ゴーレムとオーバーロード   作:NIKUYA

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メリー☆クリスマスいゔ
今日の晩御飯はチキンレッグとケーキだよ!
もちろんシャルティアと一緒に食べるよ!!
いつもの如く無計画で思い付いたまま書き連ねているのでどこか矛盾などありましたらご指摘よろしくお願いします。


石と骨の劇的○フォーアフター

「では、この計画でよろしいですね。」

 

「ええ、如何様にもなさってください。」

 

カルネ村の村長は、笑顔で、仮面のマジックキャスターに返事をした。

 

 

 

 

カルネ村。

先の襲撃によって村人の半数は亡くなり、その際多く殺されたのが男だったのも相俟って、これまでに無い危機に陥っていた。

畑を看る男が少ない。

狩りに出る男が少ない。

…食べる物が、減ってきている。

これでは冬を越せない、いや、冬まで保たないだろう。

村の誰も、子供のネムでさえ、この危機を感じ取っていた。

だが、今朝の村人はまだ知らなかった。

村の男手が増える事を。

村が強固に護られる事を。

なにより、生活水準が数段上がる事を。

 

 

 

「さて、ではNIKUYAさん、さっそく作業を開始してください。私は村長と共に、村人に説明してきます。」

 

アインズさんと計画していた、カルネ村改造計画を開始する時がようやく来た。

計画の内容は、村の古い家屋の撤去、居住区画の整理、新しい施設や設備の設置、畑の改善、村を囲う壁の作成などである。

そのうち、NIKUYAに任されたのは、家屋の撤去、畑の改善、壁の作成である。

 

村人は皆、村長やアインズさんと共に広場に集まっている。

家屋の撤去は、皆が家財を外に持ち出してからの予定だ。当然である。

 

「NIKUYA様、先ずはなにをなさりますか?」

 

そう問うのは、今回のNIKUYAの護衛の任に就くことになった、マーレである。

マーレを護衛に選んだのは、畑の件でも役に立つからだ。

 

「家屋の撤去したいけど…先に壁つくっちゃうか。」

 

NIKUYAは村の家の配置を確認し、計画書通りに村の四隅に印を建てる。

 

「じゃあ、おっ立てるぞー」

 

「はい、NIKUYA様!」

 

「んんっ、あーあー、よし。《防壁作成・石》」

 

NIKUYAのスキルが発動し、2つの印の間に高さ5メートルの石壁が聳え立った。

ーー第六階層での実験通りに完成した。

上手くいったテンションのまま、四辺の壁を完成させ、壁の上での見張り用の梯子や落下防止の柵をとりつけ、門の作成に手をつける。

門を取り付けるために壁の一部、街道と接している部分を取り払い、デミウルゴスのシモベに事前につくってもらっていた扉をマーレに取り付けてもらう。

蝶番の設置などの細かい作業はこのゴツい手ではできないのだ。

 

門の作成が難なく終わり、村人への説明を終えたアインズさんと合流する。

村人達は早急に家財を広場に持ち出すとの事。合意は得られたようだ。

村人達が家財を持ち出すまで、やる事がない。

畑も、区画整理のために一度撤去するからだ。

やる事が無いとアインズさんに相談すると、計画の一端を先にやってしまっていいと言ってもらえた。

それならと、村長の元に行く。

 

「村長、渡しておく物があるんだけど」

 

村長に声をかける。

村長は毎度の如く驚いて肩を跳ねさせる。

人間としてはゴーレムが喋るだけでも常識外れであるようで。

 

「は、はい、なんでしょうか?」

 

村長は恐る恐る、と言った様子で返事をする。

ビビられるのにも慣れてきたNIKUYAは、それを気にせずアイテムを取り出す。

 

「これを渡しておく。無限の水差しっていうんだけど、名前の通り水が無限にでてくるアイテム。」

 

「な…っ、そのような、ひ、秘宝を賜れるなど、宜しいのでしょうか…?」

 

村長が驚愕と畏れと興奮…いろんな感情が混ざった声色で尋ねてくる。

秘宝…これはそんな大したアイテムではないのだが。

8つほど持ってるが、効果が効果なので1つしか必要ない。

それでいて、この世界では有用そうだからお近づきの記念感覚であげとこうと思ったのだが…

よく考えれば、現実にこんなものがあったら確かに秘宝だなぁ、と、軽々しくOKを出したアインズさんを遠目に見ながら反省する。

 

