来週はプレゼンやらなんやらあるので、今までみたいな更新は無理そうですね…
「おい、くるみ。起きてるか?」
「あ?なんだ、明か…なんだよ?」
折角人が朝日を浴びてのんびりしてたっていうのに。
こうやって陽の光を浴びながら鳥のさえずりを聞いてると、なんか心が休まっていく気がする。
そう思って奴らとやり合った次の日の朝は10分くらいはこうしてボーッとする習慣をつけていた。
効果があるのかは分からないけど、あたしはこの時間が結構好きだった。
それを邪魔しやがって…
「昨日あんなことがあったし、パトロール行くつもりなんだが。お前も来るか?」
「あー、どうすっかな…」
正直なところ、疲れが抜けきってないような気もする。
だがここで逃げると、奴らと戦うのが怖くなってくる可能性もある。
昨日は死にかけたんだ。頭では分かっていても、身体が勝手に怖がる…人間の本能って、時々不便なんだよな。
だったら、早めに矯正してしまうのも1つの手かもしれない。
「おっけ、ちょっと待っててくれるか」
「おう、じゃあ廊下に居るからな」
…とりあえずジャージで行くのもなんだし、制服に着替えておくか。
「わりぃ、待たせたか?」
「いや、そんな待ってねえから安心しろ」
一応シャベルを握って素振りをしてみる。
うん、動くのは問題なさそうだ。あとは奴らの前でも同じ動きが出来るかだな。
今回は明もいるし、大丈夫だろ。
「動けるか?」
「もちろん…って言いたいけど、いざ奴らを目の前にしちゃうと怪しいな」
「ま、無理はすんなよ」
「そんときゃ守ってくれるんだろ?」
「任せとけって。この副部長にな」
こいつの場合、いっつもニヤニヤしてるから本心が読めねえんだよなぁ。
見間違いじゃなきゃ、奴らと戦ってる時も表情変わんねえしどんだけメンタルが強いんだか。
あたしもこんくらいになれれば良いんだけど。
図書室にそういうのについて書いてある本とかねーかな?
「おし、とりあえず3階を全体的に確認しに行こう」
「分かった」
今は外も晴れてるし、そこまで数も多くないだろう。
なんたって、今は授業の時間だからな。
実際に見てみても廊下の向こう側に数人居るくらいだ。
この程度なら余裕だろう。
さて、こいつのお手並み拝見といきますか。
あたしの予想通り、戦いは余裕だった。
自分の出る幕が無さ過ぎて、逆に倒すのを買って出たぐらいだからな。
結論からいえば、明は尋常じゃなく強い。
昨日はじっくり見ている余裕がなかったから分からなかったけど、まず力の強さ…膂力っていうんだっけ?それが異常なほど強い。
確かにあたしと明じゃ性別の違いってのもあるんだろうけど、その差以上のものがあると感じた。
だって、奴らがゲームみたいに飛んで行くんだぜ?
そこだけ切り取れば、やっすいゾンビゲームだ。
でも、味方としてはかなり頼りになるな。
次に、戦ってる時も表情が変わんないのは見間違いじゃなかった。
奴らを見つけると笑顔で近づいていって、そのまま殴り倒してから戻ってくるんだもんな…
ヘタすれば、一種のホラーだよ。
こればっかりはすぐに馴染めなそうだけど、しばらくすれば見慣れるはずだ…多分。
普段の生活の中ならムードメーカーみたいなもんになるんだけど…
本人に言っても、「こればっかりはしょうがないな」って言うだけだし…
あたしが折れるしかないのか。
最後に分かったことが1つ、こいつは今まで地下で過ごしてたらしい。
何でも、教頭が助けてくれたそうで、そのとき一緒に地下に逃げたらしい。
教頭の行方を聞くと、「もういない」とのこと。
奴らに襲われたかしたんだろう。
でも、それを言う時も笑顔が崩れないって…
ここまで来ると大したもんだと感心するわ。
その後もめぐねえの事や、こっちで何があったのか、などの簡単な情報交換をした。
何でもめぐねえと会ったのは、偶然地下から上がってきていた日だったらしい。
そう考えるとよく助かったな…めぐねえ。
こちらからはゆきの現状を伝えた。
あいつの中ではあんな事故は起こっていない。平和な学校のままなのだ。
だから話を合わせてやってくれないか、とお願いすると快く承諾してくれた。
ここで「直さなきゃダメだろ」とか言われてたら辛かったが…
いや、本当はそう思ってたのかもな。
でも今は時期じゃないと悟ってくれたのかもしれない。
こいつはあたしの何倍も頭がいいから。
その後バリケードをすこし補強したりしたが、パトロールは何事もなく終わった。
「わたし、こんなのでいいのかな…」
りーさんはすっごく頭がいい。
数学が苦手な私と違って計算とかもすごく早い。
だから家計簿をつけて、電気をどれぐらい使っていいかとか、一回のご飯をどれくらい食べれるかも調べてくれる。
それにご飯だって作れる。
くるみちゃんはすっごく力が強い。
学校の机を動かす時とかわたしの何倍も動かしてるし、購買部でお買い物するときもいっぱい荷物を持ってる。
園芸部の手伝いとかするときも、重そうな土の袋とかも簡単に持ち上げてる。
夜のパトロールだって、怖がらずに1人で行っている。
めぐねえは…えっと、とにかくすごい。
いつも何をすればいいのか教えてくれる。
先生だからいろんなことも知ってるし、力だって意外とあるんだ。
わたしたちが困ってる時でも、解決してくれる。
みんな得意なことがあって、それを活かして過ごしている。
だけど、わたしは何もできていない。
私だけがみんなの役に立っていない。
こんなんじゃダメだよね…
でも、めぐねえはわたしの笑顔がみんなを助けてるんだって言ってくれた。
どよーんとした空気をなくしてくれるからすごいんだって教えてくれた。
だから、わたしは笑おうと頑張ったんだ。
あれ?でも、めぐねえはどうなったんだっけ?
