異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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デモンベインを見て1人ヒャッハーしてるところを親に見られて、何だか作者は死にたくなりました。


第7話 戦力集結待機中

「まあ作戦名はいいとして、大体内容は予想できるけど内容は?」

 

 疲れ切った顔がさらに酷くなったタクが、頭を押さえながらそんな事を聞いてくる。どんな作戦かって、そりゃあ勿論…

 

「確実に《色欲》のスキルの効果を受けない人を集めて、私かティア、もしくはタクの転移で原因の海堂がいるって言う王都を強襲。そのまま邪魔は全部蹴散らして海堂を無力化だね」

「無力化っていうのは…?」

「可能なら、私かティアが記憶を全部喰らう。無理なら…分かるよね」

 

 希望論で言えば、全員で海堂を腕なり足なりを捥いででも行動不能にしてティアが暴食で記憶を食べちゃって地球へ強制送還が目標になる。もしそれが出来ないようなら…地球に帰れる人が減るだけになる。

 

「まあそうだろうとは思ってたけど…誰がやるの?俺は誰かを手にかけた事なんてないんだけど?」

「大丈夫、私も直接はない。だからそれはアルさんとかに頼む」

 

 ティアは考えるまでもなくてロイドはどうなのか分からないけど、相も変わらず私は直接誰がを手にかけた事はない。誰かを斬り裂く感触も、怪我のせいで血もグロいのも見慣れてるけど徹底して人には手を出してない。勝手に大鎌を触って自滅した誘拐犯は知らない。

 

「大鎌使ってる上に、血生臭くてあんなに躊躇ない攻撃が出来るのに蒼矢って…」

「なに、文句あるの?」

「いや、ないかな。でも強襲するメンバーがなぁ…」

 

 はぁ…とタクは大きくため息を吐く。あれ、もしかしてこれ仲直りできなかったパターンとかだったり?そう思って頭にハテナマークを浮かべる私に、結構重大な変化を教えてくれた。

 

「柊さんがヤンデレ化してた。何があったのかは分からないけど、目からハイライトが消えてヤンデレ化してた」

「・・・やったね!タクの言うことならなんでも従ってくれるよ」

「マスター、白目剥きながら言っても説得力皆無」

 

 そんなティアの声で私はハッと現実に戻ってくる。ち、違うし。ロイドが違う女の子と話してるのを見たりするとイライラするけど、私ヤンデレじゃないし。色々振り回すタイプだし。

 

「で、その作戦は誰が伝えるの?」

「勿論タクだね」

 

 私は今他の街がどうなってるかも分からないし、信用もないから提案とかはタクの方がいいに決まっている。というか、結構人がいる中でしていい話だったかな、これって?

 

「はぁ、了解」

「いてらー、がんばー」

 

 タクから疲れ切った人特有のオーラが出てるけど、そんなのは知ったことじゃない。トボトボとギルドに戻っていくタクなんかより、自分のお腹の減り具合とさっきから聞こえてくるお腹のなる音の方が重要だ。

 

「ふぁぅ…疲れた。でもコレやらないと寝るに寝れないし…あ、そうだ。ロイドロイドー、ちょっとこっち来てー?」

「えっと、もう大丈夫なのか?」

 

 眠いことを意識しちゃったせいか、寝ぼけ始めた頭でロイドの事を呼ぶ。まあ、多分ここには奥様方がいるから私が倒れても大丈夫かな。

 とりあえず、しばらく魔物も来なそうだし戦装束から普段着に戻る。

 

「えへへ〜枕確保。じゃなくて、多分私倒れるからそしたら布団までよろしくね?」

「えっと、何するんだ?」

 

 大型のコンロっぽい何かの上に、私2人分はある太さの寸胴鍋を置き、隣に適当な食材を出しながら私は言う。

 

「お肉も野菜も腐るほどあるし、調味料は戦いが終わったら報酬金で買い占めればいいとして。炊き出しだね!!流石に1人じゃ出来ないので、出来る人は手伝ってくれませんかー?」

 

 私が作るのは勿論豚汁…と言いたいけど、味噌は高いし量があんまりないから嫌だ。だから、具沢山つながりで適当にポトフでも量産しようと思う。何故かコンソメはあるからね。

 そんな適当な事を考えてる内にも、今まで黙っていた奥様方が結構集まってきてくれる。

 

「あ、ロイドもティアも手伝ってね?」

「「えっ」」

 

 お昼時は少し過ぎちゃったけど、頑張るぞーおー!!

 

 

「すぅ…んぅ…」

「まさか本当に倒れるなんてな…」

「仕方ない。今日は、色々あり過ぎた」

 

 宣言通り寝てしまったイオリを背負っている俺に、イオリの世界への門を開こうとしているティアさんがそう答える。宿とかも無いから道の隅っこだから、邪魔にはならないだろう。

 

「確かに、イオリは働いてる量が異常でしたね…」

「そう、だからマスターは休むべき」

 

 降ってきた頭がおかしい量の魔物を半分吹き飛ばし、その残りの1/3も倒している。その上、取りこぼした魔物の殲滅戦に参加してさっきまで料理をしていた。これはもう、地球で言うカローシって奴になってもおかしくないと思う。

 俺がもう少し頑張れば負担を少しは減らせたのかもしれないけど…

 

「大丈夫、ロイドは十二分に働いた」

「そう…ですかね?俺としてはまだ働けたと思うんですが…」

「マスターも私も、ロイドが残党狩りで1番働いてたのを知ってる。だから、褒める事はあっても貶す事はない。それに」

 

 俺の背負ったイオリを見ながら、ティアさんが言う。

 

「ロイドは、マスターがそのままでいれる数少ない1人。だから、そういう事をする奴は私も許さない」

「そうなんですか」

 

 残りの人はリュートさん達かなと思っていると、空中にパチリと稲妻が走って小さめの門が顕在化する。

 

「入る」

「えっと、はい。了解です」

 

 そう言って入っていくティアさんに続いて、俺も幾度となく潜った門の中に入っていく。そして相変わらず圧巻の光景の中に、かなり場違いな生活スペースがあるのを確認する。

 

「とりあえずイオリはここに寝かしておくとして…」

 

 生活スペースの中に、案の定敷いてあった布団にイオリを降ろす。これでやる事は終わったし立ち去ろうとした時、右手の裾をイオリがギュッと握って離さないことに気づく。

 

「ゃぁ…」

「仕方ない、マスターが満足するまで諦める」

 

 俺のちょっとした疑問に、先回りしたような答えがティアさんから返ってくる。 そういえば、確かこの人って心を読めたんだっけ。

 

「どうせ明日辺りから、生きるか死ぬかの事ばかりになる。今の内にゆっくり休んでおくといい」

「それじゃあお言葉に甘えますけど…ティアさんは休まないでいいんですか?」

「私は精霊、魔力さえあれば大抵どうにかなる。ロイドは、手でも握ってあげてればいい」

 

 そうティアさんと話をしていると、手をグイと引っ張られイオリに抱きかかえられてしまった。色々問題なので、義手の触覚を急いでOFFに変更する。

 

「訂正。私が見張ってる、ロイドもそこで寝るといい」

 

 そう言ったティアさんの声と、謎の魔法陣を最後に、俺の意識は眠りに落ちていった。

 




現在、他の町はまだ戦闘中なのでまだ突撃できません。
やあ はアークスとは何の関係性もございません。

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