死の超越者と白夜の騎士   作:スティレット

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今回は一巻エピローグなのでちょい短め。



あとがきに追記しました。


第五話

 事後処理は問題なく片付いた。

 

「ブロントさん」

 

「何かな? モモンガさん」

 

 アウラ達が指示を出しているので俺達はおしゃべりに興ずることが出来る。

 

「どうもあのスレイン法国の連中を監視していた者たちが居るようでしてね。こちらの攻性防壁が働いたみたいです」

 

「ああ、こっちでも確認してるだよ。モモンガさんのは・・・・・・なんだっけ?」

 

「強化した〈爆裂〉です」

 

「こっちは能天使をぽこじゃか送り込んで、敵味方の死体を生贄に堕天させた熾天使を呼び出す奴だったかな」

 

「ぽこじゃかってはじめて聞いた。どこの言葉?」

 

「どこでもいいだろ言語学者かよ」

 

「・・・・・・まあいいです。あの程度の防壁に引っかかるようでは程度が知れる。もし熾天使呼び出されてたら辺り一帯殲滅されている可能性があるんですけどね」

 

「気にしてもしゃーない」

 

「そうですね」

 

 

 

 一方、スレイン法国、土神殿。

 

 何が起こったのか分からなかった。土の巫女姫が爆散したと思ったら中空から大量の天使が出現したのだ。それもただの上位天使クラスではなく、能天使。最高位と言われる主天使程ではないのだが、数が数だ。爆発によってダメージを受けていた我々はたやすく葬られた。

 

 その後、死した我々には与り知らぬ事柄だが、どうにもさらに上位の天使が出現したらしい。スレイン法国はどうなってしまうのか・・・・・・。

 

 その不安と絶望を胸に、私は天使に屠られた。

 

 

 

 場を戻して、カルネ村。

 

 こちらには復興支援と言う事で、デス・ナイト2体とゴーレムを貸し与えることになった。ついでにモモンガさんが、ゴブリン将軍の角笛を渡していたが、まあ、デス・ナイトだと細かな意思疎通ができにいからな。弱くても小回りの効く奴をとでも思ったんだろうか?

 

 それで助けた村娘と言うと――俺の顔を見るなり赤くなる。んん? まあ、あれだ。吊橋効果って奴だろ。放っておいても問題なさそうだ。

 

「モモンガ様、ブロント様」

 

「どうした? アルベド」

 

 あまり口の挟まないお前が質問してくるとは珍しいな。

 

「どうしてあの男を助けたのですか?」

 

「ああ、それはな。まず、一つ。我々はこちらの貨幣を持っていない。奴は王国戦士長と言う役職に就いていた。よって助けたことで謝礼としてそれなりの金額が期待出来るだろう」

 

 モモンガさんに続けて俺も説明する。

 

「二つ目。どうもここは三国の緩衝地帯になったりするみたいだ。法国は論外だとして、帝国はよくわからん。だから王国に有る程度肩入れしておけば迂闊に手は出されにいって事だぬ」

 

「左様でございましたか。しかし人間共の国など叩き潰してしまえばよろしいのでは?」

 

 アレだけ弱い連中相手に警戒するのはどうも腑に落ちないらしい。

 

「まだまだ情報が足りないのだ、アルベドよ。連行した連中から情報を引き出し次第、次の行動を取ろうかと思っているが・・・・・・その間は近隣調査と別口で王都へ行く準備だな」

 

「そ、それでしたら至高の御方々よ! 私に同行をお命じください!」

 

「そこら辺は・・・・・・もうちょっと人間に化けれる奴から厳選だな。残念だったな。アルベド」

 

「そんなー」

 

「アルベド、お前にはナザリックを守ると言う重大な使命がある」

 

「モモンガ様・・・・・・分かりました! 不肖、アルベド。ナザリックにて帰りをお待ちしております!」

 

〈モモンガさん、そこでアルベドの頭を撫でるだよ〉

 

〈うぇっ!?〉

 

「・・・・・・アルベド、頭を出せ」

 

「なんでしょう?」

 

「世話をかける」

 

 魔法使いにはハードルが高いのかぎこちないモモンガさん。

 

「そ、そんな・・・・・・くふー!」

 

 フルフェイス越しでも嬉しいらしい。

 

〈これでしばらく大丈夫だろ〉

 

〈じりじりと距離が縮んでいるようでちっとも安心できないんですが!〉

 

〈まあなんとかなるべ〉

 

 正直アルベドの事はモモンガさんに任せよう。

 

 

 

 玉座の間ではいちいちめんどくさい手順が入るため、現在モモンガさんの部屋にて状況報告をしてもらっている。

 

「捕らえた者たちですが、現在氷結牢獄にて投獄しております」

 

「そうか」

 

「では、手はずどおりにニューロニストに情報を吐かせる方向で?」

 

「いや、何名かは〈支配〉を行った後、こちらの文章を覚えるための講師としておけ。ただし、ニグンと言ったか?あれからは可能な限り情報を搾り出さなければならない。その点に注意せよ」

 

「畏まりました」

 

「ブロントさんからは何かありますか?」

 

「特に調べる点なら相手の兵器、マジックアイテムだな。どんなのがあるのか分からない以上、世界級も想定しておかないとダメだべ」

 

「了解しました」

 

「こんなもんかね?」

 

「そうですね。一応騎士からもいくらかの金銭が取れましたし、王国戦士長からはパンドラズ・アクターに受け渡しをさせて俺達はちょっと王都にでも行ってみましょう」

 

「こっちの文字が読めるか怪しいって事忘れんなよ。多分ギルド潰ししたときに翻訳アイテムがいくつか紛れてたとは思うが」

 

「分かりました」

 

「先に誰かに習得させて俺達の講師に着けるべきかとも考えられるけどな」

 

「それでしたら是非私が!」

 

「アルベド?」

 

「デミウルゴスは最近忙しいようですし、これでも頭の回転は良い方だと自負しております! 私にお任せください!」

 

「わ、分かった。お前に任せよう」

 

「ありがとうございます!モモンガ様! ブロント様!」

 

〈これ失望されないようにするプレッシャーが半端ないんですけど〉

 

〈どうせ誰かに任せなきゃいけないことだったべ。捕虜に教わるにしても俺達と捕虜じゃ、格差があるし〉

 

〈そうですね・・・・・・〉

 

 すかし冒険に出てもちょくちょく帰ってこないとホウレンソウが出来ないな。ままならにい。




デス・ナイトが増えすぎたのでカルネ村に配備されました。やったねエンリちゃん!

追記

 信仰がアルタナの場合、善よりなので堕天などは特殊な工程を挟む必要がある。(例:カルマ系クエスト、アイテムや生贄など)

 カルマ系で一度闇堕ちした善のクレリックは贖罪が終わるまで魔法が一切使えなくなる。

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