期間が空きすぎて少々鈍っていると思いますので、今後数話の錯綜と誤字脱字についてはご容赦頂けますと幸いです。
あと何時もより短k(
妖怪達の月面侵攻
月の史実に一生綴られることになるであろう戦争の幕引きは、依姫と豊姫が師とする八意永琳と月の姫である蓬莱山輝夜からの伝言によってひよりを逃がしたことであった。勿論当初は最後の最後まで逃がす予定など毛頭なく、それでも攻めてきた妖怪達を一人たりとも殺すことが出来なかったのは素直に永琳と輝夜の作戦、そしてひよりの実力あってのことなのだろう。
その敗北自体に疑問を抱いたことはない。
けれど一つだけ、腑に落ちないことが依姫と豊姫の胸中で渦巻いていた。
『何故、八意永琳はひよりを月へ送り出すことにしたのか?』
「――それだけが不可解だった。他の全てには妖怪か私たちの為の配慮や気遣いがあるのに、その一点だけに関しては何の根拠も理由もない」
正確には違う。ないのではなく、辿り着けなかったのだ。
師である八意永琳が、ひよりという少女の何に行き着いて
「浄化装置が働いても動ける理由は直ぐ分かった。お前は穢れそのもの、そういう事なんだろう」
それ自体に可笑しい部分はない。
しかし浄化装置を無効化することは妖怪と殆ど同質であるひよりを月へと送り出す決定打にはならない。幾ら突破したところで、私と姉が他の妖怪にするように攻撃するのは間違いないからだ。そして蓬莱の薬を飲む以外に、絶対に死ぬことのない存在というのは恐らく一生現れないだろうと確信している。であるならば、やはりあの方には何らかの確証があったのだ。八意永琳と蓬莱山輝夜の名前を出すという相手任せの奥の手ではなく『ひより自体が何かをしなくても死なない』……そんな理由が。
そしてその理由に、多分私達も追いついてしまった。
私は彼女に――ひよりの背中へと語りかける。
「穢れは地球に住む生物全てに含まれている。人間も、妖怪も、動物も……その量こそ違えど、な。それを私は地球にいるからこそ存在する呪いのような物だと思っていた」
言って、私は自分の利き手が震えていることに気付いた。
嘗て私はレイセンという玉兎に『知らなくても良い事を知るのは罪だ』と、そういったことがあった。そして今、私は同じように知りたくもなかった世界の理を知ろうとしている。きっとこれを口に出してしまえばもう二度と後戻りは出来ないだろう。それが分かっていても尚、私は自らの人生よりも月人達が目を逸らし続けてきた真実と向き合うことを決めたのだ。
「けれど、やはり月人にも微かだが穢れがある。地球の生物に比べれば無に等しい程度の物だが、やはり我々ですら穢れを放たないということは出来ない」
震えは止まらない。口に出すのはやめろと、そう言わんばかりに。
「では、地球ではなく生物に理由があるとしたら?……妖怪にも人間にも動物にも月人にも共通していて、且つ私達月人が地球に居た頃から変わらない物がただ一つある。それは――」
私は震える腕をもう片手で押さえるようにして、その結論を口にする。
「『殺意』」
他者を害するという、究極の悪感情。
黒衣の少女は答えなかった。
◇
負の感情こそがひよりという少女を構成する唯一の性質だと。
そう思い至ったのは、もう随分と昔の話だ。
月に移住することを決めた時、その発案者である月夜見と私はそうは思っていなかった。生きているからこそ穢れを持つ。持っているから何時か死ぬ。地上で行われえる全ての争いや他の生命の捕食が、やがては自らをも死に至らしめるのだと、そう考えて過ごしてきた。
ある時一人の少女と再会した。
彼女は人間ではなく、妖怪ではなく、他の何でもなかった。敢えて言葉で表すのならば、彼女はどの生物にも
