死の超越者と白夜の騎士   作:スティレット

8 / 20
今回はもうちょっと暴れさせたかったけどしょうがない。

追記

一部加筆修正しました。


第四話

「なるほど、確かに居るな」

 

 ガゼフが言う方向を家の影から見ると「ユグドラシル」で見たことがあるような天使系モンスターが結構な数浮かんでいる。しかしアレは只の上位天使の亜種。正直雑魚としか言いようが無い。

 

「一体彼等は何が目的でこの村に攻め込んだのでしょう?彼等は一体何者なのでしょうか?」

 

 モモンガさんが質問する。そりゃな。フラグって言ってもなんかの戦略価値とか目的が無いと攻め込まないだよ。

 

「モモンガ殿も知らないとなると・・・・・・おそらくは私だ」

 

 ガゼフが苦しげに吐露する。王国戦士長ってそんな偉いわけ? デス・ナイト程度にビビってるようだと30そこら程度のレベルしか無いと思うんだが?

 

「憎まれているのですね。戦士長は」

 

「戦士長の地位に就いている以上仕方が無いことだが、本当に困ったものだ。さて、このような数の天使を召喚し、魔法詠唱者が主な戦力な国となるとスレイン法国。それもこのような特殊工作に従事するとなると、六色聖典のどれかでしょうな」

 

 ガゼフは肩をすくめて答えるが、どうにも焦りと怒りがオーラとなって見えそうになっちぇいる。自分のせいで近隣の村が壊滅してっからな。

 

「貴族共を動かし、装備まで剥ぎ取ってご苦労なことだ。あの蛇のような男が宮廷に居たとなったら厄介だっただろうが・・・・・・これくらいで済んで不幸中の幸いと言うべきか。スレイン法国まで噛んでいるとは思わなかったぞ」

 

 しかしデス・ナイトに警戒する程度のレベルと装備であの敵陣をなんとか出来るわけ?

 

〈ブロントさん、あれは炎の上位天使だと思うのですが〉

 

〈それ、もしくは亜種だぬ〉

 

〈そうですね〉

 

「あれは炎の上位天使・・・・・・それかその亜種族でしょう」

 

〈召喚出来るモンスターも同じ?だとすると魔法にも我々のものと該当する箇所があると言う事ですね〉

 

〈んだな〉

 

「モモンガ殿、ブロント殿、良ければ雇われないか」

 

〈どうしましょうか?〉

 

〈むしろこいつ等を先にぶつけるだよ。後はモモンガさんの好きにしたら良い〉

 

〈分かりました。この男を助けるだけでも恩が売れそうなので、その方向で行きます〉

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「報酬は望まれるだけお約束しよう」

 

〈モモンガさん、そういや俺達こっちの貨幣持ってない〉

 

〈どうします?報酬にしときます?〉

 

〈うみゅ、金の方がいいな。この村にしばらく滞在するって方針で、地位とか面倒なの押し付けられないように現金かな〉

 

〈となると・・・・・・また俺達がここに来ないといけなくなりますか〉

 

〈報酬の支払いにはガゼフ本人を付ける事を条件かな〉

 

〈王都への召集とかは全部パスの方向で?〉

 

〈うみゅ〉

 

〈しかしそうなると行動に制限が出来ますね・・・・・・あいつを引っ張り出すか。うう、気が進まないなぁ〉

 

〈そういやあいつには俺も用事があるんだった。こないだ遊びで作った外装でネオナチの軍服に似合う銃作っただよ。自我持ち出したから多分喜んでくれるはず〉

 

〈これ以上あれをいじる気ですか!?〉

 

〈演技指導も考えている〉

 

〈やめテ!〉

 

「・・・・・・では、戦士長殿。いくつかの条件を飲んでいただければ」

 

「何でしょう?」

 

「まず、我々は堅苦しいのが嫌いなので報酬を受け取りに王都へは行きません。そして、この見た目ですから貴方以外を寄越すと話がこじれるでしょう。なのでしばらく復興も含めてこの村に滞在しますので、戦士長殿もしくは直属の部下に報酬を持ってきて貰いたい。一括現金で」

 

「・・・・・・う、む。了解した。して、金額は?」

 

「貴方の誠意に比例した額をお願いします」

 

〈ほんとは相場がわかにいだけだろ? ん?〉

 

〈うるさいよ馬鹿〉

 

 ちょっと最近モモンガさんにダークパワーが影響しているのか言葉遣いが変わっちぇきている。この世界に来てダークパワーの仕様が変わったか?

