空戦魔導士候補生の情熱   作:蒼空の魔導書

7 / 22
お待たせしました!《予科一年生の章》《初めてランキング戦編》開始です!

これに伴って感想を非ログインユーザーでも書けるようにしました!

なにか質問があったらじゃんじゃん書いてください!

ではどうぞ!!



《予科一年生の章》イメージOP『Can Do』

TVアニメ 黒子のバスケ OP1より


予科一年生の章 初めてのランキング戦編
空戦魔導士科(ガーディアン)育成カリキュラム開始


【連続拉致事件】の犯人であるモンド・スミーが拘束されて事件が解決した入学式の日から一週間が経った。

 

モンドの欲望の為に犠牲となった予科生の女子生徒達は二十八人にも及び、予科生というあまりにも幼過ぎる尊い命が失われた悲しみはミストガンの空士達の心に深く刻み込まれこれから同じ様な犠牲者を出すわけにはいかないと全力を尽くす事を心に誓った。

 

なお、犠牲者の死亡の詳細は親族達には伝えないのがミストガンの流儀であり犠牲者の親族達には死亡報告の通知書だけが届けられた。

 

そして現在、このような事件が起きたために数日遅れたが本格的に空戦魔導士科の生徒達の育成カリキュラムが開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクザイル歴四三六年、四月八日

希望の丘(ホープオブヒル)—————————

 

なだらかな丘一面に死亡した学生達を供養する為の白い十字架が無数に建てられたこの場所に今回の犠牲者達は埋葬された。

 

午前六時、今この場所の今回の犠牲者達が埋葬されている十字架の前で空戦魔導士科長(ガーディアンリーダー)のジョバンニ・ジョルフィードとその補佐であるフロン・フラメルが黙祷をしていた。

 

「・・・・・・俺は許せねぇ・・・」

 

黙祷を終えるとジョバンニは今にも激怒しそうな感情を込めて呻く。

 

「ガキ共を・・・増してや女である予科生達の命を己の欲望の為に奪ったゲロ以下の下種野郎のモンド・スミーは勿論だが、何より今回の事件でなにもせずにこのような犠牲者を出し、剰え未熟な新入生に危険な戦いをさせてしまったこの俺自身の事が!」

 

「・・・・・・」

 

血が滲む程強く握りしめている両拳がジョバンニの自分に対する怒りを大きさを物語っていた。こんな事で死ぬことは空士にとって魔甲蟲に墜とされて殉職するより屈辱であろう、そして命のやり取りをするにはまだ早過ぎる入学生であるルーク達に成り行きとはいえ危険な戦闘を余儀なくさせてしまったのだ、本来なら空戦魔導士科長である自分が対処すべき事なのにルーク達が戦闘を終えるまで気付かずにいた自分自身に対してジョバンニは怒りを抱かずにはいられなかった。

 

「・・・お気持ちを御察しします、しかし責任を感じているのなら再びこの様な犠牲を出さぬよう対策を練り行動すべきでしょう、この様なところで感傷に耽っている事ではない筈です」

 

「・・・フラメル・・・」

 

怒り心頭のジョバンニを見かねたフロンがそう言い、ジョバンニが我に返る。

 

「・・・立ち止まっているなんて貴方らしくないわよ、ジョバンニ・ジョルフィード」

 

「・・・・・久しぶりに素で話してくれたなフラメル・・・」

 

いきなり口調を変えて活を入れるフロンに対して懐かしそうにそう言うジョバンニ、どうやらこの喋り方が彼女の素なのだろう。

 

「貴方があまりにもみっともない姿を見せるからよ、貴方は昔からガサツで野蛮で協調性がないわたしの嫌いなタイプの男だったけど、スジの通ってない人間が嫌いで不良の癖に正義感が強くていつも前を向いて歩いている、それがわたしの知るジョバンニ・ジョルフィードという男なのよ、だから前を向きなさい」

 

「・・・・・・ふっ、やれやれだぜ」

 

フロンの活によりジョバンニは今やるべき事に気が付いたようでありそう声を漏らす。

 

「こんな俺だが・・・これからもついて来てくれるかフラメル?」

 

「なにを当たり前な事を言っているの?当然じゃない」

 

