宣戦布告なしにフィオーレ領土に攻め込んできたアルバレス軍。
アルバレス軍は評議院によって布かれていた防衛線を空中艇からの砲撃で瞬く間に崩壊させると、第一陣であるアジィール、ブランディッシュ、ワール隊はフィオーレ上空をマグノリアに向かって進軍した。
マグノリアの
そして、二つの勢力はマグノリアにおいて激戦を繰り広げる。
実質ブランディッシュ隊を率いていたマリンは、グレイとカラコール島での決着をつけにいった結果敗北。
アジィールもエルザと戦い、後一歩のところまで追い詰めるが、ビスカの魔導集束砲ジュピターによる援護射撃もあって敗れることになる。
そしてワール人形体は、クリスティーナでマカロフたちを送り届けた後、そのままマグノリアに滞在していた一夜と雷神衆の手で撃破された。だが、人形体は四人を道連れにしようと自爆を試み、結果、雷神衆は一夜をかばい倒れてしまった。
「君たち、君たちィ……!!」
ワールとの激戦地となったカルディア大聖堂に、一夜の慟哭が響き渡る。
マグノリアの西で空中艦隊を多数撃墜し、さらに着陸した敵の掃討を行っていたナツとハッピー、ウェンディとシャルル、ガジルとリリー。掃討を終えた三人と三匹であったが、すぐにはギルドに帰還せず、着陸した空中艇のうちの一隻を探索していた。
「おい
船に残っていた残党を殴り倒しながら、ガジルがナツに怒鳴りつける。
ナツは鼻をすんすんと鳴らしながら答えた。
「匂いがすんだ。カラコール島で会ったアイツの」
「カラコール島ってまさか、島を小さくしちゃったって言う
ウェンディが驚きの声をあげる。ウェンディはカラコール島で迷子の世話をしていたため、直接ブランディッシュとは会っていない。故にその匂いが分からなかったのだ。
それを聞いてシャルルとリリーが首を捻る。
「それが本当ならまずいわね。マグノリアの街も一瞬で圧縮されたりするんじゃないかしら」
「確かにな。だが、そうするとこの船にいるのはおかしいだろう。マグノリアに乗り込んだ方が効果的だ」
「あい、オイラもそう思う。ナツの気のせいじゃない?」
「いや、間違いねえ。この部屋だ。──オラァ! 出てこいや!!」
「ナ、ナツさん!?」
ナツはハッピーの言葉を否定して、船の一室の扉を蹴破った。目を丸くしているウェンディに構わず、ナツはずけずけと部屋の中に入っていく。他の二人と三匹も仕方が無いと即座に後に続いた。しかし、部屋に入ると、そこで目にした思いもしない光景に足を止めた。
「ね、寝てる?」
「こんな時に悠長な……」
シャルルとリリーが思わず呟く。
ナツはさらに近寄ってブランディッシュの体を大きく揺すった。
「なに寝てんだ。起きろ」
「バカ! 罠だったらどうすんだ!!」
ナツはガジルの静止を無視してブランディッシュを揺すり続けるが、一向に目を覚ます気配がない。さすがに不自然な状況に、ガジルとウェンディも顔を見合わせる。
やがて、ナツは揺するのをやめて振り返った。
「ダメだ。起きねえ」
「どうなってんだこりゃ……」
「多分、魔法で眠らされてますね。どうしますか? 私の魔法なら解除できますけど」
ウェンディの提案に、リリーが首を横に振った。
「いや、ここで目を覚まさせるのは危険だ。せめてギルドに連れ帰ってからにするべきだろう」
「そうね。ギルドには魔封石の手錠も準備してある。拘束してから目を覚まさせて、情報を聞き出すのが最良じゃないかしら」
リリーの提案にシャルルも頷く。
「決まりだな。じゃあ、連れてくか! 詳しくは知らねえけど、ルーシィが知り合いだとか言ってたし!」
「あい!」
