シャルル・デュノアとラウラ・ボーデヴィヒが一年一組に転入して早三日。
初日にラウラが教室とアリーナで起こした騒動以外、特に異変も起こらず、ラウラ自身もその後は特に問題を起こさず、授業態度も真面目で至って静かなもの。寧ろ事ある毎にIS関連の授業を妨害する篠ノ乃箒の方が煩わしいとさえ言える状況。
そして一人部屋だったリィンの部屋にシャルルが入る事になったのもさほど驚く事じゃない。むしろ未だに同室のままになってる千夏と箒の方が問題だと思われるが、千夏とセットにしておけば箒が幾分大人しいとわかった今、寮長である織斑千冬も苦情処理の観点から被害が千夏だけに収まる現状を維持する方がいいと判断した模様。その結果、転入してきた三人目の男子生徒であるシャルルは必然的にリィンと同室となった。
初日こそシャルル自身の荷物整理や、同じ部屋で生活をすると言う意味でシャワーの順番やベッドの位置、ミニキッチンの使い方などで幾つかの決まり事を決めるなどが合ったが、翌日には特に問題なく生活する様になった。
そんなある意味平穏な三日の間を、シャルルに関する観察と
具体的には、同室になっているリィンがシャルルを暴く事から。ここは確定事項なため、シャルル……シャルロット・デュノアの正体暴露以外のなにものでもない。
「……シャルル。一つ聞いておきたいんだが」
「うん? 僕になにか?」
いつも通りに訓練が終わり、夕食と入浴も終えた自由時間。リィンは寝間着代わりのシャツとパンツを、シャルルは学園指定のジャージを着込み、リラックスした様子でそれぞれのデスクに座り、リィンは苦手科目を開き、シャルルは何かをノートPCに書きこみ続けていた。そんななか、リィンは不意にシャルルへと話しかける。
「初日、そして昨日今日と様子を見ていて確信は出来たが、まだ確証がない事なんだ。だから間違えていたら済まないが……君は、女だよな」
「……何で、僕が女だって?」
そして徐に切り出したリィンは、状況証拠以外はないと自白しながらも、シャルルが女だと断言する。
当然シャルルははぐらかすために質問に質問の形で返すが、リィンにとってその反応は予想通りのもの。特に反証などすることなく、集まっている疑惑を次々とシャルルに伝えていく。
「最初から疑わしいところは多々あった。突然の新たな男性操縦者発覚と転入。そして彼はISに慣れすぎ、想定される搭乗時間に比例し得ない程高い技量を持っていること。それとは別に、彼の……君の体型と姿勢に、仕草や反応だな。特に更衣室で俺達が上着を脱いだ時の反応や、説得力を欠く、更衣室を使うタイミングをずらそうとする言動」
元々、見つかったばかりの男性操縦者が国の看板の一つとも言える代表候補生である。それだけで十分に疑う部分だ。それに加え、初日の千夏への指導や模擬戦での完封劇を含め、最低でも半年以上はISに触れていなければ出来ないような機動や挙動を行うなど、ただセンスがいい、才能がある、といった程度で収まらない程の実力を持っている。それは今日、試しにと参加させた武術部での動きを見ても明らかなほどで、生身での戦闘技能も、軍所属経験があるリィンや一夏に準ずる程高い水準にあった。それ以外にも、裏を漁らずとも疑わしい部分を上げれば数限りなく出てくる。
「それから、窓から飛び降りるのに抱き上げた時の感触と、上げかけた悲鳴だな」
「感触って、悲鳴って……」
そもそも毎回整備を理由に更衣室ではなく整備室に直行することも疑問だが、何よりも、リィンが触ったシャルルの身体。居ないとはいわない。リィンの故郷エレボニアに一人、そのタイプの極めて少女めいた容姿と体質を持った少年がいる。しかし、どれだけ少女めいた容姿と言えど、女性とほぼ同じほどに柔らかな脂肪としなやか筋肉を持つ男性というのは極めて希有な存在であり、件の少年もまた、実生活上はともかく、その肉体そのものは遊撃士協会に所属していることも相まって、やはり男性のそれに近い。またことある毎にシャルルが上げる悲鳴は、声の質と高さ、その響き方と、女性が上げるものとほぼ同じと言ってよく、それはエレボニアの件の少年はおろか、声変わり前の少年達ですら上げられない類いの声だ。そんな悲鳴を、年齢的には一応第二次性徴を迎えているはずの男性が上げられるとは思えない。
