インフィニット・ストラトス Apocrypha   作:茜。

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異世界(遠きホシ)での出会いと出来事

 座り込んだ感触はあった。束さんと抱き合ってるのもわかる。でも、座り込んだ地面は、実験室の硬い床じゃなくて柔らかい草の上だった。

 瞑ってた目を開ければ目の前には束さんがいる……んだけど、髪の色が見慣れた赤味がかった淡い茶色じゃなく、少しだけ青っぽい感じがする、濃い茶色だった。

 ちなみに瞳の色も変わってるみたいで、赤味がかった茶色から、金色に見える淡い琥珀色になってた。

 

 実は、この時にはもう、俺の身体は女になってたし、俺も束さんも若返ってたらしい。けど、俺も束さんも気付いて直ぐにトラブルが起こったって理解して混乱した上、間髪を入れずに銃や剣で武装した男達に襲われたから、そんな事に気付ける状況じゃなかった。

 俺はこの時、突然銃を突きつけられ、服を破られて更に混乱してしまったけど、束さんは俺と同じ状態になりながらも、俺を庇いながら素手で男達を倒し始め、そして銃と剣で武装した二人の女性が束さんに加勢して、あっと言う間に男達を撃退。

 これが、俺の一人目の母であるサラ・バレスタインとの出会いだった。

 

 そんな衝撃的な出来事と出会いから六年。

 

 あの出会いの日以降、サラ・バレスタインの娘、ステラ・バレスタインとして、地球ではない星にあるゼムリア大陸の一国、エレボニア帝国の帝都ヘイムダルの西地区で生活することになった。

 その暮らしの中で、外見年齢に合わせて日曜学校に通いながら、束姉からは篠ノ乃流を習い、遊撃士の協力者としてサラ姉の遊撃士の仕事を手伝って過ごした僕は、十三歳の春、七曜歴1204年の4月にトールズ士官学院に入学。その中でも、特別なカリキュラムと課外講習を課された特科クラスⅦ組に、サラ姉が保護したフィー・クラウゼルという元傭兵の女の子と共に入り、クラスメート達といろんな冒険をした。

 

 そんな学校生活も、僅か半年後の七燿歴1204年10月30日に転機を迎える。

 帝都ドライケルス広場で演説中の宰相、ギリアス・オズボーンが狙撃され、帝国開放戦線が帝国皇帝家及び帝国軍正規軍に対して宣戦を布告。

 それに同調した四大貴族及び領邦軍が大型飛空戦艦により二足歩行型大型兵器を帝都に降下投入。帝都は瞬く間に占領されて皇族が捕縛され、内戦が始まってしまう。

 トールズ士官学院も帝都占領と同時に襲撃され、Ⅶ組の実質的リーダー、リィン・シュバルツァーが古の巨神、灰の騎神ヴァリマールを起動。同時に、僕がこの世界に来た瞬間から持ってた黒い宝石のネックレス、漆の騎神ラインヴァールが反応。リィンと一緒に騎神の中に乗り込んでしまう。

 しかし青の騎神オルディーネを駆るクラスメートの一人であり、帝国開放戦線のリーダー《C》こと、クロウ・アームブラストに破れ、Ⅶ組メンバーは逃げおおせるも、国内各地に散り散りに散ってしまう。僕も、ヴァリマールに乗ったままリィンと一緒に彼の故郷であるユミルへと逃げることになった。

 

 やがて屈辱の敗北の日から二ヶ月後の1204年12月31日。

 エレボニア帝国の内戦が激化する中、各地に散った仲間を集め、皇家専用飛空艦カレイジャスを拠点とした僕らは、皇族やリィンの妹のエリゼ、そして帝都の要人達が隔離されていた帝都カレル離宮を解放。更に現れた異界、煌魔宮の最深部で緋の騎神テスタ=ロッサ……その真の姿、エンド・オブ・ヴァーミリオンを撃破し、内戦を終結させる事が出来た。

 

 そして……


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