『ひよりは妖怪である』
人よりも遥かに長い時を生き、人間であれば死んでしまうような負傷もすぐに治る。無理に食べ物を食べる必要がなく、また夜目も効く。身体からは妖力を放っているし、霊力は放っていない。知能のある妖怪からは同じ妖怪として認識され、人間達からは妖怪の一種として認識されている。時間の経過によって姿を変えることがなく、自らの意思で様々な動物へと姿を変えることが出来る。
『ひよりは妖怪ではない』
彼女は蠱毒という術なだけであって、明確に言えば妖怪ではない。幾ら自身を妖怪と分類していようと、その本質は他の妖怪とは明らかに異なっている。夜に活動する必要はなく、朝に頻繁に活動する。時に人を助け、時に妖怪を助けた。人を襲う必要がなく、驚かす必要性がなく、そして人々に語られない。
――語られない。妖怪の存在の拠り所が人々の恐怖や伝承に依存しているというのに、彼女は語られない。どころか自分から自身の伝承を隠したのだ。永遠亭にある唯一の書は、恐らくもう一生誰の手にも渡ることはないだろう。それでも彼女は存在し続けている。人に依存しないようにと修行を重ねていた妖怪達を尻目に、妖怪に食われまいとしていた人間達を嘲笑うかのように存在していた。依存せず、喰らわず、ただ存在しているのだ。
『では、ひよりは蠱毒なのだろうか』
蠱毒とは本来人を呪い殺す為に作られた術である。その使用方法に諸説あれど、最も使われたのは間違いなく呪殺だ。……であるならば、ひよりが外見上は人の形をとっていたとしても本質は奪命である訳で、そうであるならば彼女はその責務を全うすべきである。
例えば人が子孫を残すように。
例えば妖怪が伝承に沿って人を襲うように。
それぞれが『人間』『妖怪』と定義されているから、彼等はそのように生きている。
けれど
行き着いた先は、そんな推論とは全く関係のない結末だった。
事柄と事柄の間にある関係性の思い違い。この場合は「無数の生物と共に閉じ込められ、最後にひよりが残った」という過程と「故にひよりは蠱毒である」という結果の勘違い。蠱毒と同じ製法を体験した、あるいは聞いた者は皆、ひよりが蠱毒になったのだと思っただろう。人は誰でも先に定義されているものと同じであれば、そうであると信じてしまい易いのだ。そして事実、私も同じ見落としをした。
多分ひよりは他のどの生物よりも自覚していたのだ。
他者を喰らうということは、その存在を殺してしまうという事を。
そしてそれを繰り返し続けた結果、彼女の中は他者の殺意で一杯になった。
それがひよりの正体である。
「ひよりさんはあそこに混じらないのかしら?」
魔理沙に手を引かれて喧騒の中に混じって行く輝夜を眺めつつ、私は後ろの賽銭箱に座っているのであろう彼女に問う。
時は私達が満月を奪った日から一日、異変解決を祝う宴会が行われている真っ最中である。異変を起こした側として招待されたこの宴会だが、やはりというべきか私自身はあまり気乗りがしなかった。幾ら月からの使者が来ないと分かっていても、この宴会が親睦を深めるためだとしても、此処へ来るために残してきた問題が余りに大き過ぎる。全壊した永遠亭の修復、幻想郷と今後付き合っていく上での話し合い……特に前者は全くと言っていいほど手を付けていないのだ。当分の野宿は避けられないだろう。
そして後者を話し合う相手である八雲紫に、私は輝夜共々宴会へと招待された訳だ。
どうやら彼女は余程私達に野宿をさせたいらしい。
「此処から眺めてる方が、私は好きかな」
振り返れば何処か愛しそうに喧騒を見つめているひよりの姿。
その瞳はまるで、眩しい物を見つめるように細められていて。
