死の超越者と白夜の騎士   作:スティレット

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久しぶり。


第十話

 クレマンティーヌを捕獲した俺達は、そこら辺のアホに聞き耳を立てられないように、また、武技と言うモノがどんなもんか試す為に一旦ナザリックに戻ってきた。リューサンと忍者は宿で俺達がいくえふめいで要らない疑いをかけられないよう待機している。

 

「お帰りなさいませ。モモンガ様。ブロント様」

 

『お帰りなさいませ』

 

 アルベド、アウラ、マーレが出迎えてくれる。今居るのが第六層。なんとなくで選んだんだが、何の対策も施していない低レベルの人間に熱い所や寒い所に連れて行ったら拙かったので特に気にしてはいない。

 

「うむ、出迎えご苦労」

 

「今帰ったんだが?」

 

 最初は守護者全員が出迎えようとしてたんだが、伝言で出迎えは最低限で良いと伝えたからこの人数らしい。

 

「蒙昧なるわたくしの質問をお許し下さい。至高の御方々」

 

 アルベドが恐縮した感じで聞いてくる。

 

「許す(ピピピ」

 

「その、ナーベラルの肩に担がれているものは?」

 

「うみゅ、俺達がさらに強くなる為のヒントってとこかな」

 

 記憶を弄ったモモンガさんがこれ以上の魔力消費を嫌い、魔法抵抗力から万一掛け直すのもめんどいので腹パンで気絶させて来たのがナーベラルにお米様だっこされているクレマンティーヌだ。

 

「それは素晴らしい事ですわ! 早速ニューロニストを呼んで従順にさせましょう!」

 

「おめでとうございます! モモンガ様、ブロント様!」

 

「おめでとうございます!」

 

 喜色一面の守護者達。

 

「落ち着きたまえ」

 

 すぐに静かになる守護者達。

 

「ここからは俺が説明しよう」

 

 モモンガさんに交代する。

 

「これの名前はクレマンティーヌ。武技を使えて拉致しても問題無い人物として捕まえてきたが、場合によってはナザリックで働いてもらう事になる。その為必要以上に痛めつけてはならないのだ」

 

「わたくしが浅慮でした。お許しを!」

 

 即座に平伏するアルベド。

 

「気にするな、アルベド。誰にでも間違いはある。重要なところで失敗しなければそれでよい」

 

「モモンガ様・・・・・・」

 

「さあ、掴まれ」

 

「あっ」

 

 アルベドの手を引き、立ち上がらせてから汚れを払ってやるイケメン(骨)

 

「モモンガ様・・・・・・」

 

 潤んだ瞳で仮面を見るアルベド。

 

 アウラとマーレ、ナーベラルも父性と慈愛の溢れるモモンガさんを見て、更なる尊敬の念を籠めている。モモンガさん寝てる時にアルベドとなんかあったのかね?

 

 なんか良いふいんき(何故かry)になっちぇいるし、俺まで再びターゲットにされても堪らないのでモモンガさんが上手くまとめてくれるまで丸投げする事にした。

 

 

 

 

 

 

 一段落着いたところでアルベドとかの仕事が残っている連中は下がらせ、現在俺とモモンガさん、ついでに気絶しているクレマンティーヌがここアンフィテアトルムに居る。

 

「どうすっかな」

 

「どうするとは?」

 

 モモンガさんの問いに答える。

 

「そももも、俺達レベルカンストプレイヤーが武技を覚えらるるのかって点だ」

 

「そうですね。リアルと同じようにブロントさんがコーヒー淹れようとしたらえらい不味いのが出来ましたし」

 

 つまり、武技がスキル扱いなのか、そうなると例えばジョブに料理人を取ってない状態なのでリアルで料理出来ても調理が出来なくなっているかって事。

 