そう言って、ナツが眠るブランディッシュを抱えると、三人と三匹はギルドに帰還するのであった。
*******
フィオーレ南方、ハルジオン近海。その海上を軍艦三百隻からなる大艦隊が進んでいた。
「アヒャヒャ、アヒャヒャヒャヒャ」
「気持ち悪い笑い方、やめてもらえるか? さざ波の音色が台無しだ」
とある船上で甲板に突っ伏し、笑い声をあげるワールにディマリアが冷たく言い放つ。それでもワールの笑い声が収まる様子はない。
「アヒャヒャ。いやぁ、予想以上に面白い事になってますれば。おっと、この口調もうヤメヨウ。……やっぱ、人形じゃ無理だったかぁ」
「あら、あなたのお人形さんやられちゃったの?」
「まあ、それくらいは予想の範疇」
ワールはそう言うと、ぬらりと立ち上がる。
「面白えのはアジィールもやられて、ブランディッシュは敵に捕まったって事よ」
その報告を聞いたディマリアは一瞬呆けると、次いで思わず吹き出した。
「ぷ、何それ。ランディが敵の捕虜に? なんて惨めなのかしら」
ディマリアは嗜虐の笑みを浮かべ、頬を僅かに紅潮させる。
ワールはひとしきり笑うと言葉を続ける。
「笑った笑った。なかなかやるようだぜ。妖精の尻尾ってのは」
「皇帝が全軍を出撃させるほどだからな」
「だが、なめられたままってのは面白くねえ。面白くねえよ、ディマリア」
「焦るな。直に港に着く。まずはその港を制圧して──」
窘めるディマリアだったが、ワールは構わずに体の前方で手を組むと、巨大な砲台を召喚した。ディマリアも強く咎めたりせずに言葉を続ける。
「港を粉々にするつもりか? まだ三十キロはある」
「いいや。狙いは妖精の尻尾だ」
「四百キロ以上はあるぞ。当たるものか」
「機械族のエリート。ワール様をなめるなよ」
そう言って、ワールは砲台に魔力を充填する。常識外れの魔力が注ぎ込まれ、すぐに圧倒的な破壊の光が発射された。
「超長距離対物魔導砲!!」
放たれた砲撃は一直線にマグノリアの妖精の尻尾ギルドに向かっていく。間に阻むものは何も無い。
妖精の尻尾でもウォーレンのレーダーによって砲撃を確認できたが、雷神衆が倒れて防御術式も解除され、防御手段が何もない今、対処する術がない。
「全員退避!」
「またギルドが壊されるのかよ!!」
嘆きつつもギルドから離れようとする一同に、どこからか声が聞こえてくる。
「そうはさせんぞ!!」
「その声は!」
「一夜さん!?」
拡声され、マグノリア中に響く声。同時に、魔導爆撃艇クリスティーナが砲撃とギルドの間にその身を入れ込んだ。
「メェーン!!」
艇体は砲撃の直撃を受けてバラバラに砕け落ちる。だが、ギルドを砲撃から守ることに成功した。その中、まだ生きている制御室で、一夜は一つのスイッチの前に立つ。
「これは戦いだ。しかし、君たちだけの戦いじゃない。──フィオーレ通信網オォォン!!」
一夜はスイッチを強く叩くように押し込むと、マイクに向かって叫びをあげた。
「聞こえるか諸君! これは私たちの戦いだ!!」
その一夜の声はフィオーレ中のギルドに響き渡り、その声に応えて勇士たちが立ち上がることとなる。
日が落ちてから始まった戦争はこうして一日目を終え、二日目へと突入する。
*******
明けて翌日。フィオーレ北部、霊峰ゾニア。
「凄い数だ。流石に、これだけの数の魔力を記憶はしきれないね」
「無駄口叩いてねえで戦えルーファス!」
ルーファスとオルガは肩を並べ、いくらでも沸いてくるアルバレス兵をなぎ倒していく。
北部から上陸したアルバレス軍の三百隻以上からなる大艦隊。対するは
「くそっ、きりがねえぜ」
「下がってレン!