気持ちを新たにした二人は決意に満ちた表情で希望の丘を跡にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本棟、空戦魔導士科予科一年C組教室————————

 

「縮退魔力は事象干渉力を高めるために魔力を圧縮させたものなのはもう理解したな?」

 

午前八時より座学の授業が開始されC組では現在《空戦魔導士常識学》の授業が進行中であった。

 

「じゃあ次に射砲撃系の魔装錬金武装に付いている《魔力縮退炉》について説明するぞ」

 

今回たまたまローテーションで授業担当に当たったリーガルが教卓後方にあるホワイトボードの前に空間モニターを出して魔銃、魔砲杖、そして魔砲剣の魔装錬金武装の見取り図をそこに映し出して説明する。

 

「魔力縮退炉っつうのは魔力を流し込む事によってそこで自動的に縮退魔力を精製して蓄える精製炉だ、これらはこの図のように銃系統の武器の弾倉みてぇな形をしていて引き金を引く事によって精製した縮退魔力を自らに流し込み一時的に爆発的に魔力を高めて高威力の戦技を使用できるという代物だな、これが無くとも縮退魔力を精製すんのはできるっちゃあできるんだが・・・戦闘中に縮退魔力を精製している暇なんか普通は無えからな・・・なにか質問はあるか?」

 

「はい質問」

 

「ルークか、何だ?」

 

「縮退魔力を精製している暇がないんならさ、あらかじめ弾丸みたいな物に縮退魔力を内包して大量に持ち歩いてそれを魔力縮退炉に直接籠めて使用した方が効率いいんじゃないの?」

 

「・・・・・・・」

 

ふっ!いいアイディアだろ?とでも言わんばかりにドヤ顔でそう提案するルークだがそれを聞いたリーガルは呆れたようにジト眼になり、周りも沈黙して何とも言えない空気を漂わせていた、何故なら————

 

「あのな・・・そんなガキでも思い付くようなことが提案されなかったと思っているのか?・・・考えてもみろ、この魔甲蟲が蔓延る世界状勢でそんな物を作る素材が足りると思ってんのか?んでもって世界中の空戦魔導士がそんな物を消費し続けたらどうなると思うんだ?」

 

「へっ?そりゃぁ・・・」

 

「費用(コスト)が馬鹿みてーに掛かんだろーな、だから却下された」

 

「その通りだカナタ」

 

「・・・・・」

 

そう、それを製作して使用し続けるには材料が無限に必要なために費用が莫大に掛かる、仮にあったとしても世界に魔甲蟲が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)していて今も色々な物が不足しているこの世界の人間達にそんな物を作って使用し続ける事など不可能だ。リーガルが逆に質問した事をルークの後ろの後ろの席で両腕を後頭部に組んで背もたれに寄り掛かってだらしない体勢で座って聞いていたカナタがルークの代わりにそう答えてルークは落胆して項垂れた。

 

「さて、これで今日やる内容は全部終わったわけだが、時間が余ったな・・・ふっ、仕方ねーなー」

 

思ったより早く今日やる授業内容が終わってしまい授業時間が余ってしまったが、それを見兼ねたリーガルが何故か照れるように右手で自分の後頭部をぼりぼりと掻きながら教卓の中から木の棒と木の板を取り出した。

 

「今から入学式の日に言った俺の特技を特別に披露してやるぜ!よく見てな!!」

 

「げっ!?おいリーガル!こんなところで火なんか熾したr「ウロロロロロロロロッ!!!」って聞いてねー!?」

 

リーガルが木の棒を教卓の上に水平に置いた木の板に突き立てて木の棒を両掌で挟んで空戦魔導士の並外れた動体視力をもってしてもまるで止まって見える程の超高速で木の棒をスクリュー回転させて木の板に擦り付け始めたところで昔からの知り合いであるカナタが止めようとするがリーガルは止まらない、そしてすぐに火が付いた。

 

ここは公共施設である学園の教室内だ、そんなところで火を熾せばどうなるかというと———

 

「きゃあああああぁぁぁっ!?」

 

「スプリンクラーから水が!」

 

「もぉびしょ濡れぇ」

 

当然防火設備である天井のスプリンクラーから水がシャワーとなって教室全体に降り注ぎC組の教室内はパニック状態となった。

 