「ま、まぁ、アインズさんの贔屓になる村だからね。水汲みも大変そうだし、これで仕事の効率も上がるだろう。それと、これの存在は村人以外に知られないように。これは村長の所持の元、皆に平等に使うように。」

 

「か、かしこまりました。ありがとうございます。」

 

さて、これで水の問題はまるっと解決だろう。

次は…

 

「エンリちゃんはどこかな?」

 

村長に問う。

村長は何故という顔をしながらも、これも計画の一端だろうとエンリの住む家屋を指差す。

 

「彼女の家はあちらです。多分、妹と共に家財を持ち出している最中でしょう。」

 

 

 

村長に言われた家の玄関をノックする。

ほどなくでてきたのは、エンリちゃんではなく、10歳ほどの女の子。

確か名前は…

 

「ネムちゃん、だっけ。エンリちゃんいるかな?」

 

その女の子の顔には恐怖や畏れなどの表情は無く、どことなく違和感を感じたNIKUYAだが、それはさておいて本命を呼ぶよう促す。

ネムちゃんの一声でエンリちゃんが飛ぶように玄関に姿を見せた。

 

「お待たせして申し訳ありません!何用でしょうか?」

 

姉のほうはとてもしっかりしていて、礼儀正しい、愛想がいい、可愛いのモテコンボを決めている子だ。

歳は15歳前後だろうか?

 

「アインズさんに渡されてた小鬼将軍の角笛、あったろ?あれを使わせるようにアインズさんに言われてね。」

 

そう言い、エンリちゃんを村の防壁の外に連れ出す。

もちろん、マーレもついてきているのだが。

 

村から程よく離れた開けたところで、エンリちゃんに笛を吹かせる。

 

ピョォーー…

 

なにこれしょっぼい音!

あまりにも弱々しい音に笑いを堪えつつも、遠くの森から何かが近付いてくるのを察知する。

警戒に足らないレベルのモンスターの群れが、敵意無しに向かってきている。

 

「お、きたか。」

 

「え、えぇ、NIKUYA様、あれは!?」

 

驚いて尻餅をつくエンリちゃんに、アイテムの説明受けてる筈だが、と顔を顰めるNIKUYA。顰める皮膚は無いが。

程なくして、19のゴブリンの群れが、隊列を組み、エンリちゃんに跪く。

 

「御命令を、我らが長よ。」

 

ここに、将軍・エンリが爆誕した。

 

 

 

 

村の人手(亜人手?)が増えたころ、村人の家財の運び出しが終わっていた。

ようやく、次の段階に進める。

 

村人達に最後の確認をし、了承を得て、20あまりの家々を次々に解体する。

解体したあとの石材や木材は、村人が使用できるように後ほど建てられる共同倉庫に保管する為、一箇所に纏めておいた。

畑しか残ってない村に、次はマーレの魔法を使用する。

地形を動かすそれによって、小さな丘や小山があった村は、計画書通りに綺麗に平らになり、目の錯覚か、さっきより広くなったように感じる。

あとは、計画書通り、家や畑を配置するだけだ。

家はアインズさんに任せ、NIKUYAは畑をつくる。

まぁ、ほぼマーレの仕事になるのだが。

 

マーレのスキル、魔法等により、難なく最上級の畑が出来上がる。

村の6割ほどを占める大規模な畑になるが、新しい村人のゴブリンに加え、NIKUYAのスキルによって生み出された小型(ゴブリンと同じ程度の大きさ、強さ)のゴーレムが50体ほど居るので管理は問題無いだろう。

ちなみにこのゴーレムは依代に動物の骨を使ったため、時間経過での消滅はしない。

計画はほぼ狂いなく完了した。

ーーこれら70を超える軍勢の全てに名前を付け、全てを完全に把握し指揮する将軍の存在は、計画にはなかった嬉しい誤算だが。

 

アインズさんのほうもほぼ作業が終わったらしい。

上位道具創造で家が建てられるのは実験でわかった事であった。

中でもエンリちゃんの家は頑張ってつくったから見て欲しいと言われる。

エンリちゃんとネムちゃん、アインズさん、NIKUYAがそこに入る。

作られた家は、外見は中世をイメージした造りである。

 

