思い付きで一気に書いたので荒いところがあったらコメで教えていただけると幸いです。
アウラとマーレとの手合せを終え、汗を掻いた二人が手合せの感想を語り合う。
「いやぁ、さっすがNIKUYA様だったね。1ダメージも与えられないなんて。」
「こ、こっちも攻撃は当たってないから…あれでも手加減なされてたのかなぁ?」
「NIKUYA様の全力の一撃なんてくらったら、この闘技場ごと消しとぶんじゃないかな?遊び程度の手合せって言ってたから、本気は出さないでしょうし」
「あれで遊び程度…やっぱりNIKUYA様はすごい御方だね、おねえちゃん」
…むず痒い。褒めすぎではないかと。表情があればもう真っ赤っかでニヤニヤで目も当てられない事になりそう。
「アウラ、マーレ。汗を掻いたな。これを飲むといい。」
そう言い、アイテムBOX…空中に手を突っ込んで無限の水差しとガラスコップを取り出し、二人に注いであげる。
アウラは一気に飲み干し、マーレは少しずつ口に運ぶ。
ほんとに男の子なのかこの子は。さすが茶釜さん、といったところか。
「NIKUYA様はお優しい方ですね。僕、あまりNIKUYA様のこと知らなかったです…。」
アウラが飲み干したコップを返す時にいう。
「いままであんまりここに来てなかったからねぇ。女性陣が居て…来づらかったな…」
「こ、これからはもっと、来ていただけませんかっ!」
「マーレ…そうだな、これからはもっと会いに来るよ。約束ね。」
「約束…NIKUYA様と約束…」
マーレが向こうの世界へトリップした時、後ろで眺めていたモモンガさんの横に黒い空間の歪み…ゲートが開通する。
「おや…私が一番でありんすか?」
シャルティア・ブラッドフォールン。
大墳墓第一から第三までの階層守護者で、吸血鬼の真祖である。
「よくきたなシャルティア。」
さっきまで暇してたモモンガさんが、多少の構ってほしさに声をかける。
「あぁっ、我が君!私の愛しの君!モモンガ様に逢うために馳せ参じましたっ!」
首に手をかけ、ぶら下がるように抱き着く。
『あれ買ってよパパ!』
『やめてくださいNIKUYAさん!俺まだ捕まりたくない!』
メッセージで野次を飛ばす。
「シャルティア…あんたちょっといい加減にしたら?」
アウラが羨ましそうな顔でシャルティアに突っかかる。
「あらチビスケ…居たでありんすか?ちっさすぎて見えんせんでした。」
モモンガに見えない角度で顔を厭らしくゆがめる。NIKUYAさんはちゃんと見えてるぞー?
「…偽乳。ずんぐり。変態。」
怒涛の攻めの姿勢のアウラ。
「な、偽…あんたなんかまったくないでしょ!」
「私はまだ76歳、これから成長の見込みがあるのよ!先月より1cm大きくなったし!それに比べてアンタはアンデット。成長しないって大変よねぇ。今あるもので満足したら?」
アウラはドS。容赦ない。
二人の言い争いが激化しそうな折、新たな守護者が闘技場に現れる。
「サワガシイナ。」
コキュートス。第五階層守護者の蟲王、性格もコンセプトデザインも武人である。
「オンカタガタノマエデサワギスギダ。」
「このチビが私に無礼を!」
「シャルティアが悪いんでしょ!」
一歩も引かぬ両者。コキュートスはとりあえず頭を冷やさせようと思ったのか一帯を凍らせるスキルを使用しようとする。
「そこまでだ!」
モモンガが3人を制する。
「シャルティア、アウラ。じゃれあうのもそれぐらいにしておけ。」
「「申し訳ございませんっ」」
ふむ、この4人も忠誠心はあるようで…
「シャルティア、アウラ。モモンガさんは胸の大きさで女性を比較するほど愚かな人じゃないよ。」
「そうでありんしたか…ではこの詰め物は…」
「ちなみに俺は小さい方がいい。」
「…!!用事を思い出したので1分ほど部屋に戻ります!少々お待ちを!!」
シャルティアがユグドラシル史上最速のゲート展開ー閉鎖を見せてくれた。
「よくきてくれたな、コキュートス。」
「オンカタノオヨビトアラバソクザニ。」
膝をついて礼をし答える。よくできた部下だ。私はうれしいよ。
「うむ、ご苦労。」
モモンガが労う。社会人としては当たり前、むしろ適当な感じの対応なのだが、コキュートスは労われたことに心底興奮し、喜びで口の触角のようなものをカチカチ鳴らしている。
