異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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作者がまだ死んでるので、デート回は延期
そろそろガムシロができるかもしれない(白目)

それは置いておいて、お味噌で食べる新鮮な生生姜って美味しいですね。


第17話 「私」として

「あんもうやーだー、アレ以外の暴食の制御とかでーきーなーいー」

「マスター、そんなこと言ってると、また死ぬかもだよ?」

「それはそうなんだけどさぁ…」

 

 私とティアしかいないもう一つの世界(アナザーワールド)の中で、汗だくで大の字に転がった私は言う。あーもう、なんでこの床はこんな暑くも冷たくもないのさ…

 

「ティアみたいに攻撃を喰らうって言うのは、なーんか出来ないっていうかさー」

「私には、マスターのやり方の方がぶっ飛んで見える」

「あれは、正真正銘最後の切り札だから。紛い物だけど」

 

 私のアレは、私が唯一暴食のスキルを変形させて使えるやつだけど元ネタがある紛い物。だけどその元ネタが凶悪すぎて、不完全な再現でも頭のおかしい性能になってるヤツだ。

 そこら辺の木っ端みたいな魔物に試しで使ってみてから、即死技じゃないけど人間相手には使わないって決めたヤツだけどね。

 

「だから、ちゃんと暴食での防御くらいは出来るようにしないと、せっかく制御出来てるのに勿体無い」

「うぅ〜…叡智の方だってまだ完璧じゃないのに」

 

 というか、こっちの方がどうすればいいのか分からない。まだ使い方が定まってる暴食と比べて、鑑定と情報の最上級スキルなんてどう応用すればいいのか分からない。すべての式を解く者みたいな使い方も頑張っても無理だし…

 

「ねぇティアー、なんかショートカットとか楽な道って無いの?」

「死の淵まで追い込んで欲しい?」

「遠慮しておく」

 

 女の子座りに戻り、大きく私はため息を吐く。私ってつくづく戦闘には向いてないよなぁ…魔法が上手く使えるのと道具を上手に作れるだけで。

 

「まあ少しは慣れてきてるし、新しい職業も馴染んだからいっか。強者(つわもの)よ…」

「マスター、それ天目一個」

 

 というわけで、いつの間にかレベルが150を超えてたから取ってきた職業というのが《天目一筒》だった。ここまで来てようやく日本神話の神様の名前が出てきてなんだか嬉しかった。

 念のため言っておくけど私、炎もよく使うしお宝は沢山抱え込んでるけど、ミステスじゃないよ? 零時迷子作らなきゃ(使命感)

 

「それじゃあマスター、無理してもよく無いし、休憩する?」

「え、いいの!」

「そんなに嬉しそうにされたら、もう引っ込められない」

 

 そうやれやれといった雰囲気でティアが言うなか、私は自分の門を開けて取り出したタオルで汗を拭う。そう、色々物がありすぎる私の門の中じゃ流れ弾の被害が怖すぎるから、ティアの方の中で私達は特訓していたのだった。

 

「ただの休憩じゃつまらないし、マスターの抱えてる問題を一つ」

「ふぇ? 何かあったっけ?」

「マスターは、ロイドの事は結局どうするの?」

 

 その言葉に、不覚にも私は固まってしまう。確かにそれはどうにかしなきゃいけないけど、戦いが始まる前にどうにかしないと死亡フラグがロイドに立つ事になるけど…

 

「また言うけど、マスターは元の身体には戻らない。精神的も、身体に引っ張られている。そしてロイドは、そんなマスターでも好きと言っていた」

「それはそうだけど……」

 

 もし告白とかで今の関係が変わるのは、どっちかっていうと嫌だ。けど、早計かもしれないけど、こんなある種(いびつ)な私を好きだなんて言ってくれるのはロリコンを除けばロイドくらいしかいないし…

 

「それじゃあ、マスターはロイドの事が嫌い?」

「それはない!」

 

 私は思わずそう即答してしまった。ロイドの事を嫌いって言っちゃうと、今まで一緒に色々やって来た事とか、否定する事になりそうで…

 心にまだ、男の部分が残っているのにこんな風に思っちゃう私なんかがその、そういう、彼氏とか彼女とかの関係になっていいのか分からないし…

 

「ちぇりおっ!」

「いたぁっ!」

 

 ちょっとネガティヴな考えになっていた所に、ティアから頭に強めのチョップを入れられた。うぅ……なんなのさ、一体……

 

「そんなに、ウジウジ悩んでるのはマスターらしくない。あと、そんな悩みを抱えた状態じゃ、特訓は上手くいかない」

「え、それってまさか」

「そのまさか。ロイドとの問題、片付けるまで特訓は無し」

 

 叩きつけられる残酷な宣告。いや、意味は分かるけどそんな事ってひどいよ…はっ、まさか!

 

「か、鍛冶とか物作りはしちゃダメなんて言わないよね!?」

「それをすると、マスターがおかしくなるからしていい。中毒者みたいだし」

「中毒者ってひどいなー、ただのけ ん ぜ んな鍛冶ですー」

 

 時折爆発したり、凍ったり、剣が暴れ出したりするだけでいたって健全ですしー。この前作った蛇腹剣が魔力を込めすぎたのか暴走して、R18の3歩手前くらいの触手プレイされた事なんて覚えてませんしー。あれはフローが居なかったら大変な事になってた…

 

「それが普通じゃないと…まあいい、いっそもうデートでもしてくるといい」

「ちょちょ、ちょっと待った!」

 

 某禁書庫の扉渡りを使う大精霊みたいに、門の中から吹き飛ばそうとしてきたティアにタンマを入れる。は、話してくるのはいいけどその前に!

 

「シャワー浴びてきたい」

「…それもそう」

 

 私もティアもなんだかんだで汗だくなせいで、服も髪の毛も肌に張り付いてるし気持ち悪い。流石に恥ずかしいから、シャワー浴びて着替えたい。

 髪の毛の長さの問題でティアと一緒にお風呂に入ったけど、弄られ続けたせいでこの時ばかりは凄く恥ずかしかったのだった。

 

 

「ふぅ、さっぱりしたしこれでようやく…あっ」

「あっ」

 

 シャワーを浴びたせいでサラサラのフワフワに戻った髪を下ろしたまま、背伸びをしながら門から出ると、そこには目的だったロイドが立っていた。

 お互い、なぜか顔を少し赤くしながらピタリと動きが止まる。う、うぅ…どうしよう。

 

「「あ、あの」」

 

 意を決して喋り出したつもりが、セリフまでロイドと被ってしまった。えぅ、あぅ、そうだ!

 

「そ、そっちが先でいいよ!」

「お、お先にどうぞ!」

 

 …何コレ気まずい、というかラブコメ。あぁもうこうなったら!

 

「ロイドが先でいいよ! わ、私のは大したことじゃないし」

「あ、あぁ」

 

 ふぅ、コレでようやく話が進むし、門の中の笑いを堪えてるみたいな気配もどうにかなるでしょ…

 

「そ、それじゃあ、明日一緒に出かけないか?」

「う、うん」

 

 その落とされた特大の爆弾に、私はついうんと頷いてしまうのだった。ふ、服とか私センスないしどうしよう!?

 




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