「すまねえイヴ、助かった!」
「ここは雪が降り積もっている。イヴをメインにレンと僕でサポートしていこう」
「了解!」
青い天馬のトライメンズも見事な連携でアルバレス兵を押し返す。
他の魔導士たちも、圧倒的な兵力差をくつがえさんと奮戦していた。
「流石です皆様。私も見習わなければ、ライブラ!!」
ユキノは星霊ライブラの重力変化でアルバレス兵を一気に押しつぶす。制圧力でいえば中々のものであった。そうして一息ついていると、一足先に前線まで行っていた仲間たちが悲鳴をあげながら戻ってきた。
「何事ですか!?」
「逃げろユキノ! 人が、人が次々に──かはっ!!」
「なっ!!」
逃げてきた人々が突然血を吐いて倒れる。その光景にユキノは思わず口元を手で覆ってしまう。
「死神だ! 逃げろォォォ!!」
「死神……」
仲間が逃げてきた方角に、鬼面の巨躯が遠目に見えた。人型だがとても人間とは思えない。まだ距離はあるというのに、それほどに禍々しい気配を発していた。
「くっ……」
明らかに普通の兵士ではない。ならばコイツが噂に聞く12だろうか。しかし、大した魔力は感じない。だというのに不吉な予感がユキノの胸をざわめかせる。
覚悟を決める意味でもユキノは声を発した。
「いえ、なんであろうと戦うのみです!」
「いや、やめといた方がいいと思うよ」
「──! 誰ですか!?」
ユキノが突如聞こえてきた聞き慣れない声に振り向くと、巨大な何かが目の前に落ち、積もった雪を巻き上げた。
「移動神殿オリンピア到着~」
「あ……」
ユキノの周りの仲間たちは事態を飲み込めずに困惑している。しかし、ユキノは今し方聞こえてきた女性の声には聞き覚えがあった。それこそ聞き違えるはずがないほど強く覚えている。
すぐにオリンピアの入り口から、四人の男女が姿を現す。
その中の一人、ユキノと同じ綺麗な白髪の女性が優しく微笑んだ。
「久しぶり。お姉ちゃんが来たからにはもう──」
「お姉様ぁぁぁ!!」
「ぶほっ!」
ユキノは脇目もふらず、思いっきりソラノに飛びついた。ソラノは受け止めきれず、そのまま二人で雪の上に倒れこむ。
「ちょっ、ユキノ。落ち着くんだゾ」
「お姉様……、恩赦を受けたと聞いていたのに会いに来てくださらないから。私は嫌われてしまったかと……」
「ああ。それは……」
ソラノは、体の上に馬乗りになり涙を浮かべるユキノの表情を見上げながら、気まずげに口元を尖らせた。本当はすぐにでも会いに行きたかったのだ。なのに、恩赦を受けてすぐアルバレス送りにされた。なんという人使いの荒さだろうか。
ソラノはそっと、ユキノの頬に手を添えた。
「そんなことないゾ。ユキノは私の大事な妹。約束、遅くなってごめんね」
「いえ、私こそこんなときに……」
「気にしなくて良いんだゾ」
ソラノはそう言って、ユキノを引き寄せ体を寝かせたまま優しく抱きしめた。
その様子を見て、リチャードは涙を流して感極まったように叫ぶ。
「美しき姉妹愛デスネ!」
「こんな時にってのは野暮か。それに、おかげでオレたちが味方だって認識してもらえたみてえだしな」
ソーヤーが周りを見渡せば、最初は不審な目を向けていた魔導士たちの視線がいくらかやわらいでいる。ソラノがユキノの姉だとわかったおかげだろう。
その中、エリックが遅れてオリンピアの中から姿を現した。
「ようやく着いた。ああ、気持ち悪い……」
「不便な体になったね、エリック」
「うるせえ……」
口元を押えるエリックにマクベスは声をかけると、視線を先にいる鬼面の男に向けて口を開いた。
「早速おでましみたいだけど行けそうかい?」
「はっ、当たり前だろ。死神だかなんだか知らねえが、折角カモが自分からやってきてんだ。狩らねえ手はねえだろ?」
