泊地物語   作:まるあ

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記録

以下軍令部戦史部編纂「大海洋戦争史」より抜粋

 

帝都湾海戦作戦要項

目的

帝都防衛及び敵性艦隊の撃滅

上記目的が叶わぬ場合は首都機能移転までの時間確保

参加兵力

連合艦隊隷下艦艇のうち

第一艦隊

第二艦隊

その他帝都付近で航行及び訓練中の全艦艇

概要

第二艦隊を緊急出動させ帝都から可能な限り遠いポイントで迎撃

第一艦隊は突破した敵性艦隊を迎撃すべく帝都湾入口において待機

近海に存在する全艦艇は帝都湾奥に急行

最高指揮官

連合艦隊司令長官

作戦レベル

大海令

補足

神州不滅の覚悟と玉砕も辞さない心意気を以ってすれば鬼神もこれを避け必ずや勝利を得ん。各員奮励努力し必ずや作戦を成功させよ。

 

連合艦隊司令長官栗山大将の覚書

帝都湾海戦通称大海嘯

駆逐艦「陽炎」全敵性艦隊を殲滅←俄かに信じがたいが調査班の報告による。

大本営及び御上には陽炎以下三隻の功績と報告。御上に嘘を伝えるのはまことに心苦しいが仕方なし。

 

陸軍大臣外山大将の覚書

大本営にて帝都湾海戦の報告を受く。俄かに信じがたし。駆逐艦三隻で二個艦隊撃破の敵艦隊を撃滅したとの由。帝都防衛成功については喜びを感ず。

 

連合艦隊臨時調査班長 重巡「青葉」報告書

(前略)以上駆逐艦「陽炎」「不知火」「黒潮」の証言を総合すると、戦闘可能であったのは駆逐艦「陽炎」のみであり、従って駆逐艦「陽炎」一隻が敵性艦隊を撃破したと考えるのが正しい。これは駆逐艦「黒潮」に連れられてきた駆逐艦「雪風」を筆頭とする救援艦隊の者の証言にも合致する。ただし、駆逐艦がなぜこのような力を持っているのかは不明。より一層の調査を要する。(後略)

 

連合艦隊直属第七練習小隊 駆逐艦「陽炎」調書より証言

(前略)つまり、私でも何が何だか分かっていません。何故私が敵を殲滅できたのか、何故私が不知火を守れたのか、何故私が今生きてこう取り調べを受けているのか、全くわかりません。覚えているのは不知火が撃たれて激昂したこと、敵の弾丸がまるで私を避けていたかのようだったこと、そしてほぼ無尽蔵に砲と魚雷を撃てたことです。おかしいですよね?なぜこんなことになったのか、むしろ私に教えてくれないでしょうか。実は他にも味方がいたのではないでしょうか。あるいは、そもそも私たち艦娘って何なのでしょうか。なぜあの大軍を撃破することが可能だったのでしょうか。(後略)

 

海軍省軍務局長上村少将の覚書

帝都湾海戦により連合艦隊壊滅の由。

敵艦隊撃破は駆逐艦「陽炎」の功績の旨、連合艦隊参謀の■■より聞く。軍機の由。

本日人事局長より新編成の艦隊司令長官の内示を受く。

率いる艦艇が存在するのか。

 

艦政本部長中橋機関中将の覚書

■月■日、海軍大臣、軍令総長、連合艦隊司令長官と緊急会談。

連合艦隊壊滅につき連合艦隊復活の要あり。

撃沈された艦の情報を急ぐ。

沈んだ艦の再建造の準備が必要。

特に問題なしと返答。一週間もあれば再建造は容易。

 

紀元26■■年■月■日最高戦争指導会議速記

(前略)

倉井軍令総長:連合艦隊は第一艦隊、第二艦隊共に壊滅的打撃を受けておりますことはお手元の資料通りであります。特に第二艦隊に至っては駆逐艦を除き全滅していることは何度も強調しなければなりません。これは軍令を預かる臣の不徳の致すところであり、聖上に申し訳が立つことではございません。しかし、特殊兵器「艦娘」につきまして、戦力の復旧は容易であり、一週間もあれば沈んだ艦の再建造は可能でありまして、既に再建造に着手しております。再建造した「艦娘」につきましては、「艦娘」として得た戦訓は全て消えておりますが、軍艦時代の記録は存在しており、再度実戦に投入するまで時間は必要ございません。一カ月もあれば帝都湾海戦以前の戦力を復旧することは可能であります。また、敵性艦隊も帝都沿岸海戦において痛烈な打撃を被っており、戦力の建て直しには時間がかかるものと予想されるので、その間現有戦力で本土を防衛することは可能でございます。

(後略)

 


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