ゲート 魔導自衛官 彼の地にて斯く戦えり   作:庵パン

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ドーモ、庵パンです。
この所不定期更新になりつつあります。
最近、むちゃくちゃ暑いのでペースが狂ってるんでしょうか。
それはさて置き、今回の方がエロいと思います。
流石に18禁には抵触してないと思いますが、なんか………生いです。
でも男同士のエロとか絶対にやらないんで、そこだけは安心してください。
もうエロいのも今回で終わりです。
4部があったらそこでやるかも。


第六話 正道と衆道

課業が終わり、陽が沈んだアルヌスの街の外れの忍者屋敷。

そこに併設された浴室で、ジゼルは火威と桃色遊戯に耽っていた。

前は一回きりと自分に言い聞かせていたのだが、火威と居たら、またしても“そういう雰囲気に”なっちゃったのである。

ジゼルの尻を前から抱き上げ、何度も奥まで突き上げる火威がジゼルを抱き締めると、彼女の中で果てて生命の証をジゼルの胎内に残す。

「ハ、ハンゾウ……」

息も絶え絶えになりながら、ジゼルからも火威を抱き締め、余韻を楽しむ。

「ジゼル……っ」

火威は再びジゼルを、ぎゅっと抱き締めた。

「うん……もう、こうなったらジゼルが良いかな。って言うかジゼルが良いです」

言いながら、ジゼルと唇を重ね、彼女の臀部を揉み抱き寄せる。だがジゼルは顔を真っ赤にしながらも、不愉快そうに火威を突き放して言った。

「バッカ! オレなんて遊びで良いんだよ! お前はちゃんとクリバヤシに言い寄れ!」

ジゼルは四百数年生きる間にも、若い時に子供を作っておけば良かったと過去を嘆く老人を何回か見ている。火威にはそんな思いをさせたくないし、そもそもそんなのは火威しらしくない。

「ちょ、ジゼル。女の子……じゃないけど、ジゼルから言って良い台詞じゃないよ、それ」

「いや、まぁそりゃお前の気持ちは嬉しいけどよ……」

でも……と、言いかけて、言葉を詰まらせるジゼル。だが彼女はそのまま押し黙ってしまった。

そんなジゼルの頭を撫でながら、火威はジゼルに言う。

「あぁ、これから夕飯食べに行くんだけどさ、ジゼルもまだでしょ? 一緒にどう?」

「そうだな、じゃあオレも行こうか」

大きな掌に頭を撫でられ、数百年振りに頭に感じる優しい体温に絆されそうになりながらも、このままではいけない事と、ジゼルは考える。

「そういやハンゾウ、“ごーこん”ってお前も出るのか?」

浴室の汚れを水の精霊を使役して洗い流す火威に、ジゼルが服を着ながら問いかけた。

「出ませんよ。大体あれって幹事が出て良いモンなのかねぇ」

所々敬語のままなのが気になるが、もし“ごーこん”なる物がジゼルにとって使えそうな物ならと……ジゼルは一計を案じるのであった。

 

 

*  *                            *  *

 

 

皇城東宮殿・花の間。

火威は東宮を訪ねる客を待たせておく、庭球が出来る程度の広間でピニャの執務の間を待っていた。

以前までなら、この時間に新兵器を鍛えに行ったりして時間を潰していたのだが、今回はジゼルに頼まれて、悪所でフェトランなる妙な臭いの立つ怪しげな丸薬を土産に買いに行っただけの時間しか潰せてない。

ジゼルも実際に買ったことが無かったらしく、本当に存在するのか不安な薬だと言っていたが、2デナリで怪しげな占い師の女から買えたのである。

これ、本物? と思う所だが、真偽を見極めるにもフェトランにどういった薬効があるのかジゼルにも聞いていないし、聞く前に課業が始まってしまった。

花の間は華やいだ豪華さと、清楚で落ち着いた雰囲気が漂う。そしてクッションは腰まで沈む柔らかさだ。

御蔭でピニャの休憩時間であり、火威がゲイ術の成果を受け取るまで、余り暇はしなかった。

本当なら、ピニャやハミルトンが花の間まで来るらしいのだが、火威はピニャの休憩時間とあって、そのまま執務室に向かう。

だが、今日は何時もと違った。

ピニャ付きのメイドが呼びに来たかと思うと、「輝下が降臨されました!」なぞと言って走って行ってしまったのである。

気付くと、何やら騒がしい。というより、黄色い歓声と言うか悲鳴が皇城を包んでいるようだった。

ん~、なんだら? 気の抜けた様子でメイドの後を追うように、ピニャが居るであろう執務室まで向かう火威。

すると執務室に行く道すがら、ピニャやハミルトンがバルコニーに居るのを発見した。彼女たちはどうやら、皇城門前を進む白馬に跨ったエルフに黄色い歓声を送っているようだった。