「ふっ、そうだね。じゃあ、ここは任せた。僕たちは兵隊の殲滅に向かうよ」
不敵な笑みを見せるエリックに、マクベスも同様の笑みを返す。
「さあ、
*******
フィオーレ南部、ハルジオン港。ここにも北部と同様に三百隻以上の大艦隊が上陸し、瞬く間に港を制圧してしまった。
ディマリアは占拠したハルジオンの街並を眺めながら歩いて行く。
「なかなか良い街だ。消さなくて正解だったな、ワール」
「アヒャヒャ、狙ったのはマグノリアの方なんだけどな」
ディマリアに答えたワールは建物の屋根に乗り、より広く景色を眺めていた。
「それもやはり消さなくて正解だ。ランディが捕まっているんだぞ。その無様な姿を想像するだけで食が進みそうだ」
「人間ってのはよくわかんねーな」
ワールが率直な感想を口にする。
そうして話す二人の足下には抗戦したハルジオンの魔導士が倒れて野ざらしにされていた。
ディマリアは周囲を固める兵士に問いを向ける。
「ナインハルトはどうした?」
「まだ船の上に」
「やれやれ。協調性なしと機械のおもりか。早く会いたいものだ、ランディ」
ぼやきつつ、ディマリアはワールとともに、街の外に展開する軍隊に合流するため移動する。整列する軍のさらに向こう。ハルジオンを見下ろせる小高い丘の上にはフィオーレの魔導士たちの姿が見えた。
その姿を視界に捉え、ディマリアは笑みを浮かべる。
「身の程を知らぬバカどもに教えてやらねばならんな。12の真の強さを」
丘の上に立ち並んでいるのは
二人の後ろからは不安そうな声が漏れ聞こえてくる。無理もないだろう。ハルジオンの街の前に二千人ほどの兵士。街の中にもさらにおり、海にも上陸していない兵士がいる。対してこちらの数は合わせて二百人程度しかいない。
不安そうそれらの言葉を口にする面々に、リオンは静かに告げた。
「敵がどれだけ強大でも戦わねばならん」
その言葉にカグラも頷く。そして、今やイシュガルの威信を背負う尊敬すべき人物、斑鳩の姿を思い浮かべ、小太刀を抜き放ってハルジオンを指し示すと、大きく息を吸って口を開いた。
「ここは我らの地イシュガル! アルバレスの侵略を許しはしない!! ──これよりハルジオン解放戦を始める!! 進めェ!!!」
「オオオオオオ!!!!」
カグラの号令のもと、南部の戦いが始まった。
そのハルジオンに向け、フィオーレ国土を南下していく魔導四輪の姿があった。
「くっ、そろそろ始まったころか……。やはり、オリンピアのような移動手段をもう一台準備しておくべきだった」
「落ち着きなさい。今更後悔しても何も変わりはしないわ」
車上にはジェラール、ウルティア、メルディが乗り込んでいる。
そわそわとしているジェラールをウルティアが宥める。そこに、運転手を務めているメルディが声をかけた。
「そうそう、二人は到着してからのことを考えて。何のために私が運転してると思ってるの」
「メルディ。そうか、そうだな……。すまん」
メルディの言葉にジェラールは天を仰ぐ。
その様子を見てウルティアが肩を竦めた。
「どうせカグラのことを心配してんでしょ。大事な友達の妹だものね」
「……そんなことはない。戦っている人々の全てが心配なんだ。あまりにも兵力差が大きすぎる。少しでも力にならねば」
「はいはい。それも嘘じゃないでしょうけど、特にカグラが心配なのは変わんないでしょうに。聖人でもなし、そのくらいの贔屓は人として当たり前だと思うけどね」
「それは……」
そんな二人の会話を聞いて、メルディが小さく笑った。
「ジェラールが心配するほどカグラは弱くないでしょ。それに、サギちゃんもついてるし大丈夫だよ」
「…………だと、いいのだがな」
