ゴーレムとオーバーロード   作:NIKUYA

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書溜めがなさすぎてやばみが深い
書くより読む方が好きだから、面白い作品があると書く手が動かなすぎます。いや、書きたい。書きたいけど、読みたい…!!


石と骨の一時帰還

 

 

 

 

 

森での採取を終え、カルネ村へ引き返し、チームごとに軒を借りて一泊する事となった。

 

「では、ティア、アイリよ。留守を頼むぞ。…仲良くするのだぞ。」

 

「朝までには帰ってくるからね。誰か来たらすぐ呼んでね?」

 

「いってらっしゃいませ、お父さん、ニックさん。」

 

「いってらっしゃいませ、モモンさん、パパ。」

 

うーん、娘に見送られるお父さん、いいねぇ!!

夜の間、俺とモモンさんは、ナザリックに一時帰還、アルベドに現状の報告をするための食事会に参加する。参加者は、俺とモモンさん、アルベド、デミウルゴス、ルプスレギナ、ソリュシャンだ。

 

 

 

 

「帰ったぞ。」

 

「ただいまー。」

 

ティアの開いたゲートを潜り、ナザリック表層に転移した。

そこには現在ナザリックに滞在している、名のある僕が皆集まっていた。

 

「おかえりなさいませ、至高なる御方々。心より、御帰還をお待ちしておりました。」

 

アルベドが皆を代表して一歩前に出、口上を述べる。それに合わせ、背後の配下たちが膝をついて頭を垂れる。

 

「面を上げよ。一時的ではあるが、我々は帰ってきた。明日にはまた発つが、皆に於いては変わらずこのナザリックを守り通しておいて欲しい。大儀である。そして、期待しているぞ。」

 

モモンさん…アインズさんの言葉に、僕たちはみな、涙を浮かべ、何人かは感動の嗚咽すらもらしている。

 

「いつまでもここにいるわけにもいかないし、さっそくですまないけど、報告会のほうに向かおうか。アルベド、案内してくれる?」

 

「かしこまりました。本日の食事会、報告会は、第九階層にございます、バーを貸し切って行います。尚、料理長がいらっしゃるため、食堂で頂けるもの、バーで頂けるもの、どちらもご注文賜れます。では、我々は徒歩で向かいますので御方々は」

 

「ん?ああ、アインズさん、アルベドに指輪渡してないんです?」

 

「ゆび、わ…?アインズ様…?」

 

「え、指輪…ああ、そうか、あったほうが便利ですよね。」

 

なんとまだ渡していないらしい。役職的には、アルベドにはそれは必要だと思うんだよな。

 

「アルベドよ、食事会の時に渡すものがある。他のものと先に待機しているが良い。」

 

「かしこまりました。第九階層、バーにて、お待ちしております。」

 

食事会に参加する面子が、ナザリックに入っていく。

 

「ユリよ」

 

「はっ、此方を。」

 

プレアデス所属、ユリ・アルファが前に出て、綺麗な箱に詰められたそれを差し出す。

 

リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。このナザリック地下大墳墓におけるギミックや阻害を無視した転移を可能にする、ギルドメンバー専用の指輪だ。

使いようによってはナザリックを半壊させることも、全壊させることもできる、究極の急所だ。

取り扱いがそこらの危険物より危険なので、外出時はプレアデスの誰かに預け、ナザリックの深層で保管してもらっているのだ。

 

「これを、アルベドに、か。用意してからバーにいくか。」

 

「今まで渡してなかったのが不思議なくらいにアルベドの仕事量がすごいらしいですよ?これで改善されるといいですけど。」

 

NAISEIって大変なんやなあ。と思ったよねほんと。

 

 

 

 

 

 

「またせたな。」

 

準備を終え、人間化したアインズさんと俺は第九階層のバーにきた。

いつもと違い、明かりは十分な光量で、席の配置も変えられている。配置変えについては俺が許可したので問題ない。

 

僕は此方が入るなり、席を立ち、床に平伏する。

 

「楽にし、椅子につくがよい。報告会なのだ、対等にとは言わんが、ある程度は立場の差を気にせずに話し合おう。」

 

平伏を辞め、俺たちが座ってから、他の僕が順に座っていく。

 

今回のテーマは『和食』。俺とアインズさんの食べたいものを、懐石やコースっぽく順に出してくる感じだ。

 

まず、飲み物は、日本酒『超越』。

ゲーム時代は、銘や味のフレーバーテキストしか無かった物だが、現実になったことによってそれらが飲めるようになっていた。その中でもこのお酒は、アインズ…モモンガさんしか開けることを許されないお酒として創られていたものだ。在庫本数はそこそこ多いし、ユグドラシル金貨があれば追加で複製もできるのだが、それらの検証は後々になる。

ともかく、希少ではないが独特なお酒だ。アインズさんが居ないと開けられないからな。

 

