昼休みが終わって龍姫達の午後の授業が始まっている頃、フラクシナスでは各自アドリビトムの仕事を片付けていたのであった。
アドリビトムのリーダーのアンジェはメンバーの選出を行っていたが、アンジールに選出しているメンバーがあまりにも偏っていたことに気づいて、注意されながら行っていたのであった。
「それじゃあ、お願いね」
「今日は、オラリオに行けばいいのか」
「ああ、向こうで龍美達の誰かと落ち合う手筈になっている」
「そんじゃ‼ ちょっくら、行ってくるぜ‼」
「ティトレイ‼」
今日は以前、龍造の付き添いで言った迷宮都市、オラリオの魔物を退治するために、同行するメンバーがアンジェとアンジールによって選ばれたのであった。
アドリビトム運営からは、ソーディアン「ディムロス」による火属性晶術と持ち前のタフな肉体を買われたスタン、そしてアドリビトム入りして間もないティトレイ、金目の物には目がないルーティ、そして、元軍人、ユージーン、氷のフォルスと大剣を使うヴェイグがメンバーに選出されて、一足先に龍美達の誰かが一人現地入りしたと言うので、そこで合流して、魔物を討伐することになっているのである。
メンバーが揃ったので、テレプールから迷宮都市オラリオに向かったのだが、ティトレイが相変わらずのテンションであった。
「此処が迷宮都市、オラリオか」
「今日は、バリバリ、稼ぐわよ‼」
「ルーティ、張り切ってるな」
「久しぶりに良い訓練になるな」
「確か、龍美達の誰かがこっちに来ているはずなんだけど?」
無事に迷宮都市に到着したスタン達は合流地点で一足先に現地入りしている龍美達の誰かを待っていたのであった。
しばらく待っていると、
「今日、一日、よろしくお願いします‼」
「龍月が、今日、オレ達と一緒に依頼を遂行するのか?」
「はい‼」
「よろしく、頼む」
白と黒のジャケットに紺色の長ズボンと言う格好の龍月が現れたので、スタン達と一緒に同行することを告げたのである。
スタン達は龍月と言う心強い味方の登場に一段と今回の依頼に対するモチベーションが昂ったのであった。
そして龍月の合流を果たしたので、オラリオの街に入ったのであった。
「此処が、オラリオか‼」
「ティトレイ、キョロキョロするな」
『おい、龍月と言ったか、おまえ、武器はどうしたのだ? 素手は、この先の魔物は困難を極めるぞ』
「ソーディアン、これがボクの同田貫正国です。それと、聞こえていないと思ってましたか? ディムロスさん」
『なんと‼ おまえ、我の声が聞こえる上に、一瞬で剣を出したのか、これは失礼した』
街に入った瞬間、物珍しそうに辺りを見ていたティトレイにユージーンが注意し、スタンのソーディアン「ディムロス」は聞こえているとは知らずに龍月に得物はと聞いたのである。
顔色一つ変えずに龍月は一瞬で粒子化していた愛刀「同田貫正国」を左腰に帯刀して見せたのであった。