ヨーデル・アギュロス・ヒュラッセインに献上品としてアイリス達の持っているルーンを知ってもらうべくザーフィアス城内を歩いていたのである。
道案内は、以前、アレクセイに攫われたエステルを助けるべく城内を把握していたので、そんなにも時間を掛けずにヨーデルがいる部屋に到着したのである。
「貴様ら‼ ヨーデル様に、謁見の者だな」
「ああ、そうだけど、殿下はいるのか?」
「ユーリさん‼」
「アイリスちゃん、もう手遅れよ、青年の口の悪さは筋金入りなのよ」
「しょうがないな、アイリス達は少し後ろ向いてて」
「はい?」
もちろんそんなに簡単に謁見できるはずもなく、部屋の前に立っていた兵士二人に止められてしまったのである。
元騎士のユーリはいつのようにヨーデルがいることを聞き出したので、真面目で目上には礼儀正しいアイリスはユーリを注意したのだが、レイヴンから注意した所で、ユーリの口の悪さは治らないと言って、龍美が何か閃いた様子で、アイリス達に後ろを向いて欲しいと指示を出したのであった。
「これでも、ヨーデル・アギュロス・ヒュラッセイン皇帝陛下に、会わせてくれないの?」
「わかりました、では、ヨーデル様に謁見の許可を貰ってきます」
「もういいよ」
「龍美、なにしたの?」
「何って、これ見せた」
「それって、冒険者ライセンスですか?」
「その手があったな」
龍美は徐に着ていたジャケットの内ポケットから、二つ折りの手帳のような物を取り出して、兵士二人に見せて、ヨーデルとの謁見の許可を貰いに行かせたのである。
龍美達は、後を向いていたアイリス達に振り返ってもいいと指示を出して、アイリス達は言われるがまま振り返って、キャトラは、龍美に、兵士に何をしたのだと質問して、龍美達は兵士に見せた黒い二つ折りの手帳のような物を見せたのである。
凛々の明星のメンバーはその手があったと今になって思い出したのであった。
アイリス達は冒険者のライセンスを持っているがそれはエルフの女性のラーレッタがとんでもない金額で脅した(?)ことでアイリス達に仕事を手伝わして取得させたものなので、テルカ・リュミレースではなんの効果もないのである。
そう、龍美達が兵士に見せたのは、何を隠そう、膨大な金額でも買えない、特別な試験を掻い潜る必要がなく、取得できる、天界から発行されている顔写真が張ってある、
「まさか‼」
「これがボク達が」
「次元武偵である」
「証だよ‼」
「おっさんも持ってるから、気軽に」
「誰が頼むか(゚Д゚)ノ‼」
次元武偵証を見せたのであった。