龍美は自分が助けた自分とカスミとミラと同じ美しい大人びた少女、ベルベットを乗せた車椅子を押して、客席に到着したのであった。
そこには、
「あ、お姉ちゃん‼」
「龍姫‼ そうだ、この子のこと頼んで良い? お姉ちゃんはこれからライヴだから」
「いいよ、あ、ボクは鳴流神龍姫です、よろしくお願いします」
「ベルベットだ、姉弟だな」
「あれ、幸成‼ 久しぶり(>_<)‼ 龍月もこれから一緒にライヴだからね‼」
「わかってるよ‼」
龍姫達を含む妹達が席を取ってスリースターズのダンス公演が始まるまで待っていたので、龍美は車椅子に乗せたベルベットを紹介し、龍姫達も自己紹介をして、龍姫にベルベットを預けて、軽音部の公演の準備に向かったのであった。
「あ」
「見つけました」
「ラフィセット‼ おまえ生きていたのか」
「はい、あ、申し遅れました、ボクはラフィセットと言います」
「どうも」
「では、ご命令を」
「命令?」
龍姫達は茶熊学園文化祭のステージの演目の公演を待っていた所に、ヴィヴィオくらいの年頃のクリーム色の髪に白いローブを身に纏った小柄な少年がベルベットに近づいて来たのであった。
その少年にベルベットはラフィセットと呼んで、ラフィセットは自己紹介をして、命令を下すように、龍姫達に言い出したのである。
ラフィセットのその発言に龍姫はラフィセットの前にしゃがんで、
「良い? キミはもう命令はいらない、自分で考えていいんだよ、これからの事を」
「自分で考えるですか?」
「そうだよ、ボク達はこの世界に来ている、人なんだから、今日は、楽しんでいいんだよ」
「はい‼」
これからは自分で考えて行動して良いと諭し、茶熊学園文化祭を楽しんでいいのだと教えて、ラフィセットは怯えながらも笑みを浮かべたのであった。
「お兄ちゃん」
「ミレイユ、大丈夫‼」
講堂にある控室には演劇部の公演の準備でスタンバイ状態のヨシュアが演劇の衣裳に着替えて待っており、ミレイユはヨシュアの緊張をほぐしていたのであった。
だが、事態が急変してしまうとは誰も知る由もなかったのは言うまでもなかった。
「どうしよう(゚Д゚)ノ‼」
「大丈夫、龍美さんとジュードさんがあの子を診てくれてるから、けど、今日の演目には間に合いそうにないって」
演劇部の演目が始まる10分前に突然、ヨシュアの相手役の女子生徒が倒れてしまい、幸いにも軽音部の出番を待っていた龍美と、手が空いていたジュードが診察したのだが、公演に復帰は無理だと言われたので、公演直前にヒロイン不在と言う状況に陥ってしまったヨシュアは慌て出したのであった。