「……昔は此処で、彌里と妹紅の組み手を見ていた。毎日やってたけど、毎回見に行っちゃうんだよね。今までは妹紅と彌里だったからって、そう思ってたんだけどさ――」
私はその時の彼女の顔を一生忘れることはないだろう。
「私があの時見続けていた理由が、多分此処にもある」
座っちゃうのはその所為と。ひよりはそういって、微笑むのだった。
「……」
私は外の世界でひよりと豊姫達が何を話していたのかを知らない。
私と輝夜の意志と謝罪を伝えることを頼んだ以上、それ以外について訊ねるというのも野暮だろう。例えひよりが二人に何を言おうと、何を言われようともそれは彼女達自身の物だ。向こうから話して来ない限りは、此方が手を出すような事をする必要はない。
だからこそ不安だった。
『結果は報告して欲しいかしら?』
『いい。知らなくても五百年は何とかなった』
そう言ってくれた彼女の決断を、私は出来うる限り尊重したい。
けれどそれと同じ位、そう上手く行かない事にも気付いていた。豊姫と依姫――蠱毒という
ひよりは自身が妖怪でありたいと、そう思っていることを知っている。
けれどもし、あの二人がそれを口にしたのならば――
「……御免なさい。ひよりさんには、迷惑をかけてしまったわね」
「別に。霊夢達と戦うのも依姫と豊姫と話すのも、楽しかったよ」
それに、と彼女は続ける。
「輝夜がああやって笑えているなら、私はそれで良いかな」
彼女の言葉に釣られるようにして、私も視線を正面へと戻す。
最初は魔理沙に手を引かれて恐る恐るといった様子の輝夜が、今ではもう吸血鬼と取っ組み合いをするまでに発展している。吸血鬼の帽子を投げ捨て、輝夜の長い髪が引っ張られて――けれども、何故だかそれを止めようとは思わなかった。永い間二人で永遠亭に居た頃には見せなかった笑顔を、私はこの時久し振りに見たのだ。
それを見て私は、先の言葉が相応しくないことに気付く。
「ねぇ、ひより」
「ん」
謙らない。今私の後ろにいる彼女は、私の友人でもあるのだと気付いたから。
「ありがとう。今回のこと、本当に感謝しているわ」
「うん――」
スタンと足が地に着く音がする。そうして私の横を通り過ぎ、彼女はどうやらあの宴の中に混じるつもりのようだ。
その後ろ姿は相変わらず小さくて、触れれば消えてしまう程儚げで。
「そっちの方が、永琳らしくて良いと思う」
けれどその歩みは、決して緩むようなことはなく。
「……」
その後ろ姿から視線を外し、私は喧騒の中にいるであろう輝夜の姿を捜す。
取っ組み合いは終わって、今度はどちらが正しいかを弾幕ごっこで証明する所のようだ。
輝夜の顔には、相変わらず笑顔が浮かびっ放しで――
足は自然と、その方へと向かった。
◇
「それでは、失礼します」
プシュウと音を立てて閉じた扉を背に、溜息。
二つの報告を同時に済ませた。一つは今回の地球探索で八意永琳と蓬莱山輝夜を発見できなかったという物。もう一つは、今後二人の捜索の為に地球へ人員を派遣することを取り止めるという物。そのどちらも私と姉上に一任しているとはいえ、僅かな期待を持って待ち続けてきた者達に偽りの報告をするというのは余り気分の良い物ではない。
けれどそれ以上に心躍って。
「嬉しそうね、依姫ちゃん」
「っ!……居たのか、姉上」
そんな私を待っていたのだろう姉は、ニマニマとした笑みを浮かべながら近付いてきた。
「それで?永琳様と輝夜様の捜索は?」
「あぁ、
それが、ひよりから伝えられた伝言の一つ。
『八意永琳と蓬莱山輝夜を捜索することを固く禁ず』
「嬉しい半分悲しい半分ねぇ。永琳様は兎も角、輝夜様は月では少し物足りなかったでしょうけど、それでも一言くらい言ってくれれば良かったのに」