 

 ちなみにヴァナ・ディールだとグラットンを納められる鞘は無かったんだが、神器級アイテムとしての鞘にグラットンを納めている。だから周りにはあまり騒がれない。

 

「では、戦士長。我々は村の防衛を行います。そちらより数も少ないので。馬を持っている貴方方は攻撃をお願いします。突進力があった方がいいでしょうから」

 

「分かった」

 

「後は、こちらをお持ち下さい」

 

 モモンガさんが500円ガチャのはずれの木彫りの人形を出す。

 

「ありがたく頂こう」

 

「では、御武運を」

 

 

 

「下っ端共も一緒に広場に移動させたほうがいいな。それとアルベド。エイトエッジ・アサシンに伝達だ。伏兵の確認。捕捉したら生かして捕らえろ」

 

「かしこまりました」

 

 それから俺達は指示を送った後、モモンガさんの魔法で会話と映像を傍受していた。

 

「おっなんか必殺技っぽいのを使った」

 

「こっち特有の技か? 戦士職で覚えられるなら使いたいだよ。さっきの六回攻撃も体得出来れば次元断切と併用出来るかも」

 

「うわぁ」

 

「近接だったらグラットンにもう一つアレを装備すれば攻撃力はそこまで変わらんから機会があればでいいんだがな」

 

「そろそろ限界そうですね。おとなしく寝てれば楽に死なせてやろうとか・・・・・・そういやさっき似たようなこと誰かさんが言ってましたね」

 

「だろ? 中世では当たりまえだべ」

 

「じゃ、そろそろ行きますか。では、〈魔法二重化〉〈集団標的〉〈上位転移〉」

 

 モモンガさんが俺とアルベド、ついでにデス・ナイト達と入れ替わるようにガゼフ達を村の広場に転移させた。

 

 

 

「はじめまして、スレイン法国の皆さん。我々はアインズ・ウール・ゴウン」

 

「・・・・・・」

 

 押し黙るスレイン法国の連中。

 

「我々は貴方方と取引するために来ました」

 

 ニグンとか呼ばれていた奴が顎をしゃくって続きを促してくる。

 

「お時間をいただけるようでありがたい。取引と言うのは貴方方には我々に勝てません。おとなしく投降していただけませんか?」

 

 捕虜は多いほうがいいと言う点を話し合っていたのでこいつ等から色々情報を引き出すつもりだよ。

 

 あいつ等は強さに自信があるのか、不快そうに眉をひそめた。

 

「無知とは恐ろしい。その言葉で愚かさのツケを支払うことになる」

 

「さて、それはどうでしょうか? 我々は貴方方の戦いを見ました。負けそうならあれらを見捨て・・・・・・勝算があるからここに立っているとは思えませんか?」

 

 再び押し黙るスレイン法国の連中。戦闘前だがなんとも辛気臭い奴等だ。

 

「それを理解してもらったところでちょっとした質問があります。貴方達の連れている天使は第三位階辺りで召喚できる炎の上位天使でしょうか?」

 

 まあ、どちかというとこれは質問と言うより確認。

 

「ユグドラシルと同じ名前のモンスターを召喚しているようですが、呼称まで同じか気になったものでして。ユグドラシルのモンスターは神話などから来るモンスターが多く・・・・・・天使系や悪魔系は神話関係が多かったはず。天使や悪魔が多く使われているのはキリスト教関係。この世界にはキリスト教が無いにも関わらず、上位天使と呼ばれる天使の存在は非常に不自然。それが意味するところは、我々と同じような存在が居ると言う事」

 

「独り言はそれくらいにして、質問に答えてもらおう。ストロノーフをどこにやった?」

 

 痺れを切らせたらしい。

 

「村の中へ転移させました」

 

「愚かな・・・・・・偽りを言ったところで、村を捜索すれば――」

 

「偽りなどとんでもない。それに、質問に答えた理由はもう1つあります」

 

「何?」

 

「貴方達は我々がせっかく救った村を潰そうとしましたね。それがたまらなく不快なのですよ」

 

 徐々に魔王ロールに入っていくモモンガさん。後で悶絶するだろうな。

 

「不快とは大きく出たな。それで、だからどうした?」

 

「貴様等には色々と吐いてもらう事がある。抵抗しなければ傷つけずに連行しようと思っていたが・・・・・・気が変わった。こいつらと遊んでもらおうか」

 

 控えていたデス・ナイト達が突進する。

 

「各員、天使達で迎え撃て!」

 

 

 

 まあ、確かに相性が悪い。相手は空飛んでるしな。だけどまあ、迎撃するには降りなきゃいけないわけで――。

 

「ゥァァアアアアアア!」

 

「オオォォオオオオ!」

 

「ククカカカカカ!」

 

「アォオオオォオ!」

 

 さらにデス・ナイトの遥か後方からスクワイア・ゾンビが向かってくる。森に隠してあった奴だ。

 

「敵の増援!」

 