「この点を考えるに、スキルや魔法で呼んだ奴もレベル固定されているのか。こないだ死体を媒介にしたデス・ナイトは行動時間が制限されてないから鍛えれば強くなるのか。レベルを下げたらスキルを覚えられるのか。まあそんな感じかな?」

 

 魔力の消費を抑える為に再び眠ってもらったクレマンティーヌを降ろしながら考える。

 

「しかしそうなると考え物です・・・・・・。〈星に願いを〉を使ってレベルを下げるとステータスが下がりますし、外で行動するなら装備の質も下げなければならない。仮に下げたとしても、武技を覚えられる保証はどこにも無い。詰んでません?」

 

「いあ、まだだ」

 

 アイテムボックスの中から流れ星の指輪を出す。これはギルド潰し(タイムアタッコ)の過程で手に入れた品だが、プレイヤーにとってリアルマネーと運次第でいくらでも手に入れる事ができたアイテムだ。

 

「そ、それは!」

 

「うみゅ、流れ星の指輪だな。別名モモンガさんのボーナス1回分」

 

「やめテ!」

 

 これが意外なほど多く手に入ったのも、エリクサー症候群・・・・・・つまり、希少価値ともったいないの精神が使用を留まらせるのだ。未使用でろくにログインもされてなかったギルドの宝物庫に死蔵されているケースが割りと多かった。ついでにモモンガさんもこれに当てはまる。

 

「今回はこれを使ってみよう」

 

 まずは1回しか残っていない奴を薬指の指輪と交換する。

 

「よし、指輪よ! 俺に武技を覚えられるようにすろ!」

 

 指輪が光る。が――。

 

「どうです?」

 

「うみゅ・・・・・・」

 

 特段何か変わったようには感じない。

 

「わからぬぇ」

 

「わからんのか。この戯けが」

 

 モモンガさんもちょっと期待してたようだ。ちょっと考えてみよう。

 

「これがエキストラスキル扱いなら条件に当てはまるジョブを既に所持していたら、ユグドラシルだったらバージョンアップで実装されたNPCとかからクエストを受けて覚えたりするな」

 

「そうですね」

 

「他に考えられるパターンは、そうだな。単純にレベル上限が上がったとか。まあこれは可能性としては薄いんじゃないかな? 一般論でね?」

 

「そうですね。世界が変わったので適応されるルールも変わったとしたら、〈星に願いを〉でレベル上限値開放からのレベリングで無限ループが出来ますし。あ」

 

「どうすた?」

 

「ナザリックで無限POPするシモベでレベリング出来ないかな?」

 

「いい着眼点ジャマイカ?」

 

 現在課金罠とかが補充出来ないのでナザリック内の警備レベルを落としてはいるが、元々ナザリック地下大墳墓はダンジョンを改造したギルド拠点であり、この地特産のモンスターとかも自動POPする。ナザリックオールドガーダーとか。

 

 問題点は俺達のレベルが高すぎる点であって、仮になんらかのアイテムでレベル上限を上げたとしてもPOP待ちしながら狩ったとしても焼け石に水。下手したら完全な徒労に終わりかねない。

 

 だが、恐怖公やプレアデス辺りだったらまだ有効だろうし、一般メイドに至ってはレベル1だ。

 

「後で会議だな」

 

「そうですね」

 

 瓢箪から駒かな。

 

「話を戻すぞ。この場合、仮に実装されていたらクエストNPCはクレマンティーヌで試してみればいいし、ラーニングも可能かもしれにい。もしくは、単純に練習して習熟度を上げてマスターする可能性もあるから一つ一つ試していけばいいんじゃないかな? 一般論でね?」

 

「そんなところですか。でも、流石に全部試すとなると今晩だけでは時間が足りませんし、どうしましょうか?」

 

「うーみゅ・・・・・・とりあえずクレマンティーヌを起こしてみるか」

 

 バチン!バチンッ!とクレマンティーヌをビンタする。

 

「っ!?」

 

 すると、流石に気絶してはいられないのか、クレマンティーヌが飛び起きた。

 