「最初は普通に迎えにきていたとひよりは言っていたぞ。……まぁ最も、輝夜様が帰るのを望んでいない上にひよりが居たのでは結果は変わらなかっただろうな」
結局力では二人と再会することは叶わないという事だ。
それでも新たに用意された道がまだ私達には残されている。
「そして今も帰るつもりはない。けれど、
「あぁ、そうだな」
それはひよりから伝えられたもう一つの言葉。
『豊姫と依姫で来た場合は、その限りではない』
つまりは、月の使者としてや八意永琳と蓬莱山輝夜の捜索という目的でなければ来ても良いと言う事。本来であれば本人達と話が出来ない以上絶無の可能性だったのだが、ひよりが仲介をしてくれたお陰で何とか向こうの望む形で会いに行ける可能性が出てきたのだ。
姉は呆れと苦笑が混じった複雑な表情で頬を掻いた。
「そうは言っても……これお姉ちゃんが手を回すのよ?仕事を押し付けたり役割を分担したり重要案件を優先させたりって」
「頑張ってください、姉上」
「~~っ!依姫ちゃんにも手伝って貰うからね!」
そういって半ば泣くように走り去っていく姉を私は見送る。
まぁ、勿論彼女だけに任せたまま悠々と過ごすようなつもりはないのだが。
「……」
そうして漸く一人になって、私はついつい想い出す。
つい先程まで地上で話していた、あの黒衣の少女との遣り取りを――
『ひより、お前って家族は居るのか』
『居たよ、人間の子供が一人』
一千年前にね、と付け加えて。彼女は潰れた神社の残骸に腰掛けたままそう答える。
『……すまん』
『ん、別に。もう過ぎたことだから。悲しくは、あるけれど』
素直に強いと思った。地球で生きる彼女は、きっとこれからも多くの生き死にに触れるだろう。
そこから悲哀の感情だけを抜き取って前を向くというのは余りにも難しい。例えば綿月豊姫が、八意永琳が、蓬莱山輝夜が去なくなってしまったら私はどう思うだろうか――どうすれば良いのだろうか。考えただけでも心に冷たい何かが広がっていくこの感覚を、一体彼女はどうやって切り抜けてきたのか。私よりも短い年月を生きている筈の少女が、月人達が月へと逃げることで諦めた
きっと彼女も多くを失ってきた。少なくとも、私にはそう映った。
『そうでもないよ。少なくとも、私はそう思う』
私の心を見透かしたようにそう言って、ひよりはゆるりと首を振る。
『例えば、さ。草や木が枯れなくて、動物は他の動物を食べる必要がなくて、人が死ななかったら――きっと世界には、新しい誰かが生きる場所がなくなる』
『……』
『生は恒常的であってはならない。死は普遍的でなくてはならない。生きる為に奪って、死ぬために与えなければならない』
本当に殺意の権化なのかと思うほど、その口から零れる言葉は躍動感に満ちて。
『生きて死ぬ。月人にとっては忌々しいことで、人間にとっては悲しいことだけど、意味がなかったことはない』
死は多くを奪う。それ以上に、彼女はそこから多くを得たように見えた。
『……そうか』
不思議と胸に収まった。実感がないまま、そういう物なのだと思ってしまう程に。
私も彼女と同じように夜空を見上げる。
そこには多分、月人と地上の妖怪という隔たりはなかった。
◇
斯くして、幻想郷から満月を奪うという大胆不敵な異変は無事解決された。
表と裏、外と内。それぞれの思惑や目的が交錯した故の、複雑怪奇な異変ではあったが。
今回異変を起こしたことによって存在を知られることになった永遠亭とそこに住む不思議な人間達は、どうやら薬師として人里と関わっていくつもりらしい。しかし迷いの竹林という場所は迷い易く、しかも数多の妖怪が出没する場所でもある。彼女達が果たしてどのように人々との仲介を行っていくのか……を知るのは、もう少し後のお話。
