異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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リアフレが新しい小説を投稿すると聞いて全力待機中の作者


第9話 開戦の号砲

 あれから1日、諸々の調整とか準備とかをしていたらあっという間に時間は経って、あっという間に決行日になっていた。

 

「かなり重大な作戦だっつうのに、参加者の半分は子どもってのはどう言う事だよ」

「それ、私も見て言ってますよね?」

 

 1番被害が少なかったらしいリフンの転移門前、集まったメンバーを見て笑いを堪えながらアルさんが言う。見送りとして来てくれている先生は、子どもの範囲に自分も入っていて不服そうだ! 

 身長でみるなら、私・ティア・ロイド・先生は完全に小中学生レベルだし、タクとその隣に立ってる柊何某も高校生だ。みんなフル装備だからか、コスプレしてるだけの様にも見える。

 見た目も中身も大人な人がアルさんのみってどう言う事だってばさ。

 

「アルディートさん、これでも私は20歳は超えた大人ですよ?」

「それは分かってるんだが、どうにも身長のせいでな」

 

 そう言う先生の姿は、最初期の私みたいにかなり軽装だ。このメンバー、ティア以外まともな後衛がいないけど大丈夫なのかな? 

 

「確かに私の背は低いですけど」

「まあ、全員実力は確かなんだ。気にする事はねえよ」

 

 ガハハと言った感じでアルさんが笑う。そのおかげで、緊張しきった空気が少し和らいだ気がする。

 

「で、まあ緊張も解けたようだし本題だ。まずはこんな荒唐無稽な作戦の為に集まってくれた事、感謝する」

 

 誰も口を挟まず、ジッとアルさんの話を聞く。もしかして先生とアルさん、こういう状況になるのを狙ってたりした? 

 

「やる事自体は王都に転移、全ての元凶を倒すってだけの簡単な作戦だがいかんせんこの人数だ。幾らお前らが強かろうが、全員が無事に帰ってこれる確証はない」

 

 改めて他人の口から言われると、なんだか結構怖くなる。自分の考えが元になってる戦いで、ロイドとかティアとかが死んじゃったらって思うと……ううん、そんなの想像もしたくない。

 

「ねえロイド」

「どうかしたか?」

 

 小声でロイドの事を呼んで、その手をきゅっと握る。握り返してくれたし、やっぱり手を繋ぐのって凄く安心する。

 

「私から巻き込んじゃった事だけど、一緒に帰って来ようね」

「むしろ巻き込んでくれなかったら怒るぞ? それに一緒に帰って来るのは当たり前だ」

「えへへ」

 

 一旦布団の事は水に流して、生き死にがかかった戦の前に最後の日常成分を補給する。これで私はあと10年は戦える(確信)

 

「で、そこのバカップルは話聞いてたか?」

「勿論です! これからタクの転移で王都の近くに行って、私とロイドが防衛用に二重になってる結界を破壊、そのままカチコミですよね?」

「まあ、簡単に纏めるとそんな感じだな」

 

 ふふふ……思考を2、3個分割するくらい、本気の私には造作もないのだよ。多少アホさ加減が上昇するけど。

 

「それじゃあお前ら、準備はいいか!!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

 みんなの声が重なる。改修した装備にこういう仲間っぽい行動。それらのお陰か、私は感覚が今までの中で1番鋭くなっていくのを感じる。

 

「タクミ、行くぞ!!」

「はい!」

「ティアはサポート入って!」

「了解」

 

 集まった6人の足元に、大きな魔法陣が二重に広がる。自分が溶けていくような感覚に若干SANを削られながらも、段々と視界が街中から草原へと切り替わっていき、今完全に切り替わった。

 どうやらここは、王都からほんの少ししか離れていない高台らしい。

 

「あれが王都、あと結界……」

 

 そこから見えるのは、よくある様なファンタジーなお城とその城下町。そしてそれらを守る様に展開されている透明な結界。それらが私の左眼には、何もかもが黒に染まった汚物の溜った爆発寸前の風船の様に見えるのに、右眼にはただの日常の風景にしか見えないせいで、凄く気持ち悪い。

 でも、ちゃんと役割は果たさなきゃね! 

 

「アルさん、ティア、結界の核になってる部分はどこかわかりますか?」

「知らん。だが、一度結界をぶち壊せば最低1時間は復旧しねえ!」

「瘴気が濃すぎてわからない。でもこの人と意見は一致」

「了解です!!」

 

 そう返事をしながら、私は背負った棺桶をパージして地面にめり込ませる。そして全ての棺桶に付いてる窓の内、一つだけ開いて光が溢れ出て私が作った中でもとびきりヤバイ装備の一つを形作っていく。

 

「つくづく嬢ちゃんは規格外だな……」

「規格外じゃない、キチガイ」

 

 そんな事を言われながらパージした棺桶の代わりに顕現したのは、サブアームなどの付いたバックパック。そこから左右に巨大な物が形成されていく。

 左肩付近に私の背と両手を広げた幅ほど下を向いたの巨大な円柱型のジェネレーター。右肩付近には、折りたたまれてなおジェネレーターと同程度の大きさを持つ、銀色のタンクが沢山付いている長大な主砲。

 詰まる所、オーバードウェポン(全てを焼き尽くす暴力)の1つだ。弾は作りたくないから核弾頭じゃないけどね。

 

「あんまり関係なさそうな私だけどさぁ、1回海堂に殺されかけてるから仲間外れはやだよ。私も入れてもらわないと」

 

 私の魔眼に酷いノイズが走り、普段なら攻撃予測などが表示される部分に全く別の文字が浮かび上がる。

 

 ===《不明なユニットが接続されました》===

 ===《魔力回路(システム)に深刻な異常が発生しています》===

 ===《直ちに使用を停止してください》===

 

 折りたたまれていた砲身が組みあがり、バイポッドって言うのかな? その部分が地面に深く減り込み、銃身を支えていた巨大なアームが今度はバランスを崩しそうな私を支える。さらに、左肩のジェネレーターが上向きになり、銃身と一緒に展開してチャージを始めて……

 

「蒼矢、本当にそれを撃つ気!?」

「いや〜、ちょっと私も不満が溜まっててね」

 

 獣人界じゃ殺されかけた上に魔物の大群が襲ってきたし、多分魔界でロイドが右手を無くした原因もそうだし、デート邪魔されたし。控えめに言って死ね。

 

「マスター、海堂以外は殺っちゃダメ」

「大丈夫、それくらいは分かってる!」

 

 青白い光を纏っていた主任砲(仮)が、黒い煙を吹き上げる。チャージ完了、最初にパージした棺桶の内側には誰もいないし、ずっとハイライトのない目でニヤニヤしながらタクの隣に立ってる柊何某が怖いだけで何も問題は無し! 

 

「これが開戦の、号砲だぁぁぁぁっ!!」

 

 私が引き金を引いた瞬間多薬室砲が火を噴き、装填していた弾が閃光と化して王都に向けて発射された。

 


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