異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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うーん、クリスマスネタが思いつかない…どうしよう?


第19話 第2章エピローグ

「ふっはっはー、私に勝てる奴はいないのかー」

 

 先ほどの暗い雰囲気なんて消え去り、私の前では3人程の狼人族の男が倒れていた。その理由はというと……

 

「す、スゲェ。なんだあの子」「もう3人抜きしてるのに、まだまだ入りそうな顔をしてるぞ?」「あの小さな体になんであれだけの料理が入るんだよ」

 

 何故か発生した大食い対決だ。そして、謎の大食い大会でブラックホールのように料理を食べている私は、ある一つのスキルを入手していた。

 

《【別腹】: 食事を限界を超えて食べられるようになる。また、その分のエネルギーを余剰分としてストックすることができる。レベルの上昇によってストックできる量が増えるが、その分体重が増加する》

 

 今現在このスキルのレベルは5で、まだまだ入るように感じる。ふふふ、まだまだ食べ続けてやる! そう決心して私はまた、目の前の料理を食べていった。

 た、体重が重くなってたからって太った訳じゃないんだっ!! 

 

 ◇

 

 そのまましばらく食事(大食い)を続けていると、踊り子のような露出度の高い服装をした女性たちが数人現れた。扇を持ってる人もおり、どうやら今から舞いを踊るらしい。その中には勿論獣度100%の人はいない。当たり前か。

 太鼓に横笛、琴はないけどあれは(しょう)だったかな? そんな和楽器の音に合わせて踊っている。そして、合いの手のように男衆が、時折遠吠えを入れている。思ったよりかなりマッチしている。

 それを見て遠吠えをしてみたくなったのは秘密だ。

 

「凄い綺麗な音だね……踊りも上手!」

「そうだね〜。でも、踊りって言うよりは舞なのかも……」

 

 レーナが両手を合わせながら見惚れているが、私は

 

(なんで私は、こういうのをやってみたいとか思ってるんだろう……はっ! これがよくある身体に精神が引きずられるってやつか!)

 

 そんな事を考えて呆然とし、忘れるために近くにあった料理を食べていた。まさに悪循環である。そして、完全に一人で百面相である。

 

「そうだレーナさん! レーナさんがあの衣装を着て、リュートさんを悩殺……って、あ」

 

 そう言って私が指差したリュートさんは、相変わらずバイトさんと話しているのは良いのだが……所謂キレイなお姉さんにお酌して貰っていた。顔も赤くなっている。おい未成年。

 

「むっ、浮気は許さないんだから」

 

 彼氏が、見知らぬ女性をみてデレデレしているのを見つけたような怖さが、今のレーナさんからは滲みでていた。

 

「リュートさ〜ん、ちょっとO☆HA☆NA☆SHIしようか〜」

 

 そう言いながらリュートの下に、フラフラと幽鬼のように向かっていった。眼からハイライトが消えて、黒いオーラが溢れていたけどそんなのは見間違いだよね! ね! 

 

(あとでレーナさんには包丁を贈ろう……)

 

 丁度近くに料理も無くなったので、私はどう作るか考えを練り始める。うーん、歌うのは結構楽しかったしなぁ……マイク的な何かでも作ってみようかな? 

 そんな事を考え始めた私を尻目に、お祭りの夜は更けていった。

 

 ◇

 

 宴会が終わった翌日、私達は宿を引き払い旅に出る準備をしていた。バイト達からはもっと滞在時間を伸ばせよという要望があったのだが、できる限り先を急ぎたいという事で今日出発という事になった。

 そして、ここにきた本来の目的? の【ライドファング】という乗り物……いや、乗り魔物? は灰色の毛並みの軽トラ程の大きさの狼だった。二匹のライドファングに、リュートさんとレーナさん。一人で私という組み合わせで乗ることになった。私が一人なのは見た目が銀狼族だからだろうか? 

 リュートさん達が乗っているライドファングは灰色なのだが、何故か私が乗っている子は白だった。それを見た私が、某ジブリ作品の事を思い出したのは悪くないはずだ。

 

「嬢ちゃん、片付け手伝ってくれてありがとうな」

「ふあぁう。凄く早く起きちゃっただけですから、大丈夫です〜」

 

 そう言ったが、レーナさんの包丁を作ったりなんだりをしている間にいつの間にか朝になっていたので実は寝ていない。隈は出来ていないが、かなり眠い。

 

「そうか。ライドファングは見た目と違ってあんまり揺れないからな、存分に寝ると良い」

「あはは……了解です。ぐぅ……」

 

 そんな私を見透かしていたのかバイトさんにそんな事を言われた。なので、よじ登ったライドファングの首元にしがみつき、顔を埋める。そこは何故か干した布団のような香りがして……私はすぐに眠りに落ちた。

 

「でも、ほんとに用事はもういいの? リュートくん?」

 

 イオリが寝息を立て始めた頃、レーナがリュートにそう問いかける。

 

「うん。ここに来た目的はこの子達を借りることと、このかりんとうだしね」

 

 そう言ってリュートはかりんとうの袋を取り出した。自分で食べるのか、それとも誰かにプレゼントなのか、今日の朝大量に買い込んでいたものだ。因みにイオリは、その他にも大量に様々な調味料を買い込んでいたりする。

 

「それじゃ、そろそろ行くのか?」

「はい」

「どこ行くんだ?」

 

 イオリのライドファングと一緒に近くに来たバイトが、リュートに問いかける。

 

「色々見て回りたい所はあるけど、最終目的地はシヤルフだよ」

「【獣王国・シヤルフ】か……遠いな」

 

 そう、ここからはかなりの距離が開いている。歩いてでは辿り着けないレベルの距離ではあるが、ライドファングならそこまでかからない。ヴィマーナなら多分数日だろう、風情も何も無くなるのでイオリが断固反対していたが。

 

「それじゃあ、また!」

「またいつかです」

「ぐぅ……Zzz」

 

 そう言って去っていくリュート達を、バイト達狼人の人達とフジ・ヤマーが見送っていた。

 

 第2章 完

 


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