先付は、ヒラメの昆布〆。ヒラメも昆布もユグドラシルに於ける上級者向けフィールドで採れる最高級の一品を使用している。

今の所は在庫分でなんとかなるが、そのうち大釜を使うことを考えると、金策は急務になってくるな…。

 

吸物は、豆腐、絹さや、柚子のお吸い物。醤油や塩、香り付けの柚子でさえ厳選に厳選を重ねられた一品だ。

 

向付は、鮪、鯛、烏賊、赤貝。山葵醤油とちり酢と共に。前世では食える魚なんぞアーコロジーの中の生簀にしかいなかったからな。タニシなら食ったことあるが、あれはヤバかった。赤貝は美味いと思うけど、多少トラウマがなぁ…。

 

そして煮物。

かぼちゃ、里芋の煮物を頼んでいる。家庭的で、且つプロの手腕が光る一品だ。

懐石での煮物は、もっと煮物然としていない風だったのだが、資料を見る限りだとどういう味なのか全く想像できなかったので、所謂家庭的な味のものとして紹介されていたものにした次第だ。

 

続いて揚げ物。レンコンやシシトウなどの野菜の天ぷら、エビ、穴子、アジなどの海鮮の天ぷら、ニンニクやたまご、かしわ、さらにはウニの海苔巻き天などの変わり種が盛り沢山で提供される。当然、油や天つゆ、抹茶塩なども最高級だ。というか、今回は水から器から全部が最高級である。舌が肥えてないのに最高級ばっかりだと、冒険者としての活動に支障がでそうな気もする。昨夜の薄いスープも、あれはあれでよかったんだけどな。味としては比べ物にならない。

 

焼き物、サンマの塩焼き。

単純だがそれ故最高、程よい焼き目に、溢れる脂、柔らかく解れる身。前世の100年ほど前は、一般家庭で普通に食えた程度のものだったそうだが、もちろん俺は食ったことない。アインズさんもだ。なお、こちらも最高級以下略。

 

蒸し物として、ウニの茶碗蒸し。

底と上にウニが乗せてある。底のは熱が通っていて、上のは程よく温まっている。たしか、バフンウニ、とかいったか。

 

それから、ご飯と、沢庵。

コメはこっちの世界ではまだ見たことないが、あるのだろうか。あっても改良されてはないだろうし、日本米には遠く及ばないだろう。高く見積もってもタイ米か。カレーも食いたいな。チャーハンも。

 

そして、ご飯と一緒に、止め椀のアサリの味噌汁が出てくる。

手間はかかるが、殻ごと入れてもらっている。ドラマで見た、殻ごと口に入れて身だけ食べるってやつがやりたかったのだ。

 

最後に、水物。無花果の田楽、抹茶のアイスクリーム、わらびもちを頼んだ。

甘いものというのは不思議な引力があるもので、幾らでも食えるような錯覚に陥る。

ちなみに、別腹というのは実際にあるそうだ。デザートを前にすると、胃にある消化途中の物を腸に押し込んで容量を確保しようとする、と聞いたことがある。

 

と、まあ。食いたいものは幾らでもあるのだが、今回は和食に限定してみたわけだ。次回は中華とか、フランス料理とか、その辺から攻めてみたいな。

 

 

 

「さて、報告会の前に、食事を楽しもうと思う。日々我々の為に尽くしてくれている、此処に居ないものには申し訳なさもあるが、それは後に埋め合わせをしようと考えている。では、NIKUYAさんからも一言を。」

 

え、俺!?毎度ながら急に振るからさあ…いや、社会人時代にはもっと無茶振りされてはいたけどさ!

 

「あー、今回は各部署の責任者、若くは代理人に集まってもらった。アルベドはナザリックの運営管理、デミウルゴスは消耗品生産研究並び戦略指南、ルプスレギナはカルネ村の監視並び外地の人間の観察研究、ソリュシャンはセバスの代理出席だが、王都に於ける情報収集及び工作、及びに外貨獲得への着手、と。皆の配下含め、大変に良くやってくれている。報告書はアルベドより上がってきてるから見てはいるけど、今回は現場の生の声を聴いて、更に深く現場を知りたいと思っている。ま、とりあえず先ずは飯だ。今回は和食。俺とアインズさんの故郷の…昔にあった料理のテーマだな。ルプーとソリュシャンには一応、フォークとスプーンを用意してるから、箸が難しかったらそっち使っていいからね。では、アインズさん。」

 

因みに、アルベド、デミウルゴスは箸が使える。ソリュシャンも使えるそうだが、確定ではない。ルプーは多分すぐ箸を諦めるだろう。

 

「うむ、では。皆、杯を持て。」

 

『超越』を注いだ御猪口を持ち、掲げる。

 

「食事会を始める。乾杯!」

 

「「「乾杯!」」」

 

 

 




食ったことないもの書くときって頭が痛くなります。食べたい。

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