異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
まだまだ拙い部分も多いですが、これからもよろしくお願いします。よっぽどの酷評が続かない限り、完結まで投稿します!
レーナさんが風呂から上がり、あれ? 私って魔法に頼りすぎてない? と思いながらも、魔法を使い料理をしていると、レーナさんが声をかけてきた。
「そういえば、何でさっきは誘ったのに一緒にお風呂入ってくれなかったの?」
その言葉を聞き、鍋を熱していた炎がぐらつく。うぐ、さっきまともに答えてればよかった。
「えーあ〜……うん。ここらで言っちゃった方が楽か……。食べてるときに話すよ」
「約束だからね!」
そう言って私達は料理を再開した。まあ、約束もしちゃってるし仕方ないか。
「で、話って何なの? イオリさん」
「えっと、私がこっちに来た経緯と言うか……まあそういう感じのを話しちゃおうと思ってね。前レーナさんと約束したしね」
「まあ、ありがたいけど。いきなりどうして?」
「ほら、さっきレーナさんと風呂に入らなかっのに、かなり関係してるからだよ……」
リュートがもしやという顔をする。ええそうですよ、多分そっちが考えてる事はあってますよ。
「まあ詳しい経緯は言いたくないから省くけど、元々私は男だったんだよ。15歳の。まあ、その表情ならリュートさんには少しくらいは予想出来てたんじゃない?」
「え? えっ? そうなんですか? リュート君」
レーナさんが目を白黒させながらリュートに聞く。そりゃあこの世界の人からすれば信じられないだろうなぁ。
「一応は……ね。向こうじゃTS物なんて腐るほどあったし。その割には家事が万能だったり、今の姿に嫌悪感とかもなさそうだけど、それはどうして?」
「うっ……男の娘って言われるような人だったからね……あっちじゃ。しかも色々な機会でそういう格好させられてたし」
「あぁ……うん、なるほど。キャラ濃すぎない?」
そりゃあそうは思ってるよ。地球じゃ家事万能な男の娘で、こっちじゃ銀髪碧眼なロリなんだから……今は獣人もか。
「男の子?」
「あぁ、こっちじゃ伝わらないか。レーナが思ってるのはちょっと違って、僕とイオリさんが言ってる男の娘っていうのは、男だけど女の子みたいな人のことだよ」
「へ〜……なんでそんな格好してたの?」
レーナさんが私にそんな事を聞いてくる。自分から言ったんだしね、きちんと答えますか。
「いや、格好自体は男物なんだよ? けど、髪を伸ばしたままにしてたら切るのが勿体無いって言われてね……放置してた」
あはは〜と、私は笑う。私服の男物は死ぬ程似合ってなくて、よく女装させられてたなんて事は言えない。
「ま、今の私は男だった記憶を持ってる幼女程度だから、あんまり気にしないでほしいな。って言いたいけど、どう? 気持ち悪いとか思った?」
リュートさんはいいとして、レーナさんには気持ち悪いとか思われていたらかなりショックだ。家出的な事をしてしまいそうなくらい。
「えっと、まだよく分からないけど、とりあえずイオリちゃんはイオリちゃん……なんだよね? それなら、気にはしないよ?」
「よかったぁ……」
私は心の底から安堵した。
◇
「イオリさん、さっきからなんか赤い球を持ってるけど……なに?」
目的地である【獣王国・シヤルフ】に向けてライドファングを走らせている最中、リュートが話しかけてきた。
「これ? オリハルコンティラノの右眼」
「「はっ!?」」
リュート達がライドファングごとを一気に遠ざかる。
「な、何でそんな物持ってるのさ!」
「いや、あの時睨まれたら麻痺したじゃん? やっぱり魔眼とかそういうテンプレなのかなって思ってね。超解析をずっとかけてるんだよ」
「魔眼ね……話には聞いたことあるけど……」
そんなことをリュートが口走った時、私の目の前に解析の情報が現れた。
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神鉄竜の魔眼
(状態・未使用)
オリハルコンティラノの魔眼。使用すると、相手に高確率で麻痺効果。その眼に見られた者は蛇に睨まれたカエルの如く……
スキル《蛇の眼》
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「おぉー、魔眼であってたよ!」
「え? 嘘! 見せて見せて!」
そう言ってリュートが近寄ってきた時、空から黒い影が襲いかかり眼を攫っていった!
「はぁ!? あれ?」
「ん〜……あれは確か《ソニックロウ》だったかな? 取り返さないでいいの?」
「はっ、そうだった。逃がすか! 《ライトニングショット》」
私の人差し指から一条の稲妻が迸り、黒い影を捉えた。音速が光速に勝てるか!
上を見上げると、魔眼を持ったまま焼け焦げた《ソニックロウ》が落下してきている。
「っととと」
傷める事がないように、風魔法を使い減速させながら下ろしていく。とりあえず異次元収納にしまったところで、リュートさん達が寄ってくる。
「ん? どしたの?」
レーナさんが何やら歯がゆそうな顔をしている。なんだろう?
「今のイオリちゃんとか、リュートくんの戦いを見てると思うんだ。私って足手まといなんじゃないかなって……」
レーナさんの顔からは、思いつめた様子が楽に見て取れる。
「だったら、レベル上げたりすればいいんじゃない?」
「え?」
まるで分からないと言うように首を傾げているレーナさんに、さらに言っていく。いや、この世界だったらさ……
「だってこの世界には、レベルとかスキルっていうちゃんとした強さの基準があるじゃん。それが離れてる分違いは色々あるよ」
まあ私は死にかけるような目に何回かあってるから、普通より強いのかもしれないけど。なんて事を思いながら、リュートさんに何かいいなよという意思を込めて目を向ける。
「レーナだってちゃんとした獣人なんだから、イオリさんみたいなエセ獣人と違って潜在能力は凄いんだよ?」
「……うん」
「そんなに急ぐ必要はないよ。僕達も教えられる事は教えるしね」
「ほ、ほんと?」
レーナの顔がパァッと明るくなる。それを見た私もリュートも満足気に頷く。リュートさんから話を聞いた時から、レーナさんが魔法を使えないのが不思議でならなかったんだよね。
「んじゃあ私は魔法を教えます!」
「じゃあ僕は剣術かな? 《精霊術》は師匠に頼めば……引き受けてくれるかもしれない」
顎に手を当てて悩む素振りをしているリュートさんに、レーナがぎゅっと抱きつく。乗り方を考えると仕方ないけど、私から見ると二人はもう恋人にしか見えない。
「爆発すればいい」
そんな風に私は呟き、一行のライドファングは走り出した。
本当に爆発させようしていた? ソンナコトスルワケナイジャナイデスカー