一見すると細く見えるエルフだが、ただの細身ではなくしなやかな筋肉を持ち、常に微笑みを湛えている。そしてサリメルと同じように魔法で染めたのかは知らないが、七つの色の髪は強烈な┌(┌^。^)┐ホモォ な印象を火威に叩き付けた。

その隣に、黒馬に跨った綺麗なシュワちゃんらしきヒト種を見た。こっちは明らかな筋肉質で、薄い革鎧を付けている。

火威と違って癖のある黒髪を腰まで伸ばしているが、その様子が火威への皮肉に見えて妙に気に入らない。まぁ、完全な被害妄想だが。

二人は取り囲む女性達に些か迷惑しているように苦笑し、互いを交換する。

「い、今の見たかハミルトン!? マジもののグラ×ユエだ。ヤバイ! 萌える、萌え禿げてしまう!」

その言葉は、中々に火威の精神を抉るものが有った。だがチタン製の精神を自負するっぽい火威である。この程度はダメージにならないだろう。多分。

「で、殿下。世の潮流はユエ×グラですが」

反論するハミルトン。彼女達の言っていることが解る火威は、自分自身が恐ろしい。

その時、白馬に跨がっているエルフが火威を見て、綺麗なシュワちゃんと何か話している。

すると、目の前の女性達より頭二つ分高い火威を見たような気がした。シュワちゃんの方は睨んでると言った方が良いが。

「で、殿下。こっちを見ていますよ!?」

あぁ、ピニャさんを見ているのか。まぁ内戦を終結させた女傑なら見られもしますよね、と考えた火威は知るまいが、確実に火威を見ていたのである。

「あ~、ピニャ殿下。そろそろ伊丹二尉に届けるゲイ術の成果をば」

「ちょ、ちょっと待てぃ」

なにやら背筋が寒くなってきた火威が催促するが、エルフとシュワちゃんは皇城に少しずつ近付いてくる。

すると皇城から警備兵が出動して、門前の群衆を整理し始めた。そして皇城までの道が出来ると、城の中から貴族らしき婦人が姿を現し、二人と何かを話している。

その間にもゲイ術が描かれたケント紙が入った封書を受け取り、火威はそそくさと皇城から逃げ出してアルヌスまで、文字通り飛んで逃げた。

あの二人、火威が久々に自分自身の身がヤバイと思った。つい先日、大祭典が開かれると決定し、その後夜祭に薔薇騎士団の二十五人が合コンに参加することになったから、今度、帝都に来る時はガリ版で刷った案内を配って四千円銀貨に相当する参加費を集めなければならない。

皇城から逃げ出す時、ピニャがベランダからホモォな感じのエルフとシュワちゃんめいた人物の居る方向に向かって、何か叫んでいたが、火威にどうにか出来ることでも無さそうだ。

 

 

*  *                            *  *

 

 

アルヌスに帰った火威は、火威の帰りを待っていたジゼルに謎の丸薬を渡すと、真っ先に伊丹の下に向かった。

早く謄写版(とうしゃばん)やらガリ版を刷る作業に入りたいが、精々でワードプロセッサー世代の火威には、熟練の自衛官に聞いてガリ版を作るより、二十五人程度なら手で書いた方が早いかも知れない。