「まあ聞いてくれ。まずISの技量については、ほんの二月前に見つかったはずのシャルルが、たった二日間見ただけでもわかる程の操縦技術を持っていることと、既に代表候補生であることだ。代表候補生については、男性操縦者を国家が保護する名目と考えることも可能ではあるが、いくら何でも年単位でISに搭乗しているステラや優衣達と同等かそれ以上の技量を持っている事に関しては、才能や素養だけでは説明が付けられない」
こうしてリィンはシャルルの反証を潰すために一つずつ説明していくが、それを聞く度にシャルルは徐々に顔を青くしていく。
特に代表候補生の下りについて。保護の名目と、一夏達のような並の代表候補生よりも優れた技量と経験を持つ操縦者達と同等、若しくはそれ以上の技量を持っていることは、完全に相反するものになる。たった二日とはいえ、見ている限りシャルルが持つ技能や技量は年単位の時間をかけて養われたもので、代表候補生の地位も正式な手続きを経て至ったものであるとしか言えないのだ。
「次に体型については、歩き方や座り方などの、服の上からでも見える君の骨格の位置や形状が女性のそれとほぼ同じ。姿勢についても、恐らく胸部と腰部を補正しているだろう部分を除いても、やはり女性の姿勢に近い」
更に体型については語るまでもない。筋肉、骨格、体型体格の男女差というのは意外と大きく、そして細かい。男性が意識して女性の様にしても女性そのものの動きにはならない。その逆もまた同じく。特にシャルルは、劇の男役などをしていたわけでもなく、まして諜報の専門教育を受けたわけでもない。ただ男装しているだけのため、多少ソレっぽく見える言動こそあるものの、根本的なその仕草や動き自体は女性そのものでしかない。
「それから、少々下世話な事を言うが許してくれ。さっきも言った君を抱き上げた時の感触なんだが、男とは思えない程柔らかでしなやかなものだった。それに胸部と腰部に人工的な硬さを感じた。補正下着などを使っているだろう?」
なによりリィンは、一夏を始めとする複数の女性。現時点でのIS学園内だけでも一夏の他にフィーとエマ、優衣、鈴と関係を持ち、学園外においても神塚沙耶香を始め少なからず。そして祖国エレボニアにも数人、関係を持った女性がいる。リィン自身が言うように少々下世話ではあるが、そんな彼が服越しとはいえ、一度ならず触ったことがある者が男装した女性か女装した男性か、それとも普通の女性や男性なのかの区別を付けられないわけがない。
「……なんで、わかっちゃうかな。そんな事まで」
「いろいろな事情があってのことだが、俺は複数の女性達との経験がそれなり以上にある。良くも悪くも経験の差。それで、君を抱き上げた時の感触が、その女性達の内の一部が男装した時の感触に良く似ていたんだ」
シャルルはそんなリィンの説明に納得がいかない様子だが、しかしリィンは経験の差だと、ただ言い切るのみ。特に男装に関しては一夏と、同じテストパイロット仲間で一夏と優衣の親友でもある沙耶香がたまに男装して遊びに行くこともあり、その辺りも何となくではあるが差異を把握しているのだ。
そこまで話したところでシャルルは一度席を立ち、小さなポーチを個人用のクローゼットから取り出してからシャワールームへと向かう。
「そう。ちょっと、待ってて」
そして暫く、衣擦れの音が止まるとシャルルが、彼女の肌の色に合わせただろう色合いの布の塊を持ってシャワールームから出てきた。
その姿は先程と変わらぬ学園指定のジャージ姿ではあるが、その胸部には隠しようのない膨らみがあり、そこから見事な腰のくびれと形のよい臀部へと続く、綺麗なラインが浮かび上がっていた。有り体に言えば、やや小柄ではあるが、とてもバランスが取れたスタイルの良い女性らしい体型をしているのだ。
