異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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スーパーのパンコーナーにて、衝撃を受けて何かと思ったら小さな女の子がぶつかってきていた。
下を向いて、その子と目が合った瞬間向こうが泣きそうな顔になって走って逃げていった。

一体私の何がいけないんだよ…アレか!!友達曰く死んだ魚のような目をしてるのがいけないのか!?
うわぁぁぁ HP0/4000 ワンターンキルゥ…


第35話 第3章エピローグ

 城内は、私達が出て行った時とは様変わりしていた。知らない気配の人……ちらっと見えた限りではメイドさんとか執事……が動き回り、人も多くなり随分と騒がしくなっていた。

 因みに、獣王様(ネイオンさんっていうらしい)が外でタバコっぽいものを吸っているのは、城内が全面禁煙だかららしい。

 

「それでリュートさん、これからどうする?」

「どうするって?」

 

 とりあえず歩きながらリュートさんに質問してみるが、首を傾げられた。目的地は私とリュートさん達の寝てた部屋だ。

 

「いやさ、折角の久しぶりの家族だんらんになるんだろうから私達は邪魔者でしょ? 少なくとも私は関わりたくない訳で、どうしようかなって」

「成る程、そういう事ね。だったら、僕とレーナに付いてくる?」

「ほぇ? どういう事?」

 

 今度は私が首を傾げる番だった。どういう事? って思ったけど、さっきの私の言葉も、しゅ、主語? だったかな? それが抜けてたような気がするからあんまり人の事は言えない気がする。

 

「ちょっと、両親に挨拶しに行かないといけないからついでにレーナの事もって考えてるんだよ」

「……それって逆じゃない? 娘さんを私に下さいなら、レーナさんの両親に挨拶しに行かないとダメだろうし」

 

 そう考えると、私ってどうなるんだろう? 両親は地球だし、この身体としての親は……神様? って、なんで私は女の子目線で考えてるんだよ、一応僕は男男、レーナさんは可愛いそれでいいはずだ。いや、けどこの身体だとそれはレズゥになるのか? ……うぅあぁ! もうやめだやめ! こんな問題は後回し!! 

 

「何1人で百面相してるのさ。それはもう、イオリさんが大怪我して寝てた頃に行ってきたよ。一発殴られてもきた」

「おぉー!! でも、見たかったなぁ……というか私放置」

 

 そう言って左側の頬を指差すリュートさんが、何故だか知らないけど凄くカッコよく見えた。思わず拍手をしちゃうくらいに。

 

「師匠が治して、ミーニャ様と時々ラファー様がイオリさんの事は見てたから、安心して行ってきた。それで、戦争に行ってたらしい僕の両親に今から挨拶に行こうって事」

「むぅ〜……一大イベントを見逃した気分。そうだ! 2人が挨拶しに行ったところで私が、2人の娘です! とか言ったりしたら」

「止めてね。絶対止めてね?」

 

 話に割り込まれて釘を刺される。ふふふ、甘いぞ、そんな返し方をすると……

 

「それはフリってやつだよね!」

「全然違うから! 凄い問題になっちゃうから! それに、一応貴族なんだよ? システムはテンプレって言えば、イオリさんなら面倒だって分かるよね?」

「……うん、そうだね。少なくとも関わるならだいさんしゃとしてがいい」

 

 一番記憶に新しいのはこのすばのダクネスの話だけど、それでも面倒だなぁって思った記憶がある。ん? でもそうすると……

 

「ねえリュートさん、それなら私ドレスとか着た方がいい? 貴族って冒険者を毛嫌いしてそうだし」

「無くても大丈夫だよ。そもそもこの世界の冒険者は、そんなにマナーが悪い人は居ないし」

 

 そう言われてみると、確かによく小説である冒険者同士のいざこざなんて見た事がない。いや、そういえば確か……

 

「え、初対面で私を奴隷にしてやるって人が人間界に居たんだけど」

「うわ、何そのロリコン。どうしたの? その人」

「リュートさんが言えた事じゃないよ……ロリコンって。決闘して倒して、有り金とミスリル製の剣を巻き上げた」

「えげつないなぁ……」

 

 なんて事を話していたら部屋の前に到着した。えっと……ふむ、この気配は。

 

「レーナ、入るよー」

「りゅ、リュートくん!? ちょっと待ってください!」

 

 私がドアを開ける前にリュートさんが開けてしまい、目の前にあられもない格好のレーナさんの姿が飛び込んでくる。

 

(ラッキースケベ、実際に見るとこういう……)

 

 まあ勿論、そんな姿を見てしまったリュートさんの未来は決まっていて……パチーン! そんな小気味いい音のするビンタを食らっていた。

 

 ◇

 

「痛い」

 

 頬にキレイに紅葉マークが付いたリュートさんが、リュートさんの実家へ向かう道中そんな事を呟く。

 

「リュートくんだからいいですけど、本当だったら許されませんよ! それに、イオリちゃんも気づいてたんなら止めてくださいよ」

「えっ、嘘、バレてた?」

「やっぱり分かってたんですね!」

 

 鎌をかけられてたみたいだ。くっ、私が大鎌を使うからって……因みに今も背負ってる。だって異次元収納にしまうの怖いし。

 

「だってぇ……リュートさんのラキスケ見てみたかったし……」

「イオリさん酷くない!?」

「てへっ☆」

 

 そんな風なリュートさんのツッコミに適当に答える。うん、使えるものは使うんだ。

 

「そういえば、イオリちゃんってこれからどうするんですか?」

 

 そんな事を思っていた時、ついさっき聞いたような質問をレーナさんがしてきた。えっと、それなら……

 

「この後は2人に付いていって……」

「いえ、そうじゃなくて。その後です」

「その後?」

 

 その後なんて何かあったっけ? 王城に帰って ……んぅ? 

 

「はい。私とリュートくんはここ、シヤルフを目指して旅をしてて着きましたよね?」

「うん、確かにそうだったね」

「それじゃあイオリちゃんは? この後もずっとここに?」

「あ〜……」

 

 そういえば考えてなかった。う〜ん……悪夢だったけど地球にいた頃の夢を見ちゃったし、一箇所にとどまり続けてもつまらないだろうし。

 

「また旅しようかな、折角Sランクになった事だし獣人界の観光名所とかを。期待はしてないけど、もしかしたら地球に帰れたりするかもしれないし」

 

 脳裏に今までの冒険を思い浮かべながら、私はそんな事を言う。確かに死にそうになったりした事は沢山あったが、楽しかった事に違いは無いし。もし帰れるとしても、折角だから楽しみたいし、

 

「そう……ですか。なんだか寂しくなっちゃいますね」

「でも、レーナさんに魔法を教えるって約束してたから、しばらくはシヤルフにいるかなぁ……」

「2人ともーそろそろ着くよー」

 

 そんな事を話していると、もうリュートさんの実家に着きそうになっていた。うわ、すっごいお屋敷。

 

「「はーい」」

 

 少しリュートさんから遅れていた私達は、少し早足で歩いていった。

 

 第3章 完

 


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