ジェラールの胸奥には不吉な予感がくすぶっていた。ウルティアとメルディの励ましを聞いてもそれが晴れることはない。
(杞憂であればいいのだが……)
不安に思いながら、ジェラールは魔導四輪にその身を預けるのだった。
*******
フィオーレ東部、名もなき荒野。北部、南部と違ってそこにある影はごく少数だった。
アルバレスはフィオーレの東国、ボスコに百万の軍勢を差し向けて制圧に動いた。その後、アルバレス軍はボスコに留まり動きを見せないが、制圧が済めば大軍でもってフィオーレに攻め込んでくる可能性がある。
だというのに、東部の防備の薄さは何なのだろうか。それはその場に立つ人物たちにある。
そこに立ち並ぶは聖十大魔導序列一位から五位まで、現評議員の五人であった。いずれも軍隊の一つや二つは蹴散らして余りある戦力だ。むしろ、五人でも戦力は南北に勝るといって過言ではない。
「結局、戦争回避もできず、防衛線も機能しなかった」
「とんだ無能をさらしたものだわい」
「
戦争回避に動いていたハイベリオン、ウルフヘイム、ウォーロッドは強く責任を感じていた。
その三人の言葉にジュラも大きく頷く。
「議員として、たいした働きも出来なかった。ならば聖十の魔導士として、攻め入る敵を打ち砕かなければなるまい」
「ええ。イシュガルの威信、今度こそ示して見せましょう」
斑鳩は腰の神刀に手を添えて、静かにそう呟いた。その内心は序列一位としての使命感に熱く燃えている。
その五人の前にゆっくりと、ボスコの方角から人影が三つ近づいてくる。その人物たちは斑鳩たちの眼前まで来ると、そのうちの一人が歩み出てきた。
「よお」
「ボスコ国を襲ったのは貴様だったのか、この裏切り者め」
「オレ一人の力じゃねえ。オーガスト、それにジェイコブ。みんなの力さ」
怒りを隠しもしないウルフヘイムの言葉に、こともなげに返すゴッドセレナ。
ボスコからやってきたのは12のうちの三人。ゴッドセレナ、オーガスト、ジェイコブだった。
ウルフヘイムに続き、ハイベリオンもまた冷たい瞳でゴッドセレナに問いかける。
「なぜ母なる大地を汚すのかね。ゴッドセレナ」
「いい顔だ。ドラキュロス・ハイベリオン」
ゴッドセレナはそう言うだけで、ハイベリオンの問いには答えない。
そして、ゴッドセレナは五人のうち、唯一の女性である斑鳩へと視線を移す。視線に気がついた斑鳩は薄い笑みを浮かべると口を開いた。しかし、その瞳はまったく笑ってはいなかった。
「初めまして。うちは斑鳩と申します」
「アンタがオレの後任か。噂には聞いていたが」
「うちも前任に会えて光栄どす。聖十最強の称号を持つ責任も果たさず、故郷を捨て、攻め入ることも躊躇わない性根はとても真似できまへんね」
「おいおい、言ってくれるじゃねえか」
ゴッドセレナは笑みを深めて魔力を急激に高めると、後方のオーガストとジェイコブに呼びかけた。
「気が変わった。下がってろよオーガスト、ジェイコブ。最初はハイベリオンたちと旧交を温めようと思ったが、まずはアンタの実力を見てやるよ。後任」
対する斑鳩も刀に手をかけ、腰を落とした。
「あら、一人でよろしいので?」
「そっちこそ、全員でかかってきていいんだぜ」
二人の視線が交錯し、一瞬の膠着。
そして、図らずも同時に飛びだし、新旧の聖十大魔導序列一位がぶつかり合った。
というわけで始まりましたアルバレス戦。
戦力配置は原作とほぼ同じ。ただ、魔女の罪が恩赦によって自由に動ける身となっているため、到着が非常に早くなっています。
まとめるとこんな感じ。
○北部
剣咬の虎、青い天馬、魔女の罪(元六魔)
○南部
人魚の踵、蛇姫の鱗、魔女の罪(ジェラール、ウルティア、メルディ:移動中)
○東部
評議員五人