異世界に転移したと思ったら転生者? 〜〜幼女で鍛冶師な異世界転生〜〜   作:銀鈴

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……何個か暇だから診断をやってみた結果、どうやら私はツンデレらしい。誰得だし。
-追記-
投稿が遅れるなんて、私は実に怠惰デスね…


第13話 精霊として

「ふぅ…っし、ここからは気合入れますか!」

 

 ラキスケもどきの事件も終わり、ついでにお昼も食べ終わった後、私はさっきまでと違い1人で赤々と燃え盛る炉の前に座っていた。せっかく造らせてもらえる聖剣なんだし、言った通りここからは気合を入れないとね!

 

「聖剣は見た通り西洋剣だから、普通造るんなら鍛造じゃなくて鋳造なんだろうけど…」

 

 それじゃ正直微妙な性能の剣しか造れない。いや、他の人から見れば十二分に名品なんだろうけど、私から見たら微妙も良いところだ。じゃなきゃ、わざわざインゴットにしないしね。

 

「この頭おかしいハンマーのおかげで、そこら辺はある程度どうにかなるしね」

 

 そう呟いて、腰に佩いたピンク色のハンマーを右手で抜く。

 

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 マジカル☆スミス☆ハンマー

 

 DEX 150%

 

【属性】神

【重量】1kg

【耐久】破壊不能

 

《スキル》

 武具修繕《極》 武具作成《極》

 製作武具性能上昇

 

《装備制限》

 Lv100以上・DEX25,000

 

《備考》

 職業 ゴブニュを持ち、なおかつDEXの値が25,000を超えている者に贈られるスミスハンマー。持ち主のベスト以上の力を引き出し、武具の作成と修繕の時間が大幅に短縮される。

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 装備してるだけでDEXが1.5倍になるとかいうキチガイ性能だけど、なんか凄く手にフィットするし、地味に暖かいし何でできてるんだろ。SAOのアニメみたいに、この前インゴットが勝手に変形して剣になったし。

 

「そんじゃあまあ、初めは叩いて行きますか!」

 

 金箸っぽいもので熱した例のインゴットを取り出しながら、今更すぎるけど、全身白い服で白い三角巾までしてるからまるで給食当番だなぁと思う私だった。

 

 

「……遅い」

 

 今まで読んでいた本を閉じ、私は閉ざされた門を見て呟く。マスターが『じゃあ鍛冶してくるからー』と言って入ったのが午後1時付近、それから6時間も篭っているのはやり過ぎだ。

 そろそろ時間は夕飯時。マスターの彼は近くの1人部屋にいるが、マスターが出てこない事には何事も進まない。ご飯を作るにしろ、食べに行くにしろ。

 そう思って私は本を仕舞い、たったそれだけの動作でギシッと軋んだ椅子から立ち上がる。部屋全体に随分と埃が積もってる、私は本を読んでいただけだが、マスターはキレそうだ。

 

「やっぱり、綺麗にしてから開ける」

 

 どうせ一瞬で終わる。そう考えながら自らの大元に根ざす霧を解放する。マスターの部屋にあった小説、アレに出てきた魔獣の力を、完全には無理だけど再現してみるのもまた一興だ。

 

「喰らい尽くせ、暴食」

 

 アレと違い、存在を喰らうのはリスクが伴うが今回は塵掃除だ。そこまで力を使う必要はない。そして部屋に立ち込める霧が晴れたとき、塵と一緒に数個ランプなどが消えてしまっていた。

 

「…ここまで、マスターに似なくても良いのに」

 

 私たち精霊は、少なからず契約したマスターに影響される。私も前はここまで考えを巡らせなかったし、ウッカリもなかった。特にマスターは色々とおかしいから、先のウッカリの様に変な影響も出ている。

 

「まあ、それも含めてマスターか」

 

 無くなった物は、マスターにどうにかしてもらおう。明らかに戦には向いてないのに、それでもいつも戦ってきたマスターの顔を思い浮かべ、私はマスターの門を強制的に開く。

 

「マスター、夜ごはん」

 

 いつもと変わらずそう言って入った世界で目に映ったのは、空中に幾重にも重なり煌めく黄金の剣閃だった。

 僅かに紅の混ざった金色をベースに、中心の溝に青色でルーン文字が彫られた両刃の刀身。同じ金色に緋色で装飾されたガードと、金属製だがなんらかの魔物の皮が巻かれたグリップ。柄頭の部分には魔力が込められた透き通る宝玉が嵌め込まれた宝剣と、マスターの持つ銀色の髪が舞うコントラストがとても美しい。

 いや違うそうじゃない。

 

「その人形は、なに?」

「へ、あ、ティア?えと、これは…チュートリアル人形みたいな?」

 

 私の目線の先を見て、隠し事がバレた様な顔でマスターが言う。このマスターは、また変な物を作って…

 

「ほ、ほら、ロイドと斬り合いしても、実際には斬れないじゃん?だったらナノゴーレムで名前通り人型のゴーレム作って、それと斬り合いすればいいんじゃないかなぁって。スキルの強化もできるし!」

 

 そうマスターがアワアワと言い訳するのと連動して、隣に立つマスターの影の様な人形も同じ様に動く。お互い抜き身の剣を持っているせいで、かなり危ない。

 

「はぁ…まあいい、とりあえずもう夜。ごはんの時間」

「ふぇっ!? もうそんな時間? ……疲れたからどっか食べに行こっか」

 

 剣を鞘に収め近くに置き、人形が黒い液体に還る。そしてそのまま、マスターは服が透けてるのにも気づかず、外に出ようとして…

 

「マスター、自分の格好を確認する」

「へ?って、これ…うわぁ、ススだらけだし半分くらい透けてるじゃん…」

「顔もススだらけ」

「え、ほんと?」

「うん」

 

 うわぁとマスターが顔を(しか)める。やはりマスターは、自分の状態をロクに認識していなかったらしい。

 

「ごめんティア、ロイドにもうちょっと待ってって伝えてきて?私はちょっと片付けてシャワー浴びてくる」

「了解、出来れば早めにね」

「うん!」

 

 やはり私がしっかりしないと。マスターの精霊として。

 




なんとなく書いて見たティア視点。バトルの前に日常成分補給しておきたい作者

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