男の方、(すなわ)ち自衛官の方は、口で言えば十分だし、倉田が世話を見るる所だ。

伊丹の居る場所を探していると、頂の南に位置するロゥリィの神殿、ロゥリアで見掛けたなんて言う犬耳の女性傭兵の証言を得ることが出来た。

そこに向かう道すがら倉田に会う。

「三尉、高射特科の連中が参加する女の子が少な過ぎるてクレーム付けてきましたよ」

「げっ、マジかよ!?」

二十五人でも案内を書くのに骨が折れるのに、それ以上の人数を要求されるとは思わなかった。

そもそも元は神子田の要求だ。本当なら二~三人で良かったハズ。

「もう富田や出蔵を見習って坂降りてナンパしろよもぅ。場所作らんと女にも声掛けらんないのかよ」

然るべき場所と時でしか、異性に声を掛けれない筆頭の火威が言うが、一度に帝都を空けれる騎士団の女性は、警備の都合上、全体の十分の一までだ。

その事を倉田に伝えると、「アルヌスで集めるしか無いっすかねぇ」と、火威と同様の考えに至った。

「ところで、足りんって何人くらい?」

「全員で五十人は欲しいとか言ってました」

「欲しがり屋かよ高射連中っ!?」

正直、火威個人が幹事やれるレベルではない。

テレビの企画でやって下さいお願いします、のレベルだ。

「えぇい、もう定員は三十名までだ! それ以上は自分らで頑張れってことにする!」

五人の募集は、生活協同組合に話しを広めて貰えば、すぐに集まるだろう。

それ以上の要望は鬼のような厳しさで切り捨て、伊丹がいるであろうロゥリィの神殿に向かう、

辿り着いた祠とも言うべき、ロゥリィの神殿の前には、情報通りに伊丹とロゥリィ、そしてエムロイの神官の三人の女性と一人の見慣れぬ女性が居た。

そして初めて見る女性は迷彩服を着た美女だ。背丈は栗林と同じくらいだろうか。

「あれ、こんな美人、隊に居たっけ?」と思いながらも伊丹にピニャから受け取った封書を渡す。

「お、サンキュー」と帰された時、伊丹に近付いて気付いたが、神官の三人の内の歳が一番低い少女は目の下に、くっきりと隈を作っているし、初めて見る美女はの肌は緑色の上に裸Yシャツならぬ裸迷彩服状態だ。

この煽情的な様に、「今度ジゼルにやってもらおう」とか思いつつも、伊丹に尋ねる。

「あぁ、この人……じゃないけど、ロゥリィの神様仲間で肉食系のワレハレンさん」

食人系の神様か!?と、反射的に思う。その犠牲者らしき人物が神官の一番下である事を伊丹から聞くと、肉食系の意味も性的な意味で、今まで少女だと思ってた人物が男である事を知り、初めて見た時の言いようの無い敗北感の正体を知った。

「な、なんと樹下が降臨されていたとは……」

過去にフォルマル邸で亜神各論を流し読みしたから、その程度の知識は火威にもある。

「早目ニ来テ申シ訳ナイノダガ、ソロソロ養分ヲ頂カナイト萎テマウ」

「あんた燃費悪過ぎよぉ」

「仕方無カロウ。今日ハ半日服ヲ着テ、モウ夜ニナルノダカラ」

その時、テュカとヤオが貫頭衣を持って丘を上がって来た。

ロゥリィはこの貫頭衣に着替えろと言うが、ワレハレンは迷彩服の柄がお気に入りのようだ。

うん、俺もそのままで良いと思う……と考えてるのは火威だ。

だがワレハレンが着てる迷彩服は伊丹の物らしい。この美女型植物の神様は肩をがっくり落とすと、伊丹や火威が居る前で服を脱ぎ始めた。

慌てて顔を背ける伊丹に、若干遅れること二秒、明後日の方向を向いて見てませんよポーズの火威。

もう陽が沈んで来ているし、ワレハレンは緑の身体の上に貫頭衣を着ている。

光合成が出来ない以上、男の誰かが生け贄になるしかない。

「モーイ!」

「せ、聖下、朝昼と饗応して、あたしはもう無理ですぅ」

珍しく「うむむ」と手詰まりのロゥリィ。

「じゃ、じゃあヒオドシにぃ……」

と言ったところで、「あ、あたし、もう少し頑張ってみますぅ」と、モーイ少年は見ずから贄になることを志願した。

特地宗教界の機微に関わらずに済んだとは言え、俺の第一印象って最悪じゃね?