「皆様、おまたせして申し訳ありませんねぇ。」
さて、集合予定時間の20分前に来たのは第七階層守護者のデミウルゴス、最上級悪魔である。
それの前を歩くのは、伝達の仕事を終えたアルベド。
これで、一時撤退したシャルティアを除いて守護者全員が…
「お待たせしたでありんす!」
デミウルゴスの後ろから、胸の辺りがシャープになったシャルティアが全力で駆けてくる。
「あらシャルティア、いつもの偽乳はどうしたのかしら?」
アルベドが嫌味たらしく尋ねる。が、シャルティアはもうその攻撃を無効化できる。
「胸の大きさなんぞで張り合おうとした私が馬鹿でありんしたぇ。NIKUYA様は小さい方が好きと仰りんしたの!」
「…NIKUYA様?」
アルベドの涙目が岩の顔に突き刺さる。痛い。
「NIKUYA様は…わたくしのような豊満な女性はお嫌いですか…?シャルティアのような幼いカラダをお求めになるのですか…?」
なにこれ、ロリコンかどうか聞かれてるの?ロリコンですありがとうございますた。
とはいかず…
「アルベド、私は大きくても小さくてもいい。どちらかと言うと、少しの差で、小さい方が好きだと言ったのだ。それに、モモンガさんは大きい方が好きだし。」
「なるほど、シャルティアのような哀れな虚乳に情けをかけてやったというわけですね!さすがは至高なる御方!」
「いや違、あ、シャルティア泣かないで!俺はシャルティア派だから!」
泣いてしまったシャルティアを撫でながら慌てふためくNIKUYA。
それを眺めるナザリック男性陣。
モモンガの助けなど無く、この修羅場を切り抜けないといけない。が、俺には秘策がある。
「まぁアルベドはモモンガさんの伴侶として創られたからね、モモンガさんの好みにはド直球じゃないかな!ねぇモモンガさん!!」
食らいやがれ俺の全力全開。アルベドは一瞬身体を硬直させ、神速の勢いでモモンガの方に向き直す。
「モモンガ様…私はモモンガ様の伴侶…モモンガ様、ここで契りを!私の創られた意味をここで示していただけませんか!!」
モモンガを押し倒し、自らの服を脱ごうとしている守護者統括。
「ま、まてアルベド!こういうのは二人きりでするもんだろ!ここはまずい!」
あ、モモンガさん肯定してる。アルベド調子に乗っちゃう。
「ではモモンガ様…後ほどお部屋に伺います。それで宜しいでしょうか?」
顔を赤らめながらも服を整え、守護者達の前に居直る。
「シャルティア、そろそろこっちにきなさい。」
デミウルゴスが促す。
「もうちょっと…もうちょっと撫でられていたいでありんす…」
こいついつ泣き止んだ。すごいエロい顔で上目遣いを仕掛けてくる。NIKUYAにコレの耐性はない。
「NIKUYAさん、シャルティアを離してください。…シャルティア、後でNIKUYAさんの部屋にいけばいくらでも撫でてもらえるだろうよ。」
この骨…やられたらやり返すギルドのトップなだけある。
「…シャルティア、続きは後でだ。」
「かしこまりました、NIKUYA様っ!」
したり顔で守護者列に居直る。これで第四と第八以外の階層守護者は集まった。
「では皆…至高の御方々に、忠誠の儀を。」
アルベドの宣言で、各守護者たちが与えられし名と役職を唱える。
「…御身の前に。」
皆が宣言を終え、頭を垂れたままNIKUYAとモモンガの言葉を待つ。
「…面を上げよ。」
モモンガさんが絶望のオーラVを発動させながら守護者たちに言う。
じゃあ俺も…と、威圧のオーラVを発動させる。
「よく集まってくれたな…礼を言う。」
まずは労い。だが、この二人はこの地での自分の立場をあまり理解していない。
労われた守護者たちは喜悦の表情をみせ、感動に全身を震わせる。
「礼など我々には勿体ない!我ら御方々にこの身を捧げた者たち…御方々にとってはとるに足らない者でしょう。しかしながら我らの造物主たる至高の御方々に恥じない働きを…誓います。」
「「「「「誓います」」」」」
おお…これが狂信者か。こわいな…対象が自分たちだってのも怖い。そして同時に頼もしい。
モモンガさんも満足そうな顔をしている。表情ないけど。
「素晴らしいぞ!守護者たちよ。お前たちなら失態なく事を運べると強く確信した。」
