異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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今日のお昼頃は、大変お見苦しい物を投稿してしまいすみませんでした。様々な指摘を頂いたので、改稿して再投稿となります。
これからも、どうかよろしくお願いします。どうぞ


第16話 父さんにもぶたれたことないのに!

「ほ、ほう……言ってくれるじゃん? これでも私、Dランク冒険者なんだけど。それでも役立たずっていうの?」

 

 僕は自分のギルドカードを取り出しながら言う。すると、話しかけてきた少年は顔を赤くして叫ぶ。

 

「う、うるさい! いくら俺と同ランクっていったって、そんななりじゃ碌に武器も振れないだろバ〜カ!」

「む、私だってちゃんと戦闘はできます! それと、私が産まれた地方じゃ『バカって言った方がバカ』って言うんだよバーカ」

「な、それならそっちだってバカじゃないかバカ!」

「それは暴論だよ! そっちが先に言ったんだからそっちがバカなんだよ!」

「うるさいバ〜カ!」

「なんだと!? このバカ」

「バカバカバ〜カ!」

「バカバカバカバカバカバ〜カ!!」

 

 そんな僕と少年の口論を、微笑ましそうに周りが見つめている。ば、バカは向こうだっての! あ、そっちの両親っぽい人達もそんな顔して見ないでくださいよぅ

 

「ふん、バカはもうこっちでいい。冒険者なら、これくらいは避けることはできるよなっ!!」

 

 そう言って少年が右手を振りかぶり、僕に向かって振ってくる。そして、両親っぽい人達が、慌ててこちらに走ってくるのが見える。

 なんてことを見ている間に、視線を戻すともう避けられない程近くまで拳が迫ってきていた。魔法を使えば避けられないことも無いけど、床が壊れちゃうし……展開中断。ああもういいや! 

 

「っ!」

 

 拳が当たるのに合わせてその方向に飛び、威力を抑える。顔に当たったものの、特にダメージは無い。が、丁度よく飛んだ方向に椅子が置いてあり、自分で飛んだ勢いのままぶつかる。

 ドンガラガッシャン と椅子を巻き込み転がった僕は、いつの間にやら左側の眼の脇……殴られた方だ……から血が出ていた。そして、椅子が絶妙に絡まって動けない。

 

(なろっ、痛いじゃん! こうなったら外聞を完膚なきまで叩き潰してやる!)

「う、うぇ〜ん。痛いよぅ。グスッふぇぇぇぇん」

 

 イオリ渾身の泣き真似によって、周囲の空気は一気に少年が悪という方に傾く。ふ、幼女をぶん殴った罪、とくと味わうがいい! 

 

「こいつ、本気で殴りやがった……」「正気か? 自分より年下だぞ?」「しかも幼女を……」「どう思うお前ら?」「さっきはお前らの気持ちが分からなかったが、今なら分かる」「おう、俺もだ」「判決は?」「「「「ギルティ!」」」」

 

 あのロリコン達が、予想以上……いや、予想通りに切れている。あ、ヤバい。泣き真似のつもりだったのに治らなくなってきた……グスッ。なんてことを思いながら、目を押さえている手の隙間から少年をみると、鬼の形相をしたメイトリックス(仮)が立っていた。

 

「ち、違う。俺はあんなに強く殴った訳じゃ……」

 

 そんな事を口走った少年を、メイトリックス(仮)が殴る。

 

「そんな言い訳が通るか! 現に血を出して泣いてるじゃないか!」

「それはあいつが自分から飛んだからで……」

 

 そこまで見ていると、不意に視界が塞がれる。当然そこに居たのは、あの少年の母親っぽい人だった。

 

「ウチのバカ息子がごめんね。《ヒール》」

 

 何か温かいものに包まれ、流れていた血が止まる。が、泣き真似だったはずの涙が止まらずひしと抱きつく。

 

「よしよし」

 

 だが、そう言ってぽんぽんとしてくる手にだんだんと涙が収まっていく。これがお母さんの力かっ!? 

 

「グスッ、ありがとうございます……えっと……」

「私の名前はシンディよ。ウチのロイドが本当にごめんね」

 

 どうやら少年の名前はロイドというらしい。

 

「大丈夫……です」

 

 そんな事を話していると、首根っこを掴まれてこっちに連れてこられていた。ね、ネコか……? 

 

「ほらロイド、きちんと謝って許してもらえ」

「分かったよ父さん……。悪かった、許してくれ」

 

 僕はプイッと顔を背ける。ふん、そんなので許してやるもんか! 

 

「ロイド、お前は女の子の顔を殴って怪我させたんだよ? もっときちんと謝ってやらないと許してくれないと思うよ?」

「ああ……もう、分かったよ母さん! 殴って本当にごめんなさい、許してください」

 

 そう言って頭を下げるロイド。まあ、そういう事なら……

 

「グスッ、分かった。いいよ」

 

 そう言って僕は手を出す。それを見て向こうも手を出し、お互い握手をする。それを見て、満足そうな顔をする周りの人達。

 

「そういえば、あなた達って何なんですか?」

「ああ、言ってなかったか。俺の名前はメイ。そして俺たちは《ストームブリンガー》。隣町から来たSランク冒険者だ!」

 

 バーン! という文字が見えそうな程に胸を張るメイ(トリックス)さん。おおう……な、なんか凄い……

 

「わ、私はDランク冒険者のイオリです。よろしくお願いします。それと、先程はありがとうございました」

 

 そう言って私は頭を下げると、剛毅に笑いながらメイさんが返事をする。

 

「おう! よろしくな! むしろ今回迷惑をかけたのはこっちだからな、今回の依頼、危なくなったら俺たちを頼ってくれ!」

「は、はい!」

 

 そんな迫力に押され、僕は思わず素で返事をしてしまった。まあ、変では無いよね? 

 そんな事を話していると、見覚えのある人達……クラスメイトの人達……と、一人の大柄な男が会議室に入ってきた。

 


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