「これで、いいかな?」
「よくその体型を隠せていたな。ステラや沙耶香もそうだが、逆に感心するよ」
そんな自分の姿に、本来の姿には特になにか感情を見せることもなく、しかしつい先程まで着ていた下着を恥ずかしげもなくリィンに見せつけつつ、リィンを睨み付けるシャルル。
そんな彼女にリィンはやや的外れな、しかし見た目だけなら男性的に見せられるその布の塊、補整下着を見て呆れる様に一言呟やいた。
「……ステラや、そのサヤカって子がどうしてるかはわからないけど、僕のこれは完全オーダーメイドだから。無理矢理付けさせられてるものだけど、ね」
逆にシャルルは、いっそ素っ気ないと思える程の呆れを見せるリィンの態度に、怒気を滲ませた声音で吐き捨てるように罵りの声を上げながら、手に持った補整下着をベッドに投げ捨てると、ベッドに叩き付けられたソレは投げられた勢いのままシーツから床へと滑り落ちた。その一部始終を、シャルルは汚物を見るような目で追い、床に落ちた音と共に瞼を閉じ、再度、やや冷めた目でリィンを見つめる。
「やはりそうか。理由は、そうだな。起死回生の一打として、俺か織斑に接触。可能ならば本人と機体をフランスまたはデュノア社へ引き込む。無理でも俺達の生体データと機体データ、若しくは純粋に
シャルルに冷たい目で睨み付けられるリィンだが、その程度の視線には動揺も見せず、敢えて聞かなかった優衣の情報とは関係なく、自身が見立てた予測を述べる。表で流れる情報だけを見ても、存続の瀬戸際に立っているデュノア社が取れる策はそう多くない。その中で、社長が自身の娘を
「正解。リィン。君は、一体なに者なの?」
そこまでの情報を持ち、確信を持ってフランス政府とデュノア社の共謀まで言い当てたリィンを、シャルルはまるで人ではないモノでも見るような目で見ながら、僅かな疑問を小さく呟く。
「さて、何者なんだろうな、俺は。悪いがステラと優衣を呼ぶ。俺と彼女達は決して君の不利になることをしないと、誓約の女神の名を冠する我が愛機、ヴァールの名にかけて、今ここで、リィン・シュバルツァーはシャルル・デュノアに誓約する」
「……っ! わ、わかった」
そんなシャルルにリィンは、鬼の血を持つ
突然のリィンの行動に目を丸くしながらも、シャルルは彼の意思と覚悟を感じたのか、小さくわかったとだけ呟いた。
「ステラ、優衣。ちょっと相談がある。直ぐに来てくれ」
そして顔をリィンから逸らし、赤くなった頬を隠すように何事かを小さく呟くシャルルを余所に、リィンはマルチデバイスで一夏と優衣に呼びかけると、さほど間を置かずにドアがノックされ、二人が入ってくる。
「お待たせ、リィン」
「ああ。優衣もありがとう」
「うんにゃ。ていうか、もう言っちゃったの?」
夜も浅いとは言え、男の部屋に来るには無防備とも言える薄手で露出度の高い私服を纏って現れた二人は、しかしリィンの目など気にしないかの様に持ち込んだマルチデバイスや数台のノートPCを、部屋に入ると同時に立ち上げながらリィンに話しかける。その様子にシャルルは内心、やっぱりかな、と納得する。元々、その
「ああ。早い方がいいと思ってな」
「ま、それはそうだね。えっと、シャルル、ちゃん」
「さっきまでと同じで、呼び捨てでいいよ優衣」
そう色々と考え込んでいるシャルルだが、実のところシャルルを取り巻く状況はまだ焦る様な時期ではない。だが、早くなればなるほど対処が楽になると考えたリィンが今、この状況を作ったと白状すると、優衣もそれに同意し、頬を少し赤く染めたシャルルに、呼び方を変えつつ呼びかけるが、シャルル自身、自身の国にない接語である"ちゃん"に違和感があるため、そのまま呼び捨てで呼んで欲しいという。
そしてデバイスのリンクやノートPCの準備を終え、一夏が淹れたお茶を配り終えたところでシャルルがなぜ、この様なことをしているのか独白を始める。
