一色いろはが望むもの   作:ブイ0000

8 / 11
一色いろはは悶えてしまう

この世で最も大切なのは時間だと思う。

 

学校で友達とおしゃべりをするにしても、遊ぶにしても、好きな人の傍にいるにしても、どれも等しく平等なのは時間だ。

 

今迄わたしは時間を無駄にはしたくないと考え、常に自分のスケジュールは空けないようにしてきた。

 

まぁそれだけにクリスマスイベントの時、海浜の生徒会長に前半の無駄な会議でわたしの時間を取られていたのはムカつきますけどー

 

あ、でもそのおかげで奉仕部の先輩たちと仲良くなれたんでしたっけ…

 

あと葉山先輩たちとディスティニーランドに行けたのもある意味あのイベントのおかげと言えるかもしれない

 

ディスティニーランド…

 

わたしが生まれて初めて告白をした場所

 

クラシカルな音楽、夜景、そして打ちあがる花火

 

シチュエーションとしては最高だったのだろう

 

だから、盛り上がってしまったわたしの心

 

普段のわたしなら、たとえ盛り上がっていたとしても負けると分かっている戦には挑まない

 

なのに、分かっていたのに、挑んでしまった負け戦

 

悲しかった。涙も出た

 

でも、すっきりした。引きずらなかった

 

やっぱりわたしにとって、あの恋は本物じゃなかったってことか

 

じゃあわたしって、意外と初恋ってした事ないのかも…

 

わたしの初恋ってどんな人になるんだろう

 

—―――――――—――

 

 

—―――――

 

――

 

「………っ」

 

今一瞬、昨日の別れ際の先輩の顔がチラついた。

 

最後までわたしを見ていてくれて、手を振ってくれた。

 

やっぱり、嬉しかった。

 

あの光景を思い出すとポカポカして、顔がフニャッとなってしまう。

 

「あ~う~」

 

ゴロンゴロンとクッションを抱きしめながらベッドを左右に転がる

 

「やっぱりこれって、"そういう事"なのかなぁ」

 

先輩がわたしの初めての相手…

 

「あれ?なんかエロい感じがする」

 

身体が火照ってしまい、クッションを抱きしめる腕に思わず力が入る

 

あ、話が大幅に脱線した。

 

一度冒頭に戻ってほしい。

 

そんな時間を何よりも大切にしている(ちょっと戻し方が雑すぎるが)わたしが、今日は特に予定を入れていない

 

やることが無く、ただベッドの上で悶えている。

 

すごい表現だ。乙女か!乙女だ

 

「う~ひまだ~」

 

バタバタと足を振りながら外を見るとすごい量の雪が降っていた

 

「そういえば先輩の妹さん大丈夫かなー」

 

来年には(恐らく)後輩になるであろう先輩の妹

 

どんな子なんだろう?

 

聞きたくても先輩の連絡先知らないしなー

 

こんな暇な日になるなら聞いとけばよかったなー

 

そしたら電話とかーラインとかー色々暇つぶしができるかもだしー

 

あ、でも先輩ならこっちの連絡無視しそうだなー

 

なんとなく先輩の性格分かってきたからなー

 

むふふ

 

 

 

 

 

 

 

でも、あの二人はもっと先輩のこと知ってるんだろうなー

 

妹さんの事も知ってたみたいだし

 

「やっぱり、ちょっと悔しいかも…」

 

もし、もう少しだけ先輩と早く会えていれば…

 

もし、先輩と同じ学年だったなら…

 

わたしはどんな生活を送っていただろうか

 

雪ノ下先輩や結衣先輩と一緒に、正式に奉仕部になっていたのだろうか

 

雪ノ下先輩が入れてくれた紅茶を飲んで、わたしが先輩を弄って、結衣先輩が微笑ましい笑顔でそれを見ている

 

やばい。そんなことになったら超幸せな光景じゃん

 

今もそんな感じかもしれないが、わたしとの距離は違う

 

わたしも、雪ノ下先輩も、結衣先輩も同じ経験をして、同じ距離で先輩の隣にいる。そんなifの妄想

 

「バカだなぁわたし。考えても仕方ないのに」

 

まぁ、これから知っていけばいい

 

"後輩"という立場を利用して思いっきり甘えてやるのもいいかもしれない

 

ん。それはそれでありだよね

 

ていうか、さっきから先輩のことばっかり考えてるな

 

「………」

 

一瞬の静寂、後、恥ずかしくなり再びベッドを右往左往

 

「はぁ…」

 

バカみたいだな。と思いながらもやっぱり考えてしまう

 

「会いたいよ。せんぱい」

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は早めに投稿できました。

感想をくださった方々ありがとうございます。

すごいやる気になりました。(^^)/

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。