簪とのありふれた日常とその周辺   作:シート

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私とあなたの百合色恋受難

 

 二年生になって後輩ができ、慕う立場から慕われる立場になり、私にも慕ってくれる後輩ができた。

 大人気のオルコットさんやデュノアさん達ではなく、私なんかを慕ってくれているのは、多分私が代表候補生であり専用機持ちだからだと、つい思ってしまう。

 それでも、慕ってもらえるのは純粋に嬉しい。慣れないことも多くていろいろと大変。自分が慕われる立場になって、彼の大変さがよくよく分かった。

 

 つい最近では、夜の外出禁止までの時間を使って後輩達の勉強をよく見てあげるようにもなった。

 放課後の時間を使えれば本当はいいんだけど、放課後は放課後でISの自主練や今年(二年生)になって本格的に参加した生徒会などで忙しく、勉強を見上げられるほどの時間は取れない。だから、夜の自由時間を使っている。

 きっかけは後輩達に勉強を見てもらえないかとお願いされたことだった。正直、始めは全然乗り気じゃなかった。

 今まで先輩後輩の付き合いなんてしてこなかったし、ただでさえ私は人が、人付き合いが苦手。ましてや歳の違う後輩と上手くコミュニケーション取れるか心配だった。

 適当な理由をつけて断ろうかとも考えた。でも、それじゃあ今までと変らない。私は思いきって引き受けてみた。

 

 勉強を見上げるのは思っていたよりも難しかった。

 教える内容が変らないとか理解が浅いとかそういう教える以前の話ではなく。私は口下手で、普段通りの説明だと後輩達には難しいらしく、分かりやすいように説明するのがとても難しい。

 何となく理解する本音や元々理解力の高い彼がどれだけ教えるのに楽だったのか毎回痛感する。

 分かりやすいよう気をつけてはいるけど、まだ難しく説明してしまうのが私の課題。それでも私の拙い教え方でも彼女達は真剣に学ぼうとしているのは見て取れて嬉しい。

 大変ではあるけれど、遣り甲斐を感じる。自分の至らなさや理解力の低さを改めて知ることができて、より的確に補える。

  何より、後輩達ができるようになっていく姿を見れるのはとても気分がいい。

 

 夜の自由時間を使っているから当然、彼と過す時間は減る。

 毎日見てあげているわけじゃないし、元々彼と毎日夜を過していたわけじゃないけど、正直寂しい時がある。

 でも彼と会えば、この寂しさを和らげてくれて、私に沢山の勇気をくれる。応援だってしてくれている。

 だから頑張ろうって気になれて、これからも続けていきたいと思える。

 

 例え一歳でも歳の離れた子達とコミュニケーション取るのは私にとって難しい。問題がないわけでもない。というか、困ったことがあった。

 後輩からのスキンシップが激しい。抱きついたりされるのは日常茶飯事。『可愛い』と愛でらたりする。私に先輩としての威厳みたいなものがないのは自覚しているけど、それでも舐められているんじゃないかって思わなくはない。

 愛でたり抱きつぐらいなら私はよく知らないけど女同士なら普通のことみたいで、本音みたいにじゃれついてきているだけだからまだいい。もっと困るのは……。

 

「ふふっ」

 

「あの……」

 

「何ですか? 先輩」

 

 目の前の席にいるこの子は、嬉しそうに凄いニコニコとして私を見つめてくる。凄いやりづらい。

 いつもは二、三人の勉強を見てあげているけど、今日は他の子達が別の用事があるらしく彼女と二人っきり。

 

「そんなに見られると……困る。というか、やりづらい……」

 

「すみません。困ってる簪先輩が可愛くてつい見惚れちゃいました」

 

「……馬鹿言ってないで、さっきの問題終わったの……?」

 

「はい、この通り。答え合わせお願いします」

 