守護者たちがまたも喜悦に満ち満ちた顔をしているのを見ながら、本題にはいる。
「さて。現在このナザリックは原因不明の事態に巻き込まれている。すでにセバスに地表を捜索させているのだが…」
そこで丁度姿を現した執事、セバス。
さすセバ、居てほしいときに居る執事の鑑。
「セバス。捜索結果を皆に。」
「はっ。まず、周辺1キロはすべて草原でした。小動物以上の生命体は確認できず。丘や川などもございませんでした。」
草原…ナザリックはもともと、毒沼の中にある建造物だ。
「1キロ以遠には、複数の村、森がございました。」
「ふむ、ご苦労セバス。…となると、ナザリックの隠蔽が最優先か。マーレ。」
「はいっ!」
モモンガさんがいろいろと思案してくれている。
俺はいつもみんなの決定を待って、ついていくだけ。
考えることは全部モモンガさんに任せようと思っている。
「ナザリックの隠蔽は可能か?」
マーレにきいたのは、広範囲高火力魔法や補助魔法のうちでなんとかなるものがないかと考えたからだ。
「魔法という手段では難しいですが…たとえば、アースサージを使用して土で覆うとか…」
マーレはよくできた子である。自分のできることを把握し、提案できる子。いい部下である。
「ふむ、ではそれでいこう。周りの草原にも複数のダミーを用意してくれ。隠せない上空部分は幻術を展開してなんとかしよう。」
さすがモモンガさん、問題が一つ片付いた。
「さて…それともう一つ大事な事を言っておかねばならん。」
守護者たちが更に気を引き締め、耳を澄ませ、言葉を待つ。
「NIKUYAさんをお前たちナザリック配下の者たちの相談役に就任させる。もちろん、私とNIKUYAさんの立場は同じである。」
そう、これは闘技場にくる前に二人できめたことである。
頭の回るモモンガさんに外の事を任せ、俺は中で楽をしたい…と言えば聞こえが悪いが、モモンガさん的には魔王RPがしんどくて外の方が楽だろうからという配慮だ。
めんどくさいとかそんなのでは決してない。決して。
「ひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか。」
デミウルゴスが発言する。
「許す。言ってみよ。」
「相談、というのは、どの程度の事柄までお許しいただけるのでしょうか。」
たしかに相談と一言で言っても、ナザリックの戦力構成の相談から晩御飯はなにがいいかの相談まで幅広い。
誰かが粗相を起こして御方の機嫌を損ねる可能性があるぐらいなら、ここで自分ひとりが犠牲になろうという心積りだ。
「ふむ…NIKUYAさん、どう思う。」
「そうだねぇ…なんでもいいよ。なんでも。みんなのちょっとした疑問や心配を解消するための役職だからね。もちろん、秘匿してほしい相談内容は誰にも話さない。モモンガさんにも、ね。」
デミウルゴスが安心したように息を零す。
「私めの質問に答えていただき、ありがとうございます。」
「よいよい。で、このあとさっそくみんなと二者面談するからね。」
「ということだ。では、私は自室にて話に有った村とやらを覗こうと思う。NIKUYAさん、あとは頼みましたよ。」
「了解ですー。なんかあったら呼んでくださいね。」
モモンガは骨の手をひらひら振りながら、転移でその場から消える。
俺は威圧のオーラを解き、皆に向き直る。
「じゃあ…そうだな、20分後に俺の部屋にきてよ。シャルティアから順番に、アルベドの後にセバス。そうだな、セバスの後にプレアデス達も呼んでくれるかな。」
「畏まりました。では、伝達してきます。」
セバスが礼をし、闘技場から出る。
「じゃあみんな、また後で。俺も部屋に戻ってるね。」
そういい、転移で自室に戻る。そしてメッセージをつなぐ。
『あー、モモンガさんー』
『NIKUYAさん、アルベドの件…』
『あ、はい。シャルティアの件。』
『…おあいこで。この後面談ですか?』
『そうですね、20分後に、シャルティアからプレアデスまで。』
『そうですか…シャルティアとのお楽しみは無いようにお願いしますね。』
『アルベドには面談後にモモンガさんの部屋に行くように言っときます。では。』
『あ、ちょ、NIK』
さて、面談の準備をしよう。