簪とのありふれた日常とその周辺   作:シート

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スポーツバラエティーのアスリート密着ものを思い浮かべながらお読みください


激撮!更識簪密着24時

 大空を疾走と駆け抜け優雅に舞う姿。

 両手で薙刀を携え、強敵を薙ぎ倒していく勇姿。

 

 日本代表IS競技者、更識簪選手。

 今回、番組が決死の交渉をしたところなんと大人気選手の一日を紹介してもらうことに成功しました。

 番組が渡したハンディカムによって更識選手目線で見せてくれる現役国家代表選手の一日は一体どんな感じなのでしょうか。では早速更識簪選手の一日を覗かせてもらいましょう。

 

「お、おはようございます。日本代表IS選手の更識簪ですっ。今日は私の一日を紹介とのことで、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです」

 

 カメラの前に姿を現した更識選手。

 起きてそう時間は経ってないのでしょうか。

 水色のパジャマを着ているのが素敵です。しかも、ヘッドギアつけてない更識選手は何だか新鮮。

 しかし、緊張している様子。ぎこちない表情をしていますが、周りの方から指摘があったようです。どうやら更識選手のマネージャーである旦那様から。

 

「堅いって言われても……まあ自覚はあるけど。えぇぇ、もっと柔らかくなんて難しい。こんな風に自分にカメラ向けたことないし……あっ、失礼しました。ここカット?でお願いします」

 

 砕けた感じで話してらっしゃいます。

 更識選手は凛としたイメージが強いので、何だか新鮮ですね。

 ちなみにカットの部分はバッチリ使わせてもらいました。

 

「こほん、改めまして……えと、今は朝の七時過ぎ。大体私はこのぐらいの時間に起きます。まず起きてすることは愛機、打鉄二式のチェック。ベッドの上で軽いストレッチ。それから五分ほど二式と精神統一します。それから顔を洗って朝食を食べます」

 

 テーブルに並ぶ朝食を見せてくれました。

 白ご飯、半分に切られた焼き鮭、ひじき煮、お味噌汁、一口サイズのチーズ、果物といったメニュー。

 

「朝ごはんはこんな感じ。食事サポートしてくれる夫が毎朝作ってくれて、基本うちは和食メインです。あまりたくさん食べれるタイプではないので、一つ一つの量は少なめですがそれでもこれだけの種類はしっかり食べるようにしています」

 

 朝食は一日のエネルギーを作る源。

 更識選手の身体への気遣い。そして、旦那さんのバランスが行き届いた食事サポート。

 これらが更識選手の強さの秘訣の一つかもしれませんね。

 

 朝食を食べ終えた更識選手は席を立ちました。

 

「ごちそうさまでした。朝ごはん食べた後は軽く家事をして、化粧や着替えとか身支度すると八時半前には家を出ます」

 

 更識選手も朝は慌ただしい様子。

 何だか親近感が湧く光景です。

 そして、景色と更識選手の服装が変わりました。

 水色のジャージ、練習着のようです。

 

「朝の九時過ぎです。練習スタジアムにつきました。今日は一日練習の日なのでここで過ごします。午前はトレーニング。午後からはisを使った実機訓練といった予定です」

 

 何処へ向かいながら説明してくれる更識選手。

 カメラを再び更識選手から別のところに向けるとトレーニングルームについたようです。

 流石は国家代表が使う施設。室内は広々として、充実した機材の数々。そして、更識選手が紹介してくれるトレーニング専門で専属のトレーナーな面々。更識選手といえばあの人の姿も。

 

「そして最後がISの指導をしてくれている織斑コーチです」

 

 カメラの前に姿を見せてくれたのは初代ブリュンヒルデ、織斑千冬さん。

 更識選手の専属コーチでありながら今も変わらずIS学園で教鞭を取り続け、我々が姿を拝見できるのは稀。貴重です。

 白いジャージ姿が似合っていて素敵ですね。

 

「コーチも自己紹介を」

「必要か? 今更過ぎるだろ」

「そうめんどくさがらずに……ほら、コーチ」

「仕方ない。こほん……カメラの前の皆さん、こんにちは。更識簪のコーチをしている織斑千冬です」

 

 シーンとなる画面の向こう。

 周りの皆さんは言葉の続きを待っている様子。

 織斑千冬さんならもっと聞かせてくれるはず。

 