「駄目だ! 抑えきれない! 天使達は割けない! 各員迎撃せよ!」

 

 そんな感じの光景が目の前で繰り広げられている。

 

「なあモモンガさん」

 

「どうしました、ブロントさん?」

 

「ここで俺が天使呼んだら面白いことになるかな」

 

「ああ、なりそうですね」

 

「よし、やるかー」

 

 そんな軽いノリで〈第六位階天使召喚〉を唱える。とりあえず様子見と言ったところかな。

 

「あ、あ・・・・・・そん、な・・・・・・馬鹿な」

 

「どうした、俺が天使召喚出来るのがそんなに不思議か?」

 

 俺はここで初めて敵に言葉を向ける。

 

「そんな、ありえない! 何だそれは・・・・・・劣等種族が召還なぞ絶対にありえない!」

 

「〈第三位階天使召喚〉自体は第三位階魔法だしこれくらいちょろいもん。加えて俺はとりあえず〈蘇生〉使えるからこれくらいの天使も呼べるんだが?」

 

 哀れな忍者にレイズおごるために必要だけど、只の〈死者復活〉はアイテム消費するからな。デスペナも激しいし。

 

「つまり主天使呼べる俺は必然的にお前等よりお前等の神を味方に着けているって事。 完 全 論 破 」

 

「あ、あり、ありえない・・・・・・」

 

 なんか敵のリーダーが現実を受け止めきれないらしいが俺の勝利は続く。デス・ナイトとさらに増えたスクワイア・ゾンビ、それに威光の主天使によって敵は行動不能にされていく。リーダーの前に威光の主天使が立つも、横に控えている監視の権天使は下位の天使を強化するのに精一杯で動けないし命令も下っていないのでどちらにせよ行動不能。それを俺の威光の主天使があっさり叩き潰す。

 

 俺の威光の主天使が何かをもぎ取ってきた。

 

「ふむ、魔封じの水晶か」

 

「それはちょっと拙かったですね。熾天使でも封じられていたら属性的にやっかいでした」

 

「何が入っているわけ?」

 

「んー・・・・・・〈付与魔法探知〉。これも威光の主天使ですね」

 

「ああ、だからあんなんなってるわけ」

 

 そりゃ悪いことしたかな。

 

「ま、いいか。天使はもう全部片付いて捕虜にまで被害出始めてるから収容すべきそうすべき」

 

「そうですね。待機しているアウラ達を呼んで収容しましょう」

 

「身構えた割りには拍子抜けだったなー」

 

「いえ、これがたまたま弱かったとかじゃないですか?六色って言ってたし部隊の中では最弱とか」

 

「ああ、そう言うのもあるね。でもせめてグラットンぶん回したかった感。捕虜取る必要が無かったらダークパワーブッパしてたんだけどな」

 

「味方にも被害が出るからやめテ!」

 

「モモンガ様、ブロント様のダークパワーとは?」

 

「うむ、以前の仕様上は負属性の存在とアライメントが悪に偏っているとダメージを受ける負属性攻撃なのだ。もちろん負属性なので正属性相手にもダメージは入る。特にダークナイトやカースドナイトのジョブも持っていると致命的らしいが・・・・・・そこら辺は世界級アイテムの五行相克を使って一度変更云々について創造主からお詫びが来ていたんだが・・・・・・この世界だとどうなっているのか分からん」

 

「味方にも余波で影響が出る闇の力ですか・・・・・・凄まじいですね」

 

「あ、お詫びの内容に「頭がおかしくなるところは再現しました」って以前あったぞ」

 

「使わないで下さい。よっぽどのことが無い限り使わないで下さい」

 

「お、おう」

 

 モモンガさんにそうまで言われたらしょうがない。でも俺もたまにはゲージ技とかのノリでブッパしたくなる事があるだよ。今回期待はずれもいいところだったしな。




主人がサポシだと召喚した奴もサポシになるのかもしれにい。

追記

 シャルティアが悪のクレリック(信仰が神祖カインアベル)とするとクレリックの召還魔法の第10位階怪物召還と同等のものがブロントさんも使える事に。

 分からないのはクレリックをカンストまで上げる過程で各階の召還術が使えるかどうか。陽光聖典の連中は第3位階の天使を召還していたので使える事に。

 第10位階までいけるんだったら熾天使いけるんじゃね?と解釈。(当時パスファインダー系の資料を漁っていたらサモン・モンスターⅨまでしか表記されてなかったので主天使までと漠然とした判断)
 ただしリアル天使の階級は9段階であり、主天使は中位の中では最上位。その上の座天使は無数の眼が付いた燃え上がる車輪とか言う法国では受け入れ難い容姿をしている。

 あくまでD&D系を参考にしたとしか明言されていないのであまりガチガチにはしない方向でいきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。