まずはシャルルの本名がシャルロット・ロジエであること。彼女の母であるヴァネッサ・ロジエが二年前に亡くなり、あまり頼る人の居ないシャルロットが身近な人の助力を得てどうにか母親の葬儀を終わらせた所で突如、シャルロットの実の父親と名乗る人物、ポール・デュノアが多数のSPを伴ってロジエの家へ押しかけて来て、ヴァネッサは自分の愛人であり、その娘であるシャルロットの親権は自分にあると一方的に言い放ち、彼女をデュノア邸へと無理矢理に連れ去ったという。そしてデュノア邸へ着くや否や、ポールの妻デボラからは出会い頭に「泥棒猫の娘が」との言葉と共に平手打ちをされたと。その後は、デュノア家が持つ別邸へと移され、IS適性A判定を受けてデュノア社のテストパイロットを務めると同時に代表候補生となるべくフランス空軍での訓練も行い、昨年末の選抜で候補生になった。しかし肝心のデュノア社は主力商品であり、世界一の販売数を誇る
「あはは。三人にここまで言っちゃたら、もう逃げ場はないよね。どうしようかな。帰ったって犯罪者扱いされるだけだろうし。僕、何のために生きてきたんだろう。お母さんが死んじゃってからこんなのばっかり。ほんと、嫌になるなぁ」
ここまでの経緯を曖昧な笑みと共に事細かくリィン達に話したシャルル……シャルロット・ロジエは、冷めてきたお茶を一口だけ飲んだあと、寂しげに呟く。犯罪者で、任務に失敗した役立たずな自分には、もう先がない。居場所もない。そんな自分が生きている意味を見られなくなってしまったと。
だがリィンも、一夏と優衣もそんなシャルロットを哀れむことはなく、また断罪する気すら欠片もない。
「……そう悲観することはないだろう。まずは学園特記二十一項を適用すればいい。名目上ではあるが、学園生は在学中、どこの国や組織にも帰属しない。それは卒業までの三年間、例え実の親や親類、母国、所属組織、企業であっても、本人の同意無しに生徒に干渉することは出来ない。それを利用するんだ。制度自体は事実上形骸化しているとは言え、これをフランス政府やデュノア社は勿論、現在の法的な両親であるデュノア夫妻でさえ公に破ることは出来ないからな」
「うん。そうすればあと二年半以上の時間が出来るよ。それに、僕達はシャルロットを追及するためじゃなくて、助けるためにこの話しをして、君の事情を聞き出したんだから」
少々特殊とは言え、たかが日本の一国立教育機関でありながら世界中から生徒達を集め受け入れ、そして世界的に中立を謳うIS学園をIS学園たらしめる所以。数ある校則とは別に設けられた、学生本人の保護者や関係者のみならず、国家や国際機関にすら影響力を持つIS学園特記事項。その中には当然、生徒への干渉を禁止する項目も複数存在する。二十一項はその最たるものであり、これを破れば国際的な非難の的となることは避けられない。半ば形骸化しながらも、それだけの効力と影響力を持っているこの特記事項には多大な利点がある。使えるモノは使えばいい。最後に勝てれば、それでいいのだ。そう言い切るリィンと一夏。
「……それって。僕は、助かるの?」
「少なくとも普通に生活するようには出来るかもね。代表候補生を下りる事と、実家や祖国との縁を切る必要はあるけど」
だから一夏達は誰も悲観していない。現時点でも、少なくともデュノア家での
「実家なんて、別にどうでもいい。僕を見てくれない父親も、殺しにかかってくる義母もいらない。代表候補生だって、別になりたくてなったわけじゃない。フランス政府もAISFも、デュノア社にこんな工作を許可した時点で同罪。友人や先生達に近所のおばさん達は、少し惜しい気もするけど、それでも、ここで出来た新しい友達が。リィンが、ステラ達が、いるから」
そんな覚悟を問いてみれば、彼女はあっさりとそれらを捨てるという。僅かな寂しさと別離の悲しさを含んだ、大きな恨みで綴られる言葉には、逆に嘘は見受けられなかった。だからこそ……。
「そこまで聞いて改めて聞くよ。シャルル……シャルロットは、どうしたい?」