 課題を渡され、答え合わせをしていく。目立ったミスも特になく全問正解。これ、結構難しい問題ばかりなのに。

 こうして勉強を見てあげているけど、この子に座学で教えることはもう何もない。そもそも、教えている子の中でもこの子が一番出来がいい。1年生でトップクラスの成績だと聞いた覚えもある。実技の成績だって私が知る限りトップクラスに入る。

 なのにまだ私に勉強を見てもらおうとする。それにこの様子ならもっと前に問題は解けていたはずだ。

 

「全部合ってる。……はい」

 

「ありがとうございます。ふふっ」

 

 含みのある嬉しそうな笑みを彼女は浮かべる。

 

 正直、私はこの子が苦手。

 後輩の中で一番親しい子。時々、態々二年生の教室までやってきて会いに来てくれたりする。

 顔立ちがよくスタイルもいい。頭がよく、客観的に見ても品行方正でいい子なのは分かっているけど、何を考えているのか分からない。まったく読めない。

 いつもニコニコとして嬉しそうな顔で私を見てくる。視線が何というか……熱っぽい。他意はないと思いたくなる。

 この子が一番スキンシップが激しい。今は流石に勉強中ってことをちゃんと理解しており、弁えて最低限のことは守れているけど、そうでない時この子は抱きついてくる。凄い密着してくる。

 それはもう友達にじゃれつくようなものではなく、例えるなら恋人にじゃれつくような感じ。

 

「ねぇ、先輩」

 

「何……?」

 

「好きです」

 

 今自分が凄い怪訝な顔をしているのがよく分かる。

 彼女はいつもこう。いつも好きだと言ってくる。こういうのが抱きつかれるよりも何よりも一番困る。

 

「わぁ~簪先輩、凄い顔。そんなところも可愛いです、やっぱり。というか、もう前にみたいに驚いてくれないんですね」

 

「……驚くわけないでしょう。何度も言い過ぎ」

 

 初めて言われた時は当然驚いた。

 そして、好きだと言ってきた彼女に私は真面目に答えてしまった。

 

『ありがとう。気持ちは嬉しい。でも、気持ちには応えられない』

 

 といった感じに、本気で付き合いたいと言われたものだと思って。

 真面目に答えて断ったのに、この子はそれからも懲りることなく私に何度も好きだと言ってくる。そのうちからかわれているのだと私でも分かった。

 この子が言う好きってのは先輩として。私があまりにもいい反応をしてしまったからからかわれ続けている。まったく、冗談が過ぎる。やっぱり、舐められてるんじゃないかな。

 冗談ではなく万が一交際的な意味合いのものだとしても答えは変らない。余計困る。今時気にする方が稀だけど、私達は女同士で私にはそういう気はない。私にとって彼女は、親しい後輩の一人。

 というか、この子私が彼と付き合ってるの知っている。そう紹介したし、何度もあって会話だってしている。

 今日もきっと軽口。冗談。付き合ってられない。

 

「何度だって言いますよ。本当に好きですから、簪先輩のこと」

 

「……本当、からかわないで。今日は大目に見るけど……あんまりからかうようなら今後勉強見ること……考えさせてもらうから」

 

 言って私は帰る用意を始めていく。

 もう今日は教えてあげるようなことも、見てあげるようなものもない。ここにいるだけ時間の無駄……は言いすぎかもしれないけど、ここにいる理由は見当たらない。早く部屋に帰って明日の用意しないと。

 

 そういえば、彼女の雰囲気ずっと誰かに似ていると思ったけど。そうだ、お姉ちゃんに似てるんだ。人の気持ちで遊ぶところが特に。

 

「ちょっと……頭、冷やして……」

 

「先輩は思い違いをしてますよ。からかってなんかいません。私はいつだって本気ですから」

 

「そうだとしても応えられな――」

 

 帰り支度が終わり、顔を上げた時だった。

 彼女は前の席からいつしかすぐ隣へとやってきていた。

 そして彼女は、私へと手を伸ばし頬を撫でてた。

 

「先輩」

 

