Fate/stay night ~ For someone's smile ~   作:シエロティエラ

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メイン作品で少し描写に苦戦しているため、息抜きに執筆しました。

こちらも連載しますが、本連載よりも更に不定期になると思います。



それではプロログス、ごゆっくりと







本編
プロローグ


 

 

…………夢を見た。

 

そこは街、いや街だった場所。

 

見渡す限りの(死体)ひと(死体)ヒト(死体)……

 

燃え盛る焔、苦悶の声、悲鳴。

 

ニク()の焼ける音、におい以外の何もないと思わせる地獄。

 

その中を独り、歩き続ける少年。

 

 

 

 

 

 

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…………雨が降ってきた。

 

焔は数えきれない命と共に消えた。

 

歩いていた少年はついに力尽き、その身を地に伏せた。

 

仰向けになる。

 

手を天に伸ばす。

 

その手が地に落ちそうになる寸前、誰かがその手を握りしめた。

 

それは男。

 

少年の手を握りしめた男の顔は、歓喜と悲しみ、そして救いの顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

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遥かな荒野を臨む世界。

 

分厚い雲に覆われた黄昏の空。

 

響き渡るは、武骨な鉄を打つ音。

 

地に突き立つ無限の剣。

 

錆びた歯車は空に浮かび、止まることなく回り続ける。

 

丘の上に立つのは、紅の外套を羽織る白髪の青年。

 

その目は何を見て、その心は何を思うのか。

 

 

 

 

 

 

 

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…………………………ゃ……ん。…………みや……ん。……宮君、朝……よ、……きて?」

 

 

声が聞こえる。まぶたの裏からでも分かる、朝日の輝き。

嗅ぎなれた機械油とホコリっぽい匂い。硬い床の感触。ああ、俺はまた……

 

 

「……宮君、衛宮君。うーん起きないなぁ」

 

「シロウはまだ起きないの?」

 

「あ、はい。何度も呼び掛けてるんですけど、なかなか…………」

 

「うーん、よし! 私に任せて!」

 

 

冬の寒い朝、俺はまた土蔵で寝ていたのか。どうりで首を寝違えている訳だ。それはそれとして。何か忘れているような…………

 

 

「シーローーーーウ!! おっはよーーーーう!!」

 

「サラダバーッ!?」

 

「わわっ」

 

 

腹部に唐突に来たボディプレス。こんなことするのは、

 

 

「ゲボッゴホッ!! イリヤ姉さん……またやったのか…………」

 

「おはよう、シロウ! シロウが悪いのよ? あの子が何度も呼び掛けても起きないんだから」

 

「ゆ……ゆするとか……ゲボッ…………あるだろう……」

 

「あ、そういえばそうだった」

 

 

全く。俺は体から小柄な姉をどかして、土蔵にいるもう一人に顔を向ける。

 

 

「衛宮君。大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫。大分よくなった」

 

「よかった。あ、朝御飯できてるよ? 間桐君と桜さん、藤村先生も来てるし」

 

「う、ゴメン。直ぐに着替えていく」

 

「うん、わかった。イリヤさん、私達は先にいきましょう」

 

「ええ、そうね。じゃあシロウ、急いでね」

 

 

そう言って姉は俺の返事を待たずに土蔵から出ていく。もう一人もそれに続こうと立ち上がった。

 

 

「じゃあ衛宮君。準備しとくね?」

 

「わかった。ああそうだ」

 

「? どうしたの?」

 

 

改めて俺は目の前の子に顔を向ける。

 

 

 

 

「おはよう、三枝。いつも悪いな」

 

「うん、おはよう衛宮君。気にしないでいいよ」

 

 

 

 

 

俺は衛宮士郎。

 

 

十年前の地獄で孤児になり、衛宮切嗣の養子となった。

姉であるイリヤと養父、とある街に住む人形師、万華鏡の二つ名を持つハッチャケ爺から魔術の手解きを受け、モグリの魔術使いとして冬木に住んでいる。

 

この冬木の街で俺が魔術使いと知っているのは、イリヤと間桐兄妹だけである。

間桐兄妹は、まだ切嗣が生きているとき、人形師の師匠と外道神父、言峰と共に間桐蔵硯の呪縛から救いだした。以来こうして交流を続けている。

 

イリヤ姉さんの実家である、アインツベルン本家とも色々といざこざはあったが、今では和解し、イリヤも自由に過ごせるようになった。ただユーブスタクハイト様、通称アハト翁がイリヤや俺に対して孫馬鹿になっている感じがしないでもないが。

 

いったい何をどうしたら、あのじいさんはあんなに豹変するのだろうか。確かあのとき、万華鏡と師匠が意気揚々とアインツベルンの城に行って、しばらくして俺と切嗣が呼ばれたから向かうと、アハト翁が師匠たちと俺達に土下座していた。いや、うん。本当に言葉が出なかった。

 

それからというもの、年に二度は必ず顔を見せにこいと俺たちに言い含め、季節の節目には必ず本家からなにかしら贈り物がくる。イリヤ姉さんが、

 

「あの何かに取り憑かれたような雰囲気しかなかったお爺様が、あんなに普通になるなんて。私夢でも見てるの?」

 

と言っていたのは記憶に新しい。以来、アインツベルン本家とは友好な関係を築いている。

 

 

 

 

 

あの地獄からはや十年、人々は比較的平和に過ごしている。

だが先日、俺と姉に万華鏡のハッチャケ爺から警告があった。再び冬木の地で聖杯戦争が起こると。

 

前回マスターだった養父衛宮切嗣は、聖杯に潜む邪の存在を知り、世にでる前に破壊しようとしたらしい。しかし完全には止められず、結果的には冬木の大火災が発生した。

切嗣の英断がなければ、今頃この地球上の全ての生命は永久に失われていただろう。俺は家族と記憶を失うことになったが、それでも記憶の片隅に残っているものはある。

あの日、俺は顔も思い出せない、だがはっきりと家族だったと言える人たちから逃がされた。生き延びて幸せになるようにと言われて。家族を失った。地獄を見た。見慣れたくない死体に見慣れた。あのような辛い思いをするのは俺だけでいい。養父に引き取られ、姉や親しい人ができたが、家族を失った悲しみは、乗り越えることができた今でも消えない。

 

だから俺は決意した。俺は、俺と同じ思いをする人をこれ以上増やさないように、聖杯戦争を止めると。

 

今再びその戦争が起きようとしている。アインツベルン本家、万華鏡からも聖杯戦争を今回で終わらせる許可を貰っている。アインツベルンからは支援も来るそうだ。そのために姉さんは朝食をとったあと、本家まで行くことになっている。

 

数日後にまで迫った聖杯戦争。

俺は俺自身の目的と信じるもののために、戦いに挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








はい、ここまでです。

最後の方、文章に纏まりがなく、読みにくかった人も多いと思います。
次回は設定と対人関係について少々記述しようと思います。


いつになるかわかりませんが、あたたかく見守っていただけると幸いです。


ではまた。
メイン作品もよろしくお願いします。





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