異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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総合評価が1000を突破!?えと、ありがとうございます。
まだまだ拙い部分も多いですが、これからもよろしくお願いします。よっぽどの酷評が続かない限り、完結まで投稿します!



第2話 事情を話そう

 レーナさんが風呂から上がり、あれ? 私って魔法に頼りすぎてない? と思いながらも、魔法を使い料理をしていると、レーナさんが声をかけてきた。

 

「そういえば、何でさっきは誘ったのに一緒にお風呂入ってくれなかったの?」

 

 その言葉を聞き、鍋を熱していた炎がぐらつく。うぐ、さっきまともに答えてればよかった。

 

「えーあ〜……うん。ここらで言っちゃった方が楽か……。食べてるときに話すよ」

「約束だからね!」

 

 そう言って私達は料理を再開した。まあ、約束もしちゃってるし仕方ないか。

 

 

「で、話って何なの? イオリさん」

「えっと、私がこっちに来た経緯と言うか……まあそういう感じのを話しちゃおうと思ってね。前レーナさんと約束したしね」

「まあ、ありがたいけど。いきなりどうして?」

「ほら、さっきレーナさんと風呂に入らなかっのに、かなり関係してるからだよ……」

 

 リュートがもしやという顔をする。ええそうですよ、多分そっちが考えてる事はあってますよ。

 

「まあ詳しい経緯は言いたくないから省くけど、元々私は男だったんだよ。15歳の。まあ、その表情ならリュートさんには少しくらいは予想出来てたんじゃない?」

「え? えっ? そうなんですか? リュート君」

 

 レーナさんが目を白黒させながらリュートに聞く。そりゃあこの世界の人からすれば信じられないだろうなぁ。

 

「一応は……ね。向こうじゃTS物なんて腐るほどあったし。その割には家事が万能だったり、今の姿に嫌悪感とかもなさそうだけど、それはどうして?」

「うっ……男の娘って言われるような人だったからね……あっちじゃ。しかも色々な機会でそういう格好させられてたし」

「あぁ……うん、なるほど。キャラ濃すぎない?」

 

 そりゃあそうは思ってるよ。地球じゃ家事万能な男の娘で、こっちじゃ銀髪碧眼なロリなんだから……今は獣人もか。

 

「男の子?」

「あぁ、こっちじゃ伝わらないか。レーナが思ってるのはちょっと違って、僕とイオリさんが言ってる男の娘っていうのは、男だけど女の子みたいな人のことだよ」

「へ〜……なんでそんな格好してたの?」

 

 レーナさんが私にそんな事を聞いてくる。自分から言ったんだしね、きちんと答えますか。

 

「いや、格好自体は男物なんだよ? けど、髪を伸ばしたままにしてたら切るのが勿体無いって言われてね……放置してた」

 

 あはは〜と、私は笑う。私服の男物は死ぬ程似合ってなくて、よく女装させられてたなんて事は言えない。

 

「ま、今の私は男だった記憶を持ってる幼女程度だから、あんまり気にしないでほしいな。って言いたいけど、どう? 気持ち悪いとか思った?」

 

 リュートさんはいいとして、レーナさんには気持ち悪いとか思われていたらかなりショックだ。家出的な事をしてしまいそうなくらい。

 

「えっと、まだよく分からないけど、とりあえずイオリちゃんはイオリちゃん……なんだよね? それなら、気にはしないよ?」

「よかったぁ……」

 

 私は心の底から安堵した。

 

 ◇

 

「イオリさん、さっきからなんか赤い球を持ってるけど……なに?」

 

 目的地である【獣王国・シヤルフ】に向けてライドファングを走らせている最中、リュートが話しかけてきた。

 

「これ? オリハルコンティラノの右眼」

「「はっ!?」」

 

 リュート達がライドファングごとを一気に遠ざかる。

 

「な、何でそんな物持ってるのさ!」

「いや、あの時睨まれたら麻痺したじゃん? やっぱり魔眼とかそういうテンプレなのかなって思ってね。超解析をずっとかけてるんだよ」

「魔眼ね……話には聞いたことあるけど……」

 

 そんなことをリュートが口走った時、私の目の前に解析の情報が現れた。

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 神鉄竜の魔眼

 

(状態・未使用)

 オリハルコンティラノの魔眼。使用すると、相手に高確率で麻痺効果。その眼に見られた者は蛇に睨まれたカエルの如く……

 スキル《蛇の眼》

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「おぉー、魔眼であってたよ!」

「え? 嘘! 見せて見せて!」

 

 そう言ってリュートが近寄ってきた時、空から黒い影が襲いかかり眼を攫っていった! 

 

「はぁ!? あれ?」

「ん〜……あれは確か《ソニックロウ》だったかな? 取り返さないでいいの?」

「はっ、そうだった。逃がすか! 《ライトニングショット》」

 

 私の人差し指から一条の稲妻が迸り、黒い影を捉えた。音速が光速に勝てるか! 

 上を見上げると、魔眼を持ったまま焼け焦げた《ソニックロウ》が落下してきている。

 

「っととと」

 

 傷める事がないように、風魔法を使い減速させながら下ろしていく。とりあえず異次元収納にしまったところで、リュートさん達が寄ってくる。

 

「ん? どしたの?」

 

 レーナさんが何やら歯がゆそうな顔をしている。なんだろう? 

 

「今のイオリちゃんとか、リュートくんの戦いを見てると思うんだ。私って足手まといなんじゃないかなって……」

 

 レーナさんの顔からは、思いつめた様子が楽に見て取れる。

 

「だったら、レベル上げたりすればいいんじゃない?」

「え?」

 

 まるで分からないと言うように首を傾げているレーナさんに、さらに言っていく。いや、この世界だったらさ……

 

「だってこの世界には、レベルとかスキルっていうちゃんとした強さの基準があるじゃん。それが離れてる分違いは色々あるよ」

 

 まあ私は死にかけるような目に何回かあってるから、普通より強いのかもしれないけど。なんて事を思いながら、リュートさんに何かいいなよという意思を込めて目を向ける。

 

「レーナだってちゃんとした獣人なんだから、イオリさんみたいなエセ獣人と違って潜在能力は凄いんだよ?」

「……うん」

「そんなに急ぐ必要はないよ。僕達も教えられる事は教えるしね」

「ほ、ほんと?」

 

 レーナの顔がパァッと明るくなる。それを見た私もリュートも満足気に頷く。リュートさんから話を聞いた時から、レーナさんが魔法を使えないのが不思議でならなかったんだよね。

 

「んじゃあ私は魔法を教えます!」

「じゃあ僕は剣術かな? 《精霊術》は師匠に頼めば……引き受けてくれるかもしれない」

 

 顎に手を当てて悩む素振りをしているリュートさんに、レーナがぎゅっと抱きつく。乗り方を考えると仕方ないけど、私から見ると二人はもう恋人にしか見えない。

 

「爆発すればいい」

 

 そんな風に私は呟き、一行のライドファングは走り出した。

 

 本当に爆発させようしていた? ソンナコトスルワケナイジャナイデスカー

 


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