異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
これからもよろしくお願いします。章題は後で追加予定です
第1話 プロローグ
「はっこねっのやっまはー、てーんかーのけん。かーんこっくかーんもーもーのなーらずー♪」
山道を、そんな歌を歌いながら1人の幼女が歩いている。銀髪蒼眼の幼女が、木の枝を振りながら歩いている光景はなんともほのぼのする光景だ。
はいっ。という事で私ことイオリは、 今絶賛山越え中です! この【チュンパオ山脈】は、獣人界に行くまでに最短で行くなら絶対通らないといけないルートらしい。
けれど、やっぱり最短ルートと言うだけあって一つ大きな問題がある。それは、自然に発生するとは全く思えない罠が大量に設置されている事だ。という話を聞いていたので、今私は常時解析をONにし……ガコンッ、ビーッ! ビーッ! ビーッ! て歩いていたけど、どうやら罠に引っかかってしまったみたいです。
「ふふっ、来やがれツラ見せろ。出てこい、大鎌が待ってるデース!」
なんて事を言いながら大鎌を構え待っていると、《気配感知》がどんどん敵の数が増えていくのを伝えてくる。5……10……25……50……まだまだ増えていく。
「え、ちょっ、これ、まずっ!」
どんどん増えていく敵の数に、冷や汗が垂れる。こういう手に負えない時は……
「三十六計逃げるに如かず!」
私がそう言って逃げ出すのと、飛び出してきた魔物が追いかけてくるのはほとんど同時だった。
◇
「ま、まだ追ってきてる!?」
全力で山道を走り回る私の後ろには、数えるのも億劫なほどの魔物が追いかけてきている。
「すみませんもうふざけたりしませんからとっとと消えてくれませんかー!?」
『『『きしゃあぁぁぁぁぁぁっ!!』』』
『『『グルルギャァァァァッ!!』』』
「デスヨネー」
そんな事を言ってみたりしながら走っていると、私1人がどうにか入れるかどうか程度の岩の隙間が見えた。
「ラッキィィー! 《土壁》《土壁》《炎壁》!」
その隙間に身体を滑り込ませ、入り口を魔法で塞ぐ。その数秒後、音は聞こえないがドンドンと何かが当たる音が聞こえてくる。
(来るなよ〜保てよ〜……)
そう念じながら頭を抱え込んで縮こまっていると、5分くらい経ってからだろうか? 当たる音が一切聞こえなくなった。
「い、行ってくれた?」
そう若干涙声で呟き《気配感知》を使ってみると、外には一切の反応が無かった。
恐る恐る魔法を解除し外に顔を出してみると、足元に焼けた魔物の死骸があるだけだった。
「た、助かった……」
そう言いながら異次元収納にそれらを仕舞っていくと、頭上に《気配感知》が反応した!
ハッとして手をかざすと、そこから衝撃を受け岩の隙間の中に逆戻りしてしまった。
「いったた……油断した……」
起き上がるために手を地面につき、力を込めた瞬間また カチッ という音が鳴った。
「え、嘘……」
目の前の天井がガコンという音と共に降りて、奥からはドドドトッと低い音が響いてくる。
「あは、あはは……うわぁぁぁぁぁぁっ! ゴボボッ」
水が勢いよく溢れ出して来て、私はその流れになす術もなく流されていき、最後に落下していくような感覚を感じ気を失った。
どうか五体満足で生きていられますように。
次話からは、ちゃんとした文字数に戻したいと思ってます。