そう考えた火威は、モーイのお務め後に精力の着く物食べれるよう、ロゥリィに少しばかり御布施をしといた。

 

*  *                             *  *

 

 

既に課業の時間は終わっている。

丘の上から真っ直ぐ忍者屋敷に帰る。

今日は少しばかり、汗ばむことが多かったので、先に浴室で汗を流そうかとも考えたが、寝る前には合コンの案内を自筆で書くなり、油紙を削らなければならない。

だが、家に着くと、そこにでは栗林が待っていた。

「ゲェェ! 栗林っ。何でお前がここに!?」

数日前まで、会えればそれで幸福感を感じれた女なのに、それが今では天敵のオークに遭遇したような反応を見せてしまう。

「ジゼルさんに呼ばれたんですよ。私も用が有って来たんですが」

「ジ、ジゼル……さんに?」

ジゼルを「さん」付けて呼んだのは、無意識的に栗林に遠慮があったのかも知れない。或は、火威が感じないまでも未だに栗林の事を想っている部分があるのかも知れない。

「えぇ……っ、それでジゼル‥さんに用があるのに、何で俺んチに来たの?」

「いえ、私が用があるのはジゼルさんじゃなくて三尉にありまして……で、来た時にジゼルさんに会って、待ってるよう言われたんです」

アイエエーー、なんで? なんで留めておくの猊下っ?ジゼルがどういう用件で栗林をこの場で待たしておくのか、サッパリ解らない。

「お、悪い悪い。待たせたな」

丘の上の街からジゼルが来た。その腕は、扉のような大きい板を持ち、その上に食堂で料理が乗っている。

多分、食堂で頼んだのだろうが、栗林を呼んで女子会でもしようと言うのか。

そして栗林が自身にどんな用があるのかも気になった。

「ジ、ジゼル…=サン、栗林にどんな用がアッタノ?」

発条《ぜんまい》仕掛になったかのように動きが悪くなった火威が聞くが、ジゼルは|先に家に上がれと言う。

ここ、俺の家なんすけど。

 

忍者屋敷の二階に上がった三人は、リビングでちょっとした祝い事でもあるような量の料理を前にして、ジゼルが自分と二人に酒杯を配って酒を注いでいく。

神様にやらせて良いのかと、火威も栗林も思うところだが、手早くジゼルが全て済ませてしまった。

「栗林の用事って何?」

ジゼルが甲斐甲斐(かいがい)しく動いている少しの間に、そういえば、と前置きして栗林に尋ねたが、「キケロご夫妻から宿があれば取ってくれって連絡があったんですよ」と言う。

曰く、キケロご夫妻は大祭典に同行してくる使用人は五人程度に抑えるから、宿を取って欲しいそうだ。日本的な物なら尚良し。らしい。

「っつか耳が早いなキケロご夫妻」

ピニャの辺りから伝わったのも知れないが……そういえば皇城で見た┌(┌^。^)┐ホモォ な二人が貴婦人と話してる時に、ピニャが何か叫んでいるようだった。

何か関係しているのかも知れない。

「ジゼルさんは何で私を?」

栗林がジゼルに問う。それは火威も気にするところだ。

「ちょっと神殿の門前の石柱が崩れちまってな、外から大勢人間が来る前に片付けちまおうかと思ってるんだが、その手伝いをクリバヤシに頼もうと思ってんだよ」

と、言うのは口実で、火威に頼んだフェトランを栗林と火威の酒に盛って既成事実を作ってやろうと画策したのである。

その為に、神殿前には無い筈の石を飛龍に何度も持って来させて偽装すると言う念の入れよう。

普段から神殿を見てる人間、例えば神殿に住み込むで神官やっているカプシやリーゲル、それに前に住んでる火威なら気付くだろうが、火威は抓って黙らせておいた。

「あ、良いですよ。他の隊員ほど仕事も無いですし」

そう言って快く引き受けた栗林に、ジゼルは酒を勧める。

「あ、私はまだ仕事があるので」

そう言って遠慮する栗林の言葉は、ジゼルには想定外以外の何物でも無い。

「そ、そうか……」

脳筋馬鹿娘と証される栗林だが、伊丹や火威に比べれば、かなり真面目な自衛官である。残したデスクワークを課業後にも持って来ていたのだ。

少しばかり石化したジゼルだが、気を取り直して料理を勧めた。

料理の一部、金平牛蒡(きんぴらごぼう)に似た料理の栗林に向けた一面にフェトランが仕込まれている。

「それじゃ少しだけ」と言って木製の二又フォークを伸ばしたのは、ジゼル側の鶏肉の照り焼きだった。グギギギギ……。

いや、もしかしたら更に食べていくかも知れない。

 

