異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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とりあえず1章が終わるまでは、どうにか毎日投稿していこうと思います。
今回、若干短いと思います


第3話 冒険者、仕事しろよ…

「「「ガルルルルル」」」

 

 フィールドウルフの群れが僕を取り囲む、しかし僕に対して攻撃は仕掛けてこない。

 何故なら、僕を中心にしてかなりの広さと深さの落とし穴をレベル2の土魔法《ピット》で掘ったからだ。接近戦? 群れ相手にそんな事したら、こんな身体じゃ即バッドエンドルートですよ。

 

 そんな事を説明している間にも、何匹かは飛び越えようとしてくる。無論死にたくないので僕がそんなことを許すはずもなく、距離が足りずに落ちたり、僕自身が撃ち落としたりしていって僕の経験値と化した。

 

「はぁ……面倒くさいなぁ……」

 

 そう言いながら僕は両手に魔法陣を展開し、《石弾》で周囲のオオカミの頭を撃ち抜いていっている。《スナイパー》なんて称号が手に入る程だ。

 

「よし、これで最後っと」

 

《石弾》が最後のフィールドウルフの頭を撃ち抜いた時、不意に立っていた状態の体から力が抜けて座り込んでしまった。

 

(あれ? 体に力が入らない。なんで?)

 

 ステータスを確認すると、MPが切れかけていた。どうやら全身に力が入らないのは魔力切れを起こしていたためらしい。小説だとよく描かれる問題だ。

 

「DEXだけ化物じみてるよなぁ……いや、攻撃当てやすいからありがたいんだけども」

 

 なんにせよこのままじゃろくに動けないので、僕は自分の立っていた場所に寝転んで休むことにした。

 

 ◇

 

 しばらくするとガラガラゴトゴトと馬車の音がしてきた。

 何だろうと思いそちらを見てみると、どうやら先程の馬車が戻ってきたようだ。

 

「嬢ちゃん、お前さんがこれをやったのか?」

 

 御者台の人が頭に疑問符を浮かべて僕に聞いてくる。

 

「あぁ、はい。そうですよ。ところで、おじさんはなんで戻ってきたんですか?」

「なんとなく心配になってな……杞憂に終わったようでなによりだが……」

 

 何この人? 凄くいい人だったんですけど。

 

「ありがとうございます。おじさんっていい人ですね」

「はは、おじさんはやめてくれ。俺の名前はシイラだ。ちなみにまだ22だからな?」

 

 聞いた年齢よりも、かなり老けているその人の顔を見て、戸惑いながらも聞く。

 

「えっと……シイラさん? にひとつ頼みたいことがあるんですけど……」

「ん? なんだ? かわいい嬢ちゃんの頼みだ、できるだけのことなら聞くぞ?」

 

 う〜ん……もう歩くのも疲れたし、とりあえずダメ元だけどきいてみるか。

 

「私、この通り戦闘はできるんですけど、今は移動のための脚がないんですよ。あそこの街に行く予定なら一緒に乗せてってくれませんか?」

 

 そう言って私は少し近くなった城門を指差して言う。近くなったとは言ったものの、このまま歩いて行ったら夜になってしまいそうだ。

 

「おう、別にいいぞ? それくらいならお安い御用だ。その代わり、魔物が襲ってきたらちゃんと護衛してくれよ?」

「乗せてもらう以上勿論ですよ!」

 

 そう言って僕は馬車に乗せてもらう代わりに護衛をすることとなった。とりあえずこれで、街には着けそうだ。

 

 〜〜一時間後〜〜

 

「なんでっ」

 

 ズドン、ズドン、バチャン

 

「こんなにっ」

 

 ギャン、キャイン、プギャー

 

「魔物が多いのさぁぁぁっ!」

 

 頭の中でレベルアップ音が鳴り響く。さっきから何回目だろう? 

 なんかイライラしてきた。

 

「じょ、嬢ちゃん? そうかっかすんなって。ほら、レベルは上がってるだろう?」

「それはっ、そうなんですけどねっ、数が多すぎるんですよー!!」

 

 こういう会話をしている最中にも、どんどん魔物が襲ってくる。この馬車そういうアイテムでも積んでんじゃないの⁉︎

 レベルアップしたお陰で、まだ魔力切れは起こしてはいないが、このままじゃそうなること間違いなしだ。

 

「嬢ちゃん、後大体10分くらいだから耐えてくれよ?」

「ふっざけんなぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ズドドドドドドドンッ!! 

 

 爆発音を背に、ガラガラという音を響かせながら馬車は進んでいく。

 

 ◇

 

「はぁ……やっと……着いたぁ……」

 

 なんで街の近くの草原にあんなに魔物がいるんだよ……冒険者仕事しやがれぇぇぇ! どうせいるだろうからねっ!! 

 

「お疲れさん、護衛ありがとうな」

「いえ、こちらこそ運んでいただいてありがとうございます」

 

 そんな感情は少しも出さずに受け答えをする。この辺、昔の経験が役に立っている気がする。

 そんな事を考えているうちに、目の前にあった馬車が城門を通り抜け、僕達の番となった。

 


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