「以上だ。皆してこっち見るな」

「本当に終わりですか?」

「本当に以上だ。他に言うこともないだろう? 何だ、アリーシャみたいに名乗れってか」

「あ、それはそれで見たみたいかも」

 

 アリーシャとは二代目ブリュンヒルデ、アリーシャ・ジョセスターフの愛称。

 

(テンペスタ)のアーリィと言えば私のことサね!』

 

 などという名乗りが有名な選手です。

 アリーシャ選手のように名乗る織斑千冬さん見れるなら見てみたいです。

 

「馬鹿言うな。そんなことを言う可愛い教え子には朝からみっちり可愛がってやらんとな」

「別に意味にしか聞こえないんですけど……と、とりあえず、今からトレーニング始めるのでカメラはこちらのスタッフさんにお願いします」

 

 カメラは更識選手から施設のスタッフへと渡り、トレーニングは始まりました。

 基礎的なトレーニングは勿論、より専門的なトレーニングや変わったトレーニングなど様々。

 専用のアプリや機材を用いて心拍数を始め数値としてデータ化した身体の状態を様々計測し、動きもまた映像に納めデータと理論に基づいて徹底的に行わられるのが更識選手のトレーニング風景。

 そうして途中何度か小さな休憩はあるものの、時間の許す限りトレーニングを行うとやってくるのが昼食時。

 カメラは更識選手の元へと戻り、昼食風景を紹介してくれました。

 

「昼の十二時になったので今からお昼ごはんを食べます。いつもお昼はお弁当を食べていて……えと、こんな感じです」

 

 朝食と変わらず、色合いがよくバランスがよさそうなお弁当。

 お昼ご飯にも気を使っているのが伺えます。

 

「昼飯の時までカメラを回すとは仕事熱心だな」

「まあ、お昼の様子もぜひ撮ってと言われてたので」

 

 どうやらお昼は織斑コーチと一緒のご様子。

 織斑コーチも同じく弁当。これは手作り弁当でしょうか。

 

「織斑コーチのお弁当はこんな感じです」

「私のまでいるか? 拙い手作りだ」

「そんなことないですよ。毎回ちゃんと考えて料理してるじゃないですか。私こそ、このお昼ごはんとか彼に頼りっきりですし」

「仕方ないだろ。そういうことを含めてお前のサポートがアイツの仕事だ。それにお前は別に料理できない訳でもない。休みの日に返せばいいだけだろ」

「はい」

 

 真面目な話をしながら進むお二人の食事。

 しかしそこには張り詰めた雰囲気はなく、むしろ信頼しあっているからこそ話し合える。

 そんな素敵な時間が流れているのがよく分かります。

 

「弟が一人立ちして自分の人生を歩んだからこそ家事が出来ない姉だといつまでも心配かけたくはないが為に苦手でも始めた料理で始めたばかりの頃よりかは上達したと思うが正直な話、恋人の手作り弁当は憧れなくはない。いいものだろう」

「それはまあ……はい」

 

 小さく頷く更識選手は幸せそうです。

 

「はぁあ~幸せそうな顔しよってからに。私生活と仕事、実益を兼ねるのといいアイツは昔から抜け目ない奴だ」

「彼のそういうところには本当助けられてます」

「また惚気。そういう意地悪なところ、更識姉に似てきたな」

「別に惚気たつもりは……というか、やめてください、コーチ。その言葉は私に聞きます。……凄く」

 

 和やかなお昼が終わると午後からはまた訓練。

 

「午後は大体十八時頃までISで実機訓練をします」

 

 IS専用の大型スタジアムにて予定を紹介してくれた更識選手の姿はジャージ姿からISスーツ姿へと変わっていました。頭にヘッドギアをつけている姿はなじみ深さを感じます。

 同じく織斑コーチもISスーツ姿です。

 

 お二人が向かい合う実機を用いした午後の訓練は始まりました。

 激しくぶつかり合うお二人。

 

「対処が甘い! 受けるだけで済ますな! 次の手に繋げろ!」

「はいっ!」

「返事だけは一人前前か! 試合状況を起きてること以上に意識しろ! 先の先まで考え続けろ!」

「ッ、はいッ……!」

 