一夏がシャルロットと目線を合わせて、よく通る声音で問いかければ、彼女はやや動揺を見せ、瞳に涙を溜めて一夏に縋り付きながら叫んだ。
「た、す……。たす、けて。おね、がい、助けて! リィン、ステラ、優衣。お願い、僕を助けて。僕は、自由になりたい。お母さんが死んでから何も無くなった私に、自由を、下さい……」
三人が聞きたかったたった一つの言葉。助けて。それを、一夏の胸の中で悲しげに、涙混じりの声で思いを綴るシャルロットに、リィンと優衣は優しい笑みを向けるも、優衣が辛辣とも取れる言葉をかける。
「多分楽じゃないよ? どこの国に行っても制約は付き纏う。もしかしたら、今のままの方が良いと思えることもあるかも知れない」
「……うん。でも、今のままじゃ先延ばし出来て三年に満たない時間しか残ってない。だったら、生き続けられる可能性がある地獄に、敢えて行っちゃうのもありかなって」
代表候補生を降りると言うこと。まだ見ぬ国への亡命。親を捨て、
「うわぁ……。凄いなシャルルは。僕も小さい頃は割と悲惨だったけど、それでも、そこまで考えたことなかったよ」
「俺も絶望で死にたくなったことはあるが、流石にそこまでは考えなかったな。シャルルとは逆に、家族に恵まれていたからでもあるけど」
地方男爵家に拾われた誰とも知れない下賎の子……実際はギリアス・オズボーン帝国宰相の実子なので決して下賎などとは言えないが……だったため、一部貴族達から後ろ指を指され貶され続けたリィン。ゼムリアに渡って真っ先に出会ったのは、自分を強姦しようとする猟兵崩れであり、また魔眼や異常体質と異質な色彩を持ったために日曜学校では陰に日向に虐められた上、とある
ここ一年ほどは随分と落ち着いた生活を送っている二人だが、それ以前は十数年もの長い間、今とは比較にならない程の生き辛さを感じ続けた生を持つ。だが、そんな二人をしてなお、シャルロットの覚悟は凄いと感嘆するしかないらしい。
「……お姉ちゃんがオッケーだって。今のシャルルの告白と覚悟を聞いて、いつでも実行可能にしておく、だってさ。あ、行き先は天国とは言えないだろうけど、少なくとも地獄行きだけは回避だよ」
「そ、そうなんだ。一体何を?」
そんな、悲しさと嬉しさが混ざった涙を流すシャルロットと、彼女を抱きしめながらどこかずれた感想を抱いてる一夏と、シャルロットの頭を撫でているリィン。その三人を生暖かい目で見つつ、マルチデバイスの接続先、自身の義理の姉である束とあれこれ話し合っていた優衣が、届いたデータを確認しつつ現状打破、そして好転させられるかも知れないことをシャルロットに告げる。
「それは後のお楽しみ。少なくとも、影と呪縛からはいつでも逃げられるよ」
当然、その内容は優衣しか知らず、シャルロットは若干不安げにするが、満面の笑みで大丈夫と言う優衣を信じたのか、涙を拭くと柔らかい笑顔を見せた。
「変わる時は来た。あの日から、僕の新しい自分が始まったんだよ」
後にシャルロットは、この時に感じた事を思い返してこう述べた。そしてリィンと一夏、優衣の三人との話しがなければ、今の自分はないと語ることになる。
そんなこんなでシャル救済の第一歩。うん、第一歩です。展開的にこの後更にオリジナルエピソード挟みます。
シャルの旧姓……というか母親の氏名や父親の名前ですが、適当に典型的なフランス人名から付けていますが、地域性に合うかどうかなど、ローカルな部分には余り拘っていません。シャルの元の家やデュノア社の所在地も明かされてないですし。……明かされてなかった、よね(--;
まあそんな感じですが、シャルパパをシャルの味方にするかどうか迷いましたが、実のところどちらになってもプロット上問題ないので、妻とデュノア社と一緒にアボンして貰う事にしました。
こんな感じで、プロットに沿えば割と適当な感じで進むISApocryphaですが、今後もよろしくお願いします。
次話もなるべく早く投稿出来る様に準備しています。
早くタッグマッチ部分を書かなきゃ。二巻分で書けてないのがそこだけとか、私なにやってんだろ(;´Д`)