異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜 作:銀鈴
深夜2時くらいから、急いで1時間で書いたクオリティ。眠い。
何かがおかしい。
それが私の、海堂との戦いを終えての感想だった。それは服が所々燃え尽き、肌色が見えてしまっているティアを叩いてる間も一切変わる事のない感覚だった。
「ねえ、ロイドにティア。もう戦いって終わったんだよね?」
「海堂はさっき死んだし、その筈だぞ?」
ロイドの言葉を聞いても、やっぱり違和感は無くならなくて大鎌を手放す気にはなれない。勿論ずっとこの部屋を覆い尽くす位の索敵はしてるし、そこに反応はない。
「索敵範囲内に敵性反応なし。マスター、気にしすぎ」
「うーん…まあいっか」
自分の索敵だけじゃ不安だけど、ティアが言うなら本当に何もないんだろう。まあ、何時でも戦えるようにしておけばいいか。そう自分を納得させて、とりあえず瓦礫の下にいるであろうタクに呼びかける。
「タクー、生きてるー?」
「死ぬかと思ったよ……って、何この雰囲気?」
瓦礫の中から【A.コロンビア】みたいなポーズで出てきたタクが、空中に浮かんでいる私達3人を見上げ、文句を口にしようとして首を傾げる。
「この雰囲気って?」
「みんなは分からないの?この、なんて言えば良いのか分からないけど気持ちの悪い雰囲気」
そう言ってタクも聖剣片手に周りを疑いの目で見渡している。タクと私だけが分かるってことは、異世界人限定で分かる何か?なんて思うと同時に、背筋が凍るような感覚が走った。
「
反射的に広げたのは《強欲》には相性が最悪で聞かなかったけど、私が絶対の信頼を置く創造。強制鎮静の世界。ティア以外完全に逃れる事のできない静止した世界の中、振り向いた私が見たのは…
『なーんだ、気づいたんだ』
奇妙なエコーのかかった声でそんな事を言う、いつの間にか近くにいた人型の黒い靄だった。ノイズが走っているように、人型なのは分かるけどそれ以上の事が分からない。今目視するまで一切魔法の探知に引っかからなかったし、《叡智》を使った解析でも全く情報が読み取れない。
「ぱんつぁー!!」
『あ、ちょ』
何が何だかよく分からなくて怖いのはあるけれど、この妙な雰囲気の大元がコイツだという事は何となく分かった。
だからとりあえず、ネタで作ってあったパンツァーファウスト100本程を全弾、門から発射したのだった。
◇
「全員戦闘たいせー!!」
背後から爆音が轟き、イオリ曰く強制鎮静の結界の中そんな声が響き渡った。何事かと納刀していた双剣を抜き放ち振り返ると、大鎌を構えたイオリがこちらに後退してきていた。
「ティアどう?殺れた?」
「マスターのせいで、その可能性は消えた」
「敵か?」
爆煙を横目に、後退してきたイオリとティアさんに話しかける。一応聞くまでもないことだけど、確認しておきたかった。せっかくここまで生き残ったんだ、全員無事に凱旋したいと思うのは当然だろう。
「えっとね、とりあえず敵!」
『いきなりだなんて酷いじゃないか』
返答とほぼ同時に、爆煙を吹き飛ばして黒い靄が出現した。妙な響き方をするその声は、簡単に言えば気持ちが悪かった。さっきまでイオリや勇者の人がソワソワしていたのは多分こいつのせいだろう。
『こういう戦いは、まず互いに名乗りを…』
「俺は何をすればいい?」
「物分りが良い、ロイドは頼りになる」
「それじゃあ、足りない魔力は私が供給するからさっきの魔法お願い」
「分かった!」
とりあえずアレは敵と判断した上イオリがサポートをしてくれると言っている。そんな状態で、敵の話に耳を傾けてやる必要なんてありはしない。
「
俺の尽きかけていた乏しい魔力の代わりに、イオリ達の莫大な魔力が義手から流れこんでくる。彼女との共同作業と言うだけでやる気が天元突破する、ミスなんて許されない。
「マスター、ソレを発動したままじゃロイドの魔法は失敗する。ついでに勇者も動けない」
「む、そっか解除。来てフロー!タクを乗せて」
天井に空いた穴から、見慣れた幼龍が侵入してきて一直線に下降してくる。多分勇者の人を回収するのだろう。それなら俺がやる事はただ1つ。魔力を練り上げ、術式を構築し、いい感じの詠唱をして、最強だとイメージして、気合と根性でぶっ放す!!
「
風と次元の魔法が唸りを上げて駆動し、組み上げた魔法を正常かつ円滑に発動させる。中途半端な状態、即ち俺の風の魔法だけで発動させた場合全てを凍らせる竜巻というよく分からない物になるこの魔法だが、次元魔法が混ざると効果は一変する。
「正直この魔法、私の《槍》と同じで抑止力が働きそうで怖いけど…」
凍える様な風が荒れ狂い、果ての無い蒼のみが広がる世界がここには在った。地面なんて物は無く、眼下に広がるのは雲の海。
輝く太陽の光が、イオリの持つ大鎌の刀身に反射する。
「加減なしの全力を出すには、ここ以上に適した場所を私は知らない」
簡単に言えば、異空間の創造。リアリティ・マーブルとかいう物に近いらしい。手にした杖から虹のような光を放つティアさん曰く、サポート込みで俺じゃあ保って30分程度らしい。
「それに時間制限はあるけど、ここなら邪魔は入らないし入れさせない」
あわよくばこの魔法で…と思っていたけれど、例の黒い靄はさも当然かの如く空中に浮かんでいる。最後の敵と戦う主人公達が特別な場所で死力を尽くす、実際にそんな状況になってみると燃えるな。
「【流星群】イオリ・キリノ」
「その精霊、ティア・クラフト」
「【天風】ロイド」
大鎌、長杖、双剣を突きつけられた黒い靄が、ニヤリと笑った気がした。ここまでこっちがやったんだ、勿論乗ってきてくれるよな?
『【魔神】名はない』
黒い靄がキチンとした人型に固まり始め、手に持った黒い何かをこちらに向けて宣言する。
「「「『いざ尋常に、勝負!』」」」
よく分からないハイテンションのまま、俺たち3人と自称魔神との最終決戦が始まった。
フローに乗っている、勇者の人だけを置いてけぼりにして。
イオリ→固有結界モドキ・その他諸々
ティア→限定的な不死
ロイド→固有結界モドキ・義手
この中で圧倒的に戦力不足な勇者(笑)
何が何だか分からないうちによく分からないことになって喋れてない模様。速さが足りない。