「【おはよう。】」

 

「んだてめぇ等!?」

 

 〈人間種魅了〉が解けているらしく、微妙に記憶も弄られて混乱しちぇいるらしい。

 

 だが、俺は構わず続ける。

 

「お前には二つの道がある。一つ、ここで働く。二つ、なんか色々弄られてここで働く。三つ、アンデッドになってここで働く」

 

「二つじゃないじゃないですかブロントさん」

 

 うるさいよ馬鹿。最後のは咄嗟に思いついたんだよ。

 

「まあ、お前色々あくどい事やってきたんだろ? 殺すんだ。殺されもするさ」

 

 インガオホー。

 

「流水加速、能力向上、能力超向上、不落要塞・・・・・・」

 

 俺が喋っている間にある程度の把握が済んだのか、じりじりと警戒していたクレマンティーヌがモモンガさんへ突進した。

 

「ぬ?」

 

 それをモモンガさんがハエでも払うかのように腕を振る。クレマンティーヌは後衛とは言えレベル100のプレイヤーの腕力で振るわれた一撃を払いのけた。そして突進中に抜剣したスティレットをモモンガさんの仮面に突き出す。が――。

 

 モモンガさんは仮面のスリットに突っ込まれたスティレットを握っていた腕を捕まえ、動けないようにする。

 

「糞が! 放せ!」

 

「元気が良いな」

 

 どうやら俺の腹パンの一撃で気絶した事を覚えていたらしく、魔法詠唱者っぽい見た目のモモンガさんにターゲットを絞ったようだ。

 

「モモンガさん今顔があるのにそんな舐めプして良い訳?」

 

「うっかり忘れてました」

 

 HAHAHAと笑うモモンガさん。

 

「てめぇ、アンデッドか!?」

 

「いかにも」

 

 演出なのか、後ろに黒い後光が射し込み、絶望のオーラを垂れ流すモモンガさん。

 

「そして、これが私のハンサム顔だ」

 

 仮面を外し、左の眼球が抉られた状態の顔を晒すモモンガさん。真面目にしてたのに唐突にネタに走るのはやめよう(戒め)

 

「その顔装備扱いなのか?」

 

「どうなんでしょうね。〈大致死〉で治るといいなぁ」

 

 このモモンガさんのゾンビっぽい顔も俺が渡した流れ星の指輪で作成したもの。ダメージは受けていないらしく、会話も特に苦しく無さそうだ。

 

「ひっ・・・・・・あっ・・・・・・」

 

 魔法詠唱者の拘束を振り払うことができず、絶望のオーラの影響なのか顔面を蒼白にしているクレマンティーヌ。

 

「なんか漏らしそうな顔してるぞモモンガさん。放してやったほうが良いんジャマイカ?」

 

「そうですね」

 

 モモンガさんは顔面に刺剣を突き刺したままだが、とにかく一歩でも離れたいが思ったように身体が動かないらしく、弱々しい抵抗を続けるクレマンティーヌを降ろすが、即座に逃げようとする。

 

「どこに行くのかな?」

 

 即座に俺が回り込み、通せんぼする。

 

「お願い・・・・・・許して・・・・・・何でもするから殺さないで」

 

 何やら恐慌状態に陥っているらしく、腰が抜けて四つんばいになっている様が土下座めいている。

 

「ん? 今なんでもするって言ったか?」

 

「言ってたな」

 

「よし、お前は今からナザリック地下大墳墓所属武技教導官だ。後で辞令を出しておこう」

 

「は、はい。よろしくお願いします・・・・・・」

 

 後で会議の時に守護者達と顔合わせさせないとかな。




 最近付けられた評価一覧って項目を発見してそこから気力を貰ったらしいぞ?

 活動報告でなんか別の書くかーって話が出てたんだけどfateはなんか出だしが思いつかない。原作やったの10年近く前だったかな?どうすっかね?

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