 厳しい指導の声が飛び交っています。

 この時もまた専用のアプリや機材を用いて蒐集したデータを参考にしながらの訓練。

 やはり驚かされるのが練習量とその密度。午前のトレーニング以上に激しく濃密な訓練が繰り広げられています。

 休憩はあるものの午後の時以上にぐったりした様子が見受けられます。

 

「だらしない、こんなのいつものことだろ。カメラが回っているからといって手加減すると思ったか」

「いえ、まったく。むしろ、張り切ると思ってました。それが現実のものに」

「なら、現実を受け入れろ。三分後には再開だ」

「……はい」

 

 訓練を再開すると、やはり厳しい訓練の連続。

 IS学園で教師を始めた頃からスパルタで有名な織斑コーチ、先ほどの言葉通り手加減をする様子はありません。

 しかし、更識選手はただ厳しい訓練を一方的に受けているだけではありません。

 

「今の戦法、またお願いします。もう少し強めで構いません。後ちょっとで掴めそうなんです」

「よし、いいだろう」

 

 積極的に自ら指導を請い、自発的に改善していく姿。

 それは納得がいくまでも何度も見受けられました。

 更識選手のストックな一面に圧倒されました。

 

 そうしてその日の訓練は最後まで密度を落とすことなく夜まで続きました。

 訓練を終えた更識選手が次にカメラを向けてくれたのは何やら料理中の光景。

 

「帰って来て今は夕食の準備をしています。朝と昼は夫に頼りっきりなので夜はなるべく私が作るようにしています。疲れて結局夜も任せちゃうこともありますが」

 

 そう言いながら更識選手は食卓に料理を並べ、旦那さんと二人一緒に食べました。

 

「お味のほうはどう?」

 

 不安そうな更識選手に美味しいと答える旦那さん。 

 更識選手ご自身でも栄養バランスを気にしているというのが本当に分かる夕食。

 確かに美味しそうです。

 

「本当? よかった。カメラ回しながら作るとかって初めてだから変に緊張しちゃって」

 

 夕食の後、家事は分担。

 先に更識選手がお風呂に入り出て来た姿を見せてくれました。

 朝と別のパジャマ姿です。

 

「一時間ほどお風呂入ってました。お風呂はたっぷり全身入浴派で入っている間にアニメや特撮が好きなので撮ったのを流しながらタブレットで簡単に書類チェックしたりリラックスタイムを満喫してます」

 

 忙しそうにしていた朝とは違いゆっくりとした時間を過ごしているご様子。

 

「風呂を出たらマッサージがてらストレッチをしてます。これが結構重要で怠ると次の日の身体の調子に出ます。お風呂上りにやってるスキンケアも紹介したほうがいいんでしょうか? いらなかったからカットお願いします。ええっと……」

 

 一つ一つ丁寧に更識選手は紹介してくれます。

 美人アスリートとしても人気のある更識選手がどんな風にスキンケアをして、その時どのような道具を使っているのか気になっている人も多いはず。

 これは嬉しいですし、見ている側として勉強になります。

 

「その後はフリータイム。好きなことをしたり明日の準備をして寝る直前に弐式と二人で瞑想します。今日一日を振り返ったり、反省点を見つめたりしながら明日に向けて精神統一をして遅くても大体二十三時には寝るようにしてます。八時間睡眠を意識していて、睡眠の質を高めることで次のパフォーマンスもよくしていきたいので」

 

 身体を気遣った食事に圧倒かつ濃密な練習量。

 そして、眠る時までパフォーマンス向上を意識した睡眠。

 怒涛のスケジュールを更識選手が過ごしているのがよく分かりました。

 

「といった感じに一日を過ごしてます。日によって取材とかの仕事をする日もありますがこういう感じの日がほとんどです。自分でカメラを回して一日を紹介するというのは初めてで拙くお見苦しいところがあったと思いますが、見ていただけた皆さんが少しでも楽しんでいただけりすると嬉しいです。日本代表IS選手の更識選手でした。本日はありがとうございました。おやすみなさい」

 

 いかがだったでしょうか?

 今回、更識選手の目線で見る一日密着をお送りました。

 何だか親近感が湧いたひと時。これからも頑張ってほしいですね。応援してます!

 




定期的にメカ以外の側面のISを追求したくなる結果こうなった
ちなみに簪と千冬さんのやり取りが特に視聴率よかったです

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