 いつもとニコニコとした嬉しそうな表情ではなく、真剣な表情で彼女は私をじっと見つめる。

 彼女の視線が熱い。まるで情熱で燃え上がる炎を秘めているかのよう。普段感じていた冗談なんてものは一切感じない。

 彼女は本気。こんな状況になれば嫌でもわかる。

 真剣な彼女の様に呆気に取られ、言葉を失っていた。

 

「簪先輩があの男の先輩と付き合っているのは分かっています。私を後輩としか見てない事も」

 

「……っ」

 

「今はそれでいいです。後輩として一緒にいられるだけでも嬉しいですから。でも、私は簪先輩のことが好きなんです。先輩としてじゃなく、一人の女性として好きです」

 

 彼女からの好きという言葉今まで何度も聞いてきた。

 ずっと冗談だと、先輩としてだと思っていた。でも、冗談で言うことはあってもその言葉の想いはいつだって本物だった。純粋に嬉しい。

 だからこそ、今まで聞き流すしかなかったけど、聞き流していたことに今更になって罪悪感を覚え始める。

 

 本気の告白。言葉や声はしっかりとしたものだったけど、彼女が緊張しながら言ってくれたことがよく分かる。その証拠に彼女は真剣な表情のままきゅっと口を噤んでいる。

 私も彼に告白した時、凄い緊張した。その後どうなってしまうのか凄い不安だったのを今でも覚えている。

 だからこそ、私はちゃんと彼女に答えを言ってあげないといけない。このまま聞き流すわけにはいかない。

 返事を言わなきゃと思うのに、言葉が出ない。

 

「……」

 

「――」

 

 いまだ私を見つめて離さない彼女の視線に私は何かを言うどころか、身動き一つ出来ないでいた。蛇に睨まれた蛙とはこのことか。

 頬を一撫でし、見つめ続ける彼女は一体、今何を思っているのだろう。何を考えているんだろう。

分からない。分からないからこそ、今時分が置かれているこの状況が、彼女のことが段々怖くなってきた。

 私はこれからどうなってしまうんだろう。怖い。助けて……! ――いつしか私は、彼の名前を強く胸の内で叫んだ。

 

「大丈夫ですよ、そんな怯えてなくても。安心して下さいと言っても難しいかもしれませんが安心してください。怖がらせるようなことはしませんから。まあ、そんなに怯えられていると可愛くて何かしたくなりそうですが」

 

 私の様子に彼女は気づき、場の雰囲気を和らげるように優しい笑みを浮かべていた。

 それで私はようやく我に返り、硬直みたいなものから開放され、ようやく返事を返せそうになった。

 

「あの」

 

 言いかけたところで頬に触れていた手が唇の前へとやってきて、私の唇に人差し指を当て、言葉を遮る。

 

「言わなくてもいいです。というか、何言われるか分かってますから聞きたくないです。簪先輩の答えが変らないように私の気持ちも変りません」

 

 普段と変らない様子で彼女は言葉を続ける。

 

「恋人がいようが私は簪先輩が好きです。頑張って私に振り向かせて見ますから、覚悟しといてくださいね、先輩」

 

 嬉々とした声で彼女は小悪魔のような笑みを浮かべてそうはっきりと宣言したのだった。

 

 

 

 

 あの後、私は逃げ帰るように自分の部屋へと向かっていた。

 

 本当にあの子、なんてことを言うの。本当に告白だなんて……私達は女同士なのに。おかげで胸がざわついて仕方ない。モヤモヤする。

 でも、もう冗談では済ませられない。冗談抜きで彼女が本気だってことは嫌でも理解している。

 これからどういう顔をして、彼女と会えばいいのか分からない。会えば気まずくなる。

 告白された私がこんな風に考えているんだ。きっと彼女は、気まずくなることや今後のこといろいろ覚悟した上で言ってきたに違いない。

 

 しかし、こんなこと誰かに相談することは勿論、話すことできない。彼には特に。

 でも、一人じゃこれからどうしたらいいのか分からない。考えが上手くまとまらなくて、何か頭の中がぐるぐるしてきた。

 