あの時、めぐねえが外に出て行って…その後は…
いつ帰って来たんだっけ?次の日?もっと後?どうだったかな…
そうだ、いないといえばアキくんだよ。
最近、全然学校に来てないし。
テストが嫌で不登校になっちゃったのかな?
ううん、アキくんはそんなことするような子じゃないよね。
何か困ったことがあったなら、力になってあげたいなぁ。
いっつもお世話になってたしね。
わたしじゃあんまり役に立たないかもしれないけど…
ううん、きっとアキくんも笑ってくれるはずだもん。
頑張らないとね!
「ん…」
えっと…
昨日何してたんだっけ?
確かくるみちゃんとトイレに行って、不良の人がいたから隠れてて…
そのあと、みんな戻って来て…
あれ?それで…なにがあったっけ?
「あ、ゆきちゃんおはよう」
「おはよー、りーさん」
わたし、ソファーで寝てたっけ?
寝る前の記憶が全然無いんだけど…
でも、近くにめぐねえがいた気がするんだよね。
めぐねえに聞けば分かるかな?
「りーさん、めぐねえは?」
「めぐねえは…」
「あら、ゆきちゃん起きてたのね」
「あ、めぐねえ!」
あれ?ちゃんとめぐねえがいる。
夢の中で、遠くに行っちゃった様な気がしたんだけど…
あれは気のせいだったみたい。
めぐねえが居なくなるなんて嫌だし。
「めぐねえ、後の2人は?」
「『念のために、もう一回パトロールしてくる』だそうよ。あとめぐねえじゃなくて…」
「2人?」
学園生活部って、めぐねえを入れても4人だよね?
ここにはわたしとりーさん、めぐねえで3人…じゃあ、あとの1人は?
「りーさん、部員が増えたの?」
「そうよ…それが誰なのかは、見てからのお楽しみね」
「ええー!?わたしの知ってる人?」
「もちろん。とても良く知ってるはずよ」
ううん、誰だろう?パッと思いつく人がそんなに居ないけど…
でも、こういうのってすごく楽しいよね!
どんな人かなぁ…仲良くできるといいんだけど。
あ、でも怖い人だったらどうしよう…
もしかしたら不良さんかも…
「ただいまー」
「あー疲れた」
「おかえりなさい。どうだった?」
「バリケードをちょっと補強しといた。これで、昨日みたいな事はなくなるだろうよ」
この気だるげな感じの声は…
「あーくん!」
「ん?起きてたのか。おはよう」
「おはよう…って、そんなことより聞きたいことがあるんだけど!」
「なんだよ」
まったく、わたしは怒ってるんだよ!
ブスッとした顔をしてるって事は、あんまり学校に来たくなかったにちがいない!
これはわたしが学校の素晴らしさを教えてあげる必要がありそうだね!
「まったく、あーくんは何で学校に来てなかったの!」
「いや、学校には来てたんだけどな…」
そんな申し訳無さそうな顔しても許さないんだから!
学校に来てたって、なにもしないで帰ってたら意味ないよ。
こんなに楽しいところに来たら、直ぐ帰るなんて考えになるわけないのに。
これはわたしが学校のすごさを教えてあげる必要があるね…
「あーくん、今日この後の予定は!?」
「いや、何もねーけど…」
「よし!じゃあわたしが学校が100倍面白くなる案内をしてあげよう!」
「えぇー、別にそんな事しなくても…」
「まったく、学校の楽しさを知らないからそんなブスッとした表情してるんでしょ!?安心しなさい!わたしが教えてしんぜよー!」
「…そうか。なら頼むわ」
「うん、終わった後ならあーくんも笑顔になってること間違いなしだよ!」
さーて、じゃあ何処から紹介してあげようかなぁ!
久しぶりにあーくんに会えたし、沢山お話出来るよね!
楽しみだなあ!