「これが、私達の家…?」

 

頑丈な壁に、軋まない木の床。

窓にはガラスが張られており、しかも外からは中が見えないというマジックアイテムらしい。

キッチンには業物の調理器具が揃えられ、細長い鉄の管の根元にある栓を回すと、無限に水が出るという。

レイゾウコなる箱は、開けると冷気を吐き出し、それは食料の保存に役立つのだという。

リビングには永続光が付与された傘のようなものがぶら下がっており、手の翳し方で光量を調節できるらしい。

トイレは座って用を足すものらしく、なんと蓋をして一晩経てば、出たもの全てが消え去るらしい。

…これはただ、恐怖公の眷属がそれらを食いにきてるだけなのだが。

二階の寝室にはキングサイズのベッドが置いてあり、これがなんと羽毛でできているという。非常に柔らかく、温かい。

そしてなにより、フロというものが気になった。

1日の終わりに、身体の汚れを落とすための湯浴みをする場所らしい。

エンリとて、汚れる畑作業の後は水浴みをしていたのだが、冬はなんとも厳しい。甘えて、濡らした布で全身を拭くのに留めてしまうほどに。

それが、なんとお湯、つまり温かい水を身体の汚れを落とすのに使おうというのだ。

ユブネというところにお湯を貯めるそうだが、これだけの水を温めるには相当の薪が必要な筈だが…なんと、不死鳥の炎というアイテムをこの為だけに使用なされたらしい。

ーー

不死鳥の炎とは、永遠に燃え続ける炎で、炎の温度が50度ほど。ユグドラシル時代は、蛇種族の必需品であったり、爬虫類NPCを創るときの必須アイテムであったりしたので、機会があるたびにとりあえず取得していた、いわゆるゴミアイテムだ。

火事の心配無く、丁度良い湯加減を保つには最適なアイテムである。お湯の温度は40度程度になっている。

ーー

お湯に浸かると、疲れがとれるらしい。今夜さっそく、ネムと入ろう。

その他にも、様々な細かい説明をされたエンリであったが、あまりにも現実離れした、まさに夢の様な我が家の変貌に、ただただ笑顔で驚くことしかできなかった。

ネムはといえば、様々な家の機能を使用法を詳しく聞き出しては弄り回し、無自覚ながらも姉のサポートをするのであった。

 

 

 

 

「ほんとに、アインズさんはなんであの子にあんなに入れ込んでるんです?ロリコンですか?」

 

各家の確認を終え、アインズさんに問い質す。

他の家は、窓にはただのガラス、無限の水差しや包丁などの無いキッチン、トイレは同じ造りだったが、風呂も布団も用意してなかった。

 

「いやぁ、あの子ね、NIKUYAさんのこととかまったく悪く言わなくて。それどころか、私達のことすげぇ良く言ってくれましてね?」

 

「…それで、贔屓したと。」

 

こいつは昔から、ナザリックを褒められたらホイホイついていっちまうような人だったわ。

去年辺りの他ギルドとの奇跡の友好的交流を思い出し、溜息をつく。

 

「まぁ贔屓してしまうのはわかりますが。さっき村長に無限の水差し渡したときに気付いたんですが、現実に無限に水が出るアイテムあったらどう思います?」

 

「…なんとかしてお金稼ぎに使いますね。なんせ凄すぎる。」

 

「そういうことですよ。」

 

心底驚愕した様子のアインズさん。

表情はないのに心象が読めてしまうのは何故だろうか。

この後また二人で会議し、どうせ防壁もゴブリンもゴーレムもこの世界の基準ではやばいんだし水差しぐらいモーマンタイだという結論に至り、ついでに、近いうちにエモット姉妹をナザリックに招待する事も決まり、閉会した。

 

 

「なぁマーレ、お前はエンリちゃんの事どう思う?」

 

「…僕のほうが可愛いと思います。」




エンリちゃんはナザリックのお陰で国を落とせるレベルの戦力を手に入れました。覇王炎莉大将軍万歳。
NIKUYAがゴーレムを多く召喚できるのは、盾職的なあれと種族的なアレです。
あと、サブタイは本家○フォーアフターさんに怒られる可能性も考えて伏字にしました。ご了承ください。

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