「かんちゃん~おっかえり~」

 

「……あ、うん。ただいま……」

 

 気が重たいまま部屋に帰るとルームメイトの本音が出迎えてくれた。

 明日の用意はもう済んでいるみたいで、いつもの着ぐるみパジャマを着た本音は、ベットの上でダラダラしている。

 相変わらず暢気な本音がこんな時羨ましくなる。いや、こんなの八つ当たりみたいだ。私もさっきと明日の用意して、早く寝るようにしよう。

 

「はぁ……」

 

 いけないと分かっていても溜息が出てしまう。

 別のことしてたら気が紛れるかとも思ったけど、全然だめだった。むしろ余計に考えしまい、更に頭の中がごちゃごちゃになるだけ。

 

「かんちゃん、何かあったの~?」

 

「ッ!? 何でも……ない」

 

 考え事に意識が集中している時に突然、本音に声をかけられたから、びっくりしてしまった。

 とっさに取り繕う言葉を言ってみたけれど、これじゃあすぐに嘘だと分かってしまう。

 

「何でもなくないよ~さっきからずっとこぉ~んな難しい顔してるじゃん。溜息も何度もついてるしさ~」

 

 本音は精一杯、私がしていたらしい難しい顔を作ってみせる。

 私、そんな顔してたんだ。凄い不細工。自分で思っている以上に溜息ついていたみたいだし。

 そんな様子で取り繕う言葉を言った方が、余計肯定しているようなもの。バツが悪くなるばかり。

 

「凄い解決できるわけじゃないけど、よかったら話してみてよ。そしたら少しは気が楽になるかもしれないよ~?」

 

 本音に話したところで何か事態が解決できるわけじゃない。でも、本音の言うことは一理ある気がする。

 このまま誰かに言うこともできずにいたら、この気が重たいのを引きずったままになってしまう。そんな姿彼には極力見られたくないし、悟られたくもない。

 それに話すなら本音以外、話せるような相手は私にはいない。こんなことだと特に。

 

「ありがとう……本音」

 

「どういたしまして~それでそれで一体何があったの~?」

 

 本音に感謝しつつ、私は先ほどのことを説明した。

 

「というわけなんだけど……」

 

「へぇ~それでかんちゃんはあんな感じだったんだね。大変なことになっちゃってまあ~あははっ」

 

 言葉は心配するものだけど、声が明らかに楽しんでいる。というか、笑ってる。

 笑い事じゃないし、笑えるところはないのに。

 説明しながらこんな事話されても困るだけだと気遣っていたのが馬鹿らしくなってきた。こんなことなら、やっぱり言わなきゃよかった。

 

「いや~かんちゃんにモテ期到来してとは思ってたけど、まさか告白されるとはね~しかも相手は女の子」

 

「ふざけないで、本音。私……困ってるんだから」

 

 本音に話して確かに少しぐらいは気が楽になった。

 その点については本音に感謝しかない。一人でずっとモヤモヤしてるよりかはよかった。

 でも、事態は何も変ってない。それどころか、事実として事態の深刻さみたいなものを再確認するだけだった。

 

「ごめんごめん。それでかんちゃんはどうしたいの~?」

 

「どうって……それが分からないから悩んでいるんだけど……」

 

「いやいや、いろいろあるじゃん。諦めてほしいとかもういっそ後輩ちゃんとも付き合っちゃうとか」

 

「それは……諦めてくれるのが……嬉しい。でも……」

 

「まあ~かんちゃんの話聞く限りは難しそうだよね~。彼氏持ちに一回振られた上でまた告白だもん。凄い勇気あるよね~」

 

 諦めてくれたらそれにこしたことはない。一番嬉しい。

 でも、あの子が諦めてくれるなんてことはなさそう。頑張って振り向かせてみる、なんてこと言ってたし。

 本当、これからどうしたら……。

 

「かわいそうだけど……やっぱり……距離、置くしかないかな」

 

