を分けてもらって転生した副作用で半妖半神の肉体になってしまったので、白猫耳と尻尾が生えてしまった状態で今にも産まれそうな雰囲気が表れていたのである。
恋龍がいつの間にか手術の服に着替えていたことにきょとんとしてしまったアイリス達だったが、いつもの男勝りで、機械技師のような青いフレームのゴーグルを付けている居眠りの常習犯だが、成績はイクラ組の中でも一番と言う位置に達している恋龍からイメージできない国家資格、助産師の死角を持っていることを幼馴染みの龍月が明かした瞬間、
「れれれれ、恋龍が、助産師Σ(゚Д゚)‼」
「悪いか、行ってくる‼」
「人は見かけじゃわかんねぇもんだな(*´ω`*)」
驚いていたのをよそに分娩室に何食わぬ顔で入って行った恋龍を見送った一行は人は見かけによらないことを思い知ったのであった。