異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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第15話 隣町からの冒険者

 

 早朝。いつもよりもギルドの中は冒険者達で混み合っていた。そんな中に慣れた様子で入ってくる幼女が一人、勿論イオリだ。

 明らかに幼女なのを見た冒険者達の中でも数名がカモが来たとばかりに絡もうとしたのだが、周りの者達にモーブの末路を聞かされると、殆ど自分の大切な場所を押さえ見ない振りをするのだった。

 そして、オークの依頼に関してどこに行けばいいのかを考えていると

 

「イオリさん、オークの依頼はこれから二階で詳しい説明がされるので、そっちで待っててください」

 

 と言われたので、ギルドの二階へと向かうのであった。

 

 

 

 

 ギルドの会議室、と言っても日本と違ってプロジェクターやらホワイトボードやらがある訳でもない。広い空間に椅子が乱雑に並べられているだけの部屋でしかない。本来は会議室の中央に置かれているであろう大きな机は部屋の隅に寄せられていた。

 既に登録を済ませたのだろう。20人程の冒険者達が既に部屋の中へと集まっている。

 恐らくパーティを組んでいる者達なのだろう。3~5人程のグループで集まっており、オーク討伐をどう進めるべきかで話を進めていた。そんな中へとイオリは歩を進めていく。

 他の者達は数人のグループを作っているというのに、そこに一人で入ってきた幼女。当然その姿は非常に目立ち、会議室にいた者達の視線を一身に集める。

 なんとなくその視線に恥ずかしさを覚え、頬を赤らめながらも、部屋の隅にあった椅子に座り他の冒険者を観察する。

 

「おいおい、なんなんだあの幼女? 何人かは若干引いてるみたいだが……」

「あぁ、あの娘か。あの娘はあれだよ、モーブを倒した」

「けど、それが本当ならまだたかがFランクだろ? オーク討伐は早すぎないか?」

「いや、さっきちらりと見たんだが、ランクDになってたよ。全く、一週間で何をしたらそこまであがるんだか……」

「まあ、それなら問題ないか。それよりも、さっき顔を赤くしてたの可愛くなかったか?」

「おう、それは俺もそう思ったぞ」

「「お前ら、ロリコンだったのかよ!」」

 

 そこのパーティーの人達、子供は地味にいろんな事聞いてるんだから気をつけないと。

 

(ロリコンねぇ……日本はロリコンの国って言われてた気がするけど、この世界はそれよりも酷い気がするなぁ……)

 

 一瞬だけモーブの顔を思い出し、次の瞬間にはあっさりとそれを脳裏から消し去り他の冒険者達の様子を観察する。

 勿論子供なんて一人もいない。

 

 そしてまた冒険者達の方でもイオリに興味があるのか、チラチラと視線を向ける者が多い。興味はあるが、明らかに幼女なイオリには話し掛けにくい。そんな、どことなく居心地の悪い雰囲気が漂っている会議室の中へと新たに数人の冒険者達が入ってくる。

 そしてその人影を見た会議室にいた者達は、イオリを見た時とは比べものにならない程にざわめく。

 その様子に興味を引かれたイオリは他の者達と同様に新たに入ってきた冒険者3人へと視線を向ける。ついでに解析もかける。

 

 まず目に入ってきたのは先頭にいる男だ。年齢的はふむ、36歳のようだ。身長はだいたい190cm、髪は茶、筋肉モリモリのマッチョマンだ。緑色に光る大剣を二本背負っており、それの二刀流で戦うのだろう。レベルは見えなかったが、ここに集まっている人達が有象無象に思えるほどの覇気を纏っている。変態で無い事を祈る。

 

 その男の後ろを歩いているのが、ながい緑色の髪を束ねた35歳の女冒険者。手に杖も持っているし、魔法使いで間違いなさそうだ。一瞬不快そうな顔をしたが、私を見つけると手を振ってくる。解析を使ってたのがばれたのかな? 羽の付いたカヌー……いや、何も関係は無いな。

 

 そして最後尾を歩いているのが薄い緑色の髪をした少年だ。年齢は12歳のようで、素早さを重視しているのか魔物の革製のレザーアーマーと片手剣二本という軽装だ。まあ多分あの二人の息子なんだろう。武器も似させているし。

 

 その人物が、自分の母親が一瞬だが不快そうに見た方向。つまり僕に視線を向けると、ニヤリと笑って私の方に向かってズカズカと近寄り、私の目の前で立ち止まると口を開く。

 

「おい、お前。なんでお前みたいな奴がここにいるんだ? ここはお前が来るような場所じゃないぞ、帰れ!」

 

 私に明らかな侮蔑の目を向けながらそう言ってきた。

 今日は厄日だわ!!


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