「んーそれは今後の様子次第でいいんじゃないかな~折角、慕ってくれる後輩できたのに寂しくない? というか、告白しただけで距離とられるっていくらなんでもそれはかわいそう」

 

「それはそうだけど……顔合わせにくいし」

 

「それは向こうも一緒じゃん。とりあえず、現状維持でいいと思うよ。向こうが本当に諦めるまで待つしかなさそうだし。当然、脈なしってことは示さないとね。最近のかんちゃん、結構隙多いから」

 

「そ、そんなこと……ない」

 

 自分で思い当たる節がないからはっきり言うべきだったのに、何故だかしどろもどろになってしまった。

 自分ではそんなつもりないんだけど……私、傍から見るとそんなに隙が多いのかな。

 そういうことでいくと私は隙が多いから、僅かながらでも脈ありだと思われて告白されたのかもしれない。とりあえず、もっとしっかりしよう。

 

「……当面は現状維持でいってみる。流石にあんまり目にあまることしてくるようならお話してもう一度お断りさせてもらうけど」

 

 彼女からの告白には正直困っているけど、だからって嫌いになったわけじゃない。

 気持ちの整理みたいなものがついたのなら、今後も先輩後輩の関係は続けていきたい。

 いっそのこと距離を取った方が彼女の為にいいのかもしれないけど折角、慕ってくれる後輩が出来たんだ。私はそうしたい。甘いとか優柔不断とか言われるかもしれないことは重々承知している。

 

「ん~まあ、それが無難かもね~角立つようなことは極力避けるべきだし。女同士でこういうことは特に」

 

「……だよね」

 

 事態を大きく解決するような名案を得たわけではないけれど、それでも今後どうしていくべきなのかは分かった。

 後はこれ以上、拗れたにならないように上手くやっていくしかないよね。

 

 

 

 

 どうしたいのか決めたところで昨日の今日で全てが全てすっきりするわけもなく……朝彼と会った時バツの悪さからぎこちなくなってしまった。

 それを乗り越えて登校したのはよかったんだけど、皆と別れて自分の下駄箱から上履きを出した時、下駄箱の中にあるものが入っていた。

 

「何これ……」

 

 物騒なものじゃない。入っていたのは小さな封筒だった。

 中に手紙が入っているだろうと思えるほどの薄さ。

 普通には差出人の名前は書いてない。始めは何なのか分からなかった。誰かの悪戯かとも思ったけど。

 

「あっ……」

 

 どんな内容の手紙が入っているのか。差出人が誰なのか。すぐに思いあった。

 こんなことする人なんて、私の知る中で一人しか思い当たらない。

 私は、急ぎ足で一旦教室へ向かう。挨拶してくれるクラスメイトの人達に挨拶を返しながら自分の席に鞄を置くと、すぐさまお手洗いに向かった。

 内容は兎も角、こんなもの教室で見ているのを見たらめんどくさいことになる。個室に入り、一息つくと内容を確認した。案の定のもの。あの子からの手紙だった。

 

『突然の手紙。そして昨晩のこと、すみません。今日の放課後、改めてお話したいことがあります』

 

 場所は人気のない屋上を指定してきている。

 改めて話って何話してくる気なんだろう。昨日の彼女から告白のことが頭をよぎって不安になってしまう。

 どうしようと思っていると最後の一番が目に止まり、絶句するしかなかった。

 

『PS、同じ内容の手紙を彼氏さんにも送っているので逃げないで下さいね』

 

 本当、何なのあの子。何考えてるのかまったく分からない。よりにもよって、彼を巻き込むなんて。

 彼女とのことをずっと黙っているつもりはないけど、もう少し頭の整理がついてから、説明しようと思っていたのに。これじゃあ、すぐにでも説明しないといけなくなった。

 

「はぁ~……」

 

 朝から私の気は、再び重たくなるばかりだった。

 






今回もまた簪の相手である男性はオリ主です。決して一夏ではありません。
もしかすると、主人公は簪が好きなこれを読んでいる貴方かもしれません。

それでは

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