それと、ひよりは宴会の途中から何時の間にか戻っていたようだ。
紫と二言三言交わしその後暫く蓬莱人の片割れと話していたようだが、それが終わってからは静かに輪の中で弾幕ごっこを眺めていた。正直に言えば紫が何処へ送ったのか、今回の異変の犯人達とどう関係があるのか興味の尽きない所ではあった――が、それを聞く勇気は残念ながら私にはなかった。幾ら同じ屋根の下に住んでいるといっても、何となく私もひよりもお互いに遠慮しているような気がしてしまって。
そんな蟠りを抱えたまま迎えた、異変解決の宴の次の日。
私は寝室から良い匂いが漏れてくる居間へと続く襖を開ける。
「おはよう」
「……おはよう」
挨拶も程ほどにして席についた。
白米、筍と旬の野菜の佃煮、焼き魚、菊と豆腐の味噌汁……恐らくは私が起きる時間に合わせて作ってくれたのであろう、まだ湯気の立つそれ等へと箸を伸ばす。
確かひよりは昨日ずっと竹林に居たのだから、この筍は――
「そ、うちの竹林で取れる筍よ。驚いたわ、こんなに美味しいのね。おかわりは?」
「……貰うわ」
はいどうぞ、と白米を盛った茶碗を差し出したひよ――蓬莱山輝夜を睨みつける。
何の因果でこうなったのかさっぱり検討もつかなかった。宴会が終わり、吸血鬼も亡霊も蓬莱人も各々自分の家へと帰った筈だ。いや、蓬莱人の家は今はないのだけれども、神社に泊めるのも面倒だからと帰らせた。なのにこうして目の前に蓬莱山輝夜が居るというのは、一体どういう訳なのだろうか。……よくよく思い返してみれば、挨拶を返してきたのも彼女だったような気がする。
そして私は漸くこの朝食を作ったであろう張本人がいない事に気付いた。
「ひよりは?」
「盛り付け任せて遊びにいっちゃったわ。酷いと思わない?
どうやら彼女は朝からひよりに会いに来て、そして振られたらしい。
自分の分のおかずを食べ終えて私の方へと伸ばしてきた箸を叩き落とし、急いで口に運ぶ。
「で、あんたはどうして此処にいるのよ」
「霊夢と親睦を深めに来た……って言ったら信じる?」
自分の茶碗と私の茶碗を重ねて流し台へ持っていく輝夜。
「信じない」
「ま、そうよね。でも実は本当よ。私は貴女と仲良くなりに来たの」
そういって再びテーブルへと戻ってきて、彼女はニマリと笑みを見せる。
「正確には貴方とひよりの仲を取り持つ為に来たのよ」
「……」
「貴女、ひよりとの付き合い方に迷走しているんでしょう?」
輝夜は私の答えを待たず、その笑みを柔らかい物へと変える。
「確かに関係は複雑よねぇ、ひよりは元々娘が居たし、貴女は早くに亡くなったとはいえ先代が居た。お互い思い浮かぶ人がいるから踏み込めない。自分は良いとしても、相手に思い出させたくはない……違う?」
「……そうよ」
これが魔理沙や他の近しい者ならば誤魔化しただろう。
けれどこの話題に関してだけは、私はほぼ他人である彼女になら素直になれる気がした。
「そうね……じゃあ、私から一つ難題を出しましょう」
「……難題?」
すわ弾幕かと身構えたが、輝夜は慌てて両手を振って苦笑する。
「もう、弾幕ごっこ一直線ね。……そうじゃなくて、私のちょっとした遊びに付き合ってくれれば良いわ。それに応えることが出来たら、貴女が間違いなくひよりと仲良くなれるひよりの『秘密』を教えてあげる」
両手をパンと打ち鳴らし、輝夜は立ち上がって口を開く。
「迷いの竹林で肝試し――どう?面白そうでしょ?」
その笑顔から、私でなくても嫌な予感を感じさせる邪気を纏って。
え?豊姫の出番が少ないって?儚月抄での紫との絡みまで我慢してください。