……なんてジゼルの期待なぞ知る訳が無い栗林は、鶏肉だけ食べて「ご馳走、さようなら」で、帰ってしまった。

まさかの事態に暫し固まるジゼル。彼女も出来るなら火威と共に生きて行きたかった。その思いを振り切って、火威が長く想い、自身も認める実力を持った栗林と一緒にしようとしたのだ。

目論みが失敗して残念に思う半面、安心感もあった。

「ありゃ、栗林が珍しく酒呑んでねぇや」

火威が酒杯に手を付け、呑み始める。

「あ……」

思わず声を出したジゼルだが、彼女の目論みなど火威が知る筈もない。

「あぁ、俺は酒を呑めないって一部で言われてますけど、ホントは酒税が付いてて高いから呑みたくないだけなんですよ」

実際下戸だけど、なんて付け足す火威は、今度は金平牛蒡に箸を伸ばす。それもジゼルが栗林に向けた面に。

「ハ、ハンゾウっ」

なんすか? と返事を聞くジゼルの心は、不安半分期待半分だ。

いや、どちらかと言うと不安の方が大きい。今までに二回、火威に抱かれたが、何れも最初は痛い思いをした。

亜神なら仕方ないし、その前後は気持ち良かったのだが、あの痛みは中々馴れない。

それに火威のは中々に大きい。

他の男は知らないジゼルだが、アレで激しくやられると死んでしまいそうだ。

まぁ亜神だから死なないが。

「ジっ、ジゼル……!」

いっぺんに呑んで、早々酒が廻ったのか薬が効いて来たのか、赤ら顔でジゼルを見詰める火威。

毒を喰らわば皿まで、みたいな事を考えると、栗林に出した筈の酒を手早く取って一気に飲み干し、ジゼルから火威を押し倒してしまった。

 

*  *                            *  *

 

次の日の朝方。

一晩中絡み合ったジゼルは裸で居たが、起きると徐に白いゴスロリ神官服を着始めた。

火威は「体が持たねぇ」なぞと嘯きながら、隊の戦闘服を着ていっている。

「あ~、ハンゾウ、昨日は……」

火威の姿を隣の部屋で確認したジゼルが、昨日の痴態の理由を言葉にしようとしたが、それ以上、続かない。

「あぁ、いやいや。俺からも感謝してるよ」

「え、なんで?」

「なんで…って事も無いけど……」

火威に取って見れば、抱かせて貰ったら、それだけで有り難う、なのである。

「まぁ、良いけどよ……。それより、これ以上、お前とすると孕みそうだから、もう無しだ」

「えっ! ちょっ…亜神は妊娠しないんじゃぁ……!」

初めてジゼルと情を交わした日、ジゼル自身がそのように説明したのだ。

亜神はどんな傷を負っても直ぐに治り、獣に喰われて消滅した部位も直ちにに再生し、昇神時の姿に戻る。

「あ……でもお前は魔導士でもあるだろ?だからさ」

後は察せよ、とばかしに言い切るジゼルに、火威は反論も出来ない。

だから「あ……」と漏らしてしまった部分にも言及出来ずに黙ってしまった。

勿論、ジゼルが言わんとしたことは、何一つ根拠の無い嘘である。

だが、昨日の夜から「ついついやってしまった」ジゼルは、そうでも言って火威を遠ざけなければならなかった。

そして、これが見事に火威の操縦方に的中する。

「そういやお前、昨日は何か声が震えてたな」

「や、栗林が何しでかすか解らんし」

帝都まで半日で往復した火威が、風邪でも引いたのか心配したジゼルだが、理由は全然違った。

「だーかーら!栗林が暴走したのはお前のせいだって!」

「ええぇ!?全部俺のせい!?」

どうやらジゼルの中では、そういう事になってしまったらしい。

そうして朝の支度を整えてる内に火威がジゼルに問う。

「ところで猊下」

彼がジゼルを呼ぶ時は、数日前に戻っていた。

ジゼルとしては悲しいが、その方が良いのだ。

返事を返すジゼルに、火威が問う。

「石柱の片付け、俺も手伝いましょうか?」

良いんだよお前は。どうせ翼竜でほとんど片付けるんだから。

そんな種明かししたいジゼルだった。




原作中じゃキケロ卿がピニャに止められてますが、こっちじゃ来ます。登場するかは別として。
あと早めに建設してしまったジゼルの神殿の他の神官も名前は出したりします。
そんなワケで質問・疑問・感想など御座いましたら、待っとります。

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