異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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スランプかと思ったら、ただ書きなれない文を書いていたせいの不調だった!いや、これがスランプなのか?


閑話-10 銀狼の獣人(幼)

 セントシュタイン王国の王城にある一室、武器庫の中で2名の人物が話しながら何かの作業をしている。

 

「なあ海堂、本当にやるのか? 相手はまだこんな小さな子じゃねえか」

「国王サマと王女様から直接頼まれたんだぞ、当たり前じゃねえか」

 

(まあ、王女ってのは嘘だがな。こう言っとけば納得するだろう)

 

「それは、そうなんだろうけど……」

「ならいいじゃねえか。やるぞ」

 

 そう言って海堂は、転送魔法というユニーク魔法を使い、友人が放った音速烏という式神のいる場所……つまり、【獣王国・シヤルフ】上空に片目分の視界を転送した。

 何故こんな事になっているのかは、数日前に遡る。

 

 ◇

 

「勇者海堂よ、そなたに魔王の1柱獣王の娘を暗殺してもらいたい」

「へぇ、なんで俺みたいなのにワザワザ頼むんだ? 国王サマ?」

「貴様! いくら勇者とは言え、無礼だぞ!!」

 

 玉座に座り話す国王に対してそう答えた海堂が、周囲の貴族から責め立てられる。しかし、そこを国王が手で制する。

 

「今はよい。その程度の事を気にしていたら話が進まん。それで、そなたに暗殺を頼む理由は貴様の能力が転送だからだ」

「成る程な。だけどよぉ、俺のスキルは俺の視界内にしか転送は出来ねえぞ?」

 

 まあ、例外はあるがな。そう小さく呟く海堂に、国王が話しかける。

 

「その例外とやらは、自らの視覚を転送できる事だろう? 確かそなたの友人には、式神という使い魔を召喚する事のできる者がいた筈だ、それを利用すれば可能だろう?」

「あぁ。それで? 何時やればいい」

「3日後だ。その日、我々は獣王国に宣戦布告する。この任務が成功したのなら、相応の報酬は支払おう」

「はいよ。そんじゃあな、国王サマ」

 

 そう言って海堂は玉座の間から去っていった。そして冒頭に戻る。

 

 ◇

 

「おいおい、なんで似たようなのがいるんだよ」

 

 安定した海堂の視界には、白髪赤眼の幼女と銀髪ポニーテールの幼女が映っていた。しかも何故か発動している鑑定が、銀髪の方には鑑定不能としか映らない。

 

「鑑定不能だぁ? いや、そっちが王女か」

「どうしたんだよ海堂」

「いいや、なんでもねえ。つーかお前も見てんだろ?」

「一応……ね。さっきの烏はもう消したけど」

 

 どうやら先程の烏の更に上空から観察しているらしい。そんな事を話していると、銀髪の幼女が手に持っていた板を置きこちらを指差して言った。

 

『そこの勇者! 貴様! 見ているな!』

 

 その左右非対称な色の眼には確信が見て取れた。隣の王女は不思議そうな顔をしているが、明らかに襲撃がばれている! 

 

「か、海堂! バレてるよ、いいの!?」

「あんななりして護衛かよっ! いい訳あるか! 始めるぞ!」

 

 そう言って海堂が近くの武器を飛ばし始めると同時に、 銀髪の幼女がどこかから不思議な形の剣を二振り取り出して構えた。

 

「はっ、そんなもんでこの武器の雨が防げるかよ! って、はぁぁ!?」

「ぅゎょぅι''ょっぉぃ」

 

 そう(うそぶ)いた海堂だったが、若干かすってはいるもののほぼ全ての武器を弾いていく銀髪幼女に驚きを見せる。あえて隣が言った言葉は無視しているようだ。

 

「だがその武器は全て毒塗りだ。お前はまだ耐えられるようだが、後ろの王女に1発でも当たったら負けだぞ?」

『《大樹の守り》!』

 

 そんな事を呟いた途端、示し合わせたかのようなタイミングで王女の周りに緑色の結界が張られた。転送に手間のかからない武器を飛ばしてみるが、その程度では破れない。

 

「ちっ、クソ面倒くせえ事してくれやがる。いいぜ、そっちがぶっ倒れるまでやってやらぁ!」

 

 海堂は、大量に準備していたMP回復ポーションを煽り転送する武器の量を倍に増やす。すると流石に防ぎきれず、本人にも結界にも攻撃が入るようになるのだが、まだ倒れない。

 

「ったく、これでもまだ足りねえのかよ。んだこいつ、本当に幼女かよ、バケモンじゃねえか」

「うわっ、なんかゴウゴウバチバチいい始めた。しかもなんか防がれる量上がってるじゃん!」

「みてえだな。けど、相当な無茶をしてるっぽいぞ?」

 

 確かに防がれる武器の量は上がったが、それは銀髪幼女の周囲だけで結界には先程よりも当たっている。こちらからだと段々と結界の限界が迫ってきているのが分かるが、自分の事で精一杯で銀髪幼女はそれに気付けていない。

 

「……これを使う予定はなかったが、確実に止めを刺す為だ仕方ねえ……なっ!」

 

 そう言って海堂は、自分のアイテムボックスから赤黒いオーラを纏った刀を放り出して転送を開始する。

 そしてそのタイミングで、結界からピシリという音が走り銀髪幼女が振り返る。

 

『ミーニャ!』

 

 そう叫びながら武器を投げ捨てた銀髪幼女は、自分の脚も火傷するだろうレベルの爆発を足元に起こし、たったの数歩で結界の中に辿り着き王女を抱き抱えた。

 

「海堂、これ使って!」

「ふ、お前初めてまともな仕事したなっ! と」

『きゃあっ!』

 

 たった今手渡され転送された足枷が銀髪幼女の脚にはまり、そのままつんのめって倒れた。そして、ようやく刀の転送が完了して倒れた二人に向かい発射された。

 

「これで止めだ!」

『そんなのっ、させない!!』

 

 それと同時に、銀髪幼女が自分に纏わせていた風を使い、左手で王女を突き飛ばし、右手では安心で開きっぱなしにしていた呪刀を発射した海堂の目の前の穴に一瞬で生成した何かを打ち込んできた。

 

「マズイっ!!」

 

 慌てて穴を閉じようとしたが間に合わず、その何かの侵入を許してしまう。こちら側の空間に転移してきたそれは、燃え盛る中ぐらいの火球の周囲に尖った金属片が大量に配置された物だった。

 

『リリース!』

 

 飛ばした視界の向こうからそんな声が響き、叫んだ張本人に呪刀が突き刺さるのと同時に、王国の武器庫で大爆発が起こった。

 




唐突に登場した式神使いの人
本名 藻部島 英夫
通称 モブA
クラスメイトの一人。式神を使えるが、直接戦闘力は低い。

転送魔法
ユニーク魔法
物を転送する魔法、転送には魔力がかかりそれは跳ばす物によってマチマチ。物によっては時間もかかる。
範囲 自分の見える範囲内
対象 自分が武器と認識できる物
大きさだと 小型く中型く大型
品質 粗悪品く普通く上質=呪われ
時間 粗悪品=ノータイム 普通=1秒くらい 上質=3秒くらい
呪われ=5秒くらい

以上、本編では書いてないことでした。

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