「・・・・これから退屈しなさそうですね、やれやれ・・・」

 

これでは先が思い遣られると言うかのように今も項垂れているルークの後ろの席のロイドはそうぼやいて溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園浮遊都市ミストガン第三訓練空域————————

 

現在午後一時、本来ならば午後からは各小隊ごとに集まって訓練やランキング戦の為のミーティングなどの小隊活動の時間なのだが、この日の予科一年生は戦闘ポジションの適性検査があった。

 

ミストガンの飛行高度は約3000mでありそれの更に上空の高度4000mの第三訓練空域に予科一年C組の生徒達と検査の試験官である本科三年生の生徒の姿があった。

 

「これで最後だぜ!」

 

この場所は蒼穹の空と遥か先まで続く雲海しか無く当然地面など無い、したがってここにいる人間達は皆飛行魔術を使用して滞空している。

 

人類の最大の敵、魔甲蟲の中でも最も多いデカいハエの様な形状をした化物————《アルケナル級》を模した《飛翔標的(ダミーバード)》の群、百二十体を的としてそれを予科一年生の生徒達が三人一組(スリーマンセル)で組んだ即席小隊で一組毎に全て自由に撃破していき、試験官がその戦闘を観てそれぞれのポジション適正を評価するというのが適性検査の内容であり、たった今ルーク・カナタ・ロイドの三人で組んだ小隊が飛翔標的を全て撃破して検査を終えたところだった。

 

「・・・何で標的が風船なんだ?俺達を馬鹿にしてんのか!?」

 

飛翔標的は実際はアルケナル級を模した赤い風船でありフワフワノロノロと其処らに漂うそれ等をただただ割っていくだけの作業という内容にルークは苛立っていた。

 

『11班検査終了、今から検査結果を伝えます、心して聞く様に』

 

そんな時試験官が通信結晶を通してルーク達に適正ポジションを発表し出した。

 

『ルーク・スカイウィンドとカナタ・エイジ、共に前衛適正が最も高いと結果が出ました、それにカナタ・エイジは魔砲剣士なので前衛をメインとしてたまに中衛に下がって砲撃するなど臨機応変の戦闘をするとよいでしょう』

 

「ん、前衛か・・・まあ予想通りだな」

 

「ていうか俺前衛しかできねぇしな・・・・そんなことより————」

 

ルークは前衛であることは初めから判り切っていたのでどうでもよく、それよりもこのふざけた検査内容について試験官に問い質す事のほうが重要だった。

 

「おい!なんなんだこの検査内容は!?風船を割る程度の事俺達が出来ないと思ってんのか!?」

 

ルークが通信結晶越しに怒鳴る。

 

『これは小隊の訓練にも採用されている立派な検査法です、それに逆に言わせればその程度の事も出来ないようじゃとても実戦になど出せないという事に他なりません』

 

「むしろこんな事もできねぇ小隊なんてあんのかよ?」

 

「もしあったらその小隊はEランク通り越してFランク小隊なんて呼ばれんだろーな」

 

「いや、ありえねぇだろ流石に・・・」

 

『・・・わかりましたね、ではこれで適正検査を終了します、速やかに解散するように!』

 

雑談をしている間に試験官が終了の指示をルーク達に伝えてルーク達の戦闘ポジション適正検査が終わった————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・僕は?」

 

試験官からも存在を認知されない程ウスィー存在感なロイドであった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

ルーク「遂に始まったぜ!俺達の最強を目指す物語が!」

カナタ「ああそうだな、へっ!楽しみだぜ!」

クロエ「でもそんなに簡単な道じゃないよ、これからランキング戦でミストガンの猛者達と試合をして勝っていかないといけないし」

ルーク「問題ねぇよ!俺達ならやれるぜ!それに勝つ為に助っ人を用意してるしな!!」

カナタ&クロエ「「助っ人?」」

次回、空戦魔導士候補生の情熱『ランキング戦の内容と新たな仲間』

ルーク「翔け抜けろ!最強への翼の道(ウィングロード)!!」


《初めてのランキング戦編》イメージED『ハレルヤ』

TVアニメ 